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身の回りには「宇宙」がいっぱい。ますます身近になる「宇宙」を親子で楽しもう!

公開日:2024/01/24
最終更新日:2024/02/06

「宇宙」と聞くとつい、どこか遠い世界をイメージしてしまいがち。でも実は、宇宙は私たちの生活に深く関わる、なくてはならないものだというのをご存じでしょうか?近年では「宇宙ビジネス」に更なる注目が集まっており、今の子どもたちが大人になるころには宇宙旅行を含め宇宙がもっと身近になると言われています。
来るべき宇宙時代に向けて、子どもたちには小さいうちから宇宙に慣れ親しんでもらいたいもの。そこで今回は宇宙・天文の専門家である大川拓也さんに、宇宙の魅力や不思議、そして意外に身近な宇宙と、宇宙に関する疑問など様々なお話を伺いました!


◆好奇心や探究心を刺激する「宇宙
「好奇心は、新しい世界を見たいという気持ちの原動力です」と大川さん。「宇宙というのはつかみどころのない遠い世界の話のように思うかもしれません。でも、宇宙に興味を持ち、探究していくことが『自分自身を知る』ことにもつながるというのが、宇宙の奥深いところなんですよ」と話します。

「調べれば調べるほど、自分が知っていることは実はほんの一部でしかなく、まだまだ知らないことがたくさんあるのだと気づく。それが『宇宙』の魅力であり奥深さです。日常生活のことや地球上の出来事ばかりに目を向けていると、時にすべてをわかったような気になってしまうこともあるかもしれません。宇宙にまで視野を広げることで、地球そのものがどういう星なのか、そもそも生命とは何か、自分はどうしてここに生まれたのだろうかなど、いろいろなことを考えるようになるんです」

宇宙の「宇」は空間、「宙」は時間をそれぞれ意味しているのだそう。つまり「宇宙」とは時間と空間のすべてという意味。この世のあらゆることは「宇宙」とつながっていて、関係ないものは何もないと大川さんは言います。

「私たちの体も、他の生き物も、もちろん地球も、どれも宇宙とつながっています。目の前の狭い範囲だけ見ていたのでは気づかなかったことを考えるきっかけをくれたり、今までとは違うものの見方を教えてくれたりするのが宇宙という存在です」

大人でも宇宙について「よく知っている」と答えられる人は、実はそれほど多くないのではないでしょうか。「わからない」部分が多いからこそ、大人も子どももほとんど対等な立場で、興味をもって学べるという点も、宇宙の魅力なのかも。知らないことや分からないことが多く、だからこそ、子どもも大人も好奇心や探究心をかき立てられる宇宙。子どもと一緒に宇宙について学ぶことで、新しい発見があるかもしれませんね。

◆私たちの身近にある「宇宙」と「宇宙ビジネス」
果てしなく広くて、わからないことが多いと聞くと、やっぱり遠い世界のようにも感じてしまいますが、その一方で宇宙は私たちの生活にとって身近で欠かせない存在でもあります。

例えばお出かけの際などに地図アプリを活用する人は多いはず。その際に活用されるGPSは4つの人工衛星からの信号を受信して位置情報を提供します。テレビをつければ放送衛星を使ったBS放送や通信衛星を使ったCS放送が流れていますし、毎日チェックする人が多い天気予報も気象衛星という宇宙からの目が大きな役割を担っています。

さらに、ロケットや人工衛星などの開発に伴って発展してきた様々な技術も、私たちの生活と密接なつながりがあります。

ロケットには軽くて強い素材が求められますが、こういったニーズからまれたカーボンファイバーなどはスポーツ用品や車いすなどにも利用されています。ロケットの姿勢の制御に必要なジャイロの技術は飛行機の安定した飛行に、構造解析の技術は橋梁やビルの建設にも役立てられています。

人工衛星もまた技術の塊。人工衛星に不可欠な太陽電池の技術はソーラー発電に、展開機構はマニピュレーターロボットに……と、数え上げればキリがないほどたくさん技術が、幅広い分野を発展させています。今ある私たちの便利な暮らしは、宇宙でも使われている技術や知見によって作り上げられ、支えられているんですね。

また、近年では「宇宙ビジネス」という言葉を耳にする機会も多くなってきています。これまで宇宙へのアクセスや宇宙開発というと国や公的機関が主導することがほとんどでしたが、近年では民間主導型の産業が盛んになり、さまざまな会社が宇宙へ行く手段を提供し始めています。

また、宇宙空間での新たな素材の開発やモノづくりの可能性も広がっています。たとえば、地球上では重力があるため、液体を扱うには容器が必要ですが、無重力(微小重力)の宇宙船の中では必要ありません。宇宙船の中で、水がかたまりのまま浮いている映像をみたことがある人は多いのではないでしょうか。そんな宇宙ならではの環境下では、これまでになかった素材やモノが生まれてくる可能性もあるといいます。

「地球の周りの宇宙空間は、すでに地球と地続きの世界になってきています」と大川さん。遠い世界の話だと思っていた宇宙ですが、昔の子どもが思い描いていた「いつでも宇宙とつながる世界」はすでに実現しつつあります。そしてさらにこの先、ますます開かれたビジネスの場となり、そして子どもたちにとっての活躍の場になっていく可能性があるんです。

◆宇宙に興味を持ち始めたときのおすすめは?
宇宙がますます身近になってくるこれからの時代。子どもが宇宙に興味を持っていると感じたら、ぜひ触れてみてほしいですよね。子どもが宇宙に興味を持ったとき、まず何からスタートすればよいのでしょう。

「ぜひ星空に目を向けてほしいです。本や映像ももちろんおすすめですが、一番は幼い頃の原体験だと思います。自分の目で見たり、肌で感じたりしながら、自分の中に取り込んでいくのが大切です」

子どもの頃に見た日食や月食、流星群などのさまざまな天文現象は絶対に忘れない、と大川さん。夜空に広がる天の川や流れ星などを実際に見たことがあるかないかでは、宇宙に対する興味や理解度に大きな差が生まれると言います。

また、ひと口に宇宙といっても子どもが興味を持つポイントは様々。だからこそ、いろいろな宇宙のイベントを探して、参加してみるのもおすすめだと大川さんは言います。「今まで知らないことを知る」というのが宇宙探査の世界ですから、積極的に宇宙に触れる機会を作って、どの分野が好きなのかを見つけてみるのも楽しいかもしれませんね。

身の回りには「宇宙」がいっぱい。ますます身近になる「宇宙」を親子で楽しもう!1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

◆ちょっと気になる宇宙の話Q&A
Q:人工衛星って、いくつくらいあるの?
A:公表されていなものもありますので正確な数は分かりませんが、国連宇宙部に登録された宇宙空間に打ち上げられた物体のデータベースを確認したところでは、12,000以上が軌道上にあります。多くは地球のすぐ近くにありますが、中には月を探査したり他の惑星に行ったりするものもあるんですよ。

Q:地上から宇宙ステーションを見ることができるって本当?
A:国際宇宙ステーションは、条件が揃えば、上空通過時にみなさんの住む街からでも見ることができます。探し方は簡単。ネットで「きぼうを見よう」と検索すると、どこで・いつ見られるかがわかる「きぼう予報」がヒットします。地域ごとに見える時間や位置などを調べることができますから、ぜひ親子で一緒に探してみてくださいね。ちなみに「きぼう」は国際宇宙ステーションの日本実験棟の名前です。

Q:宇宙旅行に行けるようになるのは、どのくらい先?
A:昔は夢物語のように思われていた宇宙旅行ですが、実はすでに民間人も宇宙旅行に行ける時代になっています。現在いくつかの企業で宇宙旅行ビジネスが展開されていて、数分間の無重力体験旅行から国際宇宙ステーション滞在など、内容はさまざまです。今後輸送手段も選択肢が増えていきます。将来的により多くの人が「宇宙に行きたい」と思えば一人あたりの費用も下がってくると思います。今の子どもたちが大人になるころには宇宙旅行が「普通のこと」になっている可能性はあると思います。

Q:宇宙飛行士になるには?
A:宇宙飛行士というと、むかしは宇宙飛行士になるための特別な訓練を受けた一部の特殊な人がなるものでした。でも現在は、いろいろな職業の人が宇宙と仕事と結び付けて考えるようになりました。今後はあらゆる職業の人材が、様々な目的で宇宙に行くことになるでしょう。好きなことを究めるということも、これからは宇宙飛行士への道になっていくのではないでしょうか。

Q:星に名前は付けられる? 新しい星はどうやって探すの?
A:実は、名前が付けられる星は限られているんですよ。新星や超新星は記号や数字で呼ばれるので、発見者として公式に認められるものの、残念ながら名前を付けられるわけではありません。彗星には発見者の名前がつけられますが、現在は大規模な捜索システムが先に見つけてしまうことが多いので、自分の名前がつく新彗星を発見するのは不可能ではありませんがかなり難しい状況にはなっています。小惑星を新たに発見して確定すると、自分の名前ではないですが一定のルールのもと好きな名前を付ける権利が得られます。最近、すばる望遠鏡の画像データから、誰でも小惑星を見つけるシステムができたりもしていますので、新しい小惑星探しに挑戦してみてはいかがでしょうか。

私たちにとって意外と身近であり、かつ、果てしない魅力と謎もたたえる「宇宙」。大人も子どもも不思議に思うことは同じですから、宇宙の不思議について話し合ってみるのもたのしそうです。興味を持ったお子さんが、宇宙について考え続けたり探究に結びつけたりすることで、同じ思いを持つ友達や仲間ができて楽しい日々が送れるかもしれませんね。
太平洋側ではスッキリとした夜空が見られるこの時期。まずは子どもといっしょに夜空を見上げるところから始めてみてはいかがでしょうか。


プロフィール
大川 拓也さん
株式会社アストロアーツの『月刊星ナビ』編集長、国立天文台天文情報センター広報普及員、かわさき宙と緑の科学館天文担当、JAXA宇宙科学研究所広報担当などを務め、近年は2018年にオープンしたJAXAの新施設「宇宙科学探査交流棟」の計画・展示整備を担当した。現在は天文・宇宙分野の解説者として、講演やコンテンツ制作・執筆等を幅広くてがけている。

協力:NPO法人宇宙アドバイザー協会
宇宙・科学の普及啓発活動と科学・技術振興に貢献するために、2016年1月にNPO法人として設立。出張宇宙授業や講演、小学校クラブ活動における支援授業や地域と連携した宇宙・科学イベントを通じて、“宇宙”の素晴らしさ、“科学・技術”の魅力や可能性をわかりやすく伝える機会を提供している。