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近年注目度が高まっている「お金教育」。いつから?何をすればいい?

公開日:2023/06/20
最終更新日:2023/06/19

子どもたちが将来自立して生きていくために、様々な知識や技術を身につけたり、感性を磨くことはもちろん大事。でも、もうひとつ絶対に欠かせないものといえば?…そう、「お金」です。近年、子どもへの「お金教育」の必要性や注目度が高まりを見せています。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナーであり、子ども向けのお金の教育講座「キッズ・マネー・ステーション」を主宰されている八木陽子さんに、子どもへのお金教育の重要性や始め方、ポイントなどについてお話を伺いました。


 

◆注目度が高まりつつある「マネー教育」
2022年度から高校の家庭科の授業で「資産形成」が必修化されるなど、教育現場でも金融教育が取り入れられるようになり、子どもへの「お金教育」はますます関心が高まりつつあります。

その背景のひとつとして八木さんが挙げるのが、2019年に話題となったいわゆる「老後資金2000万円問題」。自助努力による老後の資産形成の重要性を多くの人が考えることとなり、これに伴って「お金について学びたい」人が増えた側面があるといいます。

加えて、近年一気にキャッシュレス化が進み、子どもが目に見える形で「お金を使う」・「お金が減る」という体験をする機会が減ったことも要因のひとつ。小学校低学年ぐらいまでの子どもで、お金について「ごく当たり前のこと」が伝わっていない例もあるのだそう。

たとえば「お店で買い物するとお金がかかるからネットで買えばいい」と考えてしまったり、「おつり」という概念がないために買い物をしたあとにもらったおつりをそのまま捨ててしまう子どもがいるなど、驚くような事例もあるといいます。

多くの子どもがデジタルデバイスを通じてインターネットを利用できるようになった昨今。便利であるという反面、課金や有料サービスの利用などへのハードルも一気に下がり、それが原因でトラブルに巻き込まれる例も多くあります。こういった社会の変化に対応するためにも、子どもへのお金教育はさらに重要性を増していきそうです。

 

近年注目度が高まっている「お金教育」。いつから?何をすればいい? 

◆お金教育が大切な理由
「大人になってから価値観を変えるのはなかなか難しいんです」と話す八木さん。だからこそ、価値観がまっさらで様々なことを吸収できる子どものうちからお金の教育を始めることが大切だと言います。

親世代の中には「株」や「投資」に対して抵抗感のある方も多いのではないでしょうか。しかし、株や投資を敬遠するあまり、お金の仕組みや付き合い方、知識を身につける機会を逃している人は多く、色々な部分で無駄遣いをしてしまっているのにも関わらず、その一方でリスク商品で資産が減少することには過敏に反応してしまうといった人も多いと八木さんは言います。

「だからこそ、子どものうちから、お金の大切さや仕組み、付き合い方などを学んでおくことが大事です。初めから難しいことを教える必要はありません。普段の生活の中でお金の『良い面』を伝えていくことが、その後の子どもの人生を、より豊かなものにすることに繋がるのではないでしょうか」

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◆「お金教育」はいつから始めればいい? 年齢やきっかけは?

家庭でのお金教育については「モノやお金を大切にして欲しいなと思うタイミングで始めるのがよいと思います」と八木さん。お金が関係する場面で、子どもに理解できるような言葉を添えて始めるのが理想だと言います。

例えば2歳や3歳くらいで「何かを買って欲しい」とせがまれたなら、ただ「ダメ」と答えるのではなく、「これを買うと夕飯のためのお金が無くなっちゃうから」や「年に一度〇〇に行くのを楽しみにしているから、普段はたくさんお金を使わないよ」など、なぜ買えないのかを分かりやすく話しましょう。

八木さんによると、日本では特に「お金について話すのは『はしたないこと』」という感覚が根強くあるのだそう。例えばアメリカでは、子どもが自宅でレモネードを販売したりガレージセールを開催するといったことが慣習として行われており、子どもがお金について話す機会や、自分たちの力で本物のお金を稼ぐ機会も豊富にあるといいます。

これらの慣習をそのまま取り入れることは難しいですが、日本が文化的に「お金について話すことが少ない国」という前提に立ったうえで、お金をどんな風に大切に使っているかなど、日常のこととして「お金」について教え、家族で話せる雰囲気や環境を作りだすことが、お金教育の第一歩です。

「お金について教育する」というとついつい肩に力が入ってしまいがちですが、「生活の中のお金に関わる部分から始めれば大丈夫です」と八木さんは言います。まずはお金の流れや使いかたなど、子どもが身近に感じられることから話してみることから初めてみましょう。

「大切なのはお金をネガティブに捉えないことです。日本ではお金の話をすることに抵抗や苦手意識があったり、汚いというイメージを持ったりする人も少なくありません。でも、このようなネガティブな捉え方や考え方は子どもに伝染してしまいます。だからこそ、お金とポジティブな付き合い方を心がけてほしいと思います」

お金はあくまでも「道具」であり「自分が使う」もの。自分や家族が幸せになる使い方を考えて、お金に振り回されないように付き合っていきたいものです。現在はデジタル化も進み、さまざまな場面で子どもの方が早く習得することも多いですから、お金に関しても「親が先回りして教える」というよりも、親子で一緒に考え、選び、楽しく学ぶというスタンスで「お金」と向き合えると良いですね。

◆家庭で取り組むお金教育
それでは、実際に家庭ではどのようにお金教育を進めていけばよいのでしょうか。年齢ごとのおすすめの取り組みについて伺いました。

<未就学児~小学校低学年くらいまで>
この時期おすすめの方法は、「絵本の読み聞かせ」。実は「お金」をテーマにした絵本はたくさん出版されており、お金の使い方や流れなどを疑似体験にできるものが多くあります。読み終えた後に親子で感想を言い合うと、より理解も深まるでしょう。

~「お金教育」におすすめの絵本~
『おさいふのかみさま』 作:苅田 澄子 絵:にしむら あつこ 監修:キッズ・マネー・ステーション(フレーベル館)
はじめてのおこづかい100円をもらった、おばけのばけばけ。どろりん商店街に買い物に出かけて、ほしいものを買おうとするのですが……。親子で学べるお金の絵本です。

『しょうじき50円ぶん』 作:くすのき しげのり 絵:長野 ヒデ子(あかつき教育図書)
買い物に行って帰ってくると、おつりが50円多かった。正直に言って返すか、それとも知らん顔してもらっておくか。さてどうする?

『はじめてのおつかい』 作:筒井 頼子 絵:林 明子(福音館書店)
5歳のみいちゃんが、はじめてひとりでおつかいに。1977年に発行されたロングセラーです。

『ともだちや』 作:内田 麟太郎 絵:降矢 なな(偕成社)
ある日「ともだちや」をはじめることを思いついたキツネ。1時間100円で友達になってあげるのですが……。

また、「お店屋さんごっこ」もお金教育のファーストステップとしてぴったりだといいます。ごっこ遊びのできるおもちゃを使うのもいいですし、描いた絵に値段をつけて売り買いしたり、家の中のものを商品に見立てたりしてもいいですね。キャッシュレスを取り入れるなど、現実世界と照らし合わせて遊んでみるのも楽しいでしょう。

また、この時期悩まされるのが「おねだり」。「あれが欲しい」「これ買って!」「〇〇ちゃんがやっているからあの習い事をしたい」…など、何かとおねだりされることもあると思います。

このような場合「すぐに買わずに時間を置くことが大切です」と八木さん。本当に欲しいものなのかを考える時間を与えて、待たせてみましょう。数カ月から半年くらいの「待つ効果」を使って、それでもなお欲しいかじっくり判断する時間を設けるのもよいそうです。

<小学校中学年くらいから>
お金についてある程度の理解が深まったところで、お小遣い制を取り入れて実体験をさせてあげましょう。はじめてのお小遣いで多いケースは、スポット的に渡す方法。たとえば夏休みの間やお祭りの時など、期間限定で試すやり方です。他にも、習い事のときにアイスやジュースを買う習慣があれば、その分のお金を子どもに渡して任せてみるのもおすすめです。

こういったスポット的な使い方に慣れてから定額制に進むとよりスムーズです。この時悩ましいのは、お小遣いの金額。よく「年齢×100円」や「学年×100円」などが目安として挙げられますが、大切なのは子どもが「自分でお金使っている」ということを実感できる金額にすることです。

「たとえば、欲しいものを全部買ってあげた上でお小遣いを渡しても、使い道がなくただただ浪費するか、とりあえず貯金をするかになってしまいます。子ども自身が『どのようにお金を使うのか』を考えられるような工夫をすることが大事ですね」

ジュースやお菓子、あるいは本など、どんなものであれば子どもに任せてよいか、そしてそれにはいくらかかるのかといったことを考えたうえで、家庭ごとに適した金額を決めていきましょう。

お小遣い制に慣れてきたら、半年に一回や年に一回など定期的にお小遣いの金額を見直すための話し合いをするのもおすすめ。実際に使ってみてうまくいかない部分や「ここは親に出し欲しい」といった要求など、お金について考えたこと、思うところを実際に口に出して親子で話し合うことは、金銭感覚を養うことはもちろん、説明力やプレゼンテーション力にも繋がるかもしれません。

また、親の方も「今年から文房具もお小遣いでね」など、金額アップとともにお小遣いで賄う範囲を徐々に増やすと良いそう。それまで親が買い足していたものを子どもに委ねることは、子どもの自立心を育てることにも繋がります。

お金について学ぶことは、これから生きていく子どもたちにとっても重要なことです。興味関心が向いてきたかな、そろそろお金について話しておきたい、などと思ったなら、きっとそれがお金教育を始めるチャンス!まずは肩肘を張りすぎないスタンスで、親子で一緒に「お金」と向き合ってみてはいかがでしょうか。

近年注目度が高まっている「お金教育」。いつから?何をすればいい?


プロフィール
八木 陽子(やぎ ようこ)さん

株式会社イー・カンパニー代表取締役、キッズ・マネー・ステーション代表。ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント。2005年からお金教育・キャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主宰し、所属する全国の講師たちと、小・中・高等学校にて授業や講演などの活動実績が多数。2017年度の文部科学省検定の高等学校家庭科の教科書に日本のファイナンシャルプランナーとして掲載された。著書や監修本に「お金は子どもに預けなさい」(経済界)、「おさいふのかみさま」(フレーベル館)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。その他「あさイチ」「ウワサの保護者会」テレビ等のメディア出演も多数。