保護者が選ぶ通わせたい学童No.1に選ばれました!
お問い合わせ:045-543-3331
受付時間:10時〜19時

アデック(Adecc)のコラム一覧

紙一枚で広がる創造の世界! 折り紙で養われる子どもの能力とは?

公開日:2024/03/19
最終更新日:2024/03/18

子どもはもちろん、大人もなじみのある「折り紙」。一枚の紙からいろいろなものが作れる折り紙は、手軽で楽しいモノづくりであり、遊び道具です。折るだけでなく、切ったり貼ったりしながら工作を楽しむこともできるので、子どもの発想次第で可能性が無限に広がります。手に入りやすく身近な折紙ですが、折り紙に取り組むことで育まれる子どもの能力や、きれいに折るコツなど、知りたいことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、30年以上にわたって子どもたちへの折紙指導を続ける日本折紙協会認定折紙講師で、保育士の資格も持つ宮本眞理子さんに、気になる折紙のあれこれを伺いました。


◆日本の折紙にはどんな特徴がある?
一枚の紙を折ることで、さまざまな変化を楽しめるのが折り紙の魅力。手軽に楽しめる遊びとして、誰でも一度は触れたことがあるのではないでしょうか。

折り紙は日本独自のものだと思っている人もいるかもしれませんが、実は折り紙は古くから世界で楽しまれていたのだそう。「折り紙は日本のもの」という意識を変えて世界に目を向けてみると視野も広がりますし、改めて日本の折り紙の「良さ」にも気づけるかもしれませんね。

では日本の折り紙にはどんな特徴があるのでしょうか。その起源をたどると、ヨーロッパの折り紙はナプキン折りから発展したのに対して、日本の折り紙は和紙から発展したものと考えられ、それが日本の折り紙ならではの特徴に繋がっていると宮本さんは言います。

「日本の折り紙には和紙ならではの特徴が見て取れます。和紙は、薄くて丈夫で切っても割けてしまうことがありません。ですから、切ったり、貼ったり、息を吹き込んでふくらませたりと、さまざまな手法を使って造形を楽しむことができるんです」

最近では一枚の紙を折るだけで難しい造形を作り上げることが注目されていて、切り貼りすることを“邪道”だという声もあります。ですが、和紙から発展したという歴史を持つ日本の折り紙だからこそ、加工することでさまざまな形を表現できる「柔軟性」や、遊び方の「発展性」があることが大きな特長だと宮本さんは言います。

「これまで日本人がしてきた数々の発見や発明も、この柔軟性と無関係ではないと思います。ですから日本の折り紙ならではの柔軟性や発展性を大切に、折り紙で遊んでほしいと思います」

また、「折り紙」の技術や考え方は工学の分野でも活用されているのだそう。山折りと谷折りの組み合わせで、平面を立体にできる折り紙の考え方をベースに提唱された研究領域は、「折紙工学」と呼ばれ、私たちの身近にある様々なものに取り入れられています。

例えば車のエアバッグは折りたたんで収納され、いざという時にさっと開くようにできていますし、ペットボトルも山折り谷折りをつけることで強度を増しているものがあります。中でも有名なのが「ミウラ折り」。コンパクトに折りたためて、左右にひくだけで大きく広がるので、地図、商品カタログ、レジャーシートをはじめ、宇宙実験にも使われているんですよ。


◆折紙で育まれる子どもの能力とは?
近年、海外では折り紙がさまざまな能力開発に有効だという認知が広がりつつあり、韓国では折り紙の国家資格があるほどなのだとか。

折り紙はいったい、子どものどんな能力を伸ばしてくれるのでしょうか。保育園や幼稚園、小学校などで、長年多くの子どもに折り紙を教えてきた宮本さんに伺うと、実際、折り紙で子どもたちのさまざまな能力が養われていると感じているそうです。

<色彩感覚が育まれる>
たくさんの色の中から好きな色の折紙を選ぶことで、自然と色彩感覚が身につきます。

<工夫する力や創造性が高まる>
一枚の紙を自分の思い描く形にするために工夫したり、何かに見立てて作品にしたりと、創意工夫して楽しむようになります。

<コミュニケーション力や相手を思いやる心が育つ>
みんなで一緒に折り紙をしたときに、困っている友達がいれば手伝ってあげたり、相手が終わるまで待ってあげたりと、折り紙を通してコミュニケーション力が養われ思いやりの心が芽生えます。

1枚の紙から様々な形を作りだす「折り紙」ですが、折り紙遊びは必ずしも「何か」の形を作らなくてもよいのだそう。たとえば、何もしなければただ平面の1枚の紙が、折り目を付けただけで立つようになりますよね。そんな形や性質の「変化」を体験するだけでも、立派な折り紙遊びといえます。

大切なのは、好きな色を選んだり、紙の音や肌触り、においなどを確認したりと、五感をフルに使って自由に楽しく遊ぶことだと宮本さん。「これを作りなさい」「これが正解」という遊び方ではなく、子どもの心が赴くまま自由にさせてあげましょう。

紙を切ったり貼ったりすることももちろんOK。はさみなどの道具を使うこともまた、能力の発達に繋がります。1枚の紙を折ってみて「どんな形に見えるかな?」なんて、見立て遊びをするのもいいですね。自分で作る楽しさを知り、想像力と創造力を働かせながら遊ぶことで、自由な発想が生まれます。

宮本さん曰く、特に未就園児は思いもよらないような想像力や能力を持っているとのこと。小さいうちは好きなように遊ばせて、その能力を思い切り発揮させてあげたいですね。


◆紙の性質を知れば折紙はもっと楽しくなる!
折紙を使って造形をしていく上で特に大事なのは、「きれいに折る」ということなのだそう。簡単そうに思えますが、実は紙をきれいに折るには、紙の性質を知ることが必要なんです。

<その1 縦目と横目>
新聞紙やキッチンペーパーなど、皆さんの手元にあるさまざまな紙には縦目と横目があります。縦目は折り曲げやすく、横目は折り曲げにくいのが紙の性質です。折紙を折るときは、まず縦目に沿って折るときれいに折れます。
目の見分け方ですが、正方形の折紙の場合、一辺を軽くつまんだとき、紙がピンと張る辺と垂れ下がる辺があります。垂れ下がった時に持っていた辺と並行な方向が「縦目」になります。紙が裂けやすいのが縦目、きれいに裂けないのが横目ですので、わかりにくい場合は1枚紙を裂いてみるとわかりやすいかもしれません。

<その2 紙は動くもの>
折紙を机の上に置いて手前の角を奥の角に合わせて三角形を作るとき、下に添えた手を離すと紙は曲がりやすいほうにひとりでに動いてしまいます。大人の手の大きさであれば下の方にある紙を別の指などでおさえて折ることができますが、一般的な15cm×15cmの折紙だと子どもの手には大きすぎておさえるのが難しく、上手に折ることが難しいのだとか。慣れるまで大人が手を添えて、下の方にある紙や角をおさえてあげると、きれいに折れます。ちなみに子どもの手には、9cmから10cmくらいのサイズの折紙がちょうどいいですよ。

<その3 まず中央を押さえる>
三角形を折るときのもう一つのポイントは、最初に真ん中をおさえて紙の「動き」を止めること。上の角を合わせたら、その角からまっすぐ下に手を下ろしていき、まずは下辺の中央をおさえて止めておきます。次に、最初におさえた中央から左右の角に向けて順番に折線をつけていけば、よりきれいに三角形を作ることができます。小さなお子さんは手のひら全部使って折ると指に負担が無くて良いです。

ただ単に「きれいに折って」「丁寧に紙を合わせて」と伝えてもうまくいかないことが多いのは、実は紙のことを良く理解していないからなのかも。これらの紙の性質を知っていれば、今までよりもずっときれいに折れますので、さっそく試してみてくださいね。

より詳しく、動画で見たい方はこちらをチェックしてみてくださいね。
【折紙の秘密 縦目(たてめ)と横目(よこめ)】


◆いろいろな作品作りに挑戦してみよう
折紙にも慣れてきて、先に紹介したきれいに折るコツをつかめたら、さまざまな作品作りに挑戦!折り紙の本などを参照し、まずは子どもと一緒に作品を作りながら折り図の見方を教えてあげましょう。また、今は動画配信サイトでもさまざまな折り方が紹介されていますよね。折り図を理解するのがまだ難しいようなら、動画を見ながら折るのもお勧めです。

今回お話を伺った宮本さんも参加されているYouTubeチャンネルでは、定番折紙から実用的なもの、人気キャラクターの折り方など、楽しい作品の作り方がたくさん紹介されています。ぜひ参考にしてみてくださいね!

【ORIART – 折り紙ペーパークラフト】
https://www.youtube.com/@origamioriart

そして一番いいのは、実際に作品を見せること。折り紙で作った作品は、山折りと谷折りの組み合わせでできています。実物を見て、触れて、その世界を知ることで、仕組みについて考えたり、よりきれいに折ることに挑戦したりと、良い刺激になるのではないでしょうか。

せっかくですから、大人の皆さんも作品作りにチャレンジしてみてください。一緒に作ると新たな発見があるかもしれません!

子どもも大人も楽しめる手軽なモノづくりであり、遊び方も自由な折り紙。平面から立体まで様々な作品を作ってみたり、難しい作品に挑戦したり…たった1枚の紙から広がる想像と創造の世界をぜひ親子で楽しんでみてくださいね!

紙一枚で広がる創造の世界! 折り紙で養われる子どもの能力とは?1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

プロフィール
宮本 眞理子(みやもと まりこ)さん
一般社団法人日本折紙協会認定折紙講師、日本折紙学会認定指導員。古典伝承折紙や現代創作折紙の技法で作品づくりに取り組み、とくに和紙を素材にした作品づくりは20年以上。全国各地での折紙展や折紙教室、折紙交流会などさまざまなイベントも開催。また保育園、幼稚園、盲学校、デイサービスセンター、科学館、図書館などで、講師として子どもをはじめ多くの人に折り紙の魅力を伝えている。

協力:株式会社日本折紙協会
趣味・教育・リハビリテーション効果など、様々な可能性をもつ「折り紙」のすばらしさを国内外に伝えるために出版・展示・国際交流など幅広い事業を推進している。2010年に墨田区本所にオープンした「東京おりがみミュージアム」では、折り紙作品の展示と折り紙関連商品(書籍・折り紙用紙など)の販売を行うほか、折紙講師による作品指導も実施している。