駄々をこねる子どもに言ってしまいがちな「ダブルバインド」をやめよう!
最終更新日:2021/09/25
駄々をこねる子どもに言ってしまいがちな言葉
例えば、公園などで遊んでいて、いざ「お家帰ろう」と言うと、子どもが「まだ帰りたくなーい!」なんて駄々をこねること、よくあるのではないでしょうか。また、同じように、お家で遊んでいるときも、「そろそろお片付けしようか」と言うと、「まだ遊びたい!」と駄々をこねることもあります。
子どもを説得するも、まったく聞いてくれなく、そして最終的には、「もうママ、帰っちゃうよ!」、「おもちゃ捨てちゃうからね!」と言ってしまうことは多々あると思います。
実は、この親の子どもを脅すような発言、子どもにはとても悪影響があるんです。
今回は、子どもが「まだ遊びたい」と駄々をこねたときの対応、また子どもを脅すような発言の悪影響をお伝えしていきたいと思います。
ダブルバインドとは?
「ママ、帰っちゃうよ!」、「おもちゃ捨てちゃうからね!」と言ったとしても、実際にそれを行動に移す人はいませんよね。本当はそんなことをしようと思っていないのに、子どもを簡単にコントロールしやすいために、ついこういった脅すような発言に頼ってしまうことは多いですよね。
しかし、この子どもを脅す発言は、その高い効果と即効性のかわりに、副作用があります。
「ママ、帰っちゃうよ!」、「おもちゃ捨てちゃうからね!」というような言葉でするコミュニケーションを「ダブルバインド」と言います。
「ダブルバインド」は、1つのメッセージの中に、矛盾した複数の意味が含まれており、子どもはどれを信じればいいのかわからず、子どもを混乱させ、強い緊張と過度なストレスを与えてしまうことです。統合失調症の症状に近いと言われています。
例えば、「ママ、帰っちゃうよ!」と言われた子どもは、「ママに置いて行かれるかもしれない」という恐怖と不安を覚えますが、実際にはママが自分から離れていかないということに混乱します。
ダブルバインドの悪影響
このダブルバインドで子どもをコントロールし続けると、子どもはどうなるでしょうか。単純なダメ出しよりも悪影響は大きいと言います。
例えば、子どもが周りの人を信用しなくなったり、自分の気持ちを表現しなくなったり、思考力が下がったり、弟妹や友だちに脅すコミュニケーションをマネするようになったりなど、ダブルバイインドの悪影響は数え切れないほどあります。
特に大きな問題は、自己肯定感の低下です。ダブルバインドは「条件付きで愛しているよ」と言うメッセージを無意識で送っていることになります。「お手伝いをしたら、褒めてくれるんだ」、「テストで良い点を取ったら、認めてもらえるんだ」と子どもは思ってしまうのです。
反対に「お手伝いしなかったら、愛してもらえない」、「テストでいい点を取らなかったら、見捨てられる」と子どもは思い、健全な自己肯定感を持てなくなってしまいます。
さらに、これらの悪影響は、子ども時代だけでなく、大人になってからも続きます。子どもにはダブルバインドなしのコミュニケーションで育てたいものです。
ダブルバインドを使わない言い方
では、ここからは、ダブルバインド使わずに、子どもが駄々をこねず遊びをやめてくれる言い方をお伝えしていきます。
無条件の愛を示す
まずは、無条件の愛を示すことです。
先ほど述べた通り、ダブルバインドは条件付きの愛情を子どもに示していることになり、自己肯定感が低下しています。まずはダブルバインドで強い緊張感、強い不安、強いストレスを感じた子どもの心を癒してあげましょう。
「〇〇したから良い子だね」というような条件がなくとも、子どもを愛情を示すようにしてあげてください。勉強や運動ができなくたって、ありのままの我が子が愛しいということは当たり前のことで、伝える必要がないと考えていませんか。それでは、子どもはママ、パパに愛されているのか安心できません。
日頃から無条件に子どものことを愛していることを伝えましょう。「大好きだよ」、「大事な〇〇ちゃん」と言うだけでも、「自分は無条件に愛されている」と感じるものです。子どもも安心感を感じ、子どもは癒されます。
また、子どもをコントロールしようとして無意識にダブルバインドしてしまうときは、ついついあります。そんなときは、素直に謝りましょう。子どもも1人の人間ですから、「ごめんね」と言えばわかってくれます。
子どもに選択肢を与える
次に、子どもに選択肢を与えることです。
ママ、パパから一方的に「〇〇しなさい!」と指示されるのは、子どもが拒絶したくなってしまいます。大人であっても、仕事で「これやって」と一方的に言われるのは、嫌な気持ちになりますよね。
「あのおもちゃとこのおもちゃ、どっちからお片づけしようか?」とお片づけをすることを前提に、選択肢を持たせてあげることで、「お片づけしなさい!」と指示されるよりも、圧倒的に拒絶感は減るはずです。
子どもに先の見通しを持ってもらう
そして、子どもに先の見通しを持ってもらうことです。
大人にも予定があるように、子どもにも予定があります。「次は、あの遊具で遊ぼう」、「これが完成したら、ママ、パパに見てもらおう」など、子どもは考えています。そのはずが急に「もう帰るよ」、「今日はもうおしまい」と言われたら、納得できず、駄々をこねたくなるのもわかります。
ですから、「これが終わったら、そのあとは帰るよ」と、子どもがあらかじめ見通しを持てるように伝えましょう。すると、子どもは「そろそろ帰らなきゃいけない時間かな」と心の準備をすることができます。時計が読めるなら、「◯時までね」と言うのもいいでしょう。
心の準備をするのとしないのでは、まだ遊んでいたかったときの心の切り替えも大きく変わるはずでしょう。
他のダブルバイインドのケース
ダブルバインドの例として、次のようなものがあります。
ケース①
「お菓子を1つ買ってあげるから、選んでおいで」と言って、子どもがおもちゃ付きでラムネが1つしかついていないお菓子を選んできたとき、「これはダメ」と言った場合です。
子どもからしたら、お菓子コーナーにあったものを選んできただけなのに否定されるのは、「なんで?」と混乱します。
「それがほしいの?」と子どもに共感し、「それはラムネが1つしかついていないから、別のものを選ぼうか」とダメな理由を説明しましょう。
ケース②
また、子どもが言うことを聞かないときに、「お片づけしないと、鬼がくるよ」と言う場合です。
最近では、「鬼からの電話」というアプリがありますね。このようなアプリを使ったり、「鬼がくるよ」と言うのも、子どもを脅しており、子どもの不安や恐怖を利用したコントロールしようとしています。
また、「〇〇しないと、みんなに笑われちゃうよ」、「〇〇できないなんて、恥ずかしい」といのも、恥というネガティヴな感情を利用した、立派なダブルバインドです。
感情によってコントロールするのではなく、「〇〇しなさい」と口うるさく言うほうが圧倒的にマシです。
ケース③
そして、実はママ、パパが感情を押し殺しながら、子どもに接する場合も、ダブルバインドになります。
ママ、パパがストレスを感じ、それを押し殺しながら、子どもと遊んだりすると、子どももストレスを感じてしまいます。子どもはママ、パパの感情に敏感です。ママ、パパの行動はいつもと変わらないのに、感情はいつもと同じではないことに気づき、その矛盾に子どもは混乱します。
顔は笑っているのに、その内側は不機嫌なことに子どもはわけがわからず、緊張や不安を感じます。ですので、子どもには素直な感情を見せましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。帰るのに駄々をこねる子どもへの接し方、ダブルバインドの悪影響をお伝えしてきました。
ダブルバインドでのコミュニケーションは、つい無意識でしてしまうものです。日頃からダブルバインドをしてしまわないように意識してしましょう。
駄々をこねる子どもも、言い方や工夫次第で解決できるものです。ぜひダブルバインドを使わない子育てをしましょう。