保護者が選ぶ通わせたい学童No.1に選ばれました!
お問い合わせ:045-543-3331
受付時間:10時〜19時

アデック(Adecc)のコラム一覧

夏の空はワクワクと発見がいっぱい。子どもと一緒に夏の空を見上げてみよう!

公開日:2023/07/12
最終更新日:2023/07/11

真っ青な空に浮かぶ入道雲、突然の豪雨にひょう、台風…ダイナミックに変化する夏の空。梅雨があけ真夏へと変化するこの時期は、興味深い気象現象がたくさん!夏休みを目前に控えた今は、お出かけに備えて「気象」について学ぶ良い機会かもしれません。
そこで今回は、港区立みなと科学館の職員であり、気象予報士の資格を持つ太田陽子さんに、気象の魅力や子どもと楽しく学ぶ方法と、子どもと一緒に学べる夏空や天気のギモンについて伺いました。


◆天気や気象について学ぶ面白さとは?
日常生活と密接に結びつく「天気」。空を見上げればそこに雲があり、日々刻々と変化する様子が見られることがその楽しさだと太田さんは言います。

「日本は四季や梅雨などがあるので、その仕組みが分かるとより面白く感じられると思います。たとえば憂鬱な雨の日であっても、雨が降る仕組みを知っていれば雨に対して前向きになれるのではないでしょうか」

あえて何かを用意しなくても楽しめるのが天気や気象の面白いところ。たとえば外に出た時には、風や湿度を体で感じることができますし、「ジメジメしていて雲も厚くなってきたら雨が降るかもしれない」など、ちょっとした知識があれば、それを生活に活かすこともできます。

夏の空はワクワクと発見がいっぱい。子どもと一緒に夏の空を見上げてみよう!

天気に目を向けることは、普段の暮らしの中の微妙な変化に気づく目や感覚を養うことにもつながります。さまざまな変化や現象に対して「どうしてだろう?」という疑問を持ったり、知識を身につけることで、日々のくらしそのものを、より豊かで刺激的な「学びの場」にすることもできるでしょう。

◆子どもが天気に興味を持ったら?
空や雲、風や雨などの気象現象に興味を持ちはじめたと感じたら、ちょっとした変化に気づくような声掛けをするのがおすすめと太田さん。「あれ?雲が動いてるね」とか「今日は昨日より山がきれいに見えるね」など、「どうしてかな?」と思うきっかけを作ってあげるようにするとよいでしょう。

夏休みのお出かけで子どもと飛行機に乗る機会があれば、窓の外にもご注目。飛行機が雲の中を突っ切るときには揺れが激しくなったり、いつもは見上げている雲が眼下にあったり、飛行機に乗っていた時には晴れていたのに目的地では雨が降っている…などなど、さまざまな現象を体感できるはず。窓際の座席が取れたら写真を撮ってみるのも面白いですし、あらかじめいろいろなことを調べてから乗るとより楽しむことができます。

気象は日常生活と深く結びついているので、構えることなく学べるのが魅力です。暮らしの中で見つけた「不思議」が、気象を学ぶことを通じて明らかになることもあるでしょう。調べていく過程で関連のある別の事柄に興味関心を示すようになるかもしれませんし、大人顔負けの知識を得ることも。子どもに芽生えた小さな「どうして?」をうまくキャッチして、一緒に学ぶのも楽しそうです。

◆天気予報は、毎日更新される身近な「科学番組」
「毎日の天気予報や気象情報は、ちょっとだけ先の未来を知ることができる科学番組なんですよ」と太田さん。老若男女すべての人たちに伝わるよう工夫されているため、子どもが見ても分かりやすいですし、親子で一緒に気象を学ぶのにもぴったりなんだそう。

天気のマークが気になるようなら意味を調べてみたり、宇宙に興味を持っている子なら気象衛星の画像を探してみたりと、さまざまな方向からアプローチできますし、「昨日の天気予報は当たっていたかな?」なんて、クイズ番組のように答え合わせをするのも楽しみ方のひとつです。

「天気予報を繰り返し見ているうちに、用語もちろん、季節による気象の特色や因果関係などいろいろなことが分かってきます。日々の積み重ねにより螺旋階段を上るように視座が上がっていき、天気予報から気象を学ぶことができるようになるんです」

1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

空模様は日々の洗濯やお出かけにも関わってきますから、暮らしと関連づけて考えることでより楽しくなります。近年増加している突然の大雨や、夏の時期の台風などについても普段から気にかけておくことは、防災意識の向上にもつながるでしょう。気象に関する面白いアプリもたくさんありますので、各家庭に合うものをインストールして利用するのもいいかもしれませんね。

◆夏の天気Q&A
さて、ここからは「夏の天気 Q&A」。天気予報によく出てくる言葉や、夏のお天気のさまざまな「なぜ?」について、太田さんにお答えいただきました。大人が「常識」で片づけてしまいがちなことも、子どもにとっては疑問や発見の種になりますし、実際に説明しようとすると意外と難しいことも。子どもと一緒に夏の空の「なぜ?」ついて勉強してみましょう!

Q:夏はどうして暑いの?
A:地球は太陽に対して斜めに傾いて1日1回転していて、夏と冬では太陽に照らされている時間の長さが違います。夏は太陽高度が高く、日照時間が長くなります。昼間にたくさん暖まる一方、気温の下がる夜の時間は少なく、これが繰り返されることで暑さが増していきます。また、近年昔に比べて暑さが厳しくなっていますが、これは地球温暖化やヒートアイランド現象などが要因として挙げられます。

Q:他の季節より、夏の空が青く見えるのはなぜ?
A:太陽の光は白く見えますが、これは波長の違う7色の光が重なったものです。太陽光線は大気中の空気の分子によってはじかれて散乱して人の目に入ってくるのですが、太陽が真上にあればあるほど、光が大気の層を通る距離は短くなります。目に見える光の中で一番波長が短い青色が人の目には強く見えるため、夏は空の青がより濃く見えます。

Q:天気予報でよく聞く、高気圧と低気圧って何?
A:「気圧」とは空気が地面を押す力。高気圧は周りよりも気圧が高いところをいい、気圧が低いところは低気圧といいます。高気圧と低気圧には特有の空気の流れがあります。高気圧では中心から外へ風が吹き出し、地球の自転の影響で時計回りの空気の流れになります。また、外へ向かって空気が流れると高気圧の中心には上空からの下降気流が生じ、空気が圧縮されて雲が散り「晴れ」となります。一方、低気圧では外から中心に向かって反時計回りに空気が流れ込み、行き場を失った空気は上昇気流となります。その際上昇気流によって空気中の水蒸気が上って小さな水滴が生じて雲となり、これが成長して「雨」を降らせます。

Q:もくもくの入道雲。どうして夏の雲はあんなにもくもくになるの?
A:夏の空気は湿っている上に熱せられています。その湿っていて熱せられた空気が上昇して雲ができるのですが、強い上昇気流に押し上げられ、もくもくとした大きな雲に成長します。ちなみに、入道雲やうろこ雲、雨雲など、雲にはいろいろな名前がありますが、気象の世界では雲は10種類に分類されており、入道雲は「積乱雲」といいます。
雲には高さや形によって呼び方があり、それぞれを意味する言葉を組み合わせて作られています。上層の雲には「巻」、中層の雲は「高」の字が使われます。平べったく広がった雲は「層」、もくもくとした雲は「積」、雨を降らせる雨雲は「乱」。ですから、雨を降らせるもくもくした入道雲は「積乱雲」。上層にある平べったい雲は「巻層雲」、中層にあるもくもくとした雲は「高積雲」となります。よく耳にする、いわし雲やひつじ雲などがどのような分類になるのか親子で調べたり、空にある雲がどの雲に分類されるか考えてみるのも楽しそうですね。

Q:狭い地域で大雨が降るのはなぜ? 予測できないの?
A:発達した積乱雲が強い雨を降らせるのが局地的大雨、いわゆる「ゲリラ豪雨」です。昔から言う夕立と同じですが、近年では短時間での降水量が増加しています。積乱雲は発生エリアが狭く急激に発達するため、その予測は難しいのです。現在は地上気象観測や気象レーダーでの雨の観測結果や上空方向の風の観測結果を元に、スーパーコンピュータで総合的に予測を出しており、これらの性能をあげることで予測精度を上げる研究が続けられています。

Q:台風はどうして日本に向かってくるの?
A:台風は日本のはるか南の海水温の高い海上で発生・発達します。その進路を決めるのが「太平洋高気圧」や「偏西風」。台風は、夏に太平洋上に張りだす太平洋高気圧の縁をたどるように北上し、日本列島に沿うように西から吹く偏西風に流されて東に進路を取ります。台風が日本に上陸するかどうかは、その時々の太平洋高気圧の張り出し方や偏西風の吹いている場所によって変わります。

Q:暑い夏なのに、「ひょう」が降るのはなぜ?
A:暑い夏なのに氷が降ってくるなんて不思議ですよね。「ひょう」は積乱雲の中で作られます。地面の辺りは暖かくても上空は氷点下の寒さ。上昇気流が強い積乱雲の中の小さな氷の粒は、ぶつかり合ううちにどんどん大きな塊に成長します。そのうちに上昇気流ではその重さを支えきれなくなり、重力によって地面に降ってくる…これが「ひょう」です。

Q:雨を「止ませる」ことはできないの?
A:楽しみなお出かけのときや大切なイベントのとき、できれば雨に降られたくはないですよね。「なんとかして雨を止められないの?」という気持ちはわかりますが、残念ながら、雨を止めることはできません。現在専門家の間では「できない」とされている雨を降らさない方法を、この機会に親子で考えてみるのも面白いかもしれませんね。逆に、雨を降らせる実験は行われているんですよ。雨は植物や水辺で暮らす生き物だけではなく、すべての動植物にとってはなくてはならないもの。雨のおかげでたくさんの命が育まれると考えると、「雨も悪くないな」なんて思えませんか?

Q:虹はいつ見える? 見つけやすいタイミングはある?
A:夕立の後、晴れたら太陽を背にして空を見上げると、前方で雨が降っている場合、高確率で虹が見えます。空気中の水滴に光が入って屈折し、反射したものがそれぞれの色に分解されて「虹」になります。夕立の後、一気に空が晴れてきたら太陽とは反対側の空を見上げてみてください!

夏の空はワクワクと発見がいっぱい。子どもと一緒に夏の空を見上げてみよう!

夏の天気や気象現象について、さまざまな情報や学び方、楽しみ方をお伝えしましたが、いかがでしたか。普段何気なく目にしている空も、明日から違って見えるのではないでしょうか。特に子どもは、知識と知識がつながることで視野が広がり、大きな学びを得ることができます。その入り口として気象を学ぶことは、とても有意義だと思います。まずはこの夏からスタートして、秋・冬・春の空へと興味をつながっていけたら素敵ですね。


プロフィール
港区立みなと科学館
子どもから大人まで、楽しみながら科学を学べる施設。「しぜん」「まち」「うみ」「わたし」の4つのテーマで展開する常設展示コーナーでは、身の周りにある科学を発見し、その不思議をひも解く体験ができる。その他、実験や工作が楽しめる実験室や、企画展などを開催する多目的ロビー、最新鋭の光学式投影機と4Kデジタル式プラネタリウムのハイブリットプラネタリウムが設置されたホールなどが完備されている。施設内入場無料(プラネタリウムのみ有料)。