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「ごっこ遊び」は子どもの成長を促す要素が満載! 身につく力や楽しく遊ぶ工夫を紹介

公開日:2022/07/23
最終更新日:2022/07/23

おままごとやヒーローごっこ、お医者さんごっこなど、子どもが夢中になる「ごっこ遊び」。そこには、子どもの成長を促す多くの要素が詰まっているんだそう。今回は、ごっこ遊びで育まれる心や養われる力、子どもが楽しむために大人ができる工夫などについて、幼児教育の現場で20年以上の勤務経験があり、現在は東京工学院専門学校の幼児教育学科・こども学科で学生の指導にあたる細田のりこ先生に伺いました。


◆なぜ子どもは「ごっこ遊び」が好きなの?
子どもが大好きな遊びの一つ「ごっこ遊び」。このごっこ遊びには段階があります。まず1歳くらいから親のまねをする「再現遊び」が始まり、2歳ごろには目の前のものを別のものに見立てて想像しながら遊ぶ「見立て遊び」、そして3歳を過ぎると実際に道具を使ったり具体的な設定が加わったりする「ごっこ遊び」へと変化します。なぜ子どもはごっこ遊びに夢中になるのでしょうか。

 

ごっこ遊びは子どもの成長を促す要素が満載! 身につく力や楽しく遊ぶ工夫を紹介

「『自分』という存在の認識が進む3歳ごろになると、次第に『他者の存在』も意識するようになります。すると自分以外の存在への憧れが芽生えることもあるでしょう。ごっこ遊びは、自分ではない憧れの『何か』になれる遊び。自由で創造的な世界を楽しみ、変身願望も叶えられる遊びです。その特別感が子どもたちを夢中にさせるのでしょうね」

憧れの存在になれたり、経験したことのない役割を担ったり、いつもの自分ではない「別の自分」になれるごっこ遊び。 場所、仲間、なりきるものによって遊び方も無限に変化するため、子どもたちは夢中になるのでしょう。

◆「ごっこ遊び」には、子どもの成長を促す要素がいっぱい!
・ごっこ遊びで身につく力とは?
自分とは違う存在を疑似体験できるごっこ遊びは、知識や言葉、経験の枝葉がぐんぐん伸びる遊びだと細田先生は言います。ごっこ遊びは、自分の役割はもちろん、仲間との関係性にまで目を向ける必要があります。ではごっこ遊びでは、具体的にどんな力が育まれるのでしょうか。

<ごっこ遊びで身につく力>
・観察力・記憶力・想像力・思考力・共感力・言語力・表現力・コミュニケーション力
・社会性・協調性・心の発達・脳の発達

このように様々な力を育むことが期待されるごっこ遊びですが、中でも社会性や協調性、心の発達には大きな効果を発揮すると細田先生。

「子どもたちは、想像力を目一杯はたらかせてごっこ遊びをします。いつもの自分とは違う存在になり、今まで考えなかった他者の心の中を想像することで、自然と思いやりの気持ちが芽生え、心が発達していきます。また、ごっこ遊びでは社会的なルールも身につきます。例えば、普段ルールを受け入れられない子どもが幼稚園の先生や電車の車掌役になるとします。すると、ルールを守らないと遊びが気持ちよく進まないことに気づく。そこで、いつもの自分の行動を振り返るようになるのです」

ごっこ遊びを通じて他者理解や思いやりの気持ちが育まれ、協調性も身についていきます。また、遊びの世界でルールを守る大切さを知り、それを普段の自分の生活と重ね合わせることで、社会性も身につきます。

・ごっこ遊びで多様性の社会を学ぶ
さまざまな疑似体験から自分以外の人の考えを知ることは、他者理解につながります。今まで知らなかった考えや思いに触れ、社会には色々な人がいる、それでいいんだ、と感じる機会がごっこ遊びにはあるといいます。

「家族ごっこの中で、お兄さんがご飯を作り始めるとします。自分の家とは違うので『なんでお兄さんがご飯作るの? うちはお母さんだよ』と聞くと、『うちはお兄さんが作るよ』と返ってくる。そこで自分の生活スタイルとは違うものがあることを知り、世の中には色々な環境、人、言葉、考え方があるのだということを感じるのです」

ごっこ遊びは、他者との違いを知り、受け入れて認めたり、ぶつかったりすることを経験し、多様性を学ぶ機会も与えてくれます。子どもの成長を促す要素が満載のごっこ遊び。ぜひ楽しみながら様々な力を養ってほしいですね。

 

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・大切なのは、子どもが自然に始めること

しかし、いくらごっこ遊びが子どもの成長を促すからとはいえ、「大人から無理やり『させる』ものにはしないでほしい」と細田先生は言います。子どもが「やらされている」と感じていると、その遊びは発展していかないものなのだとか。

「大人が誘導することはお勧めしません。たとえば子どもがお医者さんごっこをやりたいと思ったときに、ごっこ遊びに使えそうな安全な道具が部屋にあれば「どうぞ、これも使って」と伝えてみるなど、始めはきっかけがあるといいですね。ただ、遊びが始まったら、そこからは子どもが自由にイメージを広げる世界。子どもの『想像力』を大切にしましょう」

ごっこ遊びは、憧れの存在に好奇心を持ったタイミングで、身近にきっかけがあると始まりやすいそう。普段から子どもの様子をよく観察し、今、何に興味を持っているかを知っておくといいでしょう。

◆子どもがごっこ遊びを楽しむために、大人ができる工夫とは?

ごっこ遊びが始まったら、基本的に大人は見守りましょう。なぜなら、子どもの中で作られた、自由な世界観が、大人の介入で壊れてしまうことがあるからです。子ども自身が楽しんでいる空間を崩してしまわないよう、なるべく静かに見守ってください。

・始まってすぐに声を掛けない
楽しそうな遊びが始まると、気になって話しかけたくなるかもしれませんが、静かに見守りましょう。「見られている」と思うと、子どもは、大人の目を気にしてしまうこともありますから、危ないことがあったら動けるような態勢を取りながらも、遊びは子どもに任せましょう。

・子どもの世界を否定しない
大人から見て設定がおかしかったり、突拍子もないことをしていたりしても、正したり、否定しないようにします。ケガをするなどの危険がない限り、子どもの作った世界観を壊さないことが大切です。ごっこ遊びは架空の世界ですから、のびのびとした発想を見守りましょう。

・ストーリーを発展させたり、主導権を握ったりしない
子どもに遊びに誘われても、決して大人がストーリーを進めることはしません。あくまでも子どもが広げている世界に「参加する」という気持ちで。大人が中心になって進めてしまうと、それまでに子どもが作った世界が変わってしまうので気をつけましょう。

◆こんなときどうする? ごっこ遊びで困ったら

子どもの遊びにトラブルはつきもの。楽しく遊んでいると思ったら、いつの間にかケンカが発生、なんてことも。そこでごっこ遊び中に起こる、ちょっとしたトラブルの対処法を聞きました。

・物を壊してしまったときは?
壊したことを頭ごなしに責めたり、叱ったりせず、まずは理由を聞きましょう。否定せずに「そうだったんだね」と、子どもの言い分を一旦受け止め、理解したよ、と示すことで、「自分の気持ちを分かってくれた」という安心感が生まれます。故意でない場合は、それを子どもと一緒に直してもいいですね。また、壊した理由が「イライラしたから」「いやな気持になったから」などの場合は、物の気持ちになって考えられるよう話します。例えば、人形の手を引きちぎってしまったとしたら、「痛いって泣いているよ」など、人形にも気持ちがあるんだと想像できるように。
また、好奇心や、仕組みを知りたくて壊した、などの理由なら、その気持ちを受けとめ、子どもが発見したことに一緒に共感したり、元に戻すかどうするかを相談するなど、それぞれの状況に合わせて対応しましょう。

・意見が分かれてケンカになったら?
どちらが正しいか大人がすぐにジャッジするのではなく、それぞれの意見をよく聞きます。その後、子どもたちには、お互いの気持ちを伝えた上で、3~4歳の年齢なら、時間を区切って順番に出来るように提案したり、4歳後半を過ぎた頃からは、必要なら互いの言い分を橋渡しした後、本人たちで解決できるよう促し、見守ります。子どもはトラブルの中からさまざまなことを学ぶもの。それぞれの年齢に合った対応をすることが大切です。

「トラブルはあった方がいい、他者とぶつかるからこそ、気づきと成長がある」と細田先生。「ケガをしないトラブルなら様々経験して、そこからたくさん学んでほしい」と言います。ごっこ遊びはトラブルになることも多々ありますが、互いの思いや意見が食い違うからこそ、分かり合えた時や共有できたときの喜びは大きく、子どもたちも得るものが多いとのことです。

 
「ごっこ遊び」は子どもの成長を促す要素が満載! 身につく力や楽しく遊ぶ工夫を紹介
 

ごっこ遊びには明確なルールはなく、その時々の子どものひらめきで作り上げていくもの。ルールがないからこそ、起きる出来事をどう受け止め、対処するかなど幅広い対応力が必要なため、身につく力も多いのではないでしょうか。ひとつの遊びを満足いくまで繰り返すことも、様々な役柄を楽しむのもいいですね。
楽しみながら、様々な「生きる力」の基盤を身につけられるごっこ遊び。子どもたちがその瞬間にひらめき、作り出す世界は唯一無二ですから、どうぞ大切に見守ってあげてくださいね。


細田のりこ先生 プロフィール
大学卒業後、保育園や幼稚園など幼児教育の現場で23年間の長きにわたり子どもたちと向き合い、主任業務や子育て支援事業、保護者支援などにも注力。保育者を対象とした研修セミナー講師や書籍「乳幼児期の子育てポイント」「子育て困ったにお答えします。ほめ方、しかり方」等も手掛ける。その後、東京都町田市教育委員会「保幼小接続カリキュラム」の作成業務や、鹿児島県徳之島教育委員会主催、武道を習う子どもを対象としたセミナー「特別記念講演・剣道を通じて学んだこと」などに携わった。現在は東京工学院専門学校の幼児教育学科・幼児保育学科の担任を務める他、提携校である豊岡短期大学の非常勤講師でもある。剣道五段、大学生の子どもをもつ一児の母。

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