日本のおとぎ話のハッピーエンドから考える、これからを生きていく子どもに必要な教えと学び。
最終更新日:2020/12/12
さまざまなツールのおかげで、日本のおとぎ話に接しやすくなった
『はなさかじいさん』や『いっすんぼうし』といった日本のおとぎ話、皆さん、ストーリーの内容を知っていますか。『ももたろう』や『うらしまたろう』といった話と比べると、内容を説明できるママやパパは多くないかもしれません。
ママやパパが子どもの頃は、皆さんのご家族や先生から、日本のおとぎ話を読み聞かせてもらったことがあるのではないでしょうか。テレビで言えば「まんが日本昔ばなし」が有名で、番組を見ながら日本のおとぎ話の内容を知ったという方もいらっしゃるでしょう。
現在の子どもにとっては、そういったおとぎ話を知るきっかけとなるのがYouTubeです。動画やアニメーションを通じてストーリーに触れ合う機会が多くなりました。
文字が読めない小さな子どもでも、家族や先生を介することなく楽しむことができるので、もしかするとママやパパが子どもの頃よりも多くのストーリーに接しているかもしれません。
スマホやタブレット、パソコンなどを効果的に使って、子どもの心や価値観を育むことは、現代の生活に合っているでしょう。ダラダラとゲームをさせるよりは、道徳的な教訓が伝えられる日本のおとぎ話に触れる時間を作ることをおすすめします。
日本のおとぎ話から学ぶ、これからを生きていく子どもに必要な教訓
これからを生きていく子どもにとって、心を育む教訓がたくさん詰まっているのが日本のおとぎ話です。ストーリーが面白い、考えさせられる、学びが大きいといったことが理由として挙げられます。
日本には約60000の民話があると言われていますが、みんなが知っている作品には間違いなく理由があります。子どもにわかりやすいストーリーでありながらも、今後の子どもの人生に活きる教訓や学びが含まれているからこそ、誰もが知っているのです。
今回は子どもに大切な学びや気づきを与える日本のおとぎ話を紹介します。あらすじや内容を知っているものがほとんどだと思いますが、何を学ぶことができるのかを整理させていただきました。ぜひ、子どもに読んでいただきたいですし、親子で読んで、感想や気づきを共有していただきたいものです。
はなさかじいさん
まずは『はなさかじいさん』です。
心優しいおじいさんはポチと名付けた犬を飼っていて、大変可愛がっていました。ある日、ポチが「ここ掘れワンワン」と吠えるので掘ってみると、小判がたくさん出てきます。それを見た隣に住む意地悪じいさんがポチを連れて行き「ここ掘れワンワン」と吠える場所を掘ってみるも、出てくるのは蛇や化け物ばかりで、怒ってポチを殺してしまいました。
おじいさんは、ポチの亡骸を埋め、墓標を立てると、墓標はぐんぐん大きくなり、立派な木になりました。その木でおじいさんが臼を作って、餅をついてみると、餅は小判に変わります。またそれを見ていた意地悪じいさんがその臼を持っていき、餅をついてみるも、餅は泥団子に変わり、怒って焚き木にして焼いてしまいました。
おじいさんが悲しんで、灰を家に持って帰ろうとすると、風で灰が撒い、枯れ木にかかり、桜の花を咲かせました。喜んだおじいさんが他の枯れ木にも灰をかけると、辺り一面、桜が満開になります。それを見ていたお殿様は喜んで、おじいさんに褒美をあげました。意地悪じいさんも真似をして、枯れ木に灰を撒きますが、灰はそのままお殿様の顔にかかり、怒ったお殿様に牢屋に入れられてしまいました。
ポチは死んでからも、おじいさんの幸せを願って、恩返しをします。
動物に優しくする大切さを教えてくれるのはさることながら、同じ行動を起こすにしても、どのような背景や心模様で臨むのかによって、その結果が変わることを伝えてくれます。
さるかにがっせん
次は『さるかにがっせん』です。
ある日、カニがおにぎりを持っていると、サルが「柿の種と交換しよう」と持ちかけます。カニはそれを断りますが、サルは無理矢理おにぎりを奪い、柿の種を置いて行くのでした。
カニは仕方なくそれを持ち帰り、さっそく蒔きます。カニが歌うと、あっという間に柿の木は成長し、美味しそうな柿がなりました。しかし、カニは木に登れません。サルが現れ、「代わりに実を取ってきてやる」と言うも、柿をむしゃむしゃと食べ始め、カニには青い実をぶつけます。カニは怪我をしてしまうのでした。
それを聞いた、ハチ、臼、栗、牛の糞がカニのために、猿をこらしめようと決めます。サルの留守の間に忍び込み、奇襲をかけ、サルは命からがら逃げて行くのでした。
正義感の強いお子さんにおすすめです。ハチ、臼、栗、牛の糞が、それぞれの特技を使って、サルをやっつける姿は、爽快でありながら、ユーモラスです。自分の身の丈にあった特徴で誰かの役に立つ大切さも教えてくれます。
かさじぞう
次は『かさじぞう』です。
雪深い山にある夫婦が住んでいました。2人は貧しく、米1粒もありませんでした。大晦日、男が町に女房の髪飾りのかせ玉を町に売りにいくも、なかなか売れません。そこにやってきた笠売りのおじいさんもまったく笠が売れないと言うので、2人はかせ玉と笠を交換するのでした。
家に帰る途中、地蔵様の頭の上に雪が積もっていたので、それを払い、笠を被せてあげます。家に着き、それを女房に話すと、「それは良いことをした」と喜ぶのでした。
その夜、2人が寝ていると、外からもの音がします。外へ出てみると、米や野菜、着物などがたくさん置いてあり、遠くに地蔵様が去って行くのが見えました。
相手に親切にしたり、良い行いは、自分に返ってくることを教えてくれます。誰も見ていなくても、良い行いができる子どもになってほしいですね。
いっすんぼうし
最後は『いっすんぼうし』です。
ある村に小指ほどの男の子が生まれました。両親はそれでも一寸法師と名付け、可愛がりましたが、何年経っても大きくなることはありませんでした。ある日、一寸法師は「京に行って、侍になる」と言い、両親は針の刀とお椀の船を用意して、送り出しました。
京につき、大臣のところに行くと、大臣は一寸法師のことを気に入り、娘の春姫の家来として使えるように言いました。
それから何年か経ったある日、清水寺へ行った帰り道に鬼が現れ、姫をさらおうとしました。一寸法師は鬼の前に立ちふさがろうとも、あっけなく鬼に食べられてしまいます。しかし、一寸法師が針でお腹の中をつつきまわるので、鬼は逃げて行きました。鬼が忘れていった打ち出の小槌で体が大きくなった一寸法師は春姫と結婚し、いつまでも幸せに暮らしました。
たとえ、どんなハンデがあっても、努力次第で願いは叶うということを教えてくれ、子どもに勇気を与えてくれるでしょう。
親子で読むことで、学びが深まる
ここまで紹介した4つのおとぎ話は、ストーリーを楽しむだけでなく、内容から得られる教訓について考えることが大切です。そのためには、子ども一人で読ませるのではなく、親子で読むことで学びを深めていくことができます。
普段からママやパパが伝えていることをおとぎ話を通じて「あ、本当に大事なんだ」と気づくきっかけになります。おとぎ話を通じた心の教育は、ママやパパの普段の声かけを補ってくれているとも言えるのです。
今日紹介した作品については、絵本の読み聞かせが最適でしょう。親子で時間を共有することにつながるので、学習効果はぐんと膨れ上がります。子どもだけでなく、ママやパパも改めて学びを得る機会にもなりますので、ぜひ、子どもと一緒に楽しんでみてください。楽しみながら学ぶことこそ、知育の本質です。
まとめ
いかがだったでしょうか。ここまでみんなが知っている日本のおとぎ話、これからを生きていく子どもに必要な教訓を伝えられる作品についてご紹介してきました。
今回紹介した作品はハッピーエンドのもの、悪を懲らしめるものが多く、読んだ後の感想も気持ちが良いものになります。作品がそのような結末を迎えた背景にある、登場人物の考え方や気質などをママやパパが解説することで、子どもの成長や発達に大きな影響が与えられます。
これからを生きる教訓を学べることは価値のある時間となりますので、ぜひ、親子でおとぎ話を楽しんでみてください。