子どもの苦手意識を克服するためのかかわり方の工夫。自主性を育てよう。
最終更新日:2020/09/07
苦手意識は良いこと?悪いこと?
誰にでも苦手なものってありますよね。人間ですから得手、不得手があるのは当たり前です。ただし、中には「食わず嫌い」のようなものもあるのではないでしょうか。子どものうちから、何かの可能性をバッサリ切り捨ててしまのは少々もったいないです。
自分を客観的に見ることができているという点ではいいのではないかという意見もあると思います。
しかし、多くの研究で、「自分は〇〇が得意だ」、または「自分は〇〇は苦手だ」と思っていても、実際に能力を測ってみたら、多くの人が思い込みや勘違いをしていて、主観というものは当てにならないということがわかっています。子どもなら、よりいっそう自分の能力を推し量ることはできないでしょう。
ただし、この話には続きがあり、「自分は苦手だ」と思っている人と比べて、「得意だ」と思っている人は、粘り強く考えたり、粘り強く挑戦したりする傾向が高かったのです。
人生において、粘り強く取り組む能力は、最も大事という意見もあるくらいです。「できることであれば、子どもにはあまり苦手意識を持ってほしくない」という親御さんがほとんどではないでしょうか。
ママやパパは得意なことより苦手なことに目がいきがち
自分の能力がどれくらいなのか推し量れない子どもたちにとって、ママやパパの反応が自分の能力を量るための1つの指標になっています。つまりは、ママやパパの態度次第で子どもは苦手意識を持ってしまう可能性もあるのです。
特に、ママやパパは、子どもが心配なあまり、子どもが何かが出来たということよりも、出来なったということに目がいきがちではないでしょうか。
子どもたちは、ママやパパの反応をよく見ています。子どもができなかったときに、少しでもイライラした様子や、ガッカリした様子を見て、「自分はこれはできないんだな」などと思い込み、そのことに対してネガティブなイメージがついてしまいます。
人間はネガティブなものは避けてしまうもの。苦手意識がついたものは挑戦したくなくなってしまい、さらに出来なくなるという悪循環を生んでしまいます。
子どもの苦手意識を克服するためのかかわり方
苦手意識は思い込みや勘違いであり、持っていることで粘り強く取り組むことができなくなるとお伝えしてきました。では、ここからは苦手意識を克服するために、ママやパパにできるかかわり方についてお伝えしていきます。
①能力ではなく努力を評価する
まずは、能力ではなく努力を評価することです。
出来た、出来なかったにかかわらず、能力だけを評価してしまうと、子どもは「自分の能力、才能は決まっていて、変えられない」という考え方になってしまいます。これが苦手意識の原因になってしまうのです。
この考え方によって、自分の能力がどれくらいか不安になり、「どうしたら自分に能力あるように見えるだろう」といった思いから、「苦手なこと」から避けるようになってしまうのです。
ある実験では、「頭がいいね」と知性を褒められた子どもは、努力を褒められた子どもに比べて、勉強へのモチベーションが下がってしまい、いったんテストで失敗すると、努力の量も減ってしまい、粘り強く取り組むことも減ってしまったというものもあります。失敗はたまたまかもしれないのに、「これは苦手だ」というレッテルを貼ってしまうのです。
反対に、努力を評価された子どもは、「自分の能力は努力やテクニックなどで伸ばすことができる!」という考え方を持ちます。
そのため、なんでもチャレンジしようとしますし、困難にも柔軟に対応できます。たとえチャレンジに失敗したとしても、自分自身に才能や能力がないと考えるのではなく、「努力が足りなかったのかもしれない」と考えるようになります。
②結果だけではなくやり方を評価する
次に、結果だけではなく、やり方を評価することです。
うまく出来たとき、または出来なかったとき、結果だけを評価するだけでなく、「このやり方がいい結果につながったね!」、「このやり方が悪かったのかな?」と評価してあげましょう。
努力を評価することと同様、やり方、戦略を評価してあげることで、たとえ良い結果を出せなくても、「失敗の原因≠自分自身」という考えるクセがつくのです。
この考えグセで、挑戦することへのハードルが低くなり、子どもは失敗を1つのプロセスと感じるようになります。そして、粘り強く取り組むようになるでしょう。
また、結果ではなく努力だけを褒めることが、苦手意識を克服する方法とは言えません。やり方、戦略も褒めることで、正しい努力ができ、いい結果を導けるようになり、苦手意識が克服できるのです。
③「苦手なこと」があってもいいと伝える
次に、「苦手なこと」があってもいいと伝えることです。
前述したように、苦手意識というのは思い込みのことが多いです。実際にやってみたらできてしまったなんてことはよくあることです。しかし、苦手意識、特に「自分の能力は変えられないんだ」という考えを持ってしまった子どもにとって、その挑戦するまでが、とても怖く、苦労することなのです。
ママやパパに「苦手なことがあってもいいんだよ」と教えてもらうことで、「挑戦してみて、たとえできなくてもいいんだ」、「ありのままの自分を受け入れてもらえた」と子どもは考えます。
たとえ失敗したとしても、自分を否定されることがないとわかり、安心することができますよね。苦手意識を持っていたことでも、「挑戦してみよう!」、「努力してみよう!」という気持ちが湧いてきます。
④「得意なこと」をさせてから取り組ませる
そして、「得意なこと」をさせてから取り組ませることです。
たとえ苦手意識が思い込みであったとしても、子どもに苦手なことに急に挑戦してみろというのは、足がつかないプールに飛び込んでみろというようなもの。まずは足がつくところから少しずつ練習をしてみましょう。
では、どうするかというと、「苦手なこと」の中にも、「比較的、得意なこと」はあるはずです。例えば、机にずっと座っていることに苦手意識を持っている子でも、お絵かきだったらずっと座っていられるというようなことです。
まずは、そのような「得意なこと」に取り組ませて、うまく出来たら前述したように努力とやり方を褒め、自信を持たせます。すると、近場の「苦手なこと」も同じように取り組んでみればいいことを学び、苦手という思い込みや「自分の能力は伸びない」という考えは消えるのです。
苦手なことを乗り越えられたら、それは得意なこと、好きなことに
「自分はできないんだ」、「苦手なんだ」と思い込んでいたことも、粘り強く頑張ってみたり、やり方を変えてもみたら、自分でも思ってた以上にできたなんてことがあります。
すると、「次はもうちょっと頑張ってみよう」、「もうちょっとやり方を変えてみよう」と考えて、試すということが楽しくなり、自分から進んで取り組むようになるでしょう。
そうなると、いい結果を出せるようになり、「苦手なこと」は得意なことに。そして、「苦手なこと」を克服できた嬉しさや、そのことを考えることの楽しさから、好きなことにもなっていくかもしれません。
また、子どもは考えて試すという楽しさに気づくとともに、「やればできるんだ」という自己効力感が芽生えます。他の苦手意識を持ったことにも挑戦しようという姿勢にもつながっていくのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。子どもの苦手意識を克服するためのかかわりかたの工夫についでした。
すべての苦手意識を克服しなければいけないわけではありません。それでも、小さいうちから「これは無理」と決めつけてしまうのはもったいないです。最初は思い込みだとしても、まったく挑戦しなければ、本当にできないままです。
子どもの苦手意識を克服するためには、「自分はこれは苦手で、変えられないんだ」という考えから、いかに「自分の努力ややり方次第では、苦手を得意に変えられるんだ」という考えに持っていくかがカギになります。
子どもが考え方を切り替えられるかどうかは、ママやパパの関わり方次第です。どうやったら、お子さんの可能性を広げてあげられるかを考えて、参考にしてみてはいかがでしょうか。