いつでもどこでも手軽に楽しめる!「折り紙ヒコーキ」で遊ぼう!
最終更新日:2023/05/05
材料は紙一枚!簡単に作れて場所を問わずに遊べる「折り紙ヒコーキ」は、子どもが手作りして遊べるおもちゃの代表格です。子どもの頃、よく紙ヒコーキを飛ばして遊んでいたというパパ・ママも多いのではないでしょうか。単純な遊びに見える「紙ヒコーキ」ですが、実はとても奥が深く、しかも紙ヒコーキで遊ぶことにはたくさんのメリットもあるのだそう。
今回は、折り紙ヒコーキの魅力と遊び方について、折り紙ヒコーキ教室や大会運営を通じて折り紙ヒコーキの魅力を伝えている「折り紙ヒコーキ協会」の事務局長・藤原さんと佐藤さんにお話を伺いました。
◆折り紙ヒコーキの魅力とは?
「紙ヒコーキ」と聞くと、私たちの多くは1枚の紙を折って遊ぶ、いわゆる「折り紙ヒコーキ」を思い出しますが、「紙ヒコーキ」と呼ばれるものの形式はほかにもあります。
たとえば、紙から切り抜いたパーツを組み合わせて作り上げる「組み立て式」のものや、飛ばさずに飾るだけのペーパークラフトもまた「紙ヒコーキ」と言えます。今回お話を伺った折り紙ヒコーキ協会では、「1枚の紙を折るだけで作られ」なおかつ「飛ばせるもの」を「折り紙ヒコーキ」と定義づけているそう。
そんな「折り紙ヒコーキ」の魅力といえば、何といっても「紙1枚あればどこででも遊べる」というその手軽さ。折り方もそれほど複雑ではありませんから、一度覚えてしまえばいつでもどこでも遊ぶことができます。「初めての手作りおもちゃ」や「一番よく遊んだ手作りおもちゃ」が折り紙ヒコーキという人も少なくないのではないでしょうか。
折り紙ヒコーキで遊ぶことには、子どもへのメリットもたくさんあります。たとえば、「手を動かして正確に紙を折る」という作業を行うことは、子どもの脳の成長にプラスの影響を与えます。
「紙ヒコーキの形を作るために頭で考えることによって脳が働きます。また、よく飛ばすためにはきれいに折る必要がありますので、指先を使って繊細な作業をすることでも脳が刺激されます」
折り紙ヒコーキは、誰にでもすぐに折れる簡単なものから複雑なものまで想像以上に多くの「折り方」があり、折り紙ヒコーキ協会の会長・戸田拓夫さんが考案したものだけでも1000種類を超える作り方があるのだそう。中には複雑な折り方のものもありますが、まだひらがなも書けない小さな子が難しい折り方に挑戦したり、さらにはオリジナルの折り紙ヒコーキの折り方を開発してくる子どももいるのだとか。
「折り紙ヒコーキは飛ぶことに意味がありますから、飛ばすためにさまざまな工夫を考えて折らなければなりません。『飛ぶ』ということの原理は、実際の飛行機と同じ。ですから作る際には無意識のうちに航空力学や数学を意識することにもなるんですよ」
新たな折り方を考える際はもちろん、決められた形を折るときでも、翼の形や大きさ、重心の位置など「より飛ばすためにはどうすればよいか」を考えながら、工夫をすることが必要になります。紙一枚というシンプルな材料で、飛ばしては作り直す「トライ&エラー」を何度も繰り返すことができ、その成果が「より飛ぶ」というわかりやすい成果として現れる。シンプルだからこそ工夫の余地があるのが「折り紙ヒコーキ」の面白さです。
折り紙ヒコーキに熱中する子どもは、飛行機の開発やパイロット、CAなど、空の仕事を目指すようになることもあるのだとか。遊びを通じて将来の仕事への興味にもつながる可能性があるなんて素晴らしいですね。
そして紙ヒコーキ遊びのもうひとつの魅力は「身体を使って遊べる」ということ。
「折り紙ヒコーキを飛ばすには、腕だけでなく下半身の使い方も大事になります。また、折り紙ヒコーキを飛ばすと、それを拾いに行きますよね。しゃがんで拾って立ち、また投げて飛ばす。この繰り返しはかなりの全身運動にもなるんです」
藤原さんによると5分間くらい本気で折り紙ヒコーキで遊ぶと、汗だくになるほどだといいます。遠くへ飛ばそうと夢中になって遊べば遊ぶほど自然と運動をすることにもなる紙ヒコーキ遊び。勉強の合間の気分転換にも、簡単に遊べる紙ヒコーキ遊びはオススメだといいます。
◆「よく飛ぶ」折り紙ヒコーキの作り方
まずは「折り紙ヒコーキの作り方」から。基本的な折り方は多くの人が知っていると思いますが、ネットで「紙ヒコーキの作り方」といったキーワードで検索すると、様々な折り方が紹介されています。また、折り紙ヒコーキ協会のサイトでも、代表の戸田さんが考案した折り方がいくつか掲載されています。まずはこれらを参考に、色々な形の折り紙ヒコーキを作ってみましょう。
折り紙ヒコーキ協会ホームぺージ
http://www.oriplane.com/
「よく飛ぶ折り紙ヒコーキの作り方のコツは、必ず左右対称にきれいに折ること。紙は身の周りにあるものでかまいませんが、おすすめなのはコピー用紙です。大人ならA4サイズ、子どもならB5サイズで作るとよいでしょう」
折り紙ヒコーキづくりに向かないのは、折りこみチラシのようなつるつるの紙や新聞紙。新聞紙は薄過ぎますし、サイズも大き過ぎます。また、折り込みチラシのようなつるつるの紙より、少しガサガサ・ザラザラしたコピー用紙のような紙のほうが飛びやすいそうです。また、折る前にきれいに手を洗うことも飛ぶ折り紙ヒコーキを上手につくるコツのひとつ。指の汚れや油がつくだけでも、飛び方に影響があらわれるそうなんです
「ただし、紙質や汚れなど、ほんの少しの違いが飛び方に影響するのは、上級者になってからです。あまり深く考えず、まずは近くにある紙で作って遊んでみるのがよいですね」
折り紙ヒコーキの形ができたら次はチェックと微調整。前から見て左右の翼によじれがないか、しっかりチェックします。また、翼の後ろ側を爪を立てるようにして上向きに少しひねり、「昇降舵(しょうこうだ)」を作ることもポイント。これは実際の飛行機にもついている翼のひとつで、紙ヒコーキが飛ぶときの上下方向の角度を調整できます。
折り紙ヒコーキの姿勢を少し上向かせると、翼面により多くの風をうけることができるようになり、より長時間の飛行に繋がります。また、左右の昇降舵のバランスを調整すると、飛ぶ方向もある程度コントロールできるので、安定して飛ばすために「昇降舵」は欠かせません。ただし、あまり立てすぎると上を向きすぎて失速してしまうので注意!このあたりは実際に飛ばしながらベストな角度を見つけていく必要があります。
◆飛ばし方のコツ
どうしたら折り紙ヒコーキを「よく飛ばせる」のでしょうか。飛ばし方のコツについて伺いました。
「よく飛ぶというのは2種類あって、ひとつはより遠くに飛ばすこと(飛距離)、もうひとつは長い時間飛ばすこと(滞空時間)です。どちらもギネス世界記録に認定されている記録があり、現在のところ室内飛距離は約88m、滞空時間は29.2秒です。滞空時間の29.2秒は、当協会の代表である、戸田が持つ記録なんですよ」
すごい記録があるんですね!もちろんここまでの記録は望みませんが、どうしたら、上手に飛ばせるのでしょうか?
「遠くに飛ばすには、やり投げのようなイメージで、真っすぐに力強く押し出すように投げます。水平より10度程度上に投げる感覚で飛ばしてみてください。一方で滞空時間を伸ばすには、真上に投げるとよいでしょう」。
世界記録を競うのはハードルが高すぎますが、ちょっとしたコツで、距離や滞空時間が長くなるのなら、ぜひチャレンジしてみたいですね。
また、上手く飛ばすためには「気象条件」も見逃せないところ。特に、折り紙ヒコーキは湿度を嫌うので、雨の日よりも湿度の低い日のほうがよく飛ぶのだそう。エアコンや扇風機の風も影響しそうですね。いろいろな条件で飛ばす実験をしてみるのもおもしろそうです。
◆こんなユニークな遊び方も!
折り紙ヒコーキは、ただ飛ばすだけでも楽しいのですが、たとえば機体に絵を描いて自分好みのデザインをしてみるのも素敵ですね。また、的を壁に貼って、ダーツのように飛ばしてみたり、2人でキャッチボールをするように1機の折り紙ヒコーキを飛ばし合うのもおすすめの遊び方だそうです。的をめがけて投げることで、飛ばし方のコツがつかめますし、キャッチボールなら「捕る」という動作が加わるので、身体の操作やバランス感覚も養うことができます。
「本音を言えば、屋外で伸び伸びと折り紙ヒコーキ遊びを楽しんでほしいのですが、最近は人に当たると危ない、回収できないとゴミになる、などの理由から、なかなか屋外では遊べなくなっています。でも、折り紙ヒコーキは室内でも十分楽しめる遊び。少しでも上手に飛ばせるようになると、子どもも大人もどんどんハマって楽しくなりますから、ぜひ挑戦してみてくださいね」
折り紙ヒコーキ協会の方によると、大人が折り紙ヒコーキを作ってあげれば、3歳前後から飛ばして遊べるようになるそう。折り紙が折れるようになれば、自分で作って遊べるようになりますね。
折り方、飛ばし方、紙質、気象条件など、さまざまな条件によって飛距離や滞空時間が競える「折り紙ヒコーキ」の世界。子どもの脳の発達にもプラスになり、ある研究によると「数ある子どもの遊びのなかでも、子どもの脳にいちばんよい」と太鼓判を押された遊びでもあるのだとか。
子どもにとってさまざまな可能性を秘めた折り紙ヒコーキ。世界の共通語でもある「折り紙(ORIGAMI)」に慣れ親しんできた日本人だからこそ、折り紙ヒコーキの世界をもっともっと楽しめそう。さあ、今からそばにある紙を手に取って始めてみましょう!
折り紙ヒコーキ協会
1995年に設立。折り紙ヒコーキの折り方や遊び方を伝授するだけでなく、折り紙ヒコーキの飛行距離や滞空時間を競う大会なども開催するなど、折り紙ヒコーキの楽しさと奥深さを広げる活動を行っている。