子どもの自己肯定感が低いのは、親子のコミュニケーション量が原因?
最終更新日:2020/03/29
子どもに必要な自己肯定感ってどんなもの?
皆さんは、自己肯定感という言葉を説明できますか?
自己肯定感とは「自分は大事な存在である」「自分はありのままで大切にされる価値がある」と感じられる状態のことです。
自己肯定感が育っていると、いろいろな物事に積極的にチャレンジすることにつながったり、失敗しても前向きに切り替えて次のステップに向かったりすることができます。
失敗したこと、自分の欠点もまるごと受け入れて価値があると感じられることが、自己肯定感の高い状態です。また、自己肯定感が高いと、自分のことを大切にできるだけでなく、相手のことも大切な存在として尊重することができます。誰かと関わっていかなければ生きてはいけない社会の中で、自己肯定感はとても大切な感情なのです。
自己肯定感が低い子はどうなる?
では、自己肯定感が低い子は、どんな状態になってしまうのでしょうか?
具体的には、自分を信じられなくて物事に消極的になってしまったり、周りの目を気にして自分の思いを上手く表現できなかったり、自分を大切にすることが出来ずにいつも他人を優先し我慢をし続けてしまったり…。自己肯定感が育っていないと、いつもどこか無理をしながら生活を送っていて、成長をすることが難しくなってしまいます。
子どもの時に自己肯定感が低く、その後も自己肯定感を高められないと、大人になった後でも息苦しさを感じながら生き続けることになります。
親の関わり方が自己肯定感につながる
では、どのように自己肯定感は作られるのでしょうか?
実は自己肯定感とは、子どもがママやパパはもちろん、友だちや家族以外の大人といった周囲の人との関わりを通して、身についていくものなのです。
幼少期の子どもにとってはママ・パパといった家族との関わりやママ・パパと一緒にチャレンジしていく瞬間が、自己肯定感を高めるチャンスです。その時、自分を認めてもらえるのか、あるいは悲しい思いになってしまったり否定されたりするのか。
日ごろの対応のひとつひとつから、子どもは自分に向けられている思いを敏感に感じ取り、自己肯定感を高めたり、低くしてしまったりします。
自己肯定感は、子どもの時代だけではなく、大人になってからも生きていく上で必要になるものです。むしろ、子どもの時の自己肯定感の低さは、大人になって大きく本人の心に暗い影を残します。しかし、自己肯定感は一朝一夕では身につかないもの。そのため、ママ・パパの普段からの関わり方が子どもの自己肯定感を育むためにとても重要なのです。
自己肯定感を育む親子のコミュニケーション機会
ここまでは、子どもにとっての自己肯定感の大切さ、そしてママやパパとの関わり方ひとつで、子どもの自己肯定感が変わることをお知らせしてきました。
ここからは、自己肯定感を育む親子のコミュニケーション機会について、いくつかご紹介します。家族で暮らす日常の中で、関わり方を少し工夫するだけで、子どもの自己肯定感は大きく育まれていきます。
機会①子どもがその日あったことを聞く
まずは、子どもにその日あったことを聞くことが大切です。
子どもは毎日生活をする中で、さまざまなことを感じています。「今日はなにがあったの?」と聞くことは、その子の考えたことや感じたことを聞くきっかけにもなります。
ママやパパが、その日子どもが考えたこと・感じたことを認め、受け入れてあげるだけで、子どもは「自分のことをちゃんと見てもらえてる」「自分のことを受け止めてもらえてる」と感じることができます。
さらに、ママやパパが褒めたり、アドバイスをしてあげたりすることで、子どものその日のチャレンジの承認と次のチャレンジへの応援が伝わります。その日の話を聞くことは、親子の日常的なコミュニケーションの一環というだけではなく、子どもの成長に大きな意味を持っているものなのです。
機会②スキンシップの機会を増やす
2つめは、スキンシップの機会を増やすことです。
乳幼児期に形成される情緒的な深い結びつきや愛着のことを「アタッチメント」と言います。アタッチメントが形成されることで、子どもは安全な環境を手に入れることができます。「この人がいるから大丈夫」という安心感を子どもが持つことができるのです。
この「大丈夫」という気持ちが自己肯定感につながります。ぎゅっと抱きしめてあげたり、くすぐってあげたり、一緒にお風呂に入ったり。ママやパパも楽しみながら、スキンシップができると素敵ですね。
機会③寝る前の絵本の読み聞かせ
3つめは寝る前の絵本の読み聞かせです。
絵本の読み聞かせは、子どもを安心な環境で物語に溶けこませることができます。その世界の中で、子どもは嬉しい、楽しい、悲しい、悔しいなど、さまざまな感情を味わいます。その感情をママ・パパに受け止めてもらうことで、子どもは「自分のありのままを受け入れてもらえた」と感じることができます。この感覚は自己肯定感を高める大きな引き金となります。
また、寝る前に読み聞かせの時間を設けることで、子どもは安心した空間の中で眠りにつくことができます。一日を安心した気持ちで終えることで、子どもの心は安定しますし、毎日、自分のために時間を使ってくれるという幸福感・信頼感が芽生えます。これが自己肯定感を高める上でとても大切なものとなるのは言わずもがなでしょう。
機会④一緒に遊ぶ
最後は子どもと一緒に遊ぶことです。
子どもと一緒に遊ぶというのは、ママやパパが子どもの世界に行くということ。子どもの世界の中で、子どもは考えるまま、感じるままに遊んでいます。その世界の仲間となってくれることで、子どもは自分の世界を楽しんでくれていると感じることができます。
さらに、自分が想像したことやその世界観に肯定的な反応があることで、「もっともっと」とチャレンジを続けたり、イメージを膨らませたりすることにつながり、それがまたママやパパを楽しませることができて…というようなループをつくることにつながります。このループが作り出せると、子どもの自己肯定感は大きく育まれるのです。
コミュニケーションは質よりも量がまず大事
このように、子どもの自己肯定感を高めるには、ママやパパが子どもとのコミュニケーションの時間や機会をとることが大切です。
そうはいっても、仕事や家事に忙しいママやパパだと、時間を作ることはなかなか難しいかもしれません。しかし、量が取れない分、質で補おうと考えると、子どもと接するときに力が入ってしまい、その熱量を敏感に感じ取った子どもは萎縮して、「ありのままの自分」を伝えることができなくなってしまいます。
まずは、肩肘張らずに、少しの時間ずつでも、子どもと関わる時間や回数を増やしていってあげてください。それが、子どもが不安や寂しさを感じることで生まれる自己肯定感の低下を防ぐことにもつながっていきます。
まとめ
今回の記事では、自己肯定感が大切な理由と自己肯定感を育むための親子の関わりの方法をお伝えしました。
自己肯定感を育むコミュニケーションの機会は、子どもがその日あったことを聞く・スキンシップの機会を増やす・寝る前の絵本の読み聞かせ・一緒に遊ぶの4つでした。
この4つ以外にも、日常の中には、たくさんのコミュニケーション機会が存在しています。「自己肯定感」は子どもの生きていくチカラそのもの。とても大切にしなければならないものです。「自己肯定感」という言葉を頭の片隅において、子どもと接していただければと思います。