保護者が選ぶ通わせたい学童No.1に選ばれました!
お問い合わせ:045-543-3331
受付時間:10時〜19時

アデック(Adecc)のコラム一覧

美味しく・楽しく作って心も育つ!子どもと一緒に料理に挑戦

公開日:2022/12/18
最終更新日:2022/12/17

お手伝いをする楽しみや達成感を得たり、思いやりの気持ちを育んだり……作って楽しい、食べて美味しいだけでなく、「料理」には子どもの可能性を伸ばすさまざまな教育効果も期待できます。今回は、料理を通じた体験型教育プログラムを実施する「キッズキッチン協会」の副会長である坂本佳奈さんに、親子で安全に料理を楽しむコツや、おすすめのレシピについて伺いました!


◆料理をすることで、どんな可能性が伸ばせるの?
料理は生活のなかでも最も大切な家事のひとつ。親にとっては毎日欠かせないことですが、子どもが料理を取り組むことには、どんな効果があるのでしょうか。

「材料を用意して、調理して食べ、後片付けをする。これが料理の一連の流れです。普段親が作ってくれたものを『食べる』だけの子どもが、こういった一連の流れを経験することで『できた!』という自信を持つことができたり、『段取り力』を身につけることもできます。また、作った料理を味わうことで自分のしたことの結果を自分自身で感じることができるので、責任感も育ちます。また、いつもごはんを作ってくれる人の立場を体験することは思いやりの気持ちにも繋がります」

料理の技術や段取り力を身につけるだけでなく、自信や責任感、思いやりなど、心の成長も育んでくれる「料理」のパワー。これはぜひ、親子で一緒に取り組んでみたいですね。

美味しく・楽しく作って心も育つ!子どもと一緒に料理に挑戦

◆いつから一緒に料理ができるの?
とはいえ料理は包丁や火を扱うだけに、安全面も気になるところ。いつごろから子どもと一緒に料理を始めればよいのでしょうか?

「子どもが料理に興味を持ったときがはじめ時です。たとえば親が料理をしている姿を興味深く眺めていたり、作ってみたい!と言ったり、ごはんを食べた後に食器を自分で台所に運んだり。早い子なら、ひとりで歩けるようになる1歳半ごろから一緒に料理ができますよ」

ただ、不思議なもので、子どもが料理に興味を持つのは「育つ環境にはあまり関係がないようです」と坂本さん。

「というのも、私は料理を仕事にしているので、うちの子どもは早くから料理に興味を持つのかな、と思っていたのですが、やりたいと言い始めたのは6歳くらいのときなんですよ(笑)。無理強いすると子どもは嫌がりますから、子どもの自主性を尊重してあげてほしいですね」。

料理教室などで料理を行う場合は、調理から後片付けまで一連の作業を子ども自身が行うため、4歳くらいからが目安となるそうですが、家庭で親と一緒に料理を楽しむなら、子どもの興味に合わせてちょっとしたお手伝い程度から始めてみるとよいそう。きのこをちぎったり、エンドウ豆の皮をむいたり、後片付けをしたり。そういった料理や食事にまつわる作業をお手伝いするだけでも、立派な「料理」なんですね。

「子どもが料理に興味を持つうえで重要なのは『食べるのが好きかどうか』。ですから、ふだんから食べ物に関心が持てるよう、美味しいものはまず子どもに味見をさせてあげることも大事です。カフェインが含まれるもの、辛いものなどはNGですが、旬の果物や野菜、魚など、素材の美味しさを教えてあげることは、食育するにあたって、とても大切なことなんですよ」

1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

◆子どもと一緒に料理をするときの心構えは?
では、実際に子どもと一緒に料理をするうえで、親はどのようなことに気をつければよいのでしょうか?

まず親側の心構えとして大切なのは「親がストレスなく、できるときに一緒にやること」だと坂本さんは言います。

「子どもと一緒に料理をするにはどうしてもいつも以上に時間がかかるので、ゆとりがないときだと、かえってストレスになってしまいます。時間にも気持ちにもゆとりがあるときがベストですね」。

子どもと一緒の料理は、子どもも親も「楽しむ」ことが一番大事。子どもの意欲を尊重するのと同様、親側のストレスにならないよう、休日など時間にも気持ちにも余裕があるときに始めるのがよいでしょう。

「子どもにとって、料理は慣れない作業ですから、当然失敗もします。そんなときにも余裕を持って対応できるように、壊したり汚されたりしたくないものは出さないことも大切です。行き当たりばったりで始めずに、失敗するリスクを考えたうえで準備をしましょう。失敗しても怒らなくて済む環境を整えておけば、気持ちにもゆとりが生まれます」

なるほど!親側の気持ちのゆとりをまずは確保することが大切なんですね。

「親子がお互いに無理をせず、楽しめる範囲で行うのが一番。ですから、家庭では必ずしも最後までやらせる必要はなく、子どもが『やりたい』といったところだけお手伝いしてもらったり、途中で飽きてやめてしまってもOKです。最後までできなくても『やってくれてありがとう!』と声かけをすることが、次の意欲に繋がります」

◆調理グッズはどう選ぶ?
調理グッズ選びについても坂本さんにアドバイスをいただきました。まず一番気になる「刃物」について。意外なことに包丁は、「よく切れるもの」を選んだ方がよいと坂本さんは言います。

「よく切れるもの、そして子どもの手の大きさに合わせたものを選びましょう。安全でかわいいデザインの子ども用包丁もありますが、切れないものはNG。切れ味の悪いものを使うと、余分な力を使って切ろうとするので、かえって危険なんです」

手の大きさに合わせるとなると、包丁よりも小さいペティナイフなどが頭に浮かぶかもしれませんが、ペティナイフは刃がしっかりしていないものも。三徳型の包丁のほうが安定感があり持ちやすいのでおすすめです。

「ピーラー」も安全で扱いやすいと思いがちですが、実は子どもにとっては意外とハードルが高い調理グッズなんだそう。

「大人のように、にんじんなどを手に持ってピーラーでそいでいくのは、子どもには危険で難しい作業なんです。ピーラーを使って皮をむいたり、削いだりするときは、必ず食材をまな板に置いて手で押さえながら使うことを最初に教えてあげましょう。また、キッチンバサミを使わせるのも、ふつうのハサミをじょうずに使いこなせてからにしましょう」

このほか、踏み台などを用意して、子どもの背丈を作業台とあわせてあげることも大事。下におろした腕が軽く「く」の字に曲がるぐらいの高さで作業できるようにしてあげましょう。

また、もう一つ取扱いに注意したいのが「火」。こちらは火のつけ方よりも「消し方」を先に教えてあげるようにしましょう。安心して楽しく料理に取り組むためには、安全をしっかり確保することは欠かせません!

◆子どもと一緒に作りたいおすすめメニュー
心構えも調理グッズの準備も整って、次はいよいよ調理!
子どもと一緒に作りやすいレシピを2つ、坂本さんにご紹介いただきました。

【にんじんのたらこ和え】

美味しく・楽しく作って心も育つ!子どもと一緒に料理に挑戦

●材料(2人分)●
にんじん 100g(小1本)
たらこ 20g(1本の1/3程度)
きぬさや 4枚
ごま油 大さじ1/2

●作り方●
<1>にんじんは皮をむき、ピーラーで薄くひらひらにそぎ、約5cmの長さに切る(はさみや包丁を使いたくない子はそのままでもOK!)。きぬさやは筋をとって千切りにする。たらこは皮ごとざく切りにしておく。
<2>フライパンにごま油をしき、にんじんを炒める。途中で水を大さじ1加えながら火を通し、きぬさやを入れて炒める。
<3>たらこを加え、菜ばしでよく混ぜる。全体に火が通ったら出来上がり。

☆おすすめポイント☆
・味付けはたらこの塩味だけ。にんじんが苦手な子どもも、たらことあえることで美味しく食べられるんだそう!
・きぬさやはなくてもOK!
・ごま油の代わりに、バターやオリーブオイルでも美味しくできます。

【きのこのクリームシチュー】

美味しく・楽しく作って心も育つ!子どもと一緒に料理に挑戦

●材料(4人分)●
きのこ 150~200g(ぶなしめじ、エリンギ、まいたけ、しいたけなど)
鶏手羽先 2本(100g程度)
ブロッコリー 1/4株(100g程度)
にんにく ひとかけ
水 1カップ(200ml)
牛乳 2カップ(400ml)
米粉 大さじ3
塩 小さじ1
コショウ(お好みで)
じゃがいも 中1個(お好みで)

●作り方●
<1>きのこは石づきを取り、一口サイズに割く。鶏手羽先はふたつに割って湯通ししておく。米粉、牛乳、塩はボウルなどに入れてよく混ぜておく。にんにくは、つぶして皮をむく。
<2>手羽先を鍋に入れ、水、きのこ、にんにくを入れる。じゃがいもを入れる場合はここで。
<3>沸騰したら火を弱め、ブロッコリーを入れて蓋をし、3分ほど煮る。
<4>ブロッコリーに火が通ったら火を止め、混ぜておいた米粉、牛乳、塩を加え、具材とよく混ぜ合わせてから火をつける。
<5>ゆっくりかきまぜながらとろみがついたら出来上がり。お好みでコショウを振りかけて召し上がれ。

☆おすすめポイント☆
・とろみづけには、小麦粉ではなく米粉がおすすめ。小麦粉の場合、炒める手間がかかりますが、米粉なら牛乳、塩とよく混ぜておくだけでOK。米粉は小麦粉がわりにムニエルを焼く前にまぶしたり、やカレーのとろみづけなどにも使えるので、常備しておくと便利です。また小麦粉は輸入品がほとんどですが、米粉なら国産のものが手に入ります。
・市販のルー(クリームシチューのルーなど)を使う場合は、塩を入れずに作ります。
・きのこは子どもと一緒に好きなものを選びましょう。ぶなしめじなどは石づきを取りあらかじめ割かれものも売られていますが、きのこの形状を知るためにも石づきのあるものを選ぶとよいでしょう。
・牛乳のかわりに豆乳を使っても美味しくできます!

料理の醍醐味は、楽しく作ったものをみんなで美味しく食べること。自分が作ったものを家族が「おいしい!」と喜んでくれたら、それはきっと子どもにとって大きな達成感になるでしょう。
食べ物が子どもの身体を育むものだとしたら、「料理をすること」は子どもの「心」を育むもの。家で過ごす時間やお手伝いする機会が増える冬。しっかりと時間を作って、子どもと一緒に料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


プロフィール
坂本 佳奈さん
食育・料理研究家。キッズキッチン協会副会長。
1976年神戸生まれ。大阪市立大学大学院生活科学部前期博士課程 食・健康コース修了。専攻は食環境科学。数学・教員免許、学芸員資格も持つ。
著書:「親子でキッチン上・下」(かもがわ出版)、「国産米粉でクッキング」(農文協)、「もっと広がる国産米粉クッキング」(農文協)など。*いずれも坂本廣子と共著。

一般社団法人キッズキッチン協会
キッズキッチン活動を推進する任意団体として、2005年9月に設立。子どもによる体験型食育プログラム(キッズキッチン)の実施や、インストラクター、食のプロフェッショナルの育成も行うほか、子ども向けの食に関する通販サイト「Kids-Kitchen」の運営も行っている。