ワーキングメモリーってなに?子どものワーキングメモリーの鍛え方。
最終更新日:2021/08/17
ワーキングメモリーってなに?
「ワーキングメモリー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
人の記憶には、少し前のことを記憶する短期記憶と、勉強したことや昔のことを覚えているという長期記憶とありますが、ワーキングメモリーはそのどちらとも違うものです。
短い時間に頭の中に情報を一時的に保存して、それを操作するという能力です。このワーキングメモリーが高い人ほど、いわゆる「頭の回転が早い人」になれると言われています。
一時的に記憶するというシーンは日常生活で当たり前のようにあり、私たちはワーキングメモリーを無意識に使っています。会話をしたり、電話で言われたことを伝言したり、予算内で買い物をしたり、目的地までの道順を覚えたりと、生きていく上で必要な能力です。
もし、私たちにワーキングメモリーがなかったら、頭の中に記憶を保持することができなくなり、ちょっとしたことを覚えたり、考えたりするときも、メモ帳が欠かせなくなります。
今回は、ワーキングメモリーについてお伝えしていきます。
ワーキングメモリーは、まるで机の広さ
しかし、「短い時間に頭の中に情報を一時的に保存して、それを操作する」と言っても、なかなかうまく想像できませんよね。
ワーキングメモリーとは、まるで「脳の司令官の机の広さ」だとイメージするとわかりやすいでしょう。そして、記憶した情報が紙の資料だとしましょう。
作業する机の広さが、広ければ広いほど、資料を整理しやすく、作業がはかどりやすくなりますよね。また、一度にたくさんの資料を置いておくことができますし、複雑な課題をこなすこともできます。また、気分は快適で、集中力も続きます。
机の広さが狭いとどうでしょう。机の上は資料であふれかえってしまい、整理するのが大変です。資料がごちゃごちゃに置かれた状態では、使いたい情報をすぐに取り出せなく、使うことができません。イライラしやすく、集中力も長くは続かないですよね。
ワーキングメモリーの高い子どもの特徴
お子さんのワーキングメモリーが高ければ、どんないいことが起きるでしょうか。
頭の中には、広いテーブルがあり、たくさんの資料が乗せられても、楽に資料を整理することができます。整理することができれば、どれが重要な情報か、どれがいらない情報かすぐに判断できますよね。
ですので、たとえば、物事に優先順位を早くつけることができます。なので、判断も早く、要領もいいです。宿題や学校の準備などの「やらなくてはならないこと」、ゲームや友だちとの約束などの「やりたいこと」の両方をすることができ、生活が充実します。
また、雑音や騒音などの「いらない情報」によって気が散ることがなく、目の前のことに集中することができます。これは、学校の授業でも先生の話をずっと聞くという点でも必要ですね。
そして、他にも勉強をスムーズに進めることができたり、新たなスキルを素早く習得できたりといいことはたくさんあります。いわゆる、「頭のいい子」になります。
お子さんにはワーキングメモリーが高くあってほしいですね。
ワーキングメモリーの低い子どもの特徴
では、反対にワーキングメモリーが低いとどんな困ったことが起きるでしょうか。
ワーキングメモリーが低い子どもの頭の中は、先ほどのたとえで言うと、小さな机に資料がごちゃごちゃとある状態です。机が小さいので少しの資料でも整理するのが難しいのです。
「重要な情報」が「いらない情報」によって邪魔されるということがよく起きます。ですので、「忘れっぽい」というのが、ワーキングメモリーが低い子どもの特徴です。
たとえば、目的を忘れやすく、「なにをしていたんだっけ?」となり、いつの間にか他のことで夢中になっていたりします。他にも、会話の話題を忘れ、「なにを話していたんだっけ?」となり、話が脱線することが多いです。また、特に口頭での指示は忘れやすく、苦手です。
そして、ワーキングメモリーが低い子どもにとって、同時に並行して複数の作業をすること、たとえば、先生の話を聞きながら、ノートに記入するということが難しいことです。
ワーキングメモリーのトレーニング方法
ワーキングメモリーが低い子どもの特徴を聞いて、「うちの子にすごい当てはまる!」、「うちの子、ワーキングメモリー低いかも」と思い当たる節があるママ、パパはいるのではないでしょうか。普段の生活の様子からも、我が子のこの先のことが心配になりますよね。
しかし、安心してください。ワーキングメモリーは生まれつき決まっている能力ではなく、鍛えられることができる能力です。
ここから先はワーキングメモリーのトレーニング方法をご紹介していきます。
運動
まず、「運動」です。
どんな運動でも、ワーキングメモリーは高くすることができると言います。散歩程度の運動であっても、私たちが思っている以上に複雑な動きを必要としています。そのことによって、ワーキングメモリーには負荷がかかります。筋トレをすると筋肉が大きくなるように、負荷がかかるとワーキングメモリーは高まります。
特にワーキングメモリーを高くするのに、おすすめな運動があります。それは「木登り」です。木登りの運動は、体を動かしながら、頭で次どうすればいいか、今自分はどういうバランスなのかを考えなくてはいけなくてはなりません。
このような運動を「固有受容性」の高い運動と言い、ワーキングメモリーにとって、とても負荷のかかる運動です。同じような運動の中には、アスレチックやボルダリングがあります。「固有受容性」がキーワードです。
絵本の読み聞かせ
次に、「絵本の読み聞かせ」です。
絵本の読み聞かせも、ワーキングメモリーを高めるのにとても良い方法です。読み聞かせをしているとき、子どもは絵本の絵を見ているだけではなく、ママ、パパが読んでいる言葉を聞きながら、その言葉を映像化する作業を頭の中で行なっています。
ですので、絵を見ながら絵本を読み聞かせることに子どもが慣れてきたら、ママ、パパの言葉だけで物語を聞かせる「素話」をすることをおすすめします。素話は「聞いた話をイメージ化する」という作業が必要とします。
頭の中でイメージを浮かべながら、何かを行うことは、ワーキングメモリーを鍛えることにとても有効なことです。
光を浴びる
そして、「光を浴びる」です。
「セロトニン」、「メラトニン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定に深く関わっています。対して、メラトニンは「睡眠ホルモン」と言われ、眠気を誘発します。セロトニンは起床後に、メラトニンは就寝前に増加します。
朝のうちに光を浴びることで、セロトニンが増加し、メラトニンが減少しました。さらに、脳の前頭前野が活性化します。この前頭前野はワーキングメモリーの基盤となっている部位です。
光と聞くと、日光を思い浮かべると思いますが、パソコンやスマホのブルーライトでも同じようにワーキングメモリーのパフォーマンスが上昇します。
寝る前にブルーライトを浴びるのは、メラトニンが分泌されにくくしてしまうので、いけませんが、日中にブルーライトを浴びるのは実は良いことなんですね。
ストレス、マルチタスク、睡眠不足
家族でワーキングメモリーを鍛えよう!
ワーキングメモリーは、年齢に関係なく、ママ、パパも鍛えて高めることのできる能力です。そして、ワーキングメモリーの高いことで作業効率が上がるので、仕事や家事でも役に立つことは、すぐにわかることだと思います。ぜひ、ここまで述べてきた方法を使って、親子でワーキングメモリーを高めてみましょう。
朝、早起きをして、日光を浴びながら運動をして、夜ぐっすり寝たりすれば、お子さんは学業の成績、パパ、ママは仕事の効率がアップするかもしれません。
ワーキングメモリーに悪影響なものにはストレス、睡眠不足があります。また、アルコール、タバコも悪影響です。これを機に、お酒を減らしたり、タバコを止めたりしてみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。勉強や日常生活に必要なワーキングメモリーについてお伝えしてきました。
ワーキングメモリーは私たちの生活に欠かせません。「ワーキングメモリーが高い」=「頭が良い」と言い切る人もいるほどです。
お子さんの成績があまり良くないことで悩んでいるママ、パパは、まず子どものワーキングメモリーを鍛えてあげてみるのも、1つの手です。