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子育て心理のプロに聞く、「子どもの叱り方」で大切なこと

公開日:2023/08/20
最終更新日:2023/08/19

子育ては、思い通りにはいかないことの連続。言ってもなかなかわかってくれない、きょうだいでも性格が大きく異なり、叱り方に悩んでしまう、叱りすぎて自己嫌悪に陥ってしまうなんてことも…。「子どもの叱り方」は、子育て中につきものの大きなお悩みのひとつですよね。
そこで今回は、子どもも大人も気持ちが楽になる「子どもの叱り方」について、一般社団法人子育て心理学協会代表理事の東ちひろ先生にアドバイスをいただきました。


◆そもそも子どもを「叱る」ことって必要なの?
「できることなら穏やかに、叱らずに、褒めて育てたい」そう思うことも多いですよね。そもそも子どもを叱ることは、子どもの成長にとってどのような意味があるのでしょうか。

「子どもの行動をすべて肯定してしまうと、やっていいこと・いけないことの区別がつかないまま成長してしまいますので、どこかで『叱ること』は必要になります。言葉が理解できるようになる頃から、小学校低学年の時期はとくに、しつけの観点からも、きちんと子どもを叱ることはとても大切です」

では「やってはいけないこと」とは具体的にどのようなことなのでしょう。その基準となるキーワードは、“危険”と“迷惑をかける”だと先生は言います。

子育て心理のプロに聞く、「子どもの叱り方」で大切なこと

「たとえば高いところから飛び降りたり、危ないものを触ったり、振り回したり、モノを投げたり、人をたたいたりするといった“危険”な行動や、公共の場で騒いだり走り回ったり、商品をこわしたり、いたずらしたりする“迷惑をかける”行動に対しては、しっかりと叱ることが必要です」

◆子どもを「叱る」うえで大切な、「教える」というスタンス
子どもに対して単に「怒る」のではなく、「何がいけない行為なのかを『教えること』」が「叱る」ことだと先生は言います。

「どうしても声を荒らげたり、強く言いすぎたりしてしまうこともありますよね。でも『教える』というスタンスをとることで、冷静に、わかりやすい言葉を選んで話しかけることができるようになると思うのです。やってはいけないことを伝える際も、ただ『ダメ!』と言うのではなく、なぜダメなのかを繰り返し教えてあげれば、子どもも理解できるようになります」

例えば、スーパーなどで、野菜や果物を力まかせに触ったり、肉や魚のパックに指を入れてしまうとき。客観的に見れば「やってはいけないこと」なのですが、子ども目線で考えてみると、もしかすると、大人が商品を手に取る行動を真似しているだけなのかも。こういった時に「なぜやってはいけないのか」を教えることが大切になってきます。

「大きなお子さんであれば、『商品に傷がつくから』と具体的に言えばわかります。それが難しい小さなお子さんの場合は『いちごさんやお魚さんが痛いって言っているよ。やめてあげようね』などと教えてあげると良いでしょう。小さな子どもは物に対する共感性が高くモノに同化することができるので、『痛い』という感覚で伝えると理解しやすくなります」

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◆叱るときの「絶対NG」な行動は、子どもの人格を否定すること
一方、子どもを叱るときに「絶対にやってはいけないこと」は、「子どもの人格を否定すること」だと東先生は力を込めます。

「子どもの人格を否定することは、親としてとても罪深いこと。子どもの内面を傷つけるような叱り方をしてはいけません」

たとえば、子どもに対して「変な子」「おかしな子」という言葉を投げかけたり、きょうだいやお友達と比較して「どうしてあなたはできないの?」「どうして言うことがきけないの?」と言ったりすることも、子どもを深く傷つけます。

「子どもは『あなたが悪い』と言われると自己肯定感が低くなりますし、自分を守るために反発してしまうこともあります。子どもを叱るときにはその子自身ではなく『行為を叱る』ということが大切です。『物を投げることがいけないの』『叩くことがダメなの』と、子ども自身ではなく『行為』がいけないことなのだと伝えるようにしましょう」

子どもはとても繊細です。東先生は親御さんたちにアドバイスする際、「子どものココロ貯金を増やしてあげましょう」と伝えているといいます。

「誰もが必ず“いいところ”を持っています。けれども人格否定をされると、“いいところ”、つまりココロ貯金がどんどん減ってしまうのです」

落ち着きがなかったり、わざといけないことを繰り返すようなときは、子どもが心に不安を抱えたり、親に甘えたがっているのかもしれません。そんなときは「子どもの人格を否定するような言い方をしなかったかな?」と少し振り返ってみることも必要かもしれないと先生は言います。

もし思い当たることがあれば、親も気持ちを落ち着けて、もう一度子どもと向き合ってみましょう。

◆こどもを「叱る」際に気をつけたいこと
・まずは子どもの様子をよく見て
では、実際に子どもを叱るときには、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。まず、子どもを叱る前に気をつけけたいこととして、「子どもの情緒が安定しているかどうかを見ることが大事」と先生は言います。

「普段使わないような汚い言葉づかいや、他の子やきょうだいを叩く・つねるといった行動が増えてきた場合、子どもの情緒が不安定になっている可能性があります。親自身が冷静になる意味でも、しっかり子どもの様子を見ることからはじめましょう」

・叱るときは真剣な表情、短時間で
実際に子どもを叱る際に大事なこととして先生が挙げるのが「表情」。子どもは多くの情報を目から受け取っています。ニコニコしながら叱っても「まだ大丈夫」だと思ってしまい、効果が薄いと言います。

「子どもは親の表情をよく見ています。叱るときは、子どもの目をしっかり見て、厳しい表情で言い聞かせることが大切です」

また、なかなか言うことをきかないからと、だらだらと叱り続けるのは逆効果。長々と強い言葉で言い聞かせると、子どもはだんだんと自分自身を否定されているような気持ちになり「ココロ貯金」が減ってしまいます。きちんと叱って、短い時間で切り上げることも大切です。

何度言ってもわからないときや同じことを繰り返してしまう場合には、「どうしてそんなことをしたらダメなのかわかる?」「どうしてダメなんだったっけ?」と問いかけてみることもおすすめの方法。

同じことを何度も言われて、ああ、また言われたと思っている子どもも、以前に叱られた状況は覚えているもの。自分で考えることで「なぜいけないのか」を理解させることが大切です。

・「叱りすぎ」は逆効果
また、細々としたことでいつも叱ってばかりいると、子どもはしだいに叱られることに慣れてしまい、効果が薄れてくると先生は言います。

「たとえば『着替えが遅い』『食べるのが遅い』『ゲームばかりしている』といったことは、叱るようなことではありません。大人はどうしても子どものほうを変えようとしがちです。行動の変化だけを求めると、叱っても『その場限り』だけになってしまいやすいのです」

子どもに口うるさくあれこれと注意しても、叱られることに慣れてしまうだけで、しだいに「また言われちゃった」程度にしか感じなくなってきてしまうことも。本当に大事なことを伝えたいときに、真剣に子どもと向き合わなければ、子どもには通用しないのですね。

◆普段の生活に「ゆとり」をもつことも大切
子育て中は気持ちにも時間にもゆとりがなく、親もストレスがたまって、子どものちょっとした態度にイライラしてしまうこともあります。自分自身に余裕がないと、子どもに対して冷静に、「教える」態度で叱るということは、なかなか難しいかもしれません。

だからこそ「自分も疲れている、イライラしている、と感じたら、親だって手抜きをしてもいいんです」と先生は笑います。

「“子育ての手抜き”は後でツケが来てしまうもの。でも、“家事”については多少手抜きをしても大丈夫なんです。完璧にすべてをこなそうと頑張りすぎず、手を抜いてもいいところから手を抜いて、気持ちを楽にしましょう」

「しっかりしなくちゃ」「がんばらなくちゃ」と思いがちな親は「ご自愛不足」に陥りやすいと東先生。親が自分のための時間をしっかり持てなくなると、しだいに子どもを待つということもできなくなり、言葉も荒れがちになってしまうといいます。

「疲れ切ってしまう前に、どんどんSOSを出しましょう。冷凍食品やお惣菜を使ったり、デリバリーを頼んだり、外食するのも上手な手抜きの方法です。パートナーやおじいちゃん・おばあちゃん、友人もどんどん頼りましょう。同じく子育て中の友達と愚痴を言い合うのもいいですね。“そうそう、うちも大変なのよ”と共感してもらうだけでもストレス解消になります」

また、子どもを叱るうえでは、「普段の過ごし方」も大事だと先生は言います。

「忙しいとどうしても『子どもがおとなしくしている時は放っておいて、何か“悪さ”をしたら叱る』といったかたちで、後手に回りがちです。だからこそ、普段の生活の中で時間を作れるときに、親側からしっかりとコミュニケーションとスキンシップをとり、子どもの自己肯定感や信頼関係を築いておくことも大切です」

もう一つ覚えておきたいのは「切り替え」です。怒りの感情は止めにくいもの。だから、わかってはいても、長々と叱ってしまうことがあります。でも、子どもを叱ったことによって、親もストレスを感じたり自己嫌悪に陥ったりしてしまうなど、どこか傷ついてしまうこともあるのではないでしょうか。

「大切なのは、その日のうちにリカバリーすることです。『言いすぎちゃったね、ごめんね』などとその日のうちに声をかけて、そのあとはいつもよりも多く子どもとコミュニケーションを取ってあげると、子どもも安心できます」

子育て心理のプロに聞く、「子どもの叱り方」で大切なこと

子どもを叱るのは親の役割のひとつとはいえ、なかなか思った通りにはいかないものです。「上手に叱る」ことはなかなか難しいですが、大切なのは、本当に理解してほしい大事なことを「教える」という姿勢。たとえ「上手」でなくても、子どもと向き合い、子どもの考えや人格を尊重しながら、子どもが理解できるような語りかけを心がけていくことが大事なのかもしれませんね。


プロフィール
東ちひろさん
元小学校教諭。一般社団法人子育て心理学協会代表理事。株式会社子育て心理学オフィスひがし代表取締役。愛知県スクールカウンセラー、教育委員会勤務。公認心理師、学校心理士の資格も持つ。心理学とコーチングをベースに独自に開発した「ココロ貯金」のメソッドを伝える子育て心理学講座、子育て電話相談を行っており、これまでに2万件以上の実績がある。子どもだけでなく、お母さんの気持ちにも寄り添った、無理なく取り組める仕組みと具体的な子育てアドバイスが評判。

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