速読は、読解力の向上につながる!子どもに速読を学ばせるメリット。
最終更新日:2020/07/31
子どもに速読力は必要あるの?
「速読はできるだけ早いうちに身につけたほうが有利」「子どもに速読をさせることで頭がよくなる」という情報によって「子どもに速読を習わせたい」という親御さんが増えているようです。
しかし、その反対に、「子どものうちから速読トレーニングをするのは良くない」という情報もあります。はたしてどちらが正しいのでしょう。
子どもに速読を身につけさせるメリットとはいったい何なのでしょうか。反対に、デメリットはないのでしょうか。今回は子どもが速読を身につけることについてお伝えしていきます。
速読とは、読み飛ばすこととはちがう
世の中に出回っている速読の情報のほとんどは「飛ばし読み」・「斜め読み」・「読んだ気になった」ような読書法のことを速読と呼んでいます。
多くの速読術では、目の動きをトレーニングし、周辺視野を使うように指導していますが、ここが大きな間違いと言われています。ある研究では、読書の際に目の動きの重要性は10%以下しか占めていないことがわかっています。このような速読術を勉強するならば、その分普通に読書をしたほうが身になるかもしれませんね。
「子どものうちに速読するのは良くない」という意見は、十分に内容を理解しないまま読み進めるクセがついてしまうことを懸念して、のことではないでしょうか。
速読チャンピオンの例があります。「ハリー・ポッター」最新刊に伴い、速読のチャンピオンを決めようという大会が開かれたとき、チャンピオンに決まった人は、たった47分で一冊を読みきったそうです。しかし、チャンピオンは小説の内容を次のようにまとめました。
「これは本当にページをめくる手が止まらない一冊。最高に楽しかった。子供たちには大人気でしょうけど、ちょっと悲しいシーンもありますね。」
そう、小学生でもかけそうな内容だったのです。極端な例ではありますが、飛ばし読みでの速読はやはり読書の理解度を下げてしまうことがわかります。
本当の速読とは、文章の内容の理解度や記憶力はこれまで通りに、読書速度を引き上げることです。
スピードだけでなく、読解力をつけることが大切
本を早く読むことも重要ですが、本の内容を理解していることが大前提です。いくら読むのが早くても、本の内容が頭に残っていないのであれば、「何も読んでいない」のと同じことになり、その読書の時間は無駄になってしまいます。
また、読書の目的には、「知識や情報を得る」「感性が豊かになる」「言葉や表現を豊かにする」などがあると思いますが、どれも本の内容を把握していることが前提です。読書スピードを上げる前に、子どもに読解力を身につけさせたいところです。
速読には、日々のトレーニングが必要
速読に必要なのは、文字の処理スピードの向上です。そして、情報処理スピードを上げるためには繰り返しの練習が必要です。
野球選手が速い球が打てるのは、繰り返し、速い球を見て、それに合わせて素振りをするという訓練をすることで動体視力、視覚からの処理スピードが上がるためです。そして、トレーニングをやめてしまうと動体視力は落ちてしまいます。
速読でもこれは同じです。速読のトレーニングも繰り返しの訓練であり、「慣れ」が必要です。また、速読が身についたからといって、トレーニングをやめてしまったら、情報処理のスピードは落ちてしまいます。つまりは、読書習慣を続けることが大切ということですね。
速読を身に着けさせるメリット
ここからは、速読を身につけさせるメリットをご紹介していきたいと思います。
①情報処理のスピードが上がる
まずは、情報処理のスピードが上がるということです。
速読のトレーニングをすると、子どもの情報処理速度が上がります。情報処理速度というと抽象的なイメージがあると思いますが、簡単に言うと頭の回転の速さであり、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感からの情報を認知するスピードのことです。
速読というと視覚的なものであり「読む」処理能力だけが向上すると思われますが、同時に「聞く」「触る」などの処理能力も向上します。また、情報をインプットする能力だけでなく「話すスピードが速くなる」「状況判断が早くなる」などのアウトプットする能力も向上します。
②読書が好きになる
次に、読書が好きになるということです。
速読を身につけるには、たくさんの本を読むこと、多読が必要になります。周りの子よりも読書量が多いだけで自分に自信がつき、それだけでも読書好きになる十分な理由になるでしょう。
また、本をたくさん読むことで、たくさんの語彙や表現、知識が身につきます。難しい語彙や表現のある本や難しい内容の本であっても、積み上げた語彙力と知識によって、読むハードルが高いとは感じづらく、読書への苦手意識が減ります。
そして、本を読めば読むほどに、新しい知識によって知的好奇心が刺激されたり、ストーリーに感動したりして、ますます本を読むことが好きになっていくでしょう。
③考える力がつく
次は、考える力が身につくということです。
読書と考える力は関係していると言われています。それは、たくさんの本、いろいろな本を読むことで、多様な知識を得たり、多様な考えに触れたりすることで、思考する機会がたくさん与えられるからだと思われます。
また、本を読みながら、「次はどうなるんだろう」と次のストーリーの展開を予想したり、登場人物の感情を考えたりすることも、考える力の向上につながっているでしょう。
親子のコミュニケーションによって、その考える機会がさらに増えます。本のあらすじや内容はどんなだったか、子どもはどんな感想を持ったのか、アウトプットすることで本の内容がより頭に残り、思考力が養われるでしょう。
④テストの成績にもつながる
そして、テストの成績につながるということです。
理解力を落とさずに、速く読もうとするうちに、国語の学力はもちろんのこと、それ以外のさまざまな教科の学力も向上します。
しかし、速読ができることが、直接的に子どものテストの成績を上げているわけではありません。
子どもの成績が上がったのは、子どもが速読をマスターしたからではなく、言語能力を高めたり、情報処理スピードを上げたり、速読のトレーニングの中に学力の基礎を作るトレーニングにつながったためであり、結果的にテストの成績が上がったと言えます。
速読は、将来にも役に立つ
速読は将来にわたって有益なスキルです。スピーディーに文章を正しく理解できるようにしておくことで、高校受験や大学受験で非常に有利になることでしょう。
また、社会人になっても、仕事で十分に発揮できるスキルですし、仕事で忙しい中でもたくさんの新しい知識を効率良く身につけるためにも役立ちます。
まとめ
いかがだったでしょうか。速読を子どもに学ばせるメリットについてお伝えしてきました。
読書速度の速い子どもは学力の偏差値も高く、難関中学、高校に進学していることがデータで明らかになっています。実際に東大や京大などの難関大学合格者の読書速度を調べてみると、1分につき1200文字~1500文字であり、通常の2~3倍の量を読んでいることがわかりました。
飛ばし読みによる速読は、読むスピード上がる代わりに、本の内容の理解度が下がってしまいます。本当の速読訓練は、繰り返しトレーニングし、情報処理のスピードを上げることです。
しかし、必ずしも飛ばし読みが悪いわけではありません。いくらプロ野球選手であっても打てる球のスピードに限界があるように、情報処理するスピードを高められるのにも限界があります。
本を読むのが速い人たちは、すでにその本の内容について多くの知識を持っており、それが飛ばし読みによる理解度の低さを補っているという解釈もできます。
ある速読読書術では、本の選び方がまず重要だと言っており、その方法は「目次を見て、知っていることと、知らないことが半分ずつの本を選ぶこと」だそう。つまりは、知っている内容に関しては飛ばし読みをすることで、読書スピードが上がるということです。
専門的な速読トレーニングとともに、読書習慣を取り入れましょう。多読することによって、知識が広がり、本を読むスピードがさらに上がります。