子どもの気質を知ろう!それぞれのタイプの子どもとの向き合い方。
最終更新日:2022/01/22
生まれつきの性格、「気質」
人間には努力では変えることのできない、生まれつきの性格、「気質」というものがあるのをご存知でしょうか。アメリカではこの気質について1980年代から研究がされていて、その気質は4つに分類されると言います。
今回は、その4つの気質とそれぞれの気質に合った向き合い方をお伝えします。
気質が異なれば、同じ経験をしたとしても、異なる感じ方をします。ですから、親の言葉や態度が同じであっても、子どもにとって良い影響になったり、悪い影響になったりもします。
この記事を読んで、お子さんは、どの気質の持ち主なのか考えてみてください。きっと子育ての手助けになるかと思います。特に、3、4歳までは、環境によって形成された性格よりも、この気質の影響を受けやすいので、育児のヒントに役立ててください。
気質は、2つの軸をもとに、4つに分類されています。まずはこの2つの軸についてお伝えしていきます。
内向的か外向的か
まず1つ目の軸は、「内向的か外向的か」です。
これは社交的かどうかを示す内向的、外向的ではありません。
気質を表すときの「内向的」とは、「行動の決定を自らの内側に求めるタイプ」です。「外向的」は、「意識を外に向けるタイプ」です。
例えば、プレゼントを誰かに贈る際、自分の心の奥底で「相手をお祝いしたくてしかたない!」「プレゼントをあげたい!」と思うのが内向的であり、「プレゼントをあげたらきっと喜ぶだろうな」と相手のことを想像するのが外向的です。
「みんな相手を思ってプレゼントをあげるだろう」とも思うかもしれませんが、プレゼントやお土産をあげたいからあげる人って周りにいませんか。そういう方は内向的なタイプです。
他の例でいうと、何かに興味が湧いたときに、自分のタイミングで「それなに?」と飛び込んでいける子どもは内向的であり、関心を持ちつつももじもじしているような子どもは外向的でしょう。
内向的と外向的、どちらも長所と短所があり、どちらが優れている、劣っているということはありません。内向的な子どもに「空気を読みなさい」と言うのは酷なことですし、外向的な子どもに「自分の意見を言いなさい」と言うのも酷です。
これらは治るものではありませんので、不得意なことを克服させようとするよりは、得意を伸ばす声がけをしましょう。
ちなみに、内向的、外向的な人の割合は、年齢や性別に関係なく1:1に分かれているそうです。
情緒安定型か情緒不安定型か
そしてもう1つの軸は、「情緒安定型か情緒不安定型か」です。
これもメンタルの状態を表す情緒安定、情緒不安定とは違います。
気質を表すときの「情緒安定型」とは「問題があった場合に、答えを先送りにする傾向があるタイプ」のことを指し、「曖昧さへの耐性が強い」と言うこともできます。
それに対し、「情緒不安定型」とは「結論を出さないと落ち着かないタイプ」であり、「曖昧なこと、グレーゾーンというようなことが苦手」で、「結果が出るまで集中することができる」ともいうことができます。
例えば、なにか1つの遊びをしていたかと思えば、すぐに飽きて他の遊びをする子どもは、情緒安定型の可能性が高いです。1つの遊びに執着して、毎日のようにその遊びをしたり、その場から離れなかったりする子どもは、情緒不安定型の可能性が高いです。
内向的、外向的と同じように、情緒安定型、情緒不安定型もそれぞれ長所と短所があり、優劣はありません。情緒安定型は、良く言えば切り替えが早く、挑戦意欲が強いですが、悪く言えば集中が続きません。情緒不安定型は、良く言えば真面目で集中力があり、悪く言えばこだわりが強く、1つのことがうまくいくまでは次に進むことができないことがあります。
また、情緒安定型と情緒不安定型も、年齢や性別に関係なく1:1の割合で分かれているそうです。
どのタイプに優劣はない!
内向的と外向的、情緒安定型と情緒不安定型の2つ軸の人口に対する割合は、1:1です。ですので、2つの軸で分類された4つのタイプも等しい数だけいるということです。
ここからわかることは、どのタイプも人類の歴史の中で淘汰されなかったということです。つまり、それぞれのタイプの能力は、人類が生き残るために必要だった能力と言うことができます。
どのタイプも得意なことがあるし、不得意なことがあるということは頭に入れておき、先ほど述べた通り、不得意なことを克服する努力よりは、得意を伸ばす努力をしましょう。お子さんが、どのタイプであっても憂える必要はありません。
4つの気質とそれぞれのタイプとの向き合い方
では、ここからは2つ軸によって分類された、4つの気質とそれぞれのタイプの子どもとの向き合い方についてお伝えしていきます。
内向的で情緒安定型
まずは、「内向的で情緒安定型」です。
このタイプは自分の中に確固たるペースがあり、それが乱されると、とてもストレスに感じます。「早くしなさい」、「それじゃあ間に合わないよ」などと言って焦らせると、やる気がなくなります。
穏やかな環境で力を発揮するタイプであり、「これができるといいことがあるよ」というようなグッドニュースで導いてあげると、やる気を出させることができます。
内向的で情緒不安定型
次に、「内向的で情緒不安定型」です。
このタイプは1つのことに没頭したく、それを邪魔をされたくありません。「バランスよくやりなさい」、「トータルで物事を見なさい」などと言われると、テンションが下がってしまいます。
このタイプには、1つのことに集中する姿を、ぜひ褒めてあげてください。それによって、「一生懸命頑張ることはいいことなんだ」と考えるようになり、「他のことにも挑戦してみようかな」という意識が芽生えるようです。
外向的で情緒安定型
次に、「外向的で情緒安定型」です。
このタイプは誰かの指示を受けるよりも、自分がリーダーになって場を仕切りたがり、そしてそれが得意なタイプでもあります。このタイプに「こうしてみたら?」、「あなたにはこれが向いているよ」と言ってしまうと、やる気が下がってしまいます。
自分で決めて、自分が自分のリーダーになって、頑張りたいと思っているタイプですので、「あなたはなにがしたい?」、「あなたはなにが好き?」と声がけをしてあげ、子ども自身に言わせることで、子どもは張り切って取り組むようになります。
外向的で情緒不安定型
そして、「外向的で情緒不安定型」です。
このタイプは、冒険心が強く、留学などで大きな収穫を得ることが多いようです。いつも同じ場所で規則正しく過ごしたり、いつも同じようにして振る舞うようなことを苦手とします。
普段経験しないことをしてみたり、新しい教材を与えてみたり、フレッシュな環境を用意してあげると、このタイプの子どもは親が想像する以上に伸びるようです。
親の推測はだいたい合っている
お子さん、またはこれを読んでいるママ、パパ自身はどのタイプだったでしょうか。この4つ気質の分類方法を、心理学では4つのタイプの頭文字をとって、BCDE遺伝子理論と言います。
イギリス研究では、ママ、パパ、先生に、子どもの遊び方や物事への取り組み方を見て、子どもが内向的か外向的か、情緒安定型か情緒不安定型かを推測してもらったところ、正解率は89.9%でした。なかなか高いですよね。
親の「うちの子どもはどんなタイプかな?」という推測は、だいたい合っている思ってもらって問題がありません。ですので、自信を持って、その子どもに合わせたアプローチをしてみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。4種類ある気質についてお伝えしていきました。
これまで気質は4種類と述べてきました。しかし、人間をたった4種類に分けることなんてできませんよね。お子さんが「4種類どれにも当てはまらない」、「2種類に当てはまってしまう」という方もいるのではないでしょうか。
ですので、型にはめるのでなく、「この子には、こんな傾向がありそうだから、こんな向き合い方をしてみよう」ぐらいの考え方で、「この方法はダメだったから、次はこの方法を試してみよう」と子どもにあった向き合い方を模索していくことが重要です。
子どもにあった向き合い方を探すのが、子どもへの愛情だと思い、一緒に親として成長していきましょう。