小学校受験に真剣に取り組むならば、年中さんの夏休み終わりが大切なタイミング。まずはご家庭でのしつけから見直そう!
最終更新日:2020/08/05
小学校受験対策には1年半の期間が必要
「小学校受験には最低1年かかる」と言われています。ただし、この1年間という期間は試験対策のための学習や、面接対策のための生活習慣を身に着けるために必要な期間です。
実際に、受験をするかを決めるためには、判断材料を集めることが不可欠です。この事前準備に時間がかかるのです。たとえば、夫婦間での教育観のすり合わせ、本人の意思確認、子どもの現状把握、学校選びや受験対策のための習い事選びなどがあります。
小学校受験の対策に1年をかけるためには、半年くらい前から準備を始めておかないとスケジュールがきつくなってしまうのです。年中さんの夏休みは、親子どちらもまとまった時間をとりやすいものです。受験を視野に入れている方は、今のタイミングで準備を進めておくことがおすすめです。
受験で必ず見られる社会性とは何か?
小学校受験の科目でよくあるのが、親子そろっての面接や行動観察です。入室するときにきちんと挨拶ができているか、集団行動のときに他の子どもと協力することができているかなど、お子さんの言動は社会性を判断する評価対象となります。
小学校受験は、高校や大学受験とはちがって、学力のみで合否が決定することはほとんどありません。その代わり、お子さんがその学校でうまく学生生活を送ることができそうかといった社会性を見られています。
言葉づかいや振る舞いは、学力よりも普段の生活が表れやすいところです。付け焼刃では対応できません。
社会性はご家庭でのしつけから育まれる
面接や行動観察は、受験の準備や対策をしても、それがそのまま試験に出るとは限りません。暗記が通用しない世界なのです。だからこそ「この行動は何のためにやっているのか」を普段から子どもが理解した上で、自然と振舞えるくらい身に着けておく必要があるのです。
たとえば、面接のときだけ丁寧な言葉遣いをしようとしても難しいもの。予想外の質問をされたら、いつものくせが出てきてしまうかもしれません。そのためにも、習慣化することが大切です。
習慣化するためには、ご家庭でのしつけが肝心です。親御さんが積極的にお手本となるような言葉づかいをしたり、何か間違えたりしたらその場で教えたりすることで、子どもの言動は変わってきます。
「どうしたらいいのか」だけでなく、それを意識しなくてもできるくらい板について始めて、入試の準備ができたと言うことができます。
受験対策で欠かせない、5つのしつけ
では、受験対策では欠かせないご家庭でのしつけは、具体的にどういった点を行っていけばいいのでしょうか。今回は具体的に5点ピックアップしてみました。
①あいさつ
まずは、あいさつです。あいさつは人間関係を築いていく上で必要なことです。
あいさつといってもいろいろあります。「おはようございます」や「こんにちは」だけでなく、「さようなら」や「おやすみなさい」など。食事のときの「いただきます」や「ごちそうさま」など、区切りをつける役割もあります。
また、あいさつには「ありがとう」と「ごめんなさい」を言えるかどうかも含まれます。何かしてもらったときに感謝を伝えて、自分が迷惑をかけてしまったら謝罪することができるのは、大人になっても必要なことです。周りの人との関係性を円滑にしてくれます。
特に、「ありがとう」と「ごめんなさい」はその場の状況を理解していないと言えないものです。面接の入室時や、退出時のあいさつは決められたことをこなすだけでも乗り切れるかもしれませんが、感謝と謝罪は「どんな場面で使うのか」を実際の生活の中で学んでおかないととっさに言えません。
受験対策だけでなく、その子の幼稚園や保育園や、小学校入学後の生活を送る上でも大切なことなので、まずは家庭内で親が見本となって定着させたいものです。
②目を見て話す・聞く
次は、相手の目を見て話す・聞くことです。いくら言葉遣いが丁寧でも、目が合わないとどこか心象が悪いものです。面接などの試験中は、発言内容だけでなく視線や行動も社会性を表す材料として見られています。
そのため、自分が話をするとき、相手の聞くときには、目を見るということを習慣づけておくことが大切です。
もし、お子さんが引っ込み思案でなかなか相手の目を見ることができない場合は、ご家庭の中でパパやママを相手に練習をしてみることもおすすめです。最初は慣れている人を相手にできるようになっていってから、徐々にお友達、先生、近所の人と対象を広げていってみてください。
お子さんに「目を見て話す」ことを教えるのであれば、ママやパパも大切な話をするときは、手をとめて体ごと向き合い、目を合わせてから話すように心がけると、子どもにも伝わりやすいです。
③言葉づかい
次は言葉づかいです。小さな子どもは、そもそも使える語彙がとても少ないので、敬語を使いこなすことはむずかしいでしょう。まずは、なるべく日常会話の中でも丁寧な言葉づかいを覚えていくことから始めてはいかがでしょうか。
例えば、「ママ、水!」ではなく「ママ、お水を入れてください。」といったようにお願いするだけでもちがいます。「誰が」「何を」「どうやって」などを意識して、自分の考えや意思を伝えられるように教えていきましょう。
返事も「うん」ではなく「はい」と答えるなどの言葉づかいは覚えておきたいものです。子どもはママやパパのしゃべり方をよく知っていて、真似をします。お子さんに丁寧な言葉遣いを身に着けて欲しいのであれば、普段の日常会話から意識しておく必要があります。
④時間を守る
次は時間を守ることです。まず、時計の読み方を教えて、時間という概念を知ることから始めてみてください。
まずは、「短い針が3になったら、おやつだよ。」など、子どもの好きなことの時間を教えてあげると子どもも時計を見るのが楽しみになります。予告して、実際の時間になったら伝えることで、時間を意識して行動できるようになります。
最初からアナログ時計を読むのがむずかしいお子さんは、デジタル時計から始めて徐々に移行していく方法もあります。アナログ時計を覚える場合は会話をする中で確認していけば、自然と覚えられるようになります。
小学校受験でも、試験は制限時間が設けられていることがほとんどです。時計を読めるようになったら、残り時間を逆算をして考えられるように練習をしていくと試験対策にもなります。
⑤マナーを守る
次は、マナーです。マナーは主に二種類あり、食事のマナーなどの礼儀を型として覚えることと、交通ルールなどの公共の場所での振る舞い方を学ぶことがあります。
食事などの生活習慣は、一度くせがつくとなかなか改善させるのはむずかしいものです。完璧にできないとしても、少しずつ教えてあげてください。子どもにお弁当を食べさせて、その様子を観察する試験を取り入れている学校もあります。
また、交通ルールのマナーも必要です。試験とは直接的に関係はありませんが、交通ルールは子どもの身の安全を守る上でも大切なことです。身近な危険を避ける意味でも教えていきたいものです。
食事、交通ルール、どんなマナーにも型があります。周りの人と一緒に暮らしていく上で、お互いが気持ちよく過ごせるための先人の工夫です。マナーを学ぶことは、受験のためだけでなく「社会でどう振る舞えばいいのか」を知ることにつながります。
受験対策ではなくても、子育てにおいて大事なこと
今回ご紹介した5つのしつけは、小学校受験の面接や行動観察で評価対象となっている社会性にまつわるものです。
5つを見ていくと、どれも基本的な生活習慣です。小学校受験をしないご家庭でも教えておきたいものばかりです。子どもに限らず、集団の中で生きていくためには相手のことを考える必要があります。
相手と共に生きていくために必要なことがよく表れているのが、この5点なのです。細かく暗記しようとしたら膨大な量に思えるかもしれませんが、これらはどれも「どうやったら、周りの人一緒に気持ちよく過ごせるのか」です。
大人も子どもも、家族の中だとついつい「身内だから」と気が緩んでしまいがちです。ただ、家族も他人なことに変わりはありません。一つ屋根の下で暮らしていくためには、お互いマナーを守ったり、言動に気をつけたりしていく必要があります。
相手を一人の人として尊重していけば、自然と振る舞いも変わってくるのではないでしょうか。習慣として身についたことが、結果として受験で功を制すと思っておいた方がいいのかもしれません。
まとめ
今回は、小学校受験に真剣に取り組むために年中さんの夏休みから取り組みたい家庭でのしつけについてお伝えしました。
小学校受験をすると決めたご家庭は、合格に向けて準備をしていく必要があります。お子さんにどんな風に成長して欲しいと願うのか、お子さん自身はどう考えているのか。一致団結して取り組む必要があります。
今回お伝えした家庭で取り組みたい5つのしつけは、どれもが毎日の生活に根ざしたものです。「小学校受験に関わらず大切なことで、できて当たり前」と感じるかもしれませんが、毎日の習慣を変えるのは、地道な上に大変な作業です。
協力して小学校を受験を乗り切るためには、まずご家庭内で方針をすり合わせる必要があります。子どもの人生ですが、親のサポートも不可欠です。小学校受験は、家族全体で取り組むべき大きなプロジェクトと呼ぶこともできます。
お子さんの将来に向けて何をするのか。夏休みに一度ご家庭内で話し合ってみてはいかがでしょうか。