小学校受験ってどんなメリットがあるの?私立と公立の違い、受験勉強から実生活に活かせることをご紹介!
最終更新日:2020/05/29
小学校受験に取り組む親子は増えている
お子さんに小学校受験をさせてみようかと考えている親御さんはたくさんいらっしゃると思います。「お受験」と呼ばれ、以前はハードルの高いものと考えられておりましたが、近頃は小学校受験をする親子は増加傾向にあります。
しかし、親として迷いもあるでしょう。「良い小学校に入学することができれば、そのあと子どもが楽にできる可能性がある。だから小学校受験をさせてみよう。」という気持ちがある反面、「幼稚園児や保育園児であるまだ幼い子どもに無理に勉強をさせたくない。受験させるのであれば、中学校からでも十分ではないか。」という気持ちもあるでしょう。
この複雑な思いは、どちらもお子さんのことを考えるが故であり、一口にどちらが正しい、間違っているとは言うことはできません。
ただ一つ言うことができることといえば、小学校受験をさせるのであれば、早く決断をし、早く準備に取りかかるべきということです。小学校受験は一朝一夕に準備できるものではありません。準備すれば、準備しただけ、受験では有利になるでしょう。
小学校受験のメリット
小学校受験は辛そうというイメージもあるかもしれません。それでも、受験という経験そのものがメリットになることもありますし、合格した後の私立の小学校生活のメリットもあります。ここからは、小学校受験のメリットを紹介していきたいと思います。
①質の高い教育を受けられる
まず1つ目のメリットとして挙げられるのは、質の高い教育を受けられることでしょう。
私立小学校や国立小学校は、それぞれの学校で独自の教育方針やカリキュラムを持っていることが多いです。
例えば、一般的な国語、算数などの文部科学省が指定する学習指導要項に沿った授業に加え、宗教教育や情操教育、最新のICTツールを使った授業などがあります。公立小学校ではほとんどの授業が担任の教員によって行われますが、私立小学校の中には、中学校のように専科教員がそれぞれの教科を受け持つ専科教育を実施している学校も多いです。
「こんな子に育てたい」というご家庭の教育方針に合う学校を選択することもできますし、子どもの個性や興味関心ごとに合う学校に出願するということもできます。公立小学校の画一的な平等な機会を提供するという点において、1番の大きな違いでしょう。
②教育熱心な家庭で育った同級生と友だちになる
2つ目のメリットは教育熱心な家庭で育った同級生とお友だちになれるということです。
中学校受験や高校受験と異なる点は、小学校受験では家族全体も見られることです。子ども個人はもちろん評価の対象ですが、受験の際、多くの学校で行われる面接では、親がしっかりとした教育方針、価値観を持っているかなども評価されます。
そのため小学校受験は子どもだけでなく、家族一丸となって取り組んでいくものとなります。そうした壁を乗り越えて、合格を勝ち取った子どもたちの親は、教育に対して熱意を持ったパパ、ママばかりでしょう。
そのような親が集まる保護者会のようなコミュニティの中であれば、子どもの可能性を広げるような多くの情報が集まりますし、相談や不安の解消においても気持ちをわかってくれる部分が多いはずです。まさに同志とも呼べる頼りがいのあるママ友、パパ友とつながることができるでしょう。
③子どもに幼児教育をするいい機会になる
3つ目のメリットは子どもに幼児教育をするいい機会になるということです。
前述した通り、小学校受験の受験対策はすぐにできるものではなく、きちんと行わなければ合格は難しいでしょう。家庭での教育だけでは限界があり、受験対策に幼児教室やさまざまな習い事に通わせる必要があります。その結果として、子どもが幼い頃から幼児教育を実施することができ、教育環境が充実していきます。
小学校受験では、読み書きや計算などの学力だけではなく、運動面や芸術面を問われるようなテストがあります。また、行動観察や面接などでは子どもの社会性が問われます。そして、そのどれもがより早い段階で学習し始めたほうが子どもの発達に良いものばかりです。
受験という大きな目標がありますが、その合否に関わらず、子どもが幼い頃からこうした教育環境が提供できることは、子どもの成長に良い効果をもたらしてくれるはずです。
④内部進学の可能性がある
そして、内部進学の可能性があるという点もメリットの1つです。
中学校受験をする12歳前後、高校受験をする15歳前後は、ちょうど思春期真っ盛り、子どもが多感な時期と重なります。そのため、子どもの情緒が不安定になったり、親子のコミュニケーションがうまくできなかったりと、受験に集中できない状況になってしまうリスクが発生します。
一方で、多くの私立小学校は系列校の中学校や高校を持っており、内部進学をする道が用意されています。小学校1年生のときから共に学んできた友だちと一緒に進学することができ、最高でも12年間付き合う可能性もあります。そうした友だちは一生の関係となら可能性があり、人間関係の点で見ても有意義となるでしょう。
また、先の見通しが立っているため、将来に対する安心感にもつながってくるでしょう。
学校によっては、中学校から、もしくは高校から女子校になるところもあったり、多くの同級生たちがより高みを目指し中学校受験をして外部進学を模索するところもあったりと、状況は様々です。しかし、内部進学と外部進学の2つの選択肢を持てることは、質の高い教育を受けるという点で有利に働くでしょう。
私立と公立の違い
ここで改めて、私立小学校と公立小学校の違いを考えてみましょう。みなさんはその違いを具体的に答えることができるでしょうか。
「私立の授業は公立と比べてレベルが高そう」、「公立は私立と比べてのびのびしていそう」といったイメージがあるかもしれませんが、違いの説明となると、回答に困ってしまう方は多いのではないでしょうか。
また、親自身が私立小学校に通っていたからという理由で、子どもにも私立に通わせたいと曖昧なイメージで、私立受験を決断してしまうのは危険かもしれません。
20年ほど前と比較すると小学校受験はメジャーになりつつあります。また、親自身の出身校を参考にしようとしても、時代によって少しずつ変化している学校が多いでしょう。そのため、小学校受験の環境は親御さんが子どもだったときと比べると変化していると考えるべきです。
まず公立小学校は、同じ地域に住む子どもたちが一緒に教育を受けられるところです。公立の小学校では、他の学校と比べて平等であることが重視されます。したがって、基本的に文部科学省の定めたガイドラインから大きく外れることはあまりありません。学校ごとに特色のある授業を行なったり、授業数を増やしたりといったことはまずないと言っていいでしょう。
また、教員も地域で採用されて配置転換があるので、「去年の担任の先生が、別の学校に行ってしまった」なんてことは多々あることです。
その一方で私立小学校はというと、学校の創立者が建てた理念や教育方針によって、子どもたちに提供される教育は異なります。例えば、キリスト教の教えを重視していたり、学力を伸ばすことを大切にし、クラスを少人数制にしたりなど、学校によって特色が大きく異なっています。
教員も地域でなく、学校によって採用されるので、教員の移動はほとんどありません。昨年の担任が同じ学校内にいることが多いため、子どもに関する情報が共有されやすいという点も私立小学校の良いところです。
異なる点は他にも多々ありますが、私立と公立は成り立ちや仕組みから違います。特に、私立小学校は、その学校の理念や教育方針によって、集まる生徒や教員が様々です。「こんな学校で子どもを学ばせたい」という考えをもつ家庭の子が集まるからです。っ
また、私立小学校では、系列中学校、系列高校へと内部進学できることが多いですが、それは学校、教員、同級生と長い付き合いになるということです。そのことを考えると、小学校選びは子どもの将来に強い影響を持つことになります。あらゆる小学校の情報を集めて、学校と子どもとの相性を考えることが大切になってきます。
受験対策が実生活にも生きる!
子どもが受験対策で学んだことは実生活でも生かされます。それは前述した受験対策の幼児教育で身についた学力や運動能力、芸術的能力だけのことではありません。特に受験対策で身につく能力として注目してほしいのが、社会性です。これは子どもが将来、「生きる力」として役に立つものであり、受験の合否に関わらず伸ばしておきたい力です。
ここからは、そんな受験対策で身につく実生活で生きる力の具体例を挙げています。
①受験勉強から学べるストレスコントロール
受験する学校にもよりますが、試験では読み書きや計算などをするペーパーテストや、運動テスト、絵画テストなどもあり、そのために受験のために塾だけじゃなく体操教室や絵画教室など複数の習い事を複数通っている子どもは珍しくありません。しかし、そうなると溜まっていくのがストレスです。
ストレスは大人だけのものではなく、子どもでも感じるものです。習い事や勉強の忙しさだけでなく、勉強や習い事でうまくいかなったことや、習い事でのお友だちとのトラブル、親から受けるプレッシャーはなどストレスの原因になる要因はたくさんあります。
ストレスと言うとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、ストレスが与えるのはなにも悪いことだけではありません。適度のストレスはむしろ生産性を上げ、勉強の効率を高めてくれます。ですが、ストレスが溜まり過ぎると、勉強の効率を下げてしまうどころか、身体的にも精神的にも害があります。
受験を成功させる子どもにはストレスをうまく和らげ、ストレスとうまく付き合える子が多く、また受験は、子どもが自分に合ったストレスを和らげる方法を知るいい機会にもなるでしょう。ストレスを緩和する方法をいくつも知ることは、子どもが将来、社会でうまく生き抜くためにも必要と言えます。
ストレス緩和の方法はいくつもあります。例えば、子どもに好きなことをさせてあげたり、体を動かしたり。親が子どもとのスキンシップを多くとったり、子どもの話を聞いてあげることもストレス緩和につながります。子どもに合った方法を見つけてあげましょう。
②面接対策から学べるコミュニケーション
私立小学校の入学試験では、ほとんどの学校で面接試験が行われています。面接官からの質問はさまざまですが、面接で判断される箇所は回答内容だけでなく、しっかりとコミュニケーションが取れるかどうかも含まれています。
他者とうまくコミュニケーションが取れるのであれば、入学後、人間関係でトラブルも少なく、同級生や先生と友好的な関係が持てるでしょうし、学習面でも良い結果を出しやすいでしょう。また、将来的にも、ビジネスで成果を挙げやすかったり、有益な情報を多く得られたりと、受験の合否に関わらずコミュニケーション能力は高めていきたいものです。
また、親にも同じことが言えます。保護者面接でも親のコミュニケーション能力は合否の判断基準でもありますし、現在の仕事の場面やママ友との会話でも生かされるでしょうし、同じように受験に限らず高めたいスキルでもあります。親子で一緒にコミュニケーション能力を高めていきましょう。
では、コミュニケーションがうまい人とはどのような人でしょうか。相手の話をよく理解することも大事ですが、伝えたいことをうまく相手に伝えられることも重要です。話下手の人の場合、だらだらと話が長くなってしまったり、話している途中で何を伝えたかったのか分からなくなってしまったりしてしまうケースがあります。
話上手な人の場合、簡潔に短く、話の結論がわかりやすく、相手に良い印象を与えられるでしょう。そのような話上手な人の共通点として、フレームを使っていることが挙げられます。例えば、ビジネスでもよく使われるフレーム、PREP法です。
PREP法とは、文章構成する方法のひとつであり、まず初めに結論(Point)を述べ、次に理由(Reason)、その次に具体例(Example)、そして再び最後に結論(Point)に戻ります。この方法であれば、子どもであっても簡単に実践でき、簡潔でわかりやすい、説得力のある自己アピールができるでしょう。
③しつけから学べるマナー
マナーも入学試験で問われます。面接ではもちろんのこと、ほとんどの学校で行われる行動面接では、子どもの言葉づかい、しぐさの一つ一つが判断基準です。小学校受験では、中学受験、高校受験と比べると、筆記試験の学力だけで決まるわけではありません。学力で厳しくふるいにかけられないかわりに、子どもの言動が合格のカギになるかもしれません。
学力と違うのは、マナーは普段の行動が出やすいというところです。試験のときだけ身につけようとしても、緊張してしまったりして、いつもの癖が出てしまうものです。試験で困らないように、普段からしつけをし、習慣化しておくことが重要です。意識しなくてもできるくらいになれば、入試の準備はできたと言っていいのではないでしょうか。
また、マナーは受験のために覚えるのではありません。マナーとセットに「マナーは相手との信頼関係を気づくためのもの」ということを、しっかりと子どもに教えましょう。そうすることで、子どもの社会性が育ち、その後の実生活でも活かすことができ、試験でも柔軟に対応できるのです。
そして、まずは親が積極的にお手本になるようにしましょう。子どもは親の真似をよくするものです。あいさつや言葉づかいはもちろんのこと、人の目を見て話すこと、「ありがとう」、「ごめんなさい」を言えることも親が積極的にすることで、子どもも恥ずかしがらずにできるようになります。親子で社会性を高めていきましょう。
合格・不合格より大事なもの
受験を考えている親御さんは、お子さんの受験に挑戦しようとする意識を大切にしていただきたいです。子どもに挑戦する意志があることで、なんとなくやイヤイヤ取り組むよりも、学びが多く得られるはずです。能動的なほうが学習の吸収する量が多くなるのはもちろんですが、そのことよりも挑戦したという経験が子どもを大きく成長させてくれるのです。
もちろん受身な姿勢であっても、読み書きや計算、前述したような生きる力は身につくかもしれません。
しかし、挑戦したいという意志があるからこそ、合否に感情が生まれます。合格したときの嬉しさは大きな自信となり、不合格だったときの悔しさは大きなバネとなり、どちらにせよなにうより大きな宝物になります。挑戦する意志がなければ、それは得られにくいでしょう。
学校選びはどうしても親目線でしてしまいがちですが、お子さんも参加させてあげてください。「この学校には大きなグラウンドがあってね、放課後には◯◯くんの好きなサッカークラブがやってるんだよ。ここに入ってみたくない?」というふうに子ども目線でも学校選びをしてみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。小学校受験にどんなメリットがあるか、また受験対策で実生活に生きることを紹介してきました。
私立小学校に入学することでメリットはたくさんあります。しかし、たとえ合格できなかったとしても小学校受験に挑戦して、それに一生懸命取り組むことで得られることはたくさんあります。学力よりもストレスコントロール、コミュニケーション、マナーといった将来に役立つ力が多いのです。
受験はあくまでも、お子さんの将来のためにすること。この機会をただの辛い経験で終わらせるのではなく、親子一緒に取り組んで成長する機会にしてください。