子どもへの声かけ。自己肯定感を高めるアプローチ。
最終更新日:2020/03/29
自分に自信がないってどういうこと?
最近よく聞くようになってきた「自己肯定感」という言葉。「なんとなく大事そう」ということはわかっていても、いざ自分の子どものこととなると、褒めるほどの心の余裕が持てない。むしろ、ダメなところの方が目について、怒ってばかりかもしれない…というママやパパは多いのではないでしょうか?
自己肯定感を高めることが必要と言われると、悪いことをしたときも怒っちゃいけないの?自己肯定感の高い状態って、自分勝手とどうちがうの?と迷ってしまうかもしれません。今回は、少しわかりにくい「自己肯定感」と、子どもへの声かけの仕方についてです。
自己肯定感が低い子に現れる特徴
まず、自己肯定感とは何でしょうか。自己肯定感とは「自分の価値に関する感覚」と言われています。自分が自分をどう考え、感じているかによって決まります。
自己肯定感が低いのは「自分は価値がない」と思っている状態です。「どうせ、できるはずがない」と新しい挑戦をやる前からあきらめてしまう、受け身な姿勢になってしまう、他人の評価に振り回されるなどがあげられます。
たとえば、不安感が強いため、はじめての場所に行きたがらなかったり、自分から声をかけることができずなかなか友だちを作れなかったりします。
自己肯定感が低いのは、日本人に多い特徴だとも言われています。誰でも多少は持つ感覚ですし、本人がもともと持っている性格によるものもあるので、すべてが「よくない」と言っているわけではありません。
ただ、あまりにも低すぎると、大人になっていく過程で苦労することが多くなるのです。
自己肯定感のベースは子どもの頃に作られる
「自己肯定感が大切なことはわかったけれど、なぜ、声かけが大事なの?」と思われた方もいるかもしれません。
自己肯定感は、生まれてから3、4歳までの親の子どもへの言葉がけ、働きかけ、育て方によって決定されます。その後、12歳くらいまでに「自分はどういう人間であるか」という認識とともに、自己肯定感のベースが決まります。
小さい子どもは、自分で自分のことを認識することができません。だからこそ、一番近い他者である親からの声かけをうのみにしやすいのです。大人よりも、周りの言っていることからの影響を受けやすいので、声かけの仕方が重要になってきます。
お子さんの年齢が4歳を過ぎてしまっているとしても、不安に思う必要はありません。あくまでもベースに過ぎないので、今後変わっていく可能性があります。それこそ、大人であっても自己肯定感が高くなったり、低くなったりすることはあるのです。
ここからは、実際に「子どもの自己肯定感を高める声かけ」を三つご紹介します。
①ありがとう
一つ目の声かけは「ありがとう」です。感謝を伝えることで、相手にとって必要な存在なのだと感じられるようになります。
思い浮かびやすいシチュエーションとしては、「お手伝いをしてくれた」や「お客さんが来ているときに、静かにしていてくれた」や「幼い弟や妹のめんどうを見てくれた」など大人にとって協力的な行為をしたときでしょうか。
もちろん、行為に対してお礼を言うこともひとつなのですが、「○○をしてくれるなら、いい子」という条件づけは、時として逆効果のこともあります。
条件づけをすると「ありのままの自分に価値がある」とは感じづらくなってしまうのです。「大人の好むことをしなければ、いい子じゃない」と考えてしまうこともあります。
できれば、行為や結果だけでなく、子どもの気持ちや過程に対して「ありがとう」を伝えてみてください。「○○をやってくれようとしてくれた気持ちが嬉しい」と言えば、うまくいかなかった場合でも子どもを肯定できます。
いきなり「子どもをありのままに受け入れて」というのは、むずかしいことですが、「ありがとう」という回数を増やす、と考えると少しだけハードルが下がるのではないでしょうか。
②大丈夫
二つ目の声かけは「大丈夫」です。
自己肯定感が低い子どもは、不安や恐怖が強くなりがちです。失敗することや、他者からの評価を落とすことを怖れたりする傾向にあります。
そんな子どもには「大丈夫」と声かけをしてあげてください。
何かに挑戦する前に「どうせ、失敗するんだ」と、自分で自分のモチベーションを下げてしまっている子どもには「あなたなら、できるから大丈夫」と応援してあげてください。信じてもらえていると感じると、少し不安が軽減するはずです。
失敗をしたときでも、「大丈夫」と声かけをしてあげると心が軽くなることにつながります。これは大人でも同じではないでしょうか。必要以上に自分を責めたり、ものごとを大きくとらえたりことにストップをかけられるようになります。
「やってみたら、そこまで大したことじゃなかった」や「意外と平気かも」という経験を持つことができれば、少しずつでも自己肯定感を高めていくことはできるのです。
③生まれてきてくれて嬉しい
最後の声かけは「あなたが生まれてきてくれて、嬉しい」です。
これは他の二つと比べて、口にするハードルが高くなるかもしれません。このままでなくてもいいのですが、大事なポイントは「存在そのものを肯定する」ということ。何かをしたときに、働きかけをするのではないということです。
得意なことを褒めるだけだと、ネガティブな面、不得意なことも含めた自分を受け入れるのはむずかしいです。自己肯定感の高い状態は、「自分は生きているだけで価値がある」と思えること。
「ネガティブな面を肯定するのはむずかしい」という方は、「こんな一面もあるのだな」ということを認めるのでも構いません。親子であっても、価値観はちがうこともあるはずです。
行為を叱ることがあっても、存在を肯定してあげて
自己肯定感を高める声かけに共通しているのは、いいときや悪いときに関わらず存在を肯定しているということ。「○○をしたらいい子だけど、できなければ悪い子」などは条件づけです。自己肯定感は、無条件の愛情から生まれます。
「悪いことをしたときに、叱ってはいけない」という意味ではありません。たとえば、子どもが危険なことをしたり、誰かを傷つけたりしたときなど叱った方がいい場面もあります。
叱るときに気をつけて欲しいのは、行為を否定しても人格や存在は否定しないということ。たとえば、「だから、あなたはダメなのよ。」と言わずに「危ないから、もうやらないで。」など伝えましょう。
自己肯定感の高い状態は、自分勝手なだけとはちがいます。自分の存在や価値を肯定できるようになっていれば、小さなトラブルで揺らいだりせずに乗り越えていけるのです。信頼して見守る大人の存在が、子どもの自己肯定感を育てていくのです。
まとめ
今回は、子どもの自己肯定感を高める声かけを三つご紹介しました。子どもが小さいうちに自己肯定感のベースはつくられます。ベースは「ママやパパが自分をどう見ているのか」に影響されます。
自己肯定感が高い状態とは、自分には価値があると信じられること。そのためには、ネガティブな面も含めて自分という存在を肯定できる必要があります。
いきなりすべてを肯定するのは簡単なことではありません。まずは、「ありがとう」と言う回数を増やしたり、「大丈夫」と励ましたりしながら、少しずつ子どものことを認めてあげてください。そうしていくと「生まれてきてくれて嬉しい」と、伝えることに近づいていけるはずです。
子どもの自己肯定感が高くなれば、周りの人と認め合うことができるようになります。アデックは、社会に出たときに生きていく力をつけられるように、子どもひとりひとりと向き合うことを大切にしています。