子どもの社会性が小学校受験の合否を分ける。ご家庭でのしつけは受験対策の第一歩。
最終更新日:2020/04/29
受験で必ず見られる社会性
小学校受験の科目でよくあるのが、親子そろっての面接や行動観察です。挨拶ができているか、集団行動のときに他の子どもと協力することができそうかなど、お子さんの言葉づかいや、しぐさ一つをとっても、面接で社会性を判断する評価対象となります。
小学校受験は、大学受験とはちがって、筆記試験の学力のみで合格が決まることはほとんどありません。学力で厳しくふるいにかけられないかわりに、お子さんの言動や行動が合格の鍵を握っています。
社会性はある意味で、学力よりも普段の生活や行動が出やすいところ。一朝一夕で身につくものではないからこそ、普段からのご家庭でのしつけが大切になってきます。
社会性はご家庭でのしつけから身につける
行動観察の試験は何が出るのかわかりません。受験の準備や対策をしても、それがそのまま試験に出るとは限らないのです。だからこそ「この行動は何のためにやっているのか」を普段から子どもが理解していた上で、実践する必要があります。
たとえば、面接のときだけ丁寧なあいさつをしようとしても難しいもの。緊張して手順を忘れてしまい、いつものくせが出てきてしまうかもしれません。試験のときに、困らないために、習慣化することが大切です。
習慣化するためには、ご家庭でのしつけが必須。親御さんが積極的にお手本となるような言葉づかいをしたり、何か間違えたりしたらその場で教えたりすることで、子どもの言動は変わってきます。
意識しなくてもできるくらいに板についてはじめて、入試の準備ができたと言うことができます。
受験対策で欠かせない、ご家庭でのしつけ
では、受験対策では欠かせないご家庭でのしつけは、具体的にどういった点を行っていけばいいのでしょうか。今回は具体的に7点ピックアップしてみました。
①あいさつ
まずは、あいさつです。幼い頃であっても、あいさつは人間関係を築くのに必要なことです。
あいさつといってもいろいろあります。「おはようございます」や「こんにちは」だけでなく、「さようなら」や「おやすみなさい」など。また、食事のときの「いただきます」や「ごちそうさま」のあいさつは食事を作ってくれた人を気持ちよくしてくれます。
きちんとあいさつができている子を見ると、それだけで気持ちいいものです。試験官の先生方も人間ですから、気持ちのいい挨拶をしている子どもに良い評価をしたいと思うのは自然なことです。
また、あいさつのできる子どもは、同じ歳の子だけじゃなく、歳下や歳上の子、また大人とも良好な関係を築くことができるでしょう。地域の方々と顔見知りになることにより、万が一のときに、お子さんのことを気にかけてもらえるかもしれません。
受験対策のみを目的に、あいさつのしつけを行うのはもったいないです。
②言葉づかい
次は言葉づかいです。幼い子どもにとって敬語を覚えるのは難しいこと。まずは丁寧な言葉づかいを覚えることから始めてはいかがでしょうか。
例えば、「ママ、水!」ではなく「ママ、お水が飲みたいです。」といったように「誰が」「何を」「どうやって」などを意識して、自分の考えや意思を伝えられるように教えていきましょう。
「〇〇してください」「お願いします」、返事は「うん」ではなく「はい」と答えるなどの言葉づかいは覚えておきたいものです。言葉づかいももちろん試験官の先生は見ています。そして、それは予期せぬタイミングで加点されたり、減点されたりするものです。
注意した直後はできても、すぐに子どもは忘れてしまうものです。そのときは「何か忘れてない?」というように自ら思い出させることで、言えるようになっていきます。「ママ、これやってー!」と子どもが言うはうような依頼にはなるべく応えないようにするのもひとつの手かもしれません。
③時間を守る
次は時間を守ることです。これは小学校に入っても必要なことです。まず、時計の読み方を教えて、時間という概念を知ることから始めてみてください。
「長い針が3を指したら、お片付けしようね」「短い針が8を指したら、お布団入ろう」というように、普段から時計を意識させながら行動させることが、時間の概念を知る最初のステップです。
はじめのうちは、時計が読めないお子さんがほとんど。教えるタイミングは、お子さんから質問をされたときがチャンスです。「今何時?」、「あれはね、〇時〇〇分って読むんだよ。」と親子の会話の中で繰り返し教えていけば、自然と覚えられるようになります。また、デジタル時計ではなく、アナログ時計の読み方を一緒に覚えていきたいましょう。
受験科目はほとんどが時間が設けられているもの。時計を読めるようになればいいのではなく、時間の概念を知り、期限や所要時間のような感覚を身につけさせていきましょう。
④相手の目を見て話す
次は、相手の目を見て話すことです。これも子どもの社会性を示す材料です。面接などの試験中は、あいさつや言葉づかい同様にチェックされています。
相手と目を合わせられない子どもは、相手の目を見て話すということに慣れていない、または目を合わせることにネガティブな感情を持っていると考えられます。
普段から親御さん自身が子どもの目を見て、子どもの話を聞いてあげているかがポイントです。ママやパパが自分の話を目を見て聞いてくれるだけで、子どもは自信を持ってハキハキと話せるようになるはずです。
子どもは親の真似をよくするもの。褒めるときや、叱るとき、その真剣さが子どもに伝わるよう、子どもの目を見て話しましょう。
⑤ありがとうとごめんなさい
次は、「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えることです。感謝と謝罪が素直に言えることは、大人なってからでもとても必要なことです。
多くの学校で行われる行動観察では、他の受験生や試験官の先生に何かしてもらったとき、してしまったときに、「ありがとう」と「ごめんなさい」が素直に言えるかどうか見られています。
子どもが素直に言えない場合は、ママやパパが意識して相手に「ありがとう」と「ごめんなさい」を言ってみてください。まずは親御さんが手本となることが大切です。
感謝と謝罪の言葉をが人間関係をスムーズにすることも伝えていきましょう。
⑥食事のマナー
次は、食事のマナーです。食事は、小さいころからの積み重ねなので、大きくなってからだとなかなか改善しづらいこともあります。
「食事マナーは受験には関係ない」と思われるかもしれませんが、子どもにお弁当を食べさせて、その様子を観察するという試験がある学校もあります。
また、マナーがしっかり身についている人は、見ていて気持ちのいいものです。受験に限らず、将来的に組織や集団の中で生きていく上で、身に付けておかなくてはならないことです。
「いただきます」や「ごちそうさま」の食事のあいさつはもちろん、箸の使い方、そして、食事の片付けなどを、自分からできるように教えていきましょう。
⑦交通ルールのマナー
最後は交通ルールのマナーです。試験とは直接的に関係はありませんが、交通ルールを守らなければ、子どもが危険な目に合うことになります。交通ルールは優先して教えていきましょう。
受験で合格すると、多くの場合、通学に公共交通機関を利用することになるでしょう。「大きな声ではしゃいだりしない」「靴のまま座席に上がらない」など他の乗客を思いやるためのマナーと、「電車に駆け込まない」「白線の内側で並んで待つ」など、身を守るためのマナーがあります。
どのマナーも理由とともに同時に教えることで、子どもが覚えやすくなります。
まとめ
いかがだったでしょうか。ご家庭でできるしつけをお伝えしてきました。
小学校受験ではお子さんがいかに社会性を持っているのかが求められます。ハキハキと相手の目を見て話す子どもと、モジモジと目を合わさず恥ずかしがりながら話す子どもでは、同じことを話したとしても、やはり前者のほうに良い印象を持つのが当たり前であり、合否の判断を分けることにつながりかねません。
振り返ってみると、この7つのことはどれも「受験のための特別な行動」ではありません。集団の中で、お互いに気持ちよく過ごすためのもので、社会性は他者とともに生きていくために必要な力です。
いきなり7つすべてを身に付けるのはむずかしいとしても、可能な範囲でひとつずつ教えていきましょう。