進級・進学を前に子どもに読書習慣を身につけさせよう!
最終更新日:2021/01/18
読書は小学校入学前からでもできる
子どもに何歳から読書を薦めることができるのか。これはなかなか難しい問題かもしれません。子どもの発達具合にも影響を受けますし、読みたいという意欲にも左右されます。
最近では、幼稚園や保育園に通い始めた頃から、ひらがなやカタカナが読めるようになる子どもが増えてきました。園で文字を学ぶ機会も増え、またYouTubeなどで字幕付きの動画を見ることも多くなってきたため、読書を始められる年齢も低年齢化してきました。
ママやパパが子どもだった頃よりも、実は文字に触れる機会は格段に多くなっているのです。
最初から長編の本はナンセンス
子どもにとって読書は学習面でも効果的と考えるママやパパもいるでしょう。文字に触れる機会が増えているから、子どもに本を読ませようと思うことは悪いことではありませんが、ママやパパの中にも、本を読むことが好きな方もいれば、あまり好きではない方もいるのではないでしょうか。
これは単純な好き嫌いの問題もありますが、そもそも最初に読んだ本があまり面白くなかった、文量が多かったという苦い経験がそんな気持ちを引き起こしているかもしれません。それは子どもにとっても同じことです。
したがって、まずは短編の物語から読書デビューを促すことがおすすめです。
ここからは子どものワクワクする気持ちを引き立てる、早く次のページに行きたくなるような短いストーリーをご紹介します。この話が入っている短編物語集から読書を始めさせていきましょう!
ガリバー旅行記
まずは『ガリバー旅行記』です。
主人公であるガリバーは船での仕事をしていましたが、ある日、船を嵐が襲い、波に飲まれてしまいました。
ガリバーは小人の国の海岸に打ち上げられ、目を覚ますと、身体中が縛られていました。ガリバーは国にいても許される代わりに、彼らの力になることを約束をし、過ごすことになりました。隣の小人の敵国が来てもやっつけたり、火事が起きてもあっという間に消したり。
しかし、そんなガリバーの活躍を妬んだ臣下の嫉妬によって、ガリバーは小人の国を追われ、敵国に逃げます。その国の海岸にボートが流れ着き、ガリバーは帰ることができましたとさ。
ガリバーのように旅は良いことばかりではないかもしれません。予想外の出来事が起きて、嫌な気分にもなるときもあるでしょう。良いことばかりではなく、悪いことも「思い出」として考えられるようになると毎日がもっとワクワクするでしょう。
ガリバーの旅行、冒険が、子どもが本のページをめくる気持ちを高めてくれます。
オズの魔法使い
次は『オズの魔法使い』です。
主人公であるドロシーは、ある日、大きな竜巻によって、住んでいたカンザスから見たことのない東の国に家ごと飛ばされてしまいました。
ドロシーはカンザスへ戻るため、オズのもとへ向かいます。その途中、知恵がほしいかかし、心がほしいブリキのきこり、勇気がほしいライオンと出会います。
オズは願いを叶える代わりに西の魔女を倒せと言います。ドロシーたちは力を合わせて恐ろしい西の魔女を倒します。しかし、オズの正体は魔法使いではなく、ただの人間でした。
最後に美しい南の魔女が現れ、「オズの魔法がなくとも、西の魔女を倒したかかしたちの願いごとはすでに叶っている」と言います。そしてドロシーは南の魔女の魔法によって、無事カンザスへ帰ることができるのでした。
先ほどの『ガリバー旅行記』同様、ドロシーの冒険が先を読みたいという子どもの気持ちを駆り立ててくれます。また、知恵、心、勇気は誰からもらうものでもなく、経験によって身につくものであるというような学びも得られるところが、このストーリーのいいところです。
スーホの白い馬
次は『スーホの白い馬』です。
これは、モンゴルという国のお話。ある村で暮らす少年、スーホは、ある日弱っている白い子馬を拾います。スーホはその馬に「ハルハ」という名前をつけ、自分の兄弟のようにかわいがりました。
あるとき、競馬大会に開かれ、腕試しに参加したら、ハルハが1等になりました。しかし、ハルハのことを気に入った王様にハルハを奪われてしまいます。
スーホが悲しみに暮れていると、ハルハが帰ってきました。王様の元から逃げようとしたハルハは矢をたくさん打たれて、やがてスーホの腕の中で死んでしまいました。スーホはハルハの亡骸から馬頭琴という楽器を作り、その音色を響かせました。
このお話では、動物にも感情があることを教えてくれます。ハルハはスーホに会いたい一心で、たくさんの矢が刺さったとしても走り続けました。動物に対する優しい気持ちの大切さも教えてくれる本でもあり、動物に優しくできる子どもに育ってほしいというメッセージを伝えてくれます。
『スーホの白い馬』は絵本の方が有名かもしれません。一部では、教科書に載っていることもあります。絵本や教科書といった子どもに馴染みのあるものから、読書を薦めていくことも効果的な方法です。
読書習慣をどのように身につけさせるか
読書の習慣を身につけさせるために大切なのは、最後まで読み切るという成功体験を積ませることです。読み切ったという達成感は子どもの自信をつけ、次の本を読んでみたいという気持ちへとつなげてくれます。
そこで、まずは子どもが興味の持つ本から読ませるようにしましょう。今ではAmazonなどのネット通販で簡単に本が手に入る時代ですが、子どもの興味を知るためには書店に足を運び、親子で本を探すことがポイントです。
ママやパパの目線にたてば、読ませたい本はいくつもあるかもしれませんが、子どもの「読みたい」「読んでみたい」が一番。子どもの志向性を知るためにも、ぜひ書店にいってみてください。また、ママやパパが読ませたい本は、子どもが読書習慣を身につければ、むしろおすすめの本として読んでくれます。子どもが読書に興味を持ってからでも遅くはありません。
また、読書は、子どもが好きな虫や乗り物の図鑑でも構いませんし、何も活字だけではありません。むしろ図鑑のほうが難しい言葉や言い回しを覚えるのに適していることもあるでしょう。子どもが遊ぶ時間ではなく、本を読む時間を優先すること、そして、本のページを開くことだけで読書習慣への一歩は十分です。
ママやパパも読書好きになることも重要です。本を読まない親の子どもは、本をあまり読みません。親子で読書の時間を作ったり、読んだ本の感想を聞く時間を作ったりして、家族で読書の習慣を持ちましょう。
読書は心の安定につながる
読書が国語教育につながることは自明の理ですが、一番のメリットは語彙力が増えることです。そしてこの語彙が心の安定へと導いてくれます。
語彙はどれだけの単語を知っているかということですが、物の名前を多く知ることが大切なわけではありません。感情を表す単語、擬音や擬態を示す単語などは日常のコミュニケーションだけではなかなか入手することができませんが、読書を通じて入手することができるのです。
特に感情を表す単語をたくさん知っておくと、感情のコントロール(自分の感情を表す言葉は何かを自問自答できる)がうまくいくようになり、子どもの精神状態の安定へつながります。
もちろん、読書自体が、静かな環境の中で、集中した状態で臨むものなので、それ自体が心の平静さを作り上げてくれます。読書が心の安定につながるということも併せて知っていただけると嬉しいです。
まとめ
ここまで、子どもに読書習慣を身につけさせるための入門編となるような物語の紹介をしてきました。まずは子どもが本を読むことが楽しいと思えるかどうか、ここが鍵です。
知育も楽しみながら学ぶことを意図していますが、これはどのようなジャンルにおいても重要なことです。楽しいことの方が継続しやすいのは、ママやパパにとっても明らかでしょう。読書を苦痛に感じさせないことが、読書習慣を身につけるための一番のポイントなのではないでしょうか。