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「もしかして、見えにくい?」 子どもの視力低下を感じたら

公開日:2022/09/12
最終更新日:2022/09/13

子どもが日々成長していく一方、気になるのは「視力」。スマホやタブレット、ゲーム機といったデジタルデバイスがより身近になった現在、これらが子どもの視力へ与える影響も、無視できないものになってきています。
小さな子どもにとって、以前より見えにくくなったとしても、それに気づいたり言葉で説明することは難しいこと。子どもの視力の低下や異常に親が少しでも早く気づき、できることはないでしょうか?公益社団法人 日本視能訓練士協会の南雲幹さん、長谷部佳世子さんのお二方にお話を伺いました。


 

◆その行動、見えにくいのかも。視力低下が疑われるしぐさやサインとは?

子どもの生活の様子から「もしかしたら見えにくいのでは?」と気づくことができる、特徴的なしぐさや行動はあるのでしょうか。

「最も特徴的なのは、『近づいて見る』という行動です。一般的に子どもは対象に近づいて見る傾向があるのですが、必要以上に近づいているときは異常が疑われます。また、片側の目を前にするように顔を回して見る、斜めに見る、片眼をつむる、まぶしそうにするといった行動があった場合も注意が必要です」

人の視力は、生まれてから段々と育っていくもので、赤ちゃんの頃はものがはっきり見えているわけではなく、ピントの合うものを頭の中で認知することで視力が育っていくんだそう。正常な3歳児の平均視力は0.8といわれています。

「もしかして、見えにくい?」 子どもの視力低下を感じたら

「子どもの目の状態に関しては、子ども自身が見えづらさを訴えるのは難しく、周りも気づきにくいもの。ですから、きちんと視力が育っているか、視力に左右差がないかなどを早期発見するために3歳児健診では視力検査があるのです」

先天的に強い遠視や乱視、斜視(黒目の位置のずれ)など何かしらの異常がある場合、視力が発達せずにとどまってしまうことも。これらは「弱視」と言い、2~3歳ごろから治療用眼鏡を装用して視力を育てる訓練を行います。

いずれにしても、大切なのは早期に異常を発見すること。生まれてから健診のたびに目の検査はありますが、赤ちゃんの時から検査や診察は可能ですので、心配がある場合は小児眼科専門医に相談してみるとよいでしょう。

「何かおかしいな、と思ったら受診するのはもちろんですが、特に気になるところがなかったとしても、異常がないかどうか確認するために受診してもらってもかまいません。異常がないことが分かり安心できるなら、それが一番ですから」

また、子どもは0.2程度の視力があれば日常生活を不自由なく送ることができるため、就学時健診や学校入学後の検査で初めて目の異常に気づくことも多いそう。視力検査の結果「眼科の受診が必要」と診断された場合は必ず受診するようにしましょう。

 

◆どんなことに気をつけて生活すればいいの?

スマホをはじめゲーム機やタブレットなどを日常的に使用するようになった現代。近年では学校へのデジタル学習機器の導入が加速していますが、本と比べてデジタルデバイスは見る距離が約10cmも近いのだとか。先生方によると「人類史上、これほど“近くで何かを見る”機会が増えたのは初めてといえるほど」なんだそう。もちろん子どもたちもその例外ではなく、視力の低下は低年齢化しています。

デジタル機器の浸透によって、生活や娯楽がより便利になる一方、子どもの「目」にとってはますます厳しい環境になりつつある昨今。普段の生活ではどんなことに気をつけるとよいのでしょうか。

 

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「目と見るものの距離は30cmを保つこと、姿勢を正しくすること、30分経ったら30秒は目を休めること。この『30・30・30』を意識して、習慣づけられるとよいですね。また、外で太陽の光を浴びるのも近視の進行を遅らせる上では効果があると言われています」

小さい子どもの近視は近年ますます増加傾向。スマホやタブレットといったデジタルデバイスと物理的にも良い距離感をとりながら、目の使い方に気をつけて生活するとよいでしょう。

近視の進行予防や手術などの治療で視力をUPすることはできる?
近視の場合、手術以外の方法で視力を向上させたり回復させたりする方法はあるのでしょうか。
「近視の進行を予防するオルソケラトロジー(夜間にコンタクトレンズを着用する方法)や低濃度のアトロピン点眼など、近視の進行を遅らせる治療(自費診療)に関しては、少しずつエビデンスが整いつつありますが、それにも限界があります。その一方、近視を予防するサプリメントや視力回復をうたう超音波や低周波といった機器なども出回っていますが、いずれも医学的なエビデンスはありません。」

近視には環境要因だけではなく遺伝的な問題が要因の場合もあり、近視が進行する原因は実はまだ明らかになっていません。そのため「こうしたら絶対に予防できる」という方法も「まだありません」と先生方。

先述した「30・30・30」など基本的なルールを守りながら生活し、何かおかしいと感じることがあれば速やかに専門医を受診すること。それが、目の健康を守り、できる限り視力の低下を予防することに繋がると言えそうです。

 

◆大切なのは裸眼視力より矯正視力

眼鏡やコンタクトをつけていない、いわゆる遠見の「裸眼」の視力を気にする人は多いそう。特に親自身が近視だと神経質になる人も多く、心配をしすぎてしまう傾向があるようです。しかし、大切なのはあくまで「矯正視力」で近視や乱視などの屈折異常を矯正してどこまで見えるかということだと、先生方は口をそろえます。

「多くの親御さんが心配しているのは、裸眼視力が悪くなることだと思いますが、目に病気がなく、レンズで矯正した視力がきちんと出るようならば、それほど心配はいりませんよ」

・近視の眼鏡が必要になるのはいつから?
就学前の子どもは、近くが見えていれば眼鏡はあまり必要ないかもしれません。ですが、小学校へあがった後は黒板が見にくいなど不自由を感じる場面も増えてきます。教室の一番後ろの席から黒板を見るには、視力0.7は必要といわれています。少しでも見にくいようであれば、早めに眼科を受診して眼鏡について医師と相談しましょう。

「見えづらいにもかかわらず眼鏡をかけずに放置しておくと、学業に支障が出るかもしれません。眼鏡をかけていてもいなくても、近視は進行していきます。近視が進みすぎてからだと、度が強すぎて眼鏡がかけられないということもありますので、近視の軽いうちから眼鏡をかけるほうがいいですね」

近視になった場合、そのスピードは人によって違いますが、徐々に進行していきます。そのため眼鏡も、定期的に検査し適切な度数の眼鏡に作り変えることが大事です。学校での検査結果などで指摘されたら眼科を受診し眼に合った眼鏡をかけるようにしましょう。

「もしかして、見えにくい?」 子どもの視力低下を感じたら

眼鏡にマイナスイメージを持つ人もいますが、眼鏡は見え方を助ける良アイテムであり、子どもたちの日常生活を快適にしてくれるもの。眼鏡をかけることに過度に抵抗感を抱きすぎることなく、子どもの状況にあわせて、眼鏡をうまく装用しながら、快適に「見える」状態にすることが大切なんですね。

目の見え方は本人にしか分からないため、なかなか周りは気づきにくいもの。おかしいと思ったときや、異常がないか確認したいときには、眼科を受診することが大切です。今の子どもたちは、近視が進みやすい環境に身をおいていますから、できるだけ目に負担をかけない生活習慣を身につけ、デジタルデバイスとも上手に付き合っていきたいですね。


公益社団法人 日本視能訓練士協会
会長 南雲 幹先生
副会長 長谷部 佳世子先生
1972年、視能訓練士の職能団体として発足。会員の資質向上に向けた学術・教育事業および眼の健康を守る公益事業を中心に活動を行う。小児の弱視等治療用眼鏡への療養費給付の実現や、3歳児健康診査視覚審査のスクリーニング制度を向上させるためのマニュアル作成、「乳幼児版目の健康チェックシート」の発行など、弱視や斜視の早期発見・早期治療に向けた活動を積極的に行う。国民の眼保健衛生の維持向上と視能障害防止に寄与するよう、活動を展開している。

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