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気になる子どもの「姿勢」。良い立ち姿勢・歩き姿勢のためにできることは?

公開日:2025/05/09
最終更新日:2025/05/09

猫背や反り腰、がに股や内股・・・子どもが「悪い姿勢」になってしまっていないかは気になるところですよね。でも、そもそも立っているときや歩いているとき、どんな姿勢が「良い姿勢」なのかということ自体、「習ったことがない」「知らない」という人は少なくないのではないでしょうか。
一体、良い立ち姿勢・歩き姿勢とはどんな姿勢なのでしょう?良い姿勢にはどんなメリットがあるのでしょうか?そして、良い姿勢をつくるためにできることとは?
今回は立ち姿勢・座り姿勢について、一般社団法人日本姿勢教育協会 会長の清水哲也さんにお話を伺いました。


「良い」立ち姿勢・歩き姿勢とは?
そもそも「良い姿勢」とはどんな姿勢のことを言うのでしょうか。まずは「立ち姿勢」について。清水さんによると、立っている姿を横から見た時に耳・肩・股関節・くるぶしが一直線になっているのが「良い立ち姿勢」なのだそう。

たとえば、耳の穴が前にずれていて、肩が前に入っている状態はいわゆる「猫背」。反対に胸が前に出て腰が反っているのは「反り腰」と言われる状態です。

「猫背の人は背中に常に亀の甲羅を背負っているようなもので、肩が前に入って『巻き肩』になってしまいます。一方、反り腰は骨盤の形状や筋バランスの影響を受けやすく、特に女性や成長期の子どもに多くみられます。小学校低学年の子の場合は、骨盤を正しい位置にキープするための筋肉が発達していないため、骨盤が前に倒れやすく、反り腰になる子どもが多いんですよ」

歩く時の姿勢は、立っている時の良い姿勢をキープしたうえで、まっすぐ前を向き、足をまっすぐ出し、腕を振り、かかとで着地できることがポイントです。

「骨盤が後ろに倒れた状態で歩くと、股関節の動きが制限され、歩行のバランスが崩れやすくなり、結果として、O脚やがに股を助長する要因になることもあります」

立ち姿勢&歩き姿勢をチェックしてみよう!
それでは、正しい立ち姿勢や歩き姿勢がとれているかどうかチェックしてみましょう。まずは、壁にかかと・お尻・背中・頭をつけて立ってみてください。

かかと・お尻・背中・頭のいずれの場所も壁についていて、壁と腰の間に適度な隙間(一般的には手のひら一枚分程度)ができていれば、これが「良い姿勢」の目安になります。ただし、個人差があるため、無理に調整しすぎないことも大切です。

猫背になってしまっている場合、肩をつけて頭をつけようとすると、顎が上がってしまいます。また、骨盤が後傾して背骨が後ろに倒れている状態になるため、壁と腰の間が狭くなります。逆に反り腰の場合、骨盤が前掲して背骨が前に倒れている状態になるので、壁と腰の間にこぶし一個分くらいの大きな隙間ができてしまいます。「適度な間隔があること」が大事です。

正しい立ち姿勢がとれたら、そのまま一歩前に踏み出すと、これが正しい歩き姿勢になります。骨盤がまっすぐ立っている状態をキープできるようにしましょう。

「人体の構造上、骨盤が後ろに倒れた状態で歩くと足が外側に開きやすくなり、いわゆる『O脚』『がに股』になってしまいます。逆に骨盤が前傾すると、股関節のアライメントが変化し、内股になりやすいことがありますが、個々の体の使い方によって異なります」

また、歩くときには上半身をリラックスさせて腕を振り、かかとから着地することが大事。かかと着地を意識することで、上半身と下半身が連動して動くようになります。腕を振らない歩き方をしてしまうと上半身が固まってしまい、猫背になりやすいのだそう。

良い姿勢をとるメリットとは?
「姿勢を良くしなさい!」と注意された経験のある人は少なくないでしょう。でも、そもそもなぜ姿勢を良くする必要があるのでしょうか。清水さんは、姿勢を良くすることには身体だけでなく精神面でもさまざまなメリットがあると言います。

<身体>
・肩こりや腰痛、頭痛などの症状が出にくい ・関節の負担が軽減される ・ケガをしにくくなる ・内臓への負担が減る など

<精神>
・前向きになりやすい ・自己肯定感がアップする ・ストレスホルモンの分泌が減少する など

<集中>
・血流の循環が良くなる ・やる気スイッチがオンになる など

これらはほんの一部の例ですが、「姿勢が良い」というとことは生活や成長に大きなメリットをもたらすということが分かります。であればぜひ、子どものうちから「良い姿勢」を身につけたいですよね。

立ち姿勢や歩き姿勢が悪くなる生活習慣とは?
とはいえ、良い姿勢をとり続けることは至難の業。大人でも自分が「良い姿勢をとれている」と自信を持って言える人は少ないのではないでしょうか。子どもの姿勢が悪くなってしまう要因にはどんなものがあるのでしょうか。

<運動不足>
運動をしないと筋力が低下します。筋力が低下すると良い姿勢を保つのが難しくなります。

<日常生活の癖>
現代はスマートフォンやゲーム機などに触れる機会が増えており、いわゆる「ストレートネック」になりやすいのだそう。本来カーブを描くはずの首の骨がまっすぐになってしまい、姿勢がくずれる原因になります。

<机や椅子の高さが合っていない>
椅子は、座った時に足の裏がつく高さにします。机は、肘を曲げて乗るくらいの高さがちょうど良いとされていますので、子どもの成長に合わせて調節する必要があります。

<家の中で足音を立てないように歩く>
本来、歩くときはかかとから着地して腕を振って歩くのもの。でも、マンションなどに住んでいる場合、階下へ気遣いから「つま先から着地する」「足の裏全体で着地してペタペタと歩く」ことはよくあります。この「足音を立てない歩き方」が習慣化し、外でも同じように歩くようになってしまうと、上半身が固まったまま歩くことになり、結果として猫背になりやすいのだそう。

<重たいランドセル>
特に小学校低学年の場合はランドセルの影響は無視できません。身体が小さく、筋肉や骨格も未発達な子どもにとって、ランドセルを背負って長い時間良い姿勢で歩くのは難しいです。

通学・通園はもちろん、習い事やお出かけなど、子どもが外を歩いているシーンを思い返してみると、ランドセルやリュックサックなど「何かを背負っている」ことは意外と多いのでは?かといってランドセルやリュックを「背負わせない」ということは難しいですよね。また、「足音を立てない歩き方」も、住環境によってはどうしても必要な場合もあります。

子どもが何かを背中に背負ったり足音に気を遣ったりすることなく、思い切り「歩く」時間を、日常の中で意識して作るということもまた、良い姿勢を作るうえでは大事なことかもしれませんね。

姿勢は「悪くなるもの」!?
このように、姿勢が崩れる要因となるさまざまな生活習慣がある一方で、「そもそも姿勢は崩れるものなんですよ」と清水さんは言います。世界を舞台に活躍する一流アスリートでも、姿勢が崩れてパフォーマンスが落ちてしまわないよう、競技中も細心のケアをしているのだとか。

「姿勢が崩れるのは当たり前のこと。ですから、良い姿勢がどんなものなのかを知り、良い姿勢に戻る時間を意識して作ることがとても大事なんです」

長時間良い姿勢を撮り続けることはだれにとっても難しいこと。はじめは2・3分だけでも構いません。意識して姿勢を正す習慣をつけ、良い姿勢で過ごす時間を作りましょう。すると徐々に、良い姿勢をとるための筋肉が鍛えられていきます。特に腹横筋や内腹斜筋などの腹筋群は姿勢によって影響を受けやすいのだとか。理想的な姿勢をとることで筋力が鍛えられ、体幹も安定するというわけです。

良い姿勢をとるための筋肉が発達していくと、脳や身体も「良い姿勢」=「楽な姿勢」と捉えるようにかわっていき、自然と良い姿勢をとりやすく、かつ姿勢が崩れにくくなっていきます。

親子でできるトレーニングで立ち姿勢や歩き姿勢をきれいに保とう!
良い姿勢を習慣化するために、普段の生活で楽しみながらトレーニングに取り組んでみましょう。簡単で楽しいものばかりですので、ぜひ家族で遊び感覚で取り組んでみてくださいね!

<壁に立って良い姿勢をチェック!>
まずは脳に「理想の姿勢」をインプットします。正しい位置を知るために定期的に壁に立ち、姿勢をチェックします。次に姿勢を維持する筋力アップのため、お尻の穴をキュッとしめて、お腹をへこまし10秒キープ。みんなで楽しく声を掛けながらやってみましょう!

<足の指でじゃんけん>
良い姿勢で立つためには足底の感覚がとても大事。足の指でじゃんけんをすることで、日常生活ではなかなか意識して動かすことがない足の裏を意識的に動かし、足底の感覚を目覚めさせます。グーは足の指で掴む形。チョキは親指とそのほかの指を前後に開く形。パーは足の指を横に大きく開く形。はじめは動かしづらくても、何度もやるうちにどんどん大きくスムーズに開くようになりますよ!

<白線歩き>
さまざまな場所の白線の上を、はみ出さないようにまっすぐ歩きます。人通りや車通りがあるところでは、周囲に注意しながら遊んでくださいね。子どもが好きなこの遊びですが、実は歩行時に姿勢をコントロールできるようになるとっても有効な運動なんです。

清水さんによると、「良い姿勢」作りには、首から背中にかけてのいわゆる「S字カーブ」ができる5歳ぐらいから取り組めるのだそう。「姿勢を正すことで可動域が広がり、歩幅も広がります。腕も振れるようになり、理想的な状態で歩行ができますよ」と清水さんは言います。理想的な状態で歩行できれば、理想的な筋力がつき、さらに脳も姿勢を学んでくれます。姿勢を良くすることで、子どもはたくさんの「宝物」を得ることができるんですね。

「良い姿勢」には年齢による違いはありません。だからこそ、大人も子どもも同じ目標をめざして一緒に取り組むことが可能です。家族みんなが健康で快適に過ごせるよう、「良い姿勢」づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

気になる子どもの「姿勢」。良い立ち姿勢・歩き姿勢のためにできることは?1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

プロフィール
清水 哲也さん
1980年神奈川県生まれ。放送大学「姿勢と健康」「姿勢と栄養から考える健康学」講師。2012年に鷺沼カイロプラクティック鍼灸整体院開院。同時に姿勢教育協会の講師として活動を行う。2018年に鍼灸整体院meguruを開院。現在は院での施術の他に、企業や学校関係、歯科医院や寺、神社など多くの場所での講師活動や、テレビやラジオ、雑誌などに姿勢の専門家として出演している。