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日本のむかし話を読んで、子どもと一緒に国語と地理や歴史の興味を広げよう!

公開日:2021/03/02
最終更新日:2021/02/27

日本の民話は数が多い

日本にはいくつくらいの昔話があるか知っていますか。全31巻あるという『日本昔話通観』には約60000話掲載されているそうです。『桃太郎』や『浦島太郎』といった多くの人が知っている昔話から、それぞれの地域に伝わる民話までさまざまです。

登場人物や、場所が特定されていないようなお話もありますが、中にはその土地との結びつきの強い言い伝えや昔話もあるのです。ここからは、実在する地名が出てくる昔話を5つ、ご紹介します。

日本の歴史を学ぼう

おかげ参り

1作目は『おかげ参り』です。

昔、阿波の徳島にある呉服屋さんの一人娘、お千代は、どうしてもお伊勢さんの『60年に一度のおかげ参り』に行きたくなり、隣の家の与七を誘って、子犬の「おさん」も連れて旅立ちます。

あまりにも浮かれすぎたお千代は一度にたくさんの物を食べすぎてお腹を壊し、旅をリタイアします。与七はお千代の代わりに「おかげ参り」をするよう、お千代のかんざしを託されます。帰ろうとするも、おさんにギャンギャンとけしかけられて大阪にたどり着きます。

道中、与七は誤って野良犬のしっぽを踏んでしまいます。そして、野良犬の群れに追いかけられるハメになります。

「もうだめだ」と思ったその時、与七の危機を救ってくれたのは、おさんでした。野良犬も従えて、一行はついにお伊勢さんにたどり着きます。故郷に帰ってきた与七は、お千代と結婚し、商売も大繁盛しましたとさ。

『おかげ参り』は三重県に伝わる昔話で、与七とおさんの冒険物語です。今のように交通機関が発達していなかった時代だと、旅も自分で歩いていくしか方法がなかったはず。徳島から三重の旅というと、過酷なことが想像できますよね。それだけの長旅を乗り越えたからこそ、商売が繁盛したのではないでしょうか。

おもかる石

2作目は『おもかる石』です。

昔、岐阜の外れにのどかな小さい村がありました。村人たちは村の災いを防ごうと観音堂を建てました。平六が朝早く、お参りに出かけると、観音堂の真ん前に大きな石が置かれており、10人がかりでも動きません。

その晩、平六の息子が寝込んんでしまい、平六は観音様にお祈りをします。その後に、石にちょいと触れると、石はゴロンと動き、平六の息子の病気はすぐに治ってしまいました。そして。村長は「観音様にお祈りをして、石が軽くなるとその願いが叶う」という法則を見つけました。

皆が石で占いをしていると大男がやってきて、馬鹿力で石を動かそうとしますが、びくともしません。村人たちが「信心が足りないからだ」と馬鹿にすると、大男は怒って、村人を殴ろうとしますが、村人が避けて、後ろにあった石を殴って手を痛めてしまいました。

大男の怒りは石に向かい、なんとオシッコを石にかけます。すると、石は燃え出し、逃げようとした大男のお尻に火がつき、慌てながら村から逃げて行きました。

人々はこの不思議な石を「おもかる石」と呼んで、それからも、様々なことをこの石で占うのでした。

岐阜県に伝わるお話で、このお話のように大きな石ではないようですが、実際にその重さで占いができる石があるようです。ぜひ行って、願い事が叶うかどうか占ってみたいですね。

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足長手長

3作目は『足長手長』です。

昔々、会津では豊かな作物が毎年実っていました。ところが、足長手長という夫婦の魔物が現れました。夫は長い足を使い雲を集めて、妻は長い手で湖から水を集めて畑に雨をふらせました。村人は、連日の雨で作物が腐ってしまいそうだと困っていましたが、その様子を見て足長手長は大喜び。暴風や雷などで、もっと村人に意地悪をしていました。

そこに一人のお坊さんがやって来て、村人の話を聞き、足長手長の元へ向かいます。足長手長を「さすがのお前たちでも、こんなに小さなツボには入れないだろう」と挑発をしました。足長手長は「できたら、お前の命をもらうぞ」と言い、みるみる小さくなり壺の中に入ります。

二人が壺に入ると、お坊さんは壺の蓋を閉めて、法衣で包み、磐梯山の頂上に埋めて大きな石を重しとして置きました。足長手長の二人を山の明神として祠を立てて、会津は再び作物が実る土地に戻りました。

足長手長には「会津」といった地名や「磐梯山」という山の名前が出てきます。会津は現在の福島県の西部、磐梯山は福島県にある標高1819mの山です。地名があると、お話をより具体的に想像することができますね。

因幡の白兎

4作目は『因幡の白兎』です。

昔、因幡という地に白いウサギがいました。ある日、ウサギはサメに嘘をついて向こう岸に渡ろうとしますが、サメは騙されたことを知り怒ってしまい、ウサギは皮をはがされる大けがを負ってしまいます。

ウサギは痛みで泣いていると、美しいヤガミヒメに結婚を申し込みに行く途中だった大勢の神様が通りかかります。神様は「海水を浴びて風に当たるように」とウサギに言い、ウサギがその通りにするともっと痛くなってしまいました。

そこに、優しい神様がやって来て、「真水で身体を洗い、ガマの穂をほぐしたところに寝なさい」と言い、その通りにするとウサギの身体はすっかりよくなりました。ウサギは感謝して「ヤガミヒメは心の優しいあなたと結婚するでしょう。」と言い、優しい神様はヤガミヒメと結婚しました。

やがて優しい神様は大国主命と呼ばれるようになり、人々からたいそう大事にされるようになりました。

大国主命は、出雲大社・大神神社に祭られている神様です。出雲大社は、島根県出雲市にある全国的にも有名な神社。現在は縁結び、福の神様としてよく知られています。その土地の有名な神様について知ることも、土地に親しむことの一部です。

飯降山

5作目は『飯降山』です。

昔々、ある山に3人の尼さんがきびしい修行をするために入っていきました。尼さんは、修業のために殺生できず、食べるものは草や木の実だけしたが、3人で支え合っていました。

ある日、天からおにぎりが3つ降ってきて、尼さんたちは仏様が修行のご褒美をくれたのだとありがたく食べました。それから毎日おにぎりが降ってきて、食べ物には困らなくなりました。

ところが、もっとおにぎりを食べたいと思った二人の尼さんは、年下の尼さんを殺してしまいます。2人は「これで3つのおにぎりを、2人で食べられる」と、おにぎりを待ちますが、降ってきたのは2つだけでした。

一番上の尼さんはもう一人も殺して、「これで2つのおにぎりを独り占めできる」と考えましたが、おにぎりが降ってくることは二度とありませんでした。これ以来、この山は「飯の降る山」と書いて、「飯降山(いぶりやま)」と呼ばれたそうです。

飯降山は、現在の福井県の福井市と大野市の間にある山です。昔話の中には、こうして山の名前となり、残っているものもあるのです。名前だけでなく、お話もセットで知ると、忘れないのではないでしょうか。

国語の学習へのつなげ方

民話を読み解くことは、国語の勉強にもなります。民話は生きていく上での知恵や、先人の学びが凝縮されているからこそ、ストーリーを追うことよりも「何を伝えたい話なのか」を考えることが大切です。

親子で一緒に読みながら「このお話は、何を伝えたいんだろうね?」と子どもに問いかけてみると、国語のテストの文章問題を解く練習にもなります。文章を読んで何を伝えたいのかを理解する能力は先々に必要なものですし、情報整理や要約する力は、多くの文献を読むことで培われます。

地理・歴史の学習へのつなげ方

民話を読んでいくことは、地歴の勉強にもつながります。昔話には、さまざまな地名が出てきたり、土地に祀られている神様の名前が出てきたりします。その土地の文化や歴史がよく表れているお話を読むと、土地の特徴について学ぶこともできるのです。

昔話の中に地名が出てきたら、その土地について調べてみるのも一つの楽しみ方です。寒い地域なのか暖かい地域なのか、は近いのか、農業が盛んな地域なのかなどを知ると、物語も深みが増します。

自分の住んでいる土地や、知っている場所にまつわるお話を探してみることもおすすめです。身近なところから連想するようにしていくと、学ぶきっかけを作りやすいのではないでしょうか。

日本の歴史を学ぼう

まとめ

いかがだったでしょうか。実在する地名などがで出てくる昔話を5つご紹介しました。

物語はただ読むだけでなく、メッセージを読み解いていくことで国語教育に、その土地を学んでいくことで地理や歴史の教育にもつなげることができます。お話の多くには、その土地を生き抜く上での知恵が含まれていたり、その地域の人達の信仰する神様の名前が出てきたりします。

まずは、お子さんと一緒に住んでいる土地に伝わる民話を探して、読んでみてはいかがでしょうか。