脳に良い食べ物を食べて、子どもの集中力をあげよう!脳に良い栄養素とは?
最終更新日:2021/09/18
脳の栄養素が欠如している現代人
前の記事で、子供の集中力を上げる方法にて、「子どもの集中力を上げるためには、日々の食事も大事だよ」ということについて少しだけ触れました。今回は、「集中力と食事」について掘り下げたいと思います。
忙しい現代社会では、なかなか食事に気をまわせませんね。昼食は学校で栄養バランスが整った給食が食べられます。
しかし、朝は抜きであったり、食パン1枚など簡単な食事で済ませてしまっていませんか。学校から帰ってきたら、お菓子をつまんでいませんか。夕食はファーストフードやできあいのお弁当で済ませてしまってはいませんか。
いっときの飢えはおさまるでしょう。しかし、本当に必要な栄養が摂取できずに、子どもの中に眠る集中力を発揮させることができません。
前の記事で述べた通り、集中力を発揮するということは、頭の中にいるゾウを飼いならすようなもの。飼いならすには、同じく頭の中にいるゾウ使いが元気でいなければなりませんが、栄養不足になればゾウ使いは疲れてしまい、ゾウが暴走してしまいます。
集中力が上がる「地中海食」
なぜ食事によって集中力が上がるのかという理由はまだ不明な点が多いのですが、多くの実験や研究で、食事が集中力に影響するということは判明しています。
なかでもディーキン大学による研究は精度が高く、信頼できます。
「地中海食」という食事法をご存知でしょうか。地中海食はイタリアやギリシャなどで古くから伝わる伝統食であり、魚介類、野菜、フルーツ、オリーブオイルなどをたくさん食べ、ファーストフードやインスタント食品を避ける食事法です。
どんなメニューかというと、ボイルサーモンや全粒粉のラザニア、フェタチーズとトマトのサラダなどが定番です。なんだかオシャレですよね。そしていかにも健康そうな食事です。
実際に、この食事法を実践した被験者の体調は改善されました。そして、地中海食を徹底した被験者ほど、ワーキングメモリー、セルフコントロール能力、注意の持続力などが高まり、さらに、この効果は国籍や性別、年齢問わずに確認されました。
集中力というのは、いくつかの能力が合わさった複合的な能力です。そして、ワーキングメモリー、セルフコントロール能力、注意の持続力はその中に含まれます。
この研究でわかったことは、「健康的な食事を心がければ、どんな人でも集中力が上がる」、「脳機能は食事によって左右される」ということです。ゾウ使いが元気になり、ゾウを飼いならすことができるんでしょうね。
脳の基礎体力を作るための栄養素
前の記事で、「脳の基礎体力を作るための栄養素」というものを述べました。鉄分、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル、ビタミンD、葉酸、ビタミンB12、オメガ3脂肪酸、コリン、必須アミノ酸です。これらは、現時点で科学界で重要視されている栄養素であります。
ここからは、それぞれの栄養素がどんな食材によって、摂取できるのかお伝えしていきたいと思います。どの栄養素も脳の働きには必要な成分であり、不足してしまうとうつ症状、感情コントロール不全などが見られ、お子さんのメンタルにも影響があるのです。
鉄分、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル
まずは、ミネラルです。
ミネラルは五大栄養素の1つです。人間の臓器や細胞の活動をサポートしたり、歯や骨のもととなったり、重要な働きをします。
鉄分は、肉や魚介類、緑黄色野菜から摂れます。亜鉛は、肉やレバー、牡蠣、海苔などが豊富です。ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップするので、肉と野菜などを一緒に食べるといいでしょう。マグネシウムは、アーモンドをはじめとする種実類、魚介類、豆類などから多く含まれます。しかし、マグネシウムの過剰摂取には悪影響があるので注意が必要です。
ビタミンD
次に、ビタミンDです。
ビタミンDには、カルシウムの吸収を助け、カラダ作りをサポートします。最近では、免疫力を高めるのにも有効だと言われています。
ビタミンDが比較的多く摂取できるのは、魚介類からです。その他に、日光を浴びることでもビタミンDを摂ることができます。1日20分程度は、日光に当たりましょう。
葉酸・ビタミンB12
次に、葉酸です。
葉酸はビタミンB群の1つであり、ビタミンB12とともに、赤血球の形成を助けたり、胎児の正常な発育をサポートしてくれる栄養素です。妊娠期だけでなく、授乳中にもぜひ摂取したい栄養素です。
肉や米、豆類や海藻類など、いろいろな食材に含まれている葉酸ですが、特に野菜に多く含まれています。それに対してビタミンB12は、レバー、赤身肉、魚、アサリや牡蠣などの魚介類、卵などの動物性たんぱく質に多く含まれています。
オメガ3脂肪酸
次に、オメガ3脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸には、植物由来のαリノレン酸、魚介由来のDHA、EPAがあります。αリノレン酸はクルミやアマニ、エゴマなどに多く含まれ、DHA、EPAはイワシやサバなどの青魚に多く含まれます。
オメガ3脂肪酸の効果はさまざまで、αリノレン酸はアレルギー原因物質を抑制したり、血圧を下げたり、血栓防止などの効果があります。DHAは脳神経を活性化し、記憶力の向上などの効果があり、EPAには血液をサラサラにする効果があります。
オメガ3脂肪酸のサプリメントはよく販売されていますが、オメガ3脂肪酸は酸化しやすいので、やはり食材から採るのが良いそうです。
コリン
次に、コリンです。
一般的にはあまり聞かない栄養素ですが、人間のすべての細胞に存在します。コリンには記憶力を高める効果、肝機能を高める効果、動脈硬化を予防する効果、血圧を下げる効果などがあります。その結果、健康だけでなく若さまで維持してくれます。
卵黄やレバー、肉、緑黄色野菜、酵母などの食材から多く摂取できます。
必須アミノ酸
そして、必須アミノ酸です。
必須アミノ酸は、約20種類ある中の、人の体内で作り出せない9種類のアミノ酸、イソロイシン・トリプトファン・ロイシン・リジン・メチオニン・スレオニン・フェニアラニン・バリン・ヒスチジンのことです。
それぞれに体を作る役割があり、どれか1つでも欠けてしまうと、健康的な体を維持できなくなります。筋肉量が減ったり、肌のトラブルや免疫力の低下、思考力の低下などがあります。
アミノ酸はタンパク質の多い食材を食べることで得られますが、それぞれ違うバランスのアミノ酸の種類を持っています。卵、肉、魚介類、豆類、乳製品といった違うカテゴリーの食材を食卓に取り入れることが大事です。また、魚なら、サケ、マグロ、サンマなどと、種類を変えても、バランスよくアミノ酸を摂ることができるでしょう。
アミノ酸スコア100の食品というものがあります。必須アミノ酸の全種類を必要量含む食品です。それは、卵、牛肉、豚肉、鶏肉(脂身・皮なし)、イワシ、サケ、牛乳、ヨーグルト、ローヤルゼリーなどです。しかし、タンパク質の過剰摂取は肝臓に負担をかけるので、注意が必要です。
脳の劣化を防ぐ「MIND」
脳が良いものを食べましょう。逆に脳に悪いものを食べないことを心がけましょう。特にカロリー制限をする必要はなく、お腹いっぱい食べても大丈夫です。この3つのルールの食事法を「MIND」と言い、これさえ守れば、認知機能の低下を防ぎ、脳が正常に働きます。
「MIND」が定める「脳に良い食品」をどれだけ食べればいいか、「脳に悪い食品」をどのくらいまで我慢すればいいかのガイドラインは、ぜひご自身で調べて、参考にしてみてください。
「MIND」が推奨する食材を食べれば、細かい栄養素のバランスを気にせずに、脳の働きに欠かせない栄養素を摂取できます。
お菓子やスナックは子どもは大好きですよね。「MIND」では完全におやつ類をなくさなくてもかまいません。しかし、なるべく減らすように心がけ、おやつをナッツやベリー類など変えるなどしてみてください。
また、「MIND」は4〜8週間ほどで、脳機能の改善が確認されたという報告があります。続けるのは大変かもしれませんが、子どもの勉強の成績だけでなく、同じ食事を食べるママ、パパの仕事の効率も上がることが期待できるので、家族で挑戦してみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。脳機能を高めてくれる栄養素、食事法についてお伝えしてきました。
「脳の基礎体力を作るための栄養素」では、それぞれ栄養素がどんな食べ物に含まれているのか、紹介しましたが、やはり多かったのは、野菜と魚介類でしたね。これらは、「地中海食」にもありました。
もちろん五大栄養素をバランス良く食べるのは大事ですが、脳機能を高めたいのであれば、野菜と魚介類を多く摂ることから始めてもいいかもしれませんね。