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子どもを「算数好き」に!家庭でもできる日常の取り組み

公開日:2024/05/02
最終更新日:2024/05/02

小学校に入ると「算数」の勉強が始まりますが、算数を「苦手」と感じる子どもは少なくありません。子どもが算数でつまずくことがないように、「早いうちから学ばせたい」と思う人も多いのではないでしょうか?
小さなころから算数の能力を高めたり、算数に苦手意識を抱かせないためには、どんな取り組みをしたらよいのでしょうか?大手個別指導塾や小学生対象の算数教室、未就学児対象のスクールなどで、多くの子どもたちを指導してきた株式会社幼児さんすう総合研究所の大迫ちあきさんに、子どもへの算数教育についてお話を伺いました。


◆「算数」の能力はどんなことに役立つ?
そもそも「算数」とはどのような科目なのでしょうか。そして、幼児期から算数に取り組むことでどのような能力が育まれるのでしょうか。大迫さんによると、幼児期の算数を大きく分けると、「数の分野」「図形の分野」「推理の分野」の3つの領域があるといいます。

・数の分野…数理的な能力が身につく。何事も数値化して考えられるようになる。
・図形の分野…図で表すことで、わからなかったことがわかるようになる。空間認識力なども身につく。
・推理の分野…規則性や場合の数、統計など。論理的思考を身につけることができる。

算数に取り組むことで、物事を数値化して理解したり、数値や図を使って具体的に説明したり、筋道を立てて物事を考える論理的思考力を養うといった、さまざまな能力を磨くことができます。中でも、これからの時代には「論理的思考力」を磨くことが欠かせないと大迫さんは言います。

「ますますAI技術が発達している昨今ですが、これから先、人に求められるのはアルゴリズムをどのように作るか、どういった式を使ってどのように問題を解決するのか、ということであり、問題を発見する力やそれを解決する力が欠かせません。算数はそうした時代の中で役立つ『論理的思考力』を養成するためのツールでもあるんです」

小学生になると、数と計算、平面や立体の図形など算数の勉強が始まります。ドリルやワークに取り組んで問題を解いたり、正しく計算して数多く正解するといったことももちろん大事ですが、その過程で物事を整理し、筋道を立てて考える「論理的思考力」をつけることこそ、算数を学ぶ目的であり楽しみでもあるとも言えます。

算数に苦手意識を持つ親御さんも、少し考え方を変えて子どもと一緒に算数に向き合ってみると、新しい発見があるかもしれませんね。

子どもを「算数好き」に!家庭でもできる日常の取り組み1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

◆幼児期に大切にしたい、算数とのかかわり方とは
それでは、小学校入学前の早い時期から算数教育を始める際には、どのような点に注意したらよいでしょう?たとえば「足し算」や「引き算」に早めに取り組ませようと、幼児のうちから数のワークなどに取り組ませることは有効なのでしょうか。

「先行して算数に取り組むことも、もちろん有効でないわけではありません。ただ、知識だけ先取りして学習をしていても、小学校での授業が始まり、教科書や問題集を使って学ぶようになると、いずれ追いつかれてしまうのではないかと思います」

経験上、算数や数学に苦手意識がある大人ほど、こうした「知識の先取り」をさせる傾向にあると大迫さんは言います。そしてその「親の苦手意識」が、子どもを算数から遠ざけ、算数を苦手にしてしまう大きな要因になってしまうこともあるのだとか。

「『算数は難しいから、今のうちからしっかりやらないと』とか、『お父さん、お母さんは算数が苦手で苦労したんだよ』などと子どもに伝えてしまうと、子どもは算数に対して良くない印象を持つことになり、取り組む前から『できないもの』だと思い込んでしまいかねません。子どもがマイナスイメージを抱いてしまうような言葉は使わないようにしたいですね」

何事も楽しくないと好きにならないもの。算数=難しい、算数=わからない、算数=苦手…と親が考えていると、子どもも自然と「算数は大変な勉強なんだ」と思うようになり、算数を辛くつまらないものだと受け止めてしまうようになってしまうかも。子どもが先入観なく学びに取り組めるよう、普段から心がけておくことが大事です。

それでは、算数を好きになってもらうためにはどのような働きかけをすればよいのでしょうか。まず大切にしてほしいのは「楽しく算数に取り組むこと」だと大迫さんは言います。

「大人の皆さんもきっと経験があると思いますが、勉強でも趣味でも、楽しくなければ好きにはなれませんよね。ですから、まずは『算数=楽しい』という経験を、小さなころからたくさんさせてあげてほしいと思います」

算数を「楽しい」と思ってもらうためには、「できると楽しい」という「成功体験」をさせてあげることが大切です。そして、もう一つ大事なのは、その成功体験や感情を親子で「共有」することだと大迫さんは言います。

「近年、子どもの『孤食』が問題になっていますが、それは学習の場面においても同じです。子どもがひとりで勉強する、ひとりで塾に行って学ぶ…そうした『ひとりで』学習に取り組むこともまた、算数や勉強に対する苦手意識を作る原因になりえるんです」

算数の問題に親と一緒に取り組んだり、あるいは「幼稚園や保育園でどんなことをしたの?」と、日々の出来事を聞いてあげるだけでもOK。子どもをひとりにさせないこともまた、算数や勉強に苦手意識を持たせないためには大切なことのひとつです。

またもう1点、成功だけではなく「失敗」を体験をさせてあげることも大事だと大迫さんは言います。試行錯誤しながら挑戦し、何度も失敗を繰り返しながら成功にたどり着くことで、失敗を恐れない気持ちが育ちます。

「結果に重点を置きすぎるのも、子どもが苦手に思ってしまう原因の一つです。幼児期は、結果ではなくその経過を見てあげることが大切。『できる』ことに重点を置きすぎると、『これをできなくちゃ、これをやらなくちゃ』と次第に辛くなってしまいます。できる・できないに関係なく、『失敗をしても大丈夫なんだ』と、安心して失敗ができる環境を作ってあげることも大事です」

考えてみると、小学校に上がったあとは、テストなどを通じて間違いを指摘されたり点数をつけられることが当たり前になってきますよね。だからこそ、その前の幼児期は「たくさん失敗できるチャンス」なのかも。この時期に数や図形にたくさん触れ、自由に遊んだり考えたりする機会を数多く設けることが、「算数=楽しい」という気持ちを育てる上では特に大事なのかもしれません。

◆親子で楽しく! 家庭でできる取り組み
それでは、実際に算数を得意・好きになってもらうために、家庭ではどのような取り組みをすればよいのでしょうか?

ボードゲームやすごろく、あるいは算数トランプといったゲームや脳トレのアプリなど、子どもが楽しみながら学べるものを活用するのはもちろん有効。それ以外に大迫さんがおすすめするのが、洗濯やお部屋の片づけ・掃除や料理などに算数の要素を取り入れること。具体的にはどのようなことを行えばよいのでしょうか?

<お片付け>
位置や比較などを意識できるようになるのがお片付けです。例えば本を棚に片付けるとしたら、「背の高い順に並べてみよう」、「上から2番目の段の、右から3番目の棚に入れよう」、といった声を掛けながら片付けに取り組んでみましょう。高い順、大きい順、きっちり重ねる、同じ形を集めるなど、いろいろなパターンを見つけながら、一緒に楽しくお片付けに取り組んでみましょう。

<洗濯物>
洗濯ものをたたむ際に「お父さん、お母さん、自分のものに分けてみよう」「シャツ、靴下、タオルに分けてみよう」など、算数の基本である仲間分けの練習ができます。他にも、タオルを半分にたたむと面積が半分になることや、靴下は2つで1足分だからこれは何足になるか?といった問いかけをしてみるなど、算数に関連することがたくさん。干すときにピンチハンガーを使うなら、ピンチの数と洗濯物の数を合わせてみようなど、工夫しながら取り組んでみるとよいでしょう。

<料理>
調味料の分量を量るときや、材料をかき混ぜるときなどにさまざまな数字が使われている料理。お手伝いしながら楽しく数が学べます。「砂糖を小さじ1入れてくれる?」、「この泡立て器で10回混ぜてみよう」など、数を示して作業をするといいですね。

こうして私たちの日常を振り返ってみると、それがいかに算数や「数」と切り離せないものかよくわかるはず。大迫さん曰く、ある研究では1歳児はすでに数がわかっているという結果もあるのだとか。まずは身近な家事に子どもと一緒に取り組むところから算数の学びをスタートしてみるのもいいかもしれませんね。

それ以外にも、点数やルールに数が多く使われる「スポーツ」や、車両や座席、時刻表などがある「乗り物」なども算数の教材にはぴったり。子どもが何に興味関心を持ち、どんなことに夢中になっているのか、子どもの特性に目を向けながら、算数の学習に取り組むことが大事です。

「正解がはっきりしている教科」とよく言われる算数。もちろんそれも特徴のひとつではありますが、ただ「正しく計算をして正解を求める」ということだけが、算数の目的や楽しさではないんですね。私たちを取り巻くさまざまな数や形を見つけて数字で遊んだり、因果関係や法則性を考えたりすることが、算数を好きになる第一歩!「算数=楽しい」という気持ちを親子で共有することで、算数の新たな魅力に触れられるといいですね。


プロフィール
大迫 ちあき(おおさこ ちあき)さん
公益財団法人・日本数学検定協会認定の数学コーチャー、幼児さんすうエグゼクティブインストラクター。大手個別指導塾で中学受験算数講師として勤務後、2011年に低学年の算数の基礎力定着を注ぎたいと独立し、小学生対象の算数教室、未就学児対象の「幼児さんすうスクール・SPICA(R)」を開講。親へのセミナーやイベント、ワークショップも行う。日本初の公益財団法人・日本数学検定協会認定資格講座「幼児さんすうインストラクター養成講座」講師。