おうち学習がはかどらない子どもの傾向と原因、その対策。小学校受験対策はご家庭での学習環境が鍵をにぎっている!
最終更新日:2020/06/19
自宅学習の重要性が高まっている?
受験で合格を掴み取るために、家で勉強してほしいのに、なかなかやってくれない。おうち学習がなかなか進まない子どもを見て、もどかしさやイライラや不安が募ることってありませんか。
いくら「勉強しなさい!」と言ってもなかなか取りかからない。やっと机に向かったとしても、別のモノに気を取られて集中できずに、だらだらとやっている。
それこそ、親だって「宿題や課題は終わらせたの!?」とガミガミ言いたくないですし、それが終わるまで付きっきりなんてこともしたくありません。子どものためにはならないし、親子の関係も良くはならないということはわかっているのに、親心からついついしてしまうことも。
どうすれば親が注意をせずに、自主的に学習に取りかかる子どもになってくれるのでしょうか。
子どもの自主性に任せきりだとむずかしい
おうち学習が進まないのはどうしてでしょう。その理由は3つあります。
おうち学習が進まない原因①注意力が低い
1つ目は、子どもは注意力が低いという理由です。
子どもは自分を律する役目をもつ前頭前野という脳の分野が未発達で、注意力が長く持ちません。特に家に帰ると、TVやゲーム、スマホや漫画など、たくさんの誘惑があります。
「帰ったら、勉強しなくちゃ」といくら思っていても、注意が誘惑のほうにそれてしまい、なかなか机に向かうことができないのです。また、机に向かったとしても集中できないということもあります。
おうち学習が進まない原因②子ども自身が自分に厳しい
2つ目は、子ども自身が自分に厳しい場合です。
「えっ?自分に甘いからやらないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、実は逆のケースが多いのです。こういうタイプの子どもは、一度、宿題を先延ばしにすると、自分を責めます。その結果、ストレスが増加し、メンタルが悪化することで失敗が怖くなり、さらに先延ばしをするようになるという悪循環を生んでしまいます。
「宿題できないなんて自分は怠け者だ」と自信を失った子ほど、次の宿題も先延ばしにしてしまいます。
おうち学習が進まない原因③学習のやり方がわからない
3つ目は、学習のやり方がわからない場合です。
小学生のように宿題や課題が出ていて、これをやらなくてはダメ、何ページやるか決まっているといった、何をすればよいのか分かりやすい場合は、教えなくても自分で学習を進めます。しかし、受験対策のように、何をすれば結果が出るのか分かりづらい場合は、学習のやり方や何をすればよいのかが分からず、分からないから着手できないという状態に陥ってしまいます。
「今日の分の勉強しなさい」という言葉でも分かりづらいです。ぜひ、何をいつまでにやればいいのか、明確にしてあげてください。
昔を振り返って、皆さんはどうでしたか?
子どもに対してああだこうだと思っても、皆さんの子どもの頃はどうでしたか?いろいろな誘惑に負けて、勉強をずるずると後回しにした経験はありませんか?宿題であっても、受験勉強であっても、同じではないでしょうか。
自分がそうだったように、自分のお子さんも、また他のお子さんも、皆、先延ばしをしてしまうもの。前提として、人間とはそういうものだと理解しておいたほうが、余計な悩みや不安を抱えずに済みます。
人間は疲れていると、意思をコントロールする前頭前野という脳の分野が麻痺してしまい、理性的な行動ができなくなります。受験に臨むお子さんだと特に、幼稚園や保育園に、幼児教室に、習い事に、と疲れ気味。なかなかおうち学習に取り組めないのも理解ができます。
おうち学習をちゃんと取り組ませたい!そんな皆さんへのヒント
とは言っても、人間は皆、誘惑に負けてしまう生き物だからと言って、おうち学習をしなくてもいいなんてことはありません。
ここからは、どうすればお子さんが自主的におうちで机に向かうようになるのか、6つのヒントをご紹介していきます。
対策①集中できる環境を作る
まずは、集中できる環境を作るということです。
机の上が散らかっていたら、まずは片付けから始めなくてはいけません。読みかけの本を読んだり、おもちゃに手を出したりということもあるでしょう。机の上が整理整頓されていなければ、集中力が散漫としてしまうのです。
この対策として、大きめの箱を用意しましょう。目につくところにあるおうち学習の邪魔になるものは、とりあえずこの中にすべて詰めてしまいます。「これから勉強するぞ!」という気持ちの切り替えにもつながります。
対策②誘惑を遠ざける
第2に、誘惑を遠ざけるということです。
おもちゃ、漫画、本、スマホ、お菓子など、おうち学習を進めるにあたって誘惑となりそうなものはすべて遠ざけましょう。これは先ほどの集中できる環境を作るということと似ていますが、おうち学習環境の整理整頓に対し、こちらは誘惑の排除です。
誘惑は、ご褒美にしてしまうというのも一つの手です。おうち学習が終われば、おもちゃで遊んでいいよというように、うまく条件付けをしていきましょう。大人でも無賃労働は嫌だと思いますが、子どもにとっても、おうち学習の対価がある方が、積極性が増すはずです。
対策③ルーチン化する
第3に、ルーチン化するということです。
やり方はとてもシンプルで、「〇〇したら、△△をする」とお子さんと決めておくだけです。例えば「帰ってきて手を洗ったら、机に座って10分間文字を書く練習をする」というようにです。「〇〇したら…」の部分は毎日する行動が良いでしょう。
さらに、場面をイメージして、具体的に決めておくとより効果が出ます。「家に帰ってきたら、手を洗って、うがいをして、自分の部屋に行き、ランドセルを開けて、明日の用意をして、今日の宿題をチェックして、机に座り、宿題に取りかかる。」というように細部まであらかじめ計画しておきます。
「次、どうすればいいんだっけ」と考えている間に、他の誘惑に目が行ってしまうのを防ぎましょう。
対策④遊びの時間や休憩時間も予定に入れておく
第4に、遊びの時間や休憩時間も予定に入れておくということです。
これは、おうち学習の時間がそもそも何時間必要なのか?ということも踏まえて考えなくてはなりません。寝る時間も惜しんで、というのは現実的ではありませんし、子どもの成長を考えると逆効果です。
遊んでいい時間、親子で過ごす時間、寝る時間など、まずは○分間確保するというように、時間の見積もりを立てましょう。どうしてもおうち学習の時間を長めに取りたくなりますが、子どもにとっては遊ぶことも寝ることも成長に必要なことです。それぞれの時間を確保してあげましょう。それが息抜きにもつながります。
対策⑤子どもへの関わり方を工夫する
第5に、子どもへの関わり方を工夫するということです。
子どもは注意力が低く、意識が逸れやすいということを先述しましたが、子どもも好きで注意を逸らしているわけではありません。
正確に言うと「注意が逸れていることに気づいていない」のです。お子さんが何か違うものに意識が逸れているときは「勉強しなさい!」と叱るのではなく「ちょっと注意が逸れているよ」と指摘してあげましょう。「いつもママがガミガミうるさいんだ」というお子さんの印象もなくなるかもしれません。
それでも先延ばしをしてしまったときには、お子さんを叱るのではなく、「人間だから先延ばししちゃう時もあるよね」と声をかけましょう。お子さんが自分自身を許すことができ、自分は先延ばししがちだということを認めて、その自分が先延ばししないようにするためにはどのような対策をすればいいのか考えることができます。
「どうやったらだらだらとせずに、おうちで勉強できるんだろう」と親子一緒に考えることで、工夫を試す楽しみが生まれ、「勉強=面倒くさい」という印象もなくなるでしょう。
対策⑥意欲の引き上げ方を考える
最後は、意欲の引き上げ方を考えるということです。
おうち学習への意欲の引き上げ方には、お子さんの特性に合わせることがポイントになります。この特性は大きく分けて2つあり、ひとつは成功や称賛を獲得することにフォーカスをあてるタイプ、もうひとつはリスクや批判を回避することにフォーカスをあてるタイプです。
基本的にはこのどちらかに分類され、モチベーションに大きく影響します。
獲得フォーカスタイプの子どもは、いわゆる褒められて伸びるタイプで、物事が前に進んでいる実感があるときに1番意欲が引き上がります。おうち学習の進捗状況がわかるようにし、何かを達成したらご褒美をあげたりするのがいいかもしれません。
反対に、回避フォーカスタイプの子どもはとてもリアリストで、過度なポジティブさや称賛は逆効果。他人からの正直な評価をもらうほうが意欲が上がります。どれくらいできているのか、何を改善したほうがいいのかわかるほど能力が発揮されます。
お子さんがどちらの性格かを知ることで、意欲の引き上げ方、声かけが変わってくるのです。
まとめ
ここまでおうち学習がはかどらない子どもの傾向、そしてその対策についてまとめました。
大前提として、おうち学習が楽しいものだと実感しなければ、子どもも進んで机には向かいません。楽しいと知るためには、本人の達成感や家族からの承認が大事かもしれませんし、悔しい・もっと頑張りたいというような本人の性格に由来するものもあるかもしれません。要は、やらされ感で取り組むのではなく、本人が前向きにやりたくなる環境をお膳立てすれば良いのです。
受験対策も同じです。本当に子どもはやりたいと願っているのか、ママやパパは受験に取り組む目的を話しているか、いろいろと確認してみましょう。そういった一つ一つの積み重ねを怠っていることで、子どもはおうち学習に後ろ向きなのかもしれません。