子育てにおける、父性の役割を考える。父親が子どもに与える影響とは。
最終更新日:2020/10/17
子育てにおいて父親に何が期待されているのか
イクメンという言葉が流行語から一般的な言葉へと定着し、積極的に育児に関わる父親も増えてきました。仕事から帰ってきたら子どもをお風呂に入れたり、寝かしつけたり。子どもの行事に参加したり、休日は父子で公園やテーマパークへ連れていったり。
ママからみればまだまだと思うことも多いかもしれませんが、以前よりは格段に育児参加するパパは多くなっています。
一方、「地震・雷・火事・親父」という言葉があるように、一昔前の「父親」といえば、子どもにとっては怖い存在でした。昭和の時代のホームドラマやコント番組などに出てくる父親像には、ちゃぶ台をひっくり返す、言うことを聞かなければげんこつ、などが印象的で、「父親には絶対に逆らえない」という思いを持って過ごしていた子どもがほとんどではないでしょうか。
現代では「モラハラ」「DV」というような家庭問題として取り上げられます。現代に求められる父親像は、大きく変わってきました。では、どのような役割を求められているのでしょうか。
父親の役割①頼りになる姿を見せる
1つ目の役割は「頼りになる姿を見せる」です。
父親像として、力強さ・頼りがいという点は大きく期待されているものです。頼りになる姿を子どもが見ることで「お父さんがいてくれてよかった」と思ってもらうことができます。高いところに手が届かない、瓶の蓋が固くて開かないなど力仕事はその一例でしょう。
父親がいてくれる安心感は子どもたちにとって特別なもの。「父親は頼もしい存在」「父親がいてくれると家族みんなが安心できる」という存在でいることが重要なのです。
父親の役割②行動する
2つ目の役割は「行動する」です。
これは「背中を見せる」というようなベテラン職人の気質にも近いですが、父親は「言葉で諭す」のではなく「行動する」ことで子どもに物事を教えていくことが望まれます。
何も言わずとも、「パパすごいなあ」「あんなことできるんだ、パパみたいになりたいな」と思ってもらえることが期待され、実践的なアプローチで子どもたちに教育していくのが父親の役割です。
父親の役割③社会のルールを教える
3つ目の役割は「社会のルールを教える」です。
子どもにとってパパは社会の入り口です。パパと遊ぶときには、感情をうまくコントロールすること、他人と協力すること、制限やルールを守ることなど、子どもには左脳的・理性的な振る舞いが求められて、チャレンジする機会が発生していると言われています。
パパと遊ぶ時間を通じて、子どもが他人とうまく関係を築いていくために必要な社会性を身につけていきます。
また、父親像にある力強さ・頼りがいといった観点から、ルールを守れなかったときの注意が怖いという点も見逃せません。社会のルールを学ぶには父親像の方が向いているのでしょう。
父親の役割④妻を支える
4つ目の役割は「妻を支える」です。
社会的なメッセージはありますが、多くのご家庭では、母親のほうが父親よりも子どもたちと一緒に過ごす時間が長いことでしょう。その分、ストレスが溜まっていくことも考えられます。そこで支えになるのが「父親」として、むしろ「夫」としての役割とも言えるでしょう。
ついつい、相手の愚痴などに合わせて「俺だって疲れてるんだよ」と言ってしまいがちですが、夫婦間でのマウンティングにいいことなんてひとつもありません。そこはぐっとこらえて、相手の不満をしっかりと取り除いていきましょう。
また、「いつもありがとう」や「助かってるよ」と一言伝えるだけでも、相手の気持ちは安らぎます。相手を思いやるコミュニケーションを心がけていきましょう。
父性とはなにか
父性とは、家庭におけるパパの役割のことです。家庭の状況によっては父親が不在であることも考えられます。父性は父親が発揮するものではなく、母親が発揮することも大切です。逆に、父親が母性を発揮することも問題ありません。
具体的にいえばここまで説明してきた4つの役割を果たすことですが、これは父親がやるべきことではなく、家族の中で父性を発揮できる人がやるべきこととなります。
言うことを聞かなければ怒鳴る、子育てや家事は任せっきりで、仕事や会社の付き合いで外に出っぱなし、というような前時代的な父親の姿は父性とは程遠いものです。家庭のこと、子どものことに積極的にかかわる父性が期待されています。
夫婦間では、パパに過度に期待しすぎないことも大切
父親の役割、父性を誰が発揮するかを決めておくことは、夫婦間において大切です。子どもが生まれたら、家族の中で優先的に話し合っておきたいことです。
仕事と家事・育児のバランスを考えたときに「どうして手伝ってくれないの」「もっと関わってよ」というように過度に期待し、言葉をかけるのは「どちらが大変か、つらいか」の言い合いにしかなりません。相手にとって過度に期待しすぎるのは、子育てにおいてトラブルのもとです。
「これをやってほしい」としっかり口に出すこと、また「ありがとう」「助かったよ」という感謝の言葉を忘れないようにしましょう。人間関係とはシンプルで、感謝されると嬉しく、また頑張ろうと思えるものです。過度に相手を期待するのではなく、相手に労いの言葉をかけるほうが人間関係は好転しやすいのです。
また「◯◯ちゃんのパパはこんなこともしていた」「うちはどうしてできないの」など、他のご家庭を引き合いに出すことはよくありません。「うちはうちで頑張ってくれている」と、まずは頑張っている姿を認めていきましょう。
子どもがひとつずつゆっくりと成長していくのと同じように、父親もゆっくりと成長していくものです。その点を理解し、父親の成長を見守ることも大切なのです。「私の負担が大きすぎる!」「父親として頼りない!」など、愚痴を言ったところで、何もはじまりません。
夫婦間の関係性が子どもに大きな影響を及ぼす
子どもにとって1番近い存在であるママやパパ。子どもはまず、ママとパパと自分という家族という単位での関わりから人間関係を学んでいきます。
そのため、例えばママとパパの関係が上手くいっていないと、子どもは自分の存在を責め、お互いの調整役を担おうと自然に振る舞ってしまいます。これは愛着障害や自己肯定感の不足などといった、子どもの健やかな心の成長を阻害する状態を生み出してしまいます。
家庭は子どもにとって安心できる場所であり、自分が素直になれる居場所でもあります。その居場所がギクシャクしてしまえば、孤独感や疎外感、自分は生まれてきてよかったのかという揺らぎなどにつながります。
こういったネガティブな心の状態は、物事に挑戦することや他者と関わることに難しさを感じることにつながり、自分の意志が持てなかったり、人のために頑張ることができなかったりと子どもの発達にとっていいことはひとつもありません。子どもが生きづらさを感じてしまう原因になってしまうのです。
今も昔も父親は一家の大黒柱であることは間違いありません。その柱が揺らがないことが大切です。これまで紹介してきた父親の役割、父性の発揮を大切にしていきましょう。
まとめ
今回は、子育てにおける父親、父性の役割をお伝えしました。
おそらく、この原稿を読んでいるのはママが多いのではないでしょうか。「この原稿を読んで」とリンクをシェアするのではなく、この原稿から考えたことをぜひパパに伝えてください。
父性は必ずしもすべてをパパが発揮しなくてはならないことではありません。夫婦2人が揃って無理や我慢もせず、楽しく幸せに過ごしている姿が子どもにとっても1番幸せなことです。