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日本のむかし話に出てくる「お地蔵さま」のおはなし。子どもに読み聞かせたい〇〇地蔵。

公開日:2021/02/19
最終更新日:2021/02/19

日本のむかし話に出てくる「お地蔵さま」のおはなし

日本には約60000の民話(むかし話)があると言われています。『ももたろう』や『かぐや姫』のような有名な作品もあれば、専門家しか知らないような作品もあります。しかし、有名無名問わず、ここまで語り継がれていることには理由があります。

例えば、それだけ人の心を惹きつける力があったり、道徳的な教訓が込められていたり、また、とにかく勇気が湧いてくる、笑い転げるほど面白いなど、その理由はさまざまでしょう。

そのむかし話の中には『〇〇太郎』や『〇〇姫』といった主人公の名前が題名となっているものがありますが、今回は『〇〇地蔵』に注目してみました。

子どもに大切な学びや気づきを与える日本のむかし話、あらすじや内容をご紹介しつつ、何を学ぶことができるのか整理しました。ぜひ、お子さんと一緒に読んで、感想や教訓について話し合ってみてください。

子どもと昔話を読もう

かさじぞう

まずは『かさじぞう』です。おそらく一番有名なお地蔵さんのむかし話です。

雪深い山にある夫婦が住んでいました。夫婦は貧しい暮らしを送っていて、とうとう米1粒もなくなってしまいました。

大晦日に、男が町に下りていき、女房の髪飾りのかせ玉を売りにいきますが、なかなか売れません。そこにやってきた笠売りのおじいさんも、笠がまったく売れないと言うので、2人は髪飾りのかせ玉と笠を交換するのでした。

家に帰る途中、お地蔵さまの頭の上に雪が積もっていたので、それを払い、笠を被せてあげました。家に着いて一日の話を女房に伝えると「それは良いことをした」と喜ぶのでした。

その夜、2人が寝ていると、外から物音が聞こえます。外へ出てみると、米や野菜、着物などがたくさん置いてあり、遠くには、お地蔵さまが去って行くのが見えました。

相手への親切や良い行いは、自分のもとに返ってくることを教えてくれます。誰も見ていなくても、困っている誰かのために行動できる心優しい子どもに育ってほしいですね。

さるじぞう

次は『さるじぞう』です。

働き者のおじいさんは畑にいたずらをする猿たちに困っていました。そこで猿たちのいたずらを止めさせるために、お地蔵さんに変装しました。

猿たちはお地蔵さんに変装したおじいさんを山の上のお堂へと連れて行こうとします。途中猿たちはおかしな歌を歌いますが、バレてはいけないとおじいさんは必死に笑うのを我慢します。お堂へ着くと、猿たちはお願いをして、たくさんの小判をくれました。

それを聞いた欲張りなおじいさんも自分も小判をもらおうと思い、お地蔵さんに変装しました。猿たちのおかしな歌を聞いて笑いがこらえきれず、途中で変装がバレてしまい、猿たちに川の中に落とされ、ひどい目にあってしまいました。

イソップ物語の『ウサギとカメ』や『アリとキリギリス』に似た教訓です。コツコツと真面目な働き者と、短絡的な怠け者のどちらが最後に得をするかという話です。損得勘定で測るのではなく、真面目さ・誠実さの大切さを学んでほしいものです。

しばられじぞう

次は『しばられじぞう』です。

ある日、小僧さんが、大旦那の言いつけで反物を届けようとするも、木の下で居眠りをしてしまいます。そして目を覚ますと反物がなくなってしまっていました。役人は木の下にいたのはお地蔵さんだけだったと聞いて、お地蔵さんをひっ捕らえます。

村人たちはお地蔵さんの裁きに関心を持って集まります。そしてお奉行さまとお地蔵さんのやりとりを見て、おかしくてたまらなくなり、お酒を飲みながらはやし立てます。

お奉行さまは「傍聴人たちの無礼がけしからん」と言って、傍聴人全員に1人につき反物を差し出す罰を与えます。小僧さんにその中を探らせた結果、盗まれた反物が見つかり、真犯人をつきとめました。そして、お地蔵さんには「見ていたのに何も話さなかった」として、縄で縛ったまま、元の位置に戻す罰を与えました。

目の前で起こった悪事を話さなかった罰をお地蔵さんに与えられましたが、公明正大に伝えることの大切さを説いています。今のご時世、このような内容を話すことには勇気がいります。ただ、黙して語らずという態度は誰の役に立つのでしょうか。意外と深いむかし話です。

ちなみに、この話は作り話と思いきや、史実に残っている実際に起きた話というから驚きです。縛られたお地蔵さんも東京都葛飾区に残っているそうです。このお話を聞いたら見に行ってみたくなりますよね。

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親子で読むことで、学びが深まる

ここまで紹介した3つのお地蔵さまの話は、ストーリーを楽しむだけでなく、その中にある教訓について考えることが大切です。道徳教育や国語教育も同様ですが、ただ文章を読んで終わりなのではなく、そこから何を感じたかを整理し、言葉にすることが、子どもの成長につながるのです。

『かさじぞう』では、相手への親切や良い行いは、自分のもとに返ってくることを教えてくれます。『さるじぞう』では、真面目さ・誠実さの大切さを伝えてくれます。普段、ママやパパ、先生たちから同じことを言われていても、なかなか行動や態度につながらないこともあるでしょう。しかし、この話を読んで考えるだけで、意外と子どもはその重要性に納得するものなのです。

これはママやパパの教え方や伝え方が悪いというわけではありません。普段から言われていることが、違う世界からも同じように大切だと言われることで実感するのです。常に言い続けてきたからこそ、むかし話から学べるようになるのです。むかし話を通じた心の教育は、子どもに生きていくために必要な知恵を与えてくれます。

子どもの年齢にもよりますが、親子で同じ本から学ぶ、考えるためには、絵本の読み聞かせが効果的でしょう。楽しみながら学ぶことこそ、知育の本質ですので、ぜひ、子どもと一緒に楽しんで『〇〇地蔵』の世界に入ってみてください。

大切なのは読後感

ディズニーの映画はハッピーエンドで終わることが有名ですが、それは心が満たされた状態で映画館を出て、明日からの前向きなエネルギーにつなげて欲しいという意図があるからです。

今回紹介した3つのお話は、すべてがハッピーエンドというわけではありません。特に『しばられじぞう』は見方によればバッドエンドです。そのどちらのほうが、心に残るでしょうか。

前向きな気持ちになれるのはハッピーエンドのむかし話です。「いいね」で終わる作品は心地よく、また読みたくなります。反対にハッピーエンドで終わらない話は、心のどこかにもやもやが残ります。どうして、もやもやした気持ちになるんだろう、その問いが学びを膨らませてくれます。

本にしても映画にしても、大切なのは読んだ後の心模様です。もやもやしたほうが考える時間が長くなります。これは大人になればなるほど、強くなるでしょう。子どものうちに経験させることの是非はありますが、ハッピーエンドにはハッピーエンドなりの、バッドエンドにはバッドエンドなりの効果があることも知っておいていただきたいです。

昔話

まとめ

ここまで『〇〇地蔵』のむかし話を紹介してきました。

今ではYouTubeやサブスクによって、ママやパパが子どもの頃よりも多くの物語に触れやすい時代がやってきました。これは知育教材にも同じことが言えます。

子どもはさまざまな世界観に触れれば触れるほど、本人の世界観や価値観が広がり、創造性豊かな子どもへと育っていきます。ただ、教訓や学びといったものはママやパパなどのガイドがなければ、考えるきっかけを持ちづらいことも事実です。

どうしても、子どもの時間潰しのためにスマホやタブレットを渡したり、そこから動画を見せたりすることが増えていると思いますが、今回のようにむかし話を親子でじっくりと見る機会を作ることをおすすめします。そして、その感想や気づきを伝えてもらう時間を作りましょう。これが習慣化されれば、一人でむかし話を見ている時にも、その話から何を学ぶか考えることができるようになっていきます。

スマホやタブレット、パソコンなどを効果的に使って、子どもの心や価値観を育むことは、現代の生活に合っているでしょう。道徳的な教訓が伝えられる日本のむかし話に触れる時間をたくさん作ってあげてください。