今だからこそ改めて考えたい。子育てにおける母親、母性の役割とはなにか?子どもに与える影響を考えよう!
最終更新日:2020/10/12
子育てにおいて母親に何が期待されているのか
イクメンという言葉が生まれ、積極的に育児に関わる父親も増えてきましたが、まだまだ子育てというと母親の役割だと思われているのも事実。パパに対する不満や悩みごとが尽きないママも多いのではないでしょうか。
子どもは産まれてくるまで、母親のおなかの中で成長します。産まれてからは母親のお乳が飲みたくて泣きます。母親がいてくれなくては産まれることも、生きていくことも難しいのです。
しかし、父親は子どもが生まれてきて初めて自分の役割を自覚するようなもの。このタイムラグは実は非常に大きく、この差がママの不満や悩みへとつながっていきます。どうしても父親以上に役割を求められてしまう母親の役割は多岐に渡ります。では、どのような役割を求められているのでしょうか。
母親の役割①愛情を注ぐこと
1つ目の役割は「愛情を注ぐこと」です。
子どもにどんなときにも無償の愛情を注ぐことは母親として当たり前かもしれませんが、母親の役割として最も重要なことです。
子どもが母親に求めるものは「愛」や「安心」。自分が求めたものが母親から返ってくることで、親子の信頼関係を築くことができます。これは他者との人間関係を築いていくための成功体験にもつながります。
もちろん、ついイライラして怒ったり叱ったりしてしまうこともあるでしょう。しかし、愛をもっての注意や叱咤、指導というのも愛情の一種として受け止められるものです。自分のために言ってくれていると理解していれば、感謝の気持ちへつながります。常に子どもに愛を持って接することで、子どもはまっすぐに育ちます。
母親の役割②包み込むこと
2つ目の役割は「包み込むこと」です。
優しい心で子どもを包み込むことは母親としての大切な役割です。「そばにいる」という安心感や幸福感は子どもの情緒を落ち着かせる意味でも重要です。
子どもの良いところも悪いところもすべて受け止めてくれる包容力によって、子どもは、「自分が愛されている」と実感できます。愛されて育った子どもは、人を愛すること、自分を愛することを知るようになり、また他者を愛し、他者を受け止めようという気持ちへとつながっていきます。
辛い時、苦しい時など、母親に抱きしめてもらい「大丈夫だよ」と言ってもらえるだけで、子どもは安心します。この安心感は父親が持つ力強さから生まれる安心感とはまったく異なるものです。
母親の役割③自尊心、自己肯定感を高くすること
3つ目の役割は「自尊心、自己肯定感を高くすること」です。
最近では愛着障害という言葉も知られてきていますが、親との愛着関係、情緒的な絆ができなかったことで起こる障害のことで、自尊心、自己肯定感の低さや他者に対する無関心、無期待へとつながります。子どもの世界でいえば、うまく友だちが作れなかったり、自分の意見ばかり伝えることで学校のクラスで浮いてしまったりなどのネガティブな状況が生まれやすくなります。
大学生を対象としたアンケートでは「赤ちゃん当時の記憶として、お母さんの匂い、声、添い寝などどれくらい覚えているか?」という質問をしたところ「お母さんの記憶がはっきりある」と答えた学生は自尊心、自己肯定感が高く、逆に「覚えていない」という学生は自尊心、自己肯定感が低いという傾向が明らかとなったというレポートがあります。
逆説的に言えば、これらを避ければ、子どもの自尊心や自己肯定感が高くなるということです。子どもへの関わりは遅すぎることはありません。気づいたときにすぐに改善すれば何も問題ないのです。
母親の役割④他者との関係を築くための基盤を作ること
4つ目の役割は「他者との関係を築くための基盤を作ること」です。
ママは子どもが生まれて初めて認識する他者です。そのママに絶対的な信頼感を抱くことで「他者は安全、安心なんだ」「他の人とも関わってみよう」と子どもは考え始めるようになります。
3つ目の役割にも通じますが、子どもの自尊心、自己肯定感が高いことで、他者に対しての興味や関心が湧き、相手の役に立つ何かをしたいという意欲がみなぎってきます。子どもが満たされることで、子どもながらに他者と交流し、共感する喜びを見出そうとする感情が育まれます。この感情によって他者と交流しようという欲求=他者と関係を築くための基盤が生まれるのです。
母性とはなにか
母性とは、家庭におけるママの役割のことです。家庭の状況によっては母親が不在であることも考えられます。母性は母親だけが発揮するものではなく、父親が発揮しても良いのです。
女性のほうが母性性が強い傾向がありますが、母親がやるべきことではなく、家族の中で母性を発揮できる人がやるべきこととなります。具体的にいえばここまで説明してきた4つの役割を果たすこととなります。
男性は仕事、女性は家事というような前時代的な役割分担論はもう程遠いものですが、子どもは母親から生まれてくるという事実を変えることはできません。その事実に基づいて、女性側に求められる母性的な役割は、ママの方が果たしやすいと言えるのではないでしょうか。
夫婦間の関係性が子どもに大きな影響を及ぼす
子どもにとって1番近い存在であるママやパパ。子どもはまず、ママとパパと自分という家族という単位での関わりから人間関係を学んでいきます。
乳幼児の頃は、母親という存在が子どもにとってすべてと言っても過言ではないほど、母親を常に求めています。「安心」できる存在であり、「愛情」をくれる存在。そして、子どもは母親が大好きです。
そのため、例えばママとパパの関係が上手くいっていないと、子どもは自分の存在を責め、お互いの調整役を担おうと自然に振る舞ってしまいます。この振る舞いに年齢は関係ありません。そして、愛着障害や自己肯定感の不足などといった、子どもの健やかな心の成長を阻害する状態を生み出してしまいます。
家庭は子どもにとって安心できる場所であり、自分が素直になれる居場所でもあります。その居場所がギクシャクしてしまえば、孤独感や疎外感、自分は生まれてきてよかったのかという揺らぎなどにつながります。
こういったネガティブな心の状態は、物事に挑戦することや他者と関わることに難しさを感じることにつながり、自分の意志が持てなかったり、人のために頑張ることができなかったりと子どもの発達にとっていいことはひとつもありません。子どもが生きづらさを感じてしまう原因になってしまうのです。
今も昔も母親は一家の太陽のような存在。その光や温もりで家族を包み込んでいます。これまで紹介してきた母親の役割、母性の発揮を大切にしていきましょう。
まとめ
今回は、子育てにおける母親、母性の役割をお伝えしました。
おそらく、この原稿を読んでいるのはママが多いのではないでしょうか。「この原稿を読んで」とリンクをシェアするのではなく、この原稿から考えたことをぜひパパに伝えてください。
父親のサポートはもちろん必要ですが、子育ての中心はやはり母親が担うことが多いでしょう。これは、責任や負担をすべて背負いましょうと言っているのではありません。父親と分担しながらも、大切なカギを握っているのは母親であるということです。
子どもは母親から多くのことを吸収します。人間形成に重要な愛情、信頼、安心、などといった、目に見えないながらも大人になるまでに育んでいかなくてはならない大切なものを、母親から感じ取ることで成長していくのです。それは、父親から吸収するものとはまた違います。
ここまでお伝えした役割もあくまでも一例です。皆さんのご家庭にとって、どのような役割がそれぞれに求められているのかを考えていきましょう。子どもの未来や教育などを考える前に、家族の土台が揺るがないよう、確認することが大切です。