保護者が選ぶ通わせたい学童No.1に選ばれました!
お問い合わせ:045-543-3331(本部)
受付時間:10時〜19時(日・祝は除く)

アデック(Adecc)のコラム一覧

楽しく遊んで考える力もアップ!家族や友だちと楽しめるボードゲーム

公開日:2023/11/11
最終更新日:2023/11/11

次第に日が短くなり、家族とおうちで過ごす時間も増えてくるこの季節。室内で楽しめる遊びはいろいろありますが、近年人気が高まっているのが「ボードゲーム」です。最近は玩具店のみならず、家電量販店や書店でも、ボードゲームコーナーがあるほどの人気ぶり。みんなで遊んで楽しいのはもちろんですが、実はその教育効果にも注目が集まっているのだとか。
今回はそんなボードゲームの魅力について、日本ボードゲーム教育協会より、『サイコロ塾』を運営されている財津康輔さん、『ボードゲーム教室1098』を運営されている坪内康将さん、『いよだ塾』塾長の伊與田一成さんのお三方にお話を伺いました。


◆楽しく遊んで教育効果も!「ボードゲーム」の魅力とは
ボードゲームとは、電源を用いないゲーム全般のことを指す言葉。その種類は様々で、将棋やオセロのような盤面上で駒を動かしたり獲りあったりするゲームもあれば、すごろくのように駒を進めていくものなど、ちょっと思いつくだけでも様々な形態や遊び方のゲームがあります。さらに、カルタやトランプといったカードゲームもボードゲームの仲間といえます。

楽しく遊んで考える力もアップ!家族や友だちと楽しめるボードゲーム

デジタルゲームが普及した現在でも、その手軽さや奥深さに魅了される人は多く、「おうち時間」の増えた近年の新型コロナ禍もあいまって、その注目度と人気は高まりをみせています。新しいボードゲームも日々生まれ続けており、戦略性を重視したもの、コミュニケーションを生み出すもの、独自の世界観のあるものや「勝ち負け」の概念がないものなど、幅広い世代で様々な楽しみ方ができるゲームが存在します。

また、単純な「遊び」として楽しめる一方、「考えながら進めること」が欠かせないのもボードゲームの魅力。勝つうえで思考力やゲームに関する高い知識、駆け引きが求められるものも多く、ゲーム通じて論理的思考力・創造性・コミュニケーション力といったさまざまな能力を磨くことができると言います。

さらに自己肯定感・粘りづよさ・主体性・自律性・積極性もボードゲームを通じて育むことができるとされており、近年、教育現場でもボードゲームの効果への注目は高まりを見せているのだとか。今回お話を伺ったお三方もそれぞれ、実際にボードゲームを教育の現場にも取り入れています。

1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

◆教育の場でも広がるボードゲーム
それでは実際、ボードゲームにはどのような教育的な効果があるのでしょう。『ボードゲーム教室1098』の坪内さんは、ボードゲームを通じて「苦手を得意にできる可能性がある」と言います。

「いわゆる『勉強』が苦手でもボードゲームは強いという子や、その逆の子もいます。ゲームに負けてしまう子をよく見てみると、繰り返しやらないとルールやそれを活かした勝ち筋が見えてこない子だったり、語彙力が不足していたりと、『なぜ弱いか』が見えてきます」(坪内さん)

たとえば算数や数学は得意でも暗記系の教科が苦手といった生徒には、「覚えること」が勝ち負けを決める要因となるボードゲームを勧めることもあるのだとか。得意・不得意(個性)を見極め、それに合ったボードゲーム取り組むことで、苦手を得意にできることもあると坪内さんは言います。

また、ボードゲームには困難なことや課題を解決していくものも多く、課題解決力も養うことも可能なのだそう。

「簡単には解決できないもどかしさやジレンマをゲームのなかで実感しながら、自分の思考力でクリアしていくことは、これからの社会を生き抜いていくために必要な課題解決力を養うベースにもなります。ボードゲームはゲームごとに味があります。『知的なご飯』のように捉えながら楽しめるものだと思います」(坪内さん)

また、ゲームのフレーバー(背景)に触れることで様々な世界に触れることができると語るのは『いよだ塾』塾長の伊與田さん。

「ゲームそのものを楽しむだけでなく、例えば『貴族』や『国王』が登場したり、『権力者争い』や『後継者争い』といった背景を楽しめるのもボードゲームの魅力です。いわゆる『お堅い』世界観でも、ゲームであればスッと入っていくことができますし、普段学校では触れられないような世界に触れることは、その子自身の世界観や興味を広げることにも繋がります」(伊與田さん)

実際に玩具店などでボードゲームの棚を見てみると、様々な時代や地域、職業やシチュエーションを題材にしたゲームがあり、多種多様な「世界観」であふれかえっていることに気づくはず。ゲームを通じてさまざまな「世界」や「人」や「モノ」があることを知れるのもまた、ボードゲームの大きな魅力のひとつといえます。

◆子どもが楽しめる!おすすめのボードゲームをご紹介
では実際、ボードゲームは何歳ぐらいから楽しめるものなのでしょう。『サイコロ塾』の財津さんによると、ボードゲームは早ければ2歳・3歳ごろからでも楽しむことができるのだそう。

「ボードゲームは本当に種類が豊富で、未就学児が遊べるものから、小中学生、高校生以降、大人が競い合えるものなどさまざまです。ゲームとして楽しみながら、自然に決まりごとや思考力、コミュニケーション力が身につくものも多いんですよ。あまり堅苦しく考える必要はありませんが、それぞれのボードゲームで養われる力を知っておくと、より興味深くゲームを楽しむことができるのではないでしょうか」(財津さん)

様々な種類があるからこそ、小さな子どもでも楽しめるゲームが見つかるんですね。そこで今度はお3方に、小さな子どもでも楽しめる、おすすめのボードゲームを教えていただきました!

●はじめてのゲーム・果樹園(対象年齢2歳~)
自分の順番がきたらサイコロを振り、出た色と同じ色の果物をひとつ収穫します。カラスの目が出るとカラスがどんどん果樹園に近づいてくるので、果物をカラスに横取りされないよう、みんなで協力して果物を収穫していきます。

「プレイヤー同士の勝ち負けがなく、ルールも単純なので、子どもと遊ぶファーストゲームとしてもおすすめです。小さな子どもはまだ手番(自分の番)の概念がありませんが、順番というルールがあることや、協力することで、親子や友達どうしの関係性づくりの基礎も学ぶことができます」(伊與田さん)

●わたしはだあれ?(対象年齢3歳~)
動物とその衣装を着た子どもが対になったイラストカードを用い、お題となるカードの動物を質問して当てていくゲーム。「耳はどんな形ですか」「しっぽは長いですか」「どんな色ですか」など質問を考えながら、どんな動物が描かれているかを当てていきます。
質問することが難しい年齢の子どもなら、動物の絵と、動物の着ぐるみを着た子どもの絵を合わせる「絵合わせ」カードとしても楽しめます。

「どんな質問をすれば当てやすいかを考えながら質問できますし、質問された側も、絵札の動物をよく観察して答えるので、どちら側の立場にたっても、柔軟な思考力や観察力が身につけられるゲームです」(財津さん)。

●雲の上のユニコーン(対象年齢3歳~)
出たサイコロの目に合わせて、ユニコーンが雲の上を進みながらゴールを目指します。みんながゴールした後、ゲットしたクリスタルを数え、一番多く集めた人が勝ち。おやつ休憩や近道、クリスタルをプレゼントするなど、楽しいしかけがたくさんあります。

「カラフルな色彩も魅力の『映える』ゲームです。進行上、自分のクリスタルを相手に渡す場面がありますが、『ペナルティ』として自分のものが『減る』のではなく、『プレゼント』として相手に『あげる』という捉え方をする優しい世界観も魅力的です。サイコロの目にあわせた数だけ進むので、数字の概念も身につきます」(坪内さん)

◆家族でボードゲームを楽しむための注意点は?
手軽に楽しめて教育的な効果もあるボードゲーム。ぜひ子どもと一緒に遊んでみてほしいですが、親子でボードゲームをするうえで気になる点も。たとえば、子どもを相手にした際、時にはわざと負けたり手加減をするほうがよいのでしょうか?

「まず、子どもの遊びという感覚ではなく、大人も本気でやることが大事です。たとえば未就学児でも楽しめるボードゲームは、ルールもがとても単純ですが、実際にやってみると、大人も一生懸命考えながら進めていかなくてはならないゲームも多々あるんですよ。大人が本気で取り組んで失敗したり負けたりする姿を見せること、そのうえで、その『負け』が現実的にリスクを生むものではないと子どもに理解させることも大切な学びです。大人も子どもも好奇心を大切にゲームを楽しんでほしいですね」(財津さん)

また、子どもが興味を示さない場合、ゲームを無理に続けないことも大切と財津さんは言います。

「子どもが興味を示さなければ、まだそのゲームを始める時期ではないということです。また、やり始めてもすぐに飽きてしまうようなら、無理に続けずにさっと切り上げましょう。ボードゲームの魅力やメリットを伝えると、早くやって子どもの知的好奇心を伸ばさなければ!と考える親御さんもいらっしゃいますが、ゲームの楽しさ以外のメリットばかりを追求してしまうと、おもしろさが半減してしまいます」(財津さん)

さらに、ゲームにつきものなのが、勝ち負けが気になって相手を蹴落とそうとしたり、負けた人を傷つけてしまうといったトラブル。ゲームで遊ぶ際のふるまいについて、子どもたちにはどのように教えるべきでしょうか?

「子どもたちには『もう1回この人と遊びたいと思えるようなプレーをしてください』と繰り返し伝えています。勝ち負けがあると、どうしても勝ちたいと思いますし、負けると悔しい気持ちになるでしょう。でもゲームを通してさまざまな経験をすることで、人を思いやる気持ちも養っていけたら、と考えています」(財津さん)

多くのゲームにははっきりとした勝ち負けがあります。だからこそ、お互いが気持ちよくプレーするために「相手を思いやる気持ち」は欠かせません。ゲームを繰り返し、そして長く楽しむために必要な「思いやり」も、ゲームを通じて育める、社会で欠かせない能力のひとつと言えるのではないでしょうか。

楽しく遊んで考える力もアップ!家族や友だちと楽しめるボードゲーム

とても身近で、魅力や楽しみがぎっしり詰まったボードゲーム。色や形、触感のある駒やカードを使い、盤面を囲み、お互いの視線や息遣いを感じながらプレーする。そんな「生の」体験が、子どもの様々な「ちから」を育んでくれるのかもしれませんね。
でも、まず大切なのはゲームは「楽しむ」ためのものであるということ。難しく考えすぎず、直感的に「おもしろそう!」と思ったものを購入してみるのもいいかもしれません。お気に入りのゲームを見つけて、ぜひ家族で楽しんでみましょう!


プロフィール
日本ボードゲーム教育協会
教育の場においてボードゲームの活用をすすめている団体・個人を支援することを通じて、ボードゲームを通して、人々に豊かな学びや感性を提供することを目的としています。自治体や児童クラブでの勉強会、大学、ワークショップなどでのセミナーや講演を通して、ボードゲームの魅力を伝えています。