子どもの好き嫌いをなくそう!仕組みと好き嫌いをなくすためにすべきこと!
最終更新日:2022/01/22
育児での大きな困りごと、「好き嫌い」
子どもの好き嫌いは、ママ、パパの大きな困りごとの1つですよね。子どもには栄養のあるものをしっかり食べてもらい、健康に育ってほしいのに、子どもが食べたがるものといえば、甘いお菓子やお肉といったものばかり。「このままで大丈夫なのかな〜?」と思うことが多いと思います。
今回は子どもの好き嫌いの減らす方法について調べた研究についていくつかご紹介していきます。この研究結果を参考にすれば、子どもの好き嫌いを減らすヒントが見えてくるかもしれません。
子どもが食べ物を嫌いになる仕組み
では、好き嫌いを減らす方法を紹介する前に、子どもが食べ物を嫌いになる仕組みについてお伝えしていきます。
子どもが食べ物を嫌いになる理由は、ただ1つです。それは「その食べ物が安全ではないと思うから」です。そして、「なぜ安全ではないと思うのか?」には2つの理由があります。
その食べ物に対してどんな思いがあるか
まずは、その食べ物に対してどんな思いがあるかどうかです。
「良い思い出があったから、すごく美味しく感じる」、「嫌な思いをしたから、食べたくない」と、過去にどんな思いをしたかで安全かどうか確認しており、脳の中枢にある扁桃体で認識しています。
美味しい食べ物であっても、不快な経験をすれば食べたくなくなるということです。これは大人でもそうですよね。
また、食べたことないものも、子どもは食べようとしません。安全かどうか子どもの脳は知らないからです。これを「新奇性恐怖」と言います。この新奇性恐怖は、2〜6歳がピークであり、新しい食べ物を食べたがりません。
幼児期に食べられないものが多くても、栄養はあらゆるものから摂取できます。身体によほどの異常がなければ、そこまで心配しなくて大丈夫です。新奇性恐怖のピークも6歳までなので、小学校に上がれば、食べられるものは増えていきます。
それよりも食べないからといって、ママ、パパが怒ったり、口に押し付けられたりすることで、不快な経験となって、その食べ物を嫌いになることがあるかもしれません。
どんな味か
次に、どんな味かどうかです。
味には5種類あります。甘味、塩味、うま味、苦味、酸味です。この中で、子どもがよく苦手とするのが、苦味と酸味ですね。なぜ苦手とするかどうかというと、この2つの味に危機感を感じるからです。
「苦味は毒がある」、「酸味は腐っている」というように子どもの脳は受け取ります。これは生き残っていくための本能であり、仕方のないことです。
ちなみに、子どもが甘味が好きなのは、「効率的にカロリーを摂取できるもの」と脳が受け取り、これも生き残るための本能です。
我々大人が苦いものや酸っぱいものが食べられるのは、ストレスを感じているからと言われています。ストレスを感じると、苦味がマイルドになります。苦いものを食べると、気分が良くなり、この経験の積み重ねで、気づけば、「苦いもの=美味しい」となるのです。
子どもの好き嫌いをなくす方法
食べ物を嫌いになる仕組みについてご理解いただけたでしょうか。
ここからは、子どもの好き嫌いをなくす方法をご紹介していきます。1つ目と2つ目は、初めて食べる食べ物への抵抗をなくす方法について、3つ目は、すでに嫌いになった食べ物を克服する方法です。
親が同じものを食べる
1つ目は、「親が同じものを食べる」ということです。
これはペンシルベニア州立大学の研究でわかったことです。2〜5歳の子どもは、親しい大人がそばにいるときに、別のものを食べるよりも、同じものを食べているときのほうが、新しい食べ物を受け入れたそうです。
やはり信頼している人が食べているものというのは、安心して食べることができ、新奇性恐怖が少なくなるのでしょう。
多くの種類の食べ物を出す
2つ目は、「多くの種類の食べ物を出す」ということです。
これはフィラデルフィアの研究で、離乳食を始めたばかりの子どもを対象にした実験です。
にんじんばかり食べさせたグループ、じゃがいもばかりを食べさせたグループ、いろいろな野菜を食べさせたグループに分け、10日後、初めてとり肉を食べさせます。
そして、1番とり肉を食べたのは、いろいろな野菜を食べさせたグループでした。いろいろな野菜を食べたことで、「食べ物にはいろいろなものがあるんだな」、「だから、このとり肉もいろいろあるなか食べ物のひとつなんだな」と、新しいものに対しての抵抗が少なくなったのです。
反対に、にんじんばかり、じゃがいもばかり食べさせていたグループの子どもたちは「にんじん、じゃがいも=食べ物」という認識になってしまい、とり肉という新しい食べ物に対しての抵抗が生まれてしまっったのでしょう。
特に小さい子どもに対しては、できるだけいろいろな種類の食べ物を出してあげることが、初めての食べ物への抵抗をなくすことに繋がります。
カラフルなお皿で食べる
3つ目は、「カラフルなお皿で食べる」ということです。
コロラド大学の研究で、235名の未就学児を対象に行った実験です。お昼ご飯のときに2つのグループに分けて普段通りの食事を3日間してもらいました。
1つ目のグループは、無地のお皿を使うグループ、2つ目は野菜やフルーツの柄のお皿を使うグループと、お皿によってどんな差が出るのか調べました。
結果、野菜やフルーツの柄のお皿を使ったグループは、無地のお皿を使ったグループと比べて、野菜の消費量が、約35%も多かったです。これはなかなかの差ですよね。
ぜひ、家の食器も、子どもの使うものだけでもいいので、カラフルな食器にするにすることを、おすすめします。
子どもの好き嫌いをなくすために避けるべきこと
そして、ここからは子どもの好き嫌いをなくすために避けるべきことをご紹介していきます。
子どもと親の食事を完全に分ける
1つ目は、「子どもと親の食事を完全に分ける」ということです。
先ほど紹介した好き嫌いをなくす方法に、親が同じ食べ物を食べていると子どもは、安心してその食べ物を食べられると述べました。そこから分かるように、子どもは安心、安全を求めています。
親と子どもで食べられるもの、食べたいものが違うのはわかりますが、できるだけ同じメニューにしてあげましょう。
「早く食べて」と急かす
2つ目は、「『早く食べて』と急かす」ということです。
ペンシルベニア州立大学の研究で、未就学児を2つのグループに分けて、スープを飲んでもらいました。1つ目のグループは普通に飲んでもらいます。2つ目のグループは、1分に4回「早く飲んで」と急かします。
結果、1つ目のグループはスープをより飲み、2つ目のプレッシャーをかけられたグループは、1つ目のグループよりも飲まないばかりか、「飲みたくない」、「まずい」などと文句を言っていたそうです。これは、大人でも同じ気持ちはなりますよね。
ちなみに、普段から「早く食べなさい」と急かされている子どもは、実験のときのプレッシャーとは関係なく、スープをほとんど飲まなかったそうです。これは食事自体が嫌いになっているのです。普段からプレッシャーをかけないほうがいいということですね。
ぜひ急かさずに、少しでも食べたら、食べた分だけ見て、褒めてあげ、子どもは食事を好きになり、食べるスピード上がり、量も増えるのではないでしょうか。
ご褒美で釣る
3つ目は、「ご褒美で釣る」ということです。
「〇〇を食べ終わったら、ゲームやってもいいよ」というふうに、ご飯を食べさせてはいないでしょうか。この方法もしてはいけません。
これもペンシルベニア州立大学の研究ですが、「ご褒美で釣って食べさせると、その食べ物がより嫌いになる」ということがわかっています。ぜひやめましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。子どもの好き嫌いをなくす方法、好き嫌いなくすために避けるべきことを紹介してきました。
好き嫌いが起こるのは、その食べ物が安全だと思えないからです。今回紹介した方法以外に、「自分で料理を作る」、「自分で食材を育てる」という方法もあると思います。
これを調べた研究があるわけではないですが、子どもの心境でからすれば、「自分で作ったものであれば安心」という気持ちが湧きます。安心という気持ちを持てればきっと食べてくれるかもしれないので、料理を手伝ってもらったり、家庭菜園で水やりをさせるなど、チャレンジしてみてもいいかもしれませんね。