2歳児が言葉を覚えるための家庭内での関わり方
最終更新日:2020/03/29
2歳児の気質とは?
2歳になると、ママやパパに手を引かれなくても、自分の力で歩くことができるようになり、発達の早い子どもだと走ることもできるようになります。運動能力の発達は、指先の器用さにもつながり、一人でスプーンやフォークで食事ができるようになります。また、少したどたどしさはあるものの、おしゃべりをする子どもが増えてきます。
「魔の2歳児」というように、ママやパパを悩ませる時期も始まります。物事を理解することができるようになったことで「自分でやってみたい」という好奇心が強くなってきます。ただ、2歳児は自制心を司る脳の分野がまだ未発達なので「思い通りじゃなきゃ嫌だ」という欲求がストレートに出てしまいます。それが「魔の2歳児」と言われる所以です。
この時期は「秩序の敏感期」とも言われており、物が置いてある場所や状態、順番にこだわり、自分ルールに非常に敏感で、思っていた通りでないと不快感をあらわにするようです。
2歳児の平均的な言葉の習得レベル
発達のスピードの違いによって、言葉を発する早さにも差が出てきます。同月齢の子どもが自分の子どもよりも言葉を話していると不安になりますよね。
では、2歳児はどのくらいが話せるのが目安となるのでしょう。
1歳児半の子どもの約90%は「ママ」「ブーブ」「ワンワン」など意味のある言葉を一語話すようになり、2歳児だと、その約90%は「ワンワン、いた」「ママ、きて」などの2語文を話すようになります。言葉の発達が早い子では「パパ、あれ、とって」など3語文も話すようになります。
「2歳児まで単語が出ない」「3歳までに2語文を話さない」という2点があらわれると、少し不安を覚える親御さんが増えるようです。
他の子どもたちとは比較しない
自分の子どもと他の子どもとを比較しても何もいいことは起きません。言葉の発達スピードは子どもによってまちまち。他の子どもと比較して焦ったり、不安になったりするよりも、子どもとたくさん関わりながら子どもの様子を見守っていきましょう。
子どもによって発達の仕方は違います。言葉をよく発するけれど、理解している言葉が少ない子どももいれば、言葉はなかなか発さないけれど、多くの言葉を理解をしている場合もあります。
親の庇護がなければ子どもは生きていけないので、小さい子どもほど親の顔色を伺い、とても敏感です。ママやパパが「今のわたし」に満足していないことはわかってしまうのです。こういった不満を感じている状態で子どもと接すると、たとえその感情を抑えていたとしても、子どもにもネガティブな感情が伝わってしまうのです。
家庭でできる言葉の発達を促す方法
では、皆さんのご家庭でできる、2歳の子どもの言葉の発達を促す方法をご紹介します。言葉の発達を促す対策をいくつか知っておくだけでも、ママやパパは不安や焦りを軽減できます。普段の関わり方を工夫するだけでできることなので、参考にしていただけると幸いです。
方法①散歩
まずは散歩をすることです。
外には子どもが興味を示す物がたくさんあります。散歩中に言葉をシャワーのようにたくさん浴びせてあげましょう。
特に重要なのは、子どもと一緒に同じものに注目し、反応しながら、言葉でコミュニケーションを取ることです。例えば、散歩をしながら子どもが犬を見つけたら「ワンワンいたね!」と声をかけるといいでしょう。
子どもが見つめているものの特徴を挙げるのもおすすめです。「ニャーニャーだね」「毛がふさふさだね」「真っ黒だね」というように、見たものの特徴をそっくりそのまま話すことで、目と耳の両方に対して刺激を与えることができます。
子どもがこちらを見たら、見つめ返しながら「なぁに?」「どうしたの?」など声をかけて子どもに応えていくと、コミュニケーションの発達が促され、やがて言葉の発達へとつながります。
散歩中に、外でたくさんの人と会って話したり、他の子どもと遊んだりすることも刺激になり、話す言葉が一気に増えたということもあるようです。
方法②絵本の読み聞かせ
次は絵本の読み聞かせです。
絵本を読み聞かせすることで、たくさんの言葉に触れ、語彙を獲得できます。簡単な幼児向けの本であっても、日常会話やテレビで触れる語彙よりも多いと言われています。字は読めなくても、何度も読み聞かせをすることで絵本に書いてある言葉の表現のマネをします。
読み聞かせのポイントとしては、絵本を淡々と読むのではなく、子どもの反応を見ながら読み聞かせしましょう。大人のペースで次々とページをめくっていくのではなく、子どもの反応を見ながらペースでめくっていきましょう。
子どもが絵をじっくりと見ているときは、「これはなに?」「〇〇さんは何してる?」という質問を投げかけてみましょう。質問に応えようと子どもの脳が活性化されます。
先ほど挙げた散歩と同様に、注目してるものや興味を示してるものに「これは〇〇だね」と声をかけることも忘れてはいけません。
方法③身体を動かす
そして、身体を動かすことです。
「言葉を覚えることと、運動することは関係あるのか?」と思うかもしれません。聞こえた言葉を感じ取って伝えるには、「脳幹」と「大脳辺縁系」という2つの分野のつながりが必要です。体を動かすことでこの2つのつながりを高める効果が期待できます。
運動の中でも「自分の腕や足がどんな位置にあって、どのくらいの力の入れ方をしているのか」を感じ取る能力、「体の位置や傾き、動きの早さ、回転」を感じ取る能力は重要です。体を動かす遊びをしていると、この2つの能力が高まり、言葉の発達も促されます。
追いかけっこ、お馬さんごっこ、抱っこして揺らす、ギュッと抱きしめる、手遊び歌などでもこれらの能力は高まります。昔からあるシンプルな遊びですが、毎日気軽にできるものばかりです。親子で楽しく笑い合いながらやってみましょう。
焦らずに、子どものペースに合わせて
「言葉の発達が早い子どもは賢い」というデータはあまりありません。言葉を早く覚えさせようと焦る必要もないのです。
また、自分の要求を何かしら発し、ものの名前や状態を表す言葉などを1つでも発していれば、さほど心配はありません。前述した通り「発達が遅れている」という親の焦りは子どもに必ず伝わり、子どもにネガティブな感情を抱かせてしまうことがあります。
それでも、なかなか子どもが話し始めないと心配になる親心もわかります。しかし、今までほとんど話さなかった子どもが急に言葉が出てきて、よく話すようになることもよくあることです。
子どもの発達を示すのは、なにも言葉の発達だけではありません。身体の成長や運動能力の発達なども、子どもの発達の指標です。その子なりの発達のペースを見守ってあげましょう。また、よその子供と比べるのではなく、半年前などの「我が子の過去」と比較しましょう。「確実に成長している」という感覚を持つことで、焦りはなくなるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。子どもの言葉の発達の目安、発達を促す方法を紹介してきました。
話すのが得意なよその子どもを見て、言葉の発達が遅れているのではないかと気になることもあるでしょう。焦ったり不安になったりするよりも、子どもとたくさん関わりながら子どもの様子を見守っていきましょう。
親子で身体を使って遊んだり、絵本を読み聞かせしたり、散歩に行っていろんなもの、いろんな人と出会ったりすることで急に言葉が出るようになるでしょう。
それでも、2歳になって単語も喋れなかったり、3歳になって2語文を話せないときには、一度医療機関に相談しておくと安心です。専門家への相談は負い目に感じることはありません。プロを頼ることはどんなときにも大切な判断です。