学校ではなかなか教えてくれないお金の話。子どもが小学校に入学する前からできるお金の勉強とは?
最終更新日:2021/01/04
お金の勉強はいつから始めたらいいの?
皆さんのご家庭では、親子でお金について話し合ったり、勉強したりした経験がありますか?
日本の学校教育の中では、お金とは何か?お金のいい使い方やリスクなどを学ぶ時間は設けられていません。各学校に委ねられているともいえます。大人であっても、主体的に学ばなければ得られない知識でもあります。
それぞれのご家庭には、お金に対する考え方があるでしょう。そして、子どもにお金を持たせることへの不安、財布を渡す不安、お年玉やお小遣いの管理の悩みなどを抱えていることも多いでしょう。
では、何歳頃から、お金の勉強はできるのでしょうか。実際には、数の概念がおぼろげながらでも理解できていれば始められると言われています。
正確に数が数えられるようにになったり、10までの数の簡単な足し引きをすることができるようになったり。早ければ4歳ごろから始められるかもしれません。少なくとも、小学校に入学するまでには一度、お金とは何かを考えられる時間を親子で作ったほうがいいでしょう。
大人が意識していないだけで、子どもは小さい頃からお金に触れている
3歳や4歳になると、ママやパパにくっついて、コンビニやスーパーに行くときに「買い物」という行動を意識するようになります。
野菜やお肉を買う、お金を払う、お釣りがくる。ひとつひとつの行動が何を表すのかはわかっていなくても、「買い物=物を手に入れるときにお金が要る」ということは認識できるようになります。
お菓子やマンガ、ゲームなど、子ども自身がほしいと思ったものをママやパパにねだったときにも、値段が高いだとか、そんなもの買えないだとか、お金に関する情報が入ってきます。
お金の価値や使い方をちゃんと伝えた上で、買い物とは何かを知ることでお金の勉強を始める。これが、4歳の頃から始められるお金の勉強です。
お金について学べる、親子での遊び
では、お金について親子で学ぶにはどうすればいいのでしょうか。楽しみながら学ぶ知育的な観点では、遊びを通じて学ぶのが一番です。
今日はいくつかの遊びをご紹介します。この順番を踏むことで、楽しみながらお金の勉強ができるはずです。
①1円玉でお買い物ごっこ
まずは、子どもにとってわかりやすい1円玉だけを使って、お買い物ごっこをしてみましょう。
おもちゃなどに1円、2円、3円の札をつけてスタート。子どもが店員さん、ママやパパがお客さん役でのごっこ遊びです。
「これください。おいくらですか?」「〇円です。」というやりとりをして、お金を支払います。支払うときには、実際の1円玉を使うことをおすすめします。
お子さんが慣れるまでは、1度の買い物は1個までとし、慣れてきたら2個や3個に増やしていきましょう。「2円のものと3円のものだから、全部で5円だね」というように、たし算の練習にもなります。
子どもがおもちゃにいくらの値段をつけるかも重要なポイントです。その値段をつけたのはなぜか。このおもちゃよりあのおもちゃのほうが高い(安い)のはなぜか。このような質問を子どもに投げることで、物の価値を考えられるようになります。
物の価値にはお金が紐づくので、買い物の疑似体験だけでなく、お金の勉強につながります。
②お店で値札を見ながら、実際にお買い物
次は、実際にお買い物をします。真剣に買い物をするというよりは、お買い物ごっこの延長で、お店に行って買い物の体験をするといったほうが適切です。
10円の駄菓子コーナーなど、同じ値段で商品が陳列されている場所があれば理想です。「好きな駄菓子を3個取っておいで」と言い、駄菓子を持ってきたら「合わせて何円だろう?」と計算させてみてください。たし算が苦手でも、数を数えることができれば、金額を出すことはできます。
いろいろな値札を見て、買い物でのお金の計算がたし算で構成されていることを感じながら、アレとアレを買うといくらになるだろうと考えさせてみてください。また、同じお菓子でも値段が違ったり、同じ金額でも商品が違ったりといったことを子どもに問いかけながら、多くの「なんでだろう?」を子どもに与えてください。
③硬貨を増やしてお買いものごっこ
次は、硬貨を増やしてお買いものごっこです。お買い物ごっこ、実際のお買い物体験と経て、もう一度ごっこ遊びを行います。
ここでは1円玉だけではなく、5円玉や10円玉なども使いましょう。値段や物の価値を考えながら買い物を経験しているので、値段の違いや合計金額の支払いといったことの理解が深まっています。
ただ、大きい数の概念は小学校入学以降でなければなかなか理解しがたいので、最大でも20円までが妥当です。
①②③と進んだ後には、またママやパパにくっついて買い物に行くことをおすすめします。買い物と買い物ごっこを組み合わせることで、お金とは何か考えやすくなります。
硬貨を増やしたお買い物ごっこを繰り返す中で、いろいろな硬貨や紙幣があることも併せて教えていきましょう。5円玉は1円玉が5枚分の価値があり、10円玉には1円玉が10枚の価値があることを知ります。これは1の位や10の位といった位の概念を知ることにもつながります。
お金の勉強を通じて、たし算とひき算を学ぶ
実際のところ、お金の勉強をするときには、たし算とひき算が分かっていたほうが学びやすいのですが、言い換えると、お金の勉強によって、たし算とひき算を学べるともいえます。お金の勉強を通じて、たし算とひき算を学ぶことは理にかなっています。
ここまで紹介してきた遊びの中でも、たし算とひき算を学ぶ機会は作れますが、改めて学ぶ機会を作るのであれば、以下のような遊びがよいでしょう。
まずは財布の中に「何枚」の硬貨が入っているかから始めます。小学一年生で学ぶときのおはじきと同じ役目です。「何円」入っているかを考えだすと値段の価値を考えなくてはならないので、ここは「何枚」が大切です。
「100円玉が〇枚と10円玉が□枚だから、お財布の中には△枚入ってる」というように、お財布の中の硬貨の枚数を数えてみましょう。ここで「◯+◻︎=△」というたし算の概念に触れることができます。
今度は尋ね方を変えて「100円玉と10円玉、合わせて何枚入っているでしょう?」と聞きます。「合わせて」という感覚がたし算につながります。
ここまで来れば「このお菓子とあのお菓子を買うから、合計は〇〇円だ。」「お財布の中身は〇〇円だから、このお菓子買ったら、残りのお金は□□円だ」というように、ひき算の発想も自然に身につきやすくなります。
まとめ
日本では「お金のことをいうのは、はしたない」や「お金のことを教えると子どもがお金ばかり考えるようになってしまう」など、お金の勉強そのものに対するネガティブな風潮があります。
若者に聞けば、稼ぐや儲けるといった言葉に対する嫌悪感をもつ人が少なからずいますし、「清貧」の発想が強い社会でもあります。
しかし、今の社会において、お金をやりくりしながら生活していくことは至極当たり前のことですし、すべての人に平等に発生する考え事です。お金の勉強を何もせずに社会人として自らの子どもを送り出すことに不安を感じないほうがおかしいのです。
お金の管理についても似ています。高校から大学へ進学する際、子どもが一人暮らしをすることになったから、子ども自身が家計のやりくりをしなくてはならない。こういった事情は日本では当たり前に起きますが、だから親が不安に感じるというのは、単純に子どもに学ぶ機会や管理する機会を与えなかったからという背景によるところが大きいでしょう。
お金の勉強は、残念ながら今の学校教育では満足のいくものが提供できていません。だからこそ、親子で小さなときから学び、それぞれのご家庭でのお金に対する価値観を育むことが必要となるのです。