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デジタル時代に必要な生活習慣。親子で取り組むデジタルデトックス!

公開日:2024/02/13
最終更新日:2024/02/13

スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスは、今や生活にも子育てにも欠かせないものになりました。興味を持ったことを調べて学びを深めたり、あるいは動画やゲームを楽しんだり。とても便利で多彩な楽しみ方ができる、便利なデジタルデバイス。上手に活用することで育児の助けにもなる一方で、「使い過ぎ」によるリスクも指摘されています。
そこで今回は、一般社団法人日本デジタルデトックス協会の稲塚俊介さんに、気になる「デジタルデトックス」について、そしてデジタルデバイスと良い関係を保ち、楽しく健やかに暮らしていくためにはどうすればよいのかについて伺いました。


デジタルデトックスって何?
まずそもそも「デジタルデトックス」とは何でしょうか?稲塚さんによるとデジタルデトックスとは「デジタルデバイスと適度な距離感を持ち、心身の健康を保ちながら過ごす取り組み」だと言います。

「デジタルを完全に否定するのではなく、デジタルを使い過ぎるとどのような弊害があるかを知った上で、物理的に離れたり、時間的に制限をしたりしながら、適度に距離を保つことが、現在の『デジタルデトックス』の基本的な考え方です」

「デトックス」という言葉だけに注目してしまうと、まず、デジタル機器を「悪いもの」とイメージしてしまうかもしれません。ですが、問題なのはあくまで「使い過ぎること」。適切な範囲で使用する分には、生活や子どもの育ち、学習などに大いに役立つ心強い存在になってくれるでしょう。

また、「デトックス」という言葉から、たとえばデジタル機器をすべて断って自然の中で何日か過ごす、あるいはアナログの世界にどっぷり浸かる、といった活動を想像する方も多いかもしれません。でも、稲塚さんたち協会の考え方は必ずしもそうではないといいます。

自然の中で過ごすなどの活動を行うことも効果的な方法のひとつ。ですが、デジタル機器が多くの人の生活に浸透し、生活を支える大切なインフラとなった現在では、一時的にデジタル機器にふれない生活や活動ができたとしても、それを続けることは至難の業といえるでしょう。

そこで大切になってくるのが、デジタル機器の便利さと弊害を正しく理解し、普段のそれぞれの生活の中で、適切な距離感を持って付き合っていく「生活習慣」としてのデジタルデトックスの取り組みなのだと言います。

子どもにデジタルデトックスが必要な理由
さて、デジタルデトックスを考えるうえで、まず理解したいのは「なぜデジタルデバイスが手放せなくなってしまうのか」という点。大人でもついつい空いた時間にスマートフォンを覗いてしまい、そのまま時間が経ってしまった…なんてことはよくあるのではないでしょうか。

人の脳は新しい情報が好きで、新しい情報を得ると“ドーパミン”という快感・多幸感を得る物質が放出されます。さらに「不確実性」も人間の好むところ。「次はどんな情報が出てくるのだろう」という期待感から、新しい情報を求めてスクロールやクリックをして…ということを繰り返すうちに、「中毒」や「依存」ともいえる状態に陥ってしまうのだそう。

スマートフォンなどを使ってインターネットから得られる情報は、従来の新聞や本といったメディアとは比較にならないほどの「量」と「手軽さ」を誇ります。また近年では、使う人の興味にあった情報を提供するアルゴリズムもさらに進化しており、さらに使いやすくなる一方で「使い過ぎ」のリスクも高まりつつあるといえます。

それでは、デジタル機器を使い過ぎてしまった場合、子どもたちにはどんな影響があると考えられるのでしょうか。

「まず身体面の影響としては、視力の低下やストレートネック、あるいは適度な運動時間が取れないこと、睡眠時間と質の低下などが挙げられます。またもうひとつは精神面の影響です。SNSでのネットいじめや、あるいは早い時期からSNS上で自分と他人を比較することで自己認識の低下や自己肯定の低下、うつ状態など、情報を浴び続けることで精神的にも不調をきたすこともあります」

近年、内閣府が行った「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、インターネットの利用は未就学児にまで広がっており、2歳くらいからデジタルデバイスに触れる子どもたちも増えてきているといいます。

ことばを使いこなすよりも早くデジタルデバイスに触れはじめる現代の子どもたち。だからこそ、普段の生活の中でデジタルデトックスに取り組むこと、そしてデジタルデトックスを「習慣化」することは、子どもたちにとってますます必要なことになってきていると言えます。


親が気をつけたいデジタルとの付き合い方
それでは実際、日常生活の中でどのようにデジタルデトックスに取り組めばよいのでしょうか。まず大切なことは、現代の子どもたちは、親世代とは違いデジタルデバイスがある状態からスタートしているという認識を持つことだと稲塚さんは言います。

「生まれた時からデジタルありきで生きている子どもたちの生活スタイルを、大人の常識で考えてはいけません。『リスクがある』という事実を知ることは大切なことですが、それと同時に生きている時代が違うということも分かってあげてください」

「自分たちの時代はこうだったから○○すべきなど」極端なことをせず、子どもに寄り添いながらデジタルデトックスを考えていくことが大切です。

また、子どもにだけ注意をして大人はそのままというのでは、なかなか子どもには伝わりません。子どものデジタルデトックスを考えるのならば、まずは親が使い方を見直すことが大切。退屈しのぎや暇つぶしなどで気がついたら触っているという場合は、常に子どもに見られているのだと意識しましょう。

「たとえ仕事や日常の用事などの事情でスマホやタブレットなどを利用していたとしても、子どもの目線では、それが仕事なのか遊びなのかは区別がつかないということを覚えておきましょう」

また、普段から子どもがどんなものに興味を持っていて、デジタルデバイスを使って「何をしているのか」を把握し、理解することも必要だと稲塚さんは言います。

「見ている動画や遊んでいるゲームなどを知っていれば、それをデジタル以外のことに広げることもできます。スポーツのゲームで遊んでいるなら一緒に体を動かしてみるとか、アニメをよく見ているなら好きなアニメのイベントに連れ出してみるなど、目の前のデジタルデバイス以外の場所にも自分の好きなものがあるのだという体験をさせてあげるのも良いと思います」

好きなジャンルの動画を視聴したりゲームに没頭することも、子どもにとっては大切な時間。長時間デジタル機器を使用しているからといってすべてを禁止したり否定するのではなく、デジタルデバイスで得た情報と現実の世界との繋がりを持たせ、新しい物事に触れ、世界を広げるきっかけを作ることもまた、親ができる取り組みのひとつと言えます。


親子で取り組めるデジタルデトックスを紹介
さてここからは、日常の中でできるデジタルデトックスの取り組みをご紹介しましょう。まず大切なのは物理的にデジタルデバイス離れる時間や空間を持つこと。そのために有効なのが「デジタルフリー」の設定です。稲塚さんおすすめの方法をいくつかご紹介します。

・寝室
就寝前にスマホなどデジタルデバイスに触れると睡眠の質に影響がありますし、寝る前には静かに落ち着いた環境を作ることが大切です。「寝室にデジタルデバイスは持ち込まない」というルールを作ることで、デジタルフリーの環境になります。寝ている間に充電をしたり、アラームを設定していたりと事情はあるかもしれませんが、同じ空間にスマホがあるだけでどうしても意識してしまうもの。物理的に距離を取る対策として大人も「持ち込まない」を徹底してみましょう。アラームが必要な方はアナログ時計を用意しましょう。

・食事の時間
みんなが集まりやすい食事の時間は、親子で過ごす大切な時間。家族でゆっくり過ごせるよう、テーブルの上にはデジタルデバイスを置かないようにします。大人も手の届かないところに置き、目の前の家族と食事に集中できる環境を作りましょう。食事の時間は毎日同じように訪れるので、ルーティーン化できれば苦にならなくなります。家族の生活リズムに合わせて、朝食、昼食、夕食、またはカフェタイムなど、デジタルデバイスを持たずに集まれる時間を設定してみてはいかがでしょうか。


デバイス側の機能・設定を利用する方法も
他にも、デジタルデバイスの側の機能や設定を活用する方法も。代表的な機能をいくつかご紹介しましょう。

・スクリーンタイムを活用
使用しているアプリと使用時間を確認できる機能として、iphoneには「スクリーンタイム」、Androidには「デジタルウェルビーイング」という機能があります。どのくらいの時間スマホを使用しているかを客観的に把握することは、使い過ぎを減らすきっかけになります。

・ペアレンタルコントロール
時間やアプリを制限する手段のひとつが「ペアレンタルコントロール」です。ただし親が管理しすぎるのは世界的にも賛否が分かれるところ。活用する場合は一方的にルールを決めるのではなく、子どもとよく話し合うことが大切でしょう。

・自動再生をオフにする
YouTubeなどの動画再生は、興味関心のありそうな動画が次々とおすすめとして流れてきます。自動再生をオフにすることで、本当に見たいものを選んでみるようになり、メリハリをつけやすくなります。

現在では「スマホ育児」という言葉も定着しつつあり、デジタルデバイスは育児においても便利で心強い味方になっています。今や生活から切り離せない「デジタルツール」ですが、これからますます進化・浸透していくことでしょう。だからこそ、自然な生活習慣として「デジタルデトックス」に取り組んでいくことが、これからの社会を生きる子どもたちにはとても大切になってきます。ぜひ親子で毎日の生活の中でのデジタルデトックスに取り組んでみてくださいね!

デジタル時代に必要な生活習慣。親子で取り組むデジタルデトックス!1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

プロフィール
稲塚俊介さん
一般社団法人日本デジタルデトックス協会所属のデジタルデトックスアドバイザー。長男の誕生をきっかけにデジタル機器との付き合い方を考え始め、アドバイザーの道へ。得意分野は「子どもとデジタルテクノロジー」で、協会の中ではコラム執筆をメインに担当。休日は高校サッカー部のコーチを務めつつ、育児に奮闘中。

協力:一般社団法人日本デジタルデトックス協会
「デジタルデトックスを日本に普及すること」を目的として活動。定期的なイベントの開催や企業・一般向けの講習を通し、気軽にデジタルデトックスについて学び、体験できる場所づくりを行なうほか、デジタルデトックスを正しく理解し広められる認定資格者「リコネクター」の養成講座も開催している。