ワクワク・ドキドキ!発見いっぱい!おすすめ、動物園の楽しみ方
最終更新日:2023/09/16
子どもも大人も楽しめるお出かけ先の定番、動物園。図鑑や写真、映像でおなじみの動物たちを間近で見ると、その迫力やかわいさにワクワク!家族みんなで出かけるだけでも楽しい動物園ですが、せっかくなら子どもの学びにもつなげられるといいですよね。
そこで今回は、「動物のプロ」である株式会社アニマルライフ・ソリューションズの北川健史さんに、動物園を楽しみながら学びにつなげるポイントや、おすすめの楽しみ方などを伺いました。
暑さも和らぎ過ごしやすくなる秋のお出かけの参考にしてみてください!
◆動物園で得られる学びとは?
動物園には、「種の保存」「教育・環境教育」「調査・研究」「レクリエーション」という4つの社会的役割があるとされています。中でも教育には、理科や生活など科学的な教育、環境について考えたり社会について考えたりする総合学習的な教育、そして道徳的な教育の3つの分野があると北川さんは言います。
「動物の体のしくみを通して科学的な学びを得たり、それぞれの生息域について知ることが環境問題につながったりと、普段の生活では見ることのない世界に触れることで視野が広がります。動物との関わり方を考えるきっかけにもなりますし、観察力も身につきますよ」
絵や映像などで見ていた動物を実際に自分の目で見ることはとても刺激的。大きさや質感、動く様子や鳴き声、におい……本物を目の前にしたときの感動は唯一無二。想像と実物の差に驚いたり感動したり、かけがえない経験となるでしょう。
◆たくさんの動物園がある日本。その特徴もさまざま!
世界の国々と比較して日本にはたくさんの動物園があり、100園近くの動物園が存在しています。それぞれの施設にさまざまな特徴がありますが、その中でもあまり動物に興味がない子どもでも楽しみやすい動物園をご紹介します。
<サファリパーク>
動物が暮らすエリアに車で入っていくのがサファリパークの特徴。一番の魅力は、なんといっても冒険心がくすぐられるところ!探検気分でワクワクしながら自分たちのペースで動物たちの姿を観察できるのがポイントです。
<ふれあい動物園・こども動物園>
動物が好きな子なら、喜んで参加するのがふれあいの場。実際に動物に触れることで、動物との距離感やかかわり方、動物を思いやる心も養われます。また、動物に興味がなかったり、苦手だったりする子のきっかけづくりにもおすすめです。
◆ さまざまな展示の種類とその魅力
また、動物の展示の仕方にも様々な種類があります。代表的な展示方法について、その特徴や目的、魅力を伺いました。
<生息環境展示>
ジャングルや砂地、水辺、木の上など、それぞれの動物の生息地を再現した展示方法。動物とその生息環境を同時に見ると、「こういう場所に住んでいるから、こんな特徴を持っているんだ」などと、動物の生態への理解が深まります。またこの展示は、動物にとってもストレスが少なく優しい展示方法。時には動物を見つけるのが難しいという面もありますが、だからこそどこにいるのか探したり、なぜそこにいるのかを考えたりするのも楽しい展示方法です。
<行動展示>
動物の特徴や能力が良く分かるよう、その行動を引き出す工夫がされている展示方法。動物たちの動く瞬間を見ることができ、観察しやすいのが魅力です。行動レパートリーを増やすことから、動物のストレス軽減にもつながります。自然な行動から「その動物らしさ」をしっかり楽しめるので、子どもたちも夢中になるでしょう。
◆動物園をより楽しむためにしっかりとした準備を!
せっかく足を運ぶのですから、思いっきり楽しみたいですよね。そこで今度はどんな準備をして動物園を訪れればよいか伺いました。
<事前準備>
・見たい動物がいる動物園を選ぶ
行く動物園を決めてから見たい動物を探すのではなく、見たい動物がいる動物園を選ぶようにします。興味関心を持っている動物に会いに行くほうが、子どものモチベーションも上がるはず。なるべく見たい動物が見られる動物園・施設を探しましょう。
・イベントやガイドなどの開催日時を確認しておく
イベントやガイドは学びにつながるように作られていることが多く、ガイドを聞いているだけでも勉強になります。エサやりなど普段とは違う動物の様子を見ることもできておすすめ!行き当たりばったりで行動してしまうと、お目当てのイベントやガイドなどを逃すこともあるので、計画的に!
・あらかじめ図鑑などで調べておく
「写真で見て想像していたサイズよりも、本物のほうがずっと大きい!」なんて思った経験、ありませんか?その動物について全く知らずに見るのと、ある程度知識があって見るのでは感動が違います。お目当ての動物について図鑑やネットなどで事前に調べておくと、楽しさや感動が何倍にもなりますよ!
<持ち物>
・双眼鏡やズーム機能があるカメラ
ぜひ用意してほしいのが双眼鏡。動物が遠くにいても細部まで見ることができます。ズームできるカメラで確認するのもいいですね。ただ見るだけでなく「探す・見つける」という感覚が加わることで、より楽しむこともできそう。動物園によってはレンタルをしている場合もあるそうなので事前に確認しておきましょう。
・メモできるもの
気づいたことをメモしたり、飼育員の人の話を書き込んだりできるよう、筆記用具やスマホのメモ機能などの準備を。
・歩きやすいスタイル
屋外の広い敷地を歩き回る動物園。思いのほか疲れやすいので、歩きやすい服装・靴で出かけましょう。イメージとしては、ハイキングに出かけるくらいの服装がおすすめです。
・暑さ・寒さ対策
当日の気候に合わせて、暑さや寒さをしのげる工夫を。楽しく過ごせるよう、便利なお出かけグッズなどを利用しましょう。
・ガイドブック・パンフレット
入園後、売店でガイドブックを購入したり、パンフレットを入手したりしてから回るのもおすすめです。その動物園にいる動物について詳しく書かれていますので、有効に活用できます。
◆動物園へのお出かけで親が心がけるべきこととは?
子どもが動物園を思い切り楽しむために、親が心がけるべきことは何かあるのでしょうか?
「動物園では『元をとる』という考えは持たないことが大切。スタンプラリーのように、無理にすべての動物を見なければならないというものでもありません。たとえば、子どもが『今日はゾウを見たい』というのであれば、1日ゾウだけを見る、ということでもよいと思います」
「せっかく動物園に来たんだから、すべての動物を見て回らなければ……」などと思うと、子どもがせっかく動物に見入っていても、「早くしなさい」「時間がないから次に行くよ」などと急かしてしまいがち。大人の都合で子どもがじっくり観察する機会を奪わないようにしましょう。
もう一つ大切なのは、大人の主観による発言をしないこと。「気持ち悪い」「臭い」「汚い」などマイナスイメージにつながる言葉を親の口から聴くと、子どもは強い先入観や思い込みにとらわれてしまいます。
また、親が動物についての知識を持っているとついつい子どもに説明してしまいがちですが、子ども自身が考えたり想像したりできるよう、先回りした説明は避けたほうがよいでしょう。「知らないこと、わからないこと」についてあれこれ考えをめぐらせられるのは「知らない時」だからこそできること。子どもに知識を教えることは、親としてもちろん大事なことですが、好奇心を満たし、観察し、考える力を養う時間をつくってあげることも同じくらい大切です。
◆ココに注目! 定番動物のみどころ
動物園を楽しむための準備が整ったら、いざ動物園へ!比較的多くの動物園にいる動物について、具体的な「みどころ」を教えて頂きました。
・ゾウ
ゾウと言えば特徴的なのはやっぱり「鼻」。ゾウの鼻は水を10リットルくらいためられるそう。実際に10リットルの水を用意し、その量や重さを感じてみると、ゾウの鼻のすごさがわかりやすいかも。一方で鼻先はとても器用で、小さいものをつまんだり、果物を巻きこんで口に運んだり使い方は色々。また、「ずしんずしん」と歩くイメージのゾウですが、実際には足裏がパットのようになっており、足音はほとんどしないそう。足裏で超低周波を感じ取り、遠くの仲間とコミュニケーションを取っているという説もあります。
・キリン
ぜひ舌を見てみてください。葉をからめとって食べるキリンの舌は、耳の穴をなめることができるくらい長く、しかも紫色。また、めったに見ることはできないのですが、水を飲むときは長い足を大きく開脚した独特の姿勢をとります。タイミングよく見られたらラッキーかも!
・ライオン
夜行性でお昼は寝ていることが多いライオン。動いているところを見たいなら、ガイドの時間か開園直後・閉園間際がおすすめです。普段隠れている爪はとても大きく、展示場所にある木などに残る爪とぎの跡を見れば、そのパワーが分かります。また、ネコ科の動物は舌がざらざらしていてやすりのようになっています。これは骨についた肉を削ぎ取って食べるためだと言われています。餌を食べている時は鋭いキバだけでなく、舌にも要注目!
・トラ
ネコ科の動物としては珍しく、「水が好き」で泳ぎも得意なトラ。よくトラの展示場所に水場があるのはそのためです。また耳の後ろには、野生のネコ科にだけ見られる「虎耳状斑(こじじょうはん)」という白い模様が。これは子どもや仲間が後ろをついてくるときの目印や、威嚇のためなどと言われているそう。どんな模様か動物園で確かめてみましょう!
・ゴリラ
ゴツゴツとした見た目とうらはらに、可愛らしいしぐさや、人間味にあふれた愛嬌ある姿も魅力的なゴリラ。群れで行動するゴリラは、個体間の違いを見るのが面白い動物です。群れのリーダーは、シルバーバックといって背中の毛が白くなるそうなので、リーダー探しをしてみるのも楽しいかも!
涼しくなってくる秋は、夏よりも動物たちが活動的になります。とくに日本の動物は、春や秋などの過ごしやすい時期により活発に動き出すのでおすすめです。冬ごもりが始まる前のひととき、動物ごとにいろいろな変化があるようなので、事前に調べて出かけてみると面白いかもしれません。
科学的好奇心や道徳心など、さまざまな面で学びの多い動物園ですが、同じ動物を見て驚いたり歓声をあげたり、家族間のコミュニケーションが取れるのも大きな魅力。「学び」という点だけに注力しすぎず、家族みんなで楽しい時間を過ごしてくださいね!
プロフィール
北川 健史さん
麻布大学で動物人間関係学を学び、馬が子どもの発達に与える影響について研究。大学院(修士)卒業後、株式会社アニマルライフ・ソリューションズに勤務し、動物園の馬と小動物のふれあい広場の運営に携わりながら、学校等での講師や動物のトレーナーとしても活躍中。