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「お絵描き」は、子どもの心と身体と育ちに欠かせない楽しい遊び!

公開日:2022/11/16
最終更新日:2022/11/16

紙と筆記具さえあればすぐにでも始められる「お絵描き」は、子どもにとって最も手軽で身近な創作活動のひとつ。夢中になると何時間でもお絵描きをしている子もいるのではないでしょうか? そこで今回は、特定非営利活動法人 芸術と遊び創造協会で子どもたちの絵画指導にあたる「絵画指導スペシャリスト」の高橋亜希子さんに、子どもの成長過程にお絵描きがもたらすメリットや、よりお絵描きを楽しめる工夫などを伺いました。


◆「お絵描き」が始まるのは何歳ごろから?
一人ひとりの発達や環境によっても異なりますが、「お絵描き」は“握る”という動作ができるようになる1歳ごろから始まるんだそう。

「最初はいわゆる『なぐりがき』で、手に持っていた筆記具を紙などにたたきつけたら偶然何か描けた、というものです。自分で手を動かしたことで目の前に変化が起きることの驚きや喜びを覚えることからスタートし、そのうちに手をぐるぐると動かしたり、長い線を描いたりしながら、徐々にできることが増えていきます」

指先や体の成長に伴ってお絵描きも変化。描ける線や図形が増えていき、やがてさまざまな“もの”を描くようになってきます。生活の中で見たもの、感じたこと、心を動かされたものなど、経験やコミュニケーションを通して、表現したいと思うことを絵にしていくのです。

「お絵描き」は、子どもの心と身体と育ちに欠かせない楽しい遊び!

◆絵を描くことで伸びる、子どもの「ちから」
それでは絵を描くことによって、子どものどのような「ちから」になるのでしょうか。

「絵を描くことは、あらゆる面で子どもの育ちに影響を与えていると考えています。道具を持つ、座って姿勢を保つ、といった『身体の発達』に関わる側面もありますし、対象を見る観察力や画面の中にどのように描くかを考える構成力、言葉の理解、コミュニケーションなど、身体と心の両方の育ちに欠かせないポイントが含まれています」

「お絵描き」は、指先を使うことを覚えるなど身体的・技術的な成長に繋がることはもちろん、様々な物に対する興味・関心を育てることにもつながるんだそう。植物を描こうと観察しているうちにその植物に対する知識が身についたり、月を描いた後に月の満ち欠けなどの変化に気がつき、それがきっかけで天体に興味を持つといったことも。また、他の人の作品を見た際、『この絵を描いた人は、どんな気持ちだったのだろう』と、自分以外の人に思いを巡らすことができるようになり、それがやがて他者理解へと繋がっていきます。

物を握れる力がつき、紙と描くものさえあればはじめることができるお絵描き。もしかしたら子どもにとっては、言葉よりも早く身につけられるコミュニケーション方法のひとつなのかもしれませんね。

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◆家庭でお絵描きを楽しむためには?
簡単にはじめることができ、総合的な育ちにもつながるお絵描き。そんなお絵描きを家庭でより楽しめるようにするために、親ができることや工夫などはあるのでしょうか?

「まずはいつでも描ける環境を整えてあげることが大事です。といっても、必ずしもしっかりした画材を用意する必要はありません。裏紙とクレヨンなど簡単なもので構いませんので、子どもが描きたいと思ったときに、すぐに手に取れるようにしておくといいですね」

また、普段から絵が描きたいという気持ちを持てるような声かけも大切だといいます。たとえば「お花が咲いているね」「お月さまが出ているね」など、親が「素敵だな」と感じている身の回りのことを伝えるようにしていくと、子ども自身でも「素敵なもの」をみつけ、それを表現しようとします。自分で題材を考えて自分で描けるようになると絵を描くことがさらに楽しくなります。自分で描けたという喜びは大きな自信になり、様々な意欲へつながっていくそうです。

「親の描きたい絵と子どもの描きたいものは異なります。まずは『描くこと』そのものを楽しめるように、細かいことは気にせずに見守ってみましょう」

現在はお絵描きにデジタルデバイスを使用することもできますが、はじめはぜひ紙とクレヨンなどアナログで絵を描く経験をしてほしいと高橋さん。

「さまざまな画材を使うことで得られる、手触りやにおいといった感覚もぜひ体感させてあげてください。自然光のもとで見える色を見ながら、五感で描くことが絵の楽しさですから」

クレヨンや絵具の色の出方、力の入れ加減で変化する線、湿度で変わる紙の手触り、心地いい感じや不快な感じなど、アナログだからこそ実感できることがたくさんあります。まずは紙のお絵描きからはじめたいですね。

<道具の選び方>
お絵描きをするときの筆記具ですが、以下のような点に気を付けて選ぶと良いそうです。

・描いたものがしっかり見える筆記具
筆記具は身近に手に入る水性ペンやクレヨンなどで良いのですが、描いたときに子どもが「自分で描いた!」と実感できるくらい、色がしっかり見えるものを選びましょう。

・色数
3歳未満の子どもはまだ視力や視野が発達途中ですので、色数は少なくてもかまいません。3歳以上ならクレヨンや色鉛筆などは、16色程度のものがおすすめです。特にピンクや水色、ペールオレンジなどの中間色は好まれますので、これらの色が入っているものを選びましょう。

◆さらに上達したいと思ったら?
お絵描きが好きな子は、次から次へと描き進めていきます。もっといろいろな絵が描きたいと感じている場合、どのように手助けしたらよいでしょうか。

「描いているものを否定することなく、認めてあげるといいですね。また、有名なメーカーの画材を揃えるなど、良質なものを惜しみなく用意してあげましょう。それだけでも十分うまくなっていくと思います」

高橋さんが子どもたちに指導する上で大切にしているのは、その日に子どもが表現したいと思っていることに寄り添ってあげることだそう。親もできるだけ、子どもの気持ちを尊重してあげましょう。

もう一つ大切なのは、感性を磨き自分の絵につなげること。描くだけでなく、いろいろなものを見るのもおすすめ。美術館などに連れていき、ゆっくり鑑賞するのもいいそうです。

また描く時間を確保するという意味でも、絵画教室に通うという方法があります。絵画教室では自分が好きなものを描くだけでなく、題材が決められていたり、正しい道具の使い方や技法を教わったりと、家庭ではできない経験ができます。教室では絵が好きな子どもたち同士の交流も生まれ、幼稚園や学校とは違った「自分の居場所」を得られるのもいいですね。

◆好きなものと関連付けたり、きっかけを与えたりすることで、よりお絵描きが楽しくなる!
絵を描くことは嫌いではないけれどあまり積極的に描かない子や、どうやって描き始めたらよいのか迷っているような場合は、子どもの興味関心があることとつなげてみましょう。また、画用紙の中になにか「きっかけ」を作るなどしておくと、描きやすくなります。具体的な例を挙げてみましょう。

・あらかじめどんぶりやお皿の形にした紙に描く

あらかじめどんぶりやお皿の形にした紙に描く

例えばラーメンなら、どんぶりの形の画用紙を用意して、おままごとをするように描いていきます。クレヨンで麺を描いた後、折り紙で具を貼り付けるなどして、どんぶりを完成させるお絵描きです。普段よく見ているものであれば、楽しくお絵描きができるでしょう。お皿にして、スパゲティやハンバーグなどを描くアレンジもできます。

・歌に合わせてお絵描き

歌に合わせてお絵描き

歌が好きな子であれば、歌に合わせてお絵描きをするのはどうでしょう。たとえば童謡「チューリップ」を歌いながら、歌詞の通りに赤・白・黄色と画用紙に花を咲かせていきます。好きな歌とお絵描きが結びつくことで、絵を描く楽しさも実感できるはず。クレヨンの箱の中にある他の色の花も咲かせると、盛り上がります。

・白色だけではなく、さまざまな色の画用紙を用意する
真っ白な紙を前にしてどうしていいのか分からなくなってしまう子もいるようです。そこで色画用紙の出番です。水色の画用紙なら「空」に見立てることでイメージもわきやすくなります。自分の中にあるものを絵として表現したくなるよう、ちょっとしたきっかけを作ってあげるといいですね。

お絵描きによる子どもの発達や、楽しくお絵描きをするための工夫などを紹介しましたがいかがでしたか。なぐりがきからスタートする子どものお絵描きは、さまざまな学びを与えてくれます。気軽に描ける環境や、描きたいと思えるようなきっかけをつくれるといいですね。お絵描きで達成感を味わい、自分で表現できる喜びを知ることで、日々見える景色も変わるかもしれません。この機会に、親子で楽しくお絵描きをしてみては?


プロフィール
高橋亜希子さん
女子美術短期大学造形科卒。多くの保育園で乳幼児の絵画指導の実践を経て、2006年に「絵画指導スペシャリスト」の資格を取得。
2009年、前身である芸術教育研究所に入所後、現在は特定非営利活動法人芸術と遊び創造協会人材育成部に所属。子どもアートスクール「絵画教室」での幼児から小学生までを指導を行う。
また、「保育 絵画指導スペシャリスト養成講座」をはじめとする、当協会における絵画指導講座の指導、企画・運営や、研究誌「芸術と遊び」の編集に主任として携わるほか、各地の研修会等でも講師を務める。
2003年TULLY’S COFFEE主催の絵本コンテストで「優秀作品賞」を受賞。

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