子どもにはまだ早い? キッズコスメで「自信」と「感性」を育む!
最終更新日:2026/01/15
ドラッグストアやバラエティショップ、100円ショップなどで、最近目にする機会が多くなった「子ども向けのコスメ」。カラフルなパッケージに目を輝かせるわが子を見て、「かわいいな」と思う一方で、「子どもにはまだ早いのでは?」「肌は大丈夫?」など、戸惑いや不安を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本キッズコスメ協会 代表の相川真紀さんに、キッズコスメが注目される背景や、子どもへの影響、親子で安心して楽しむためのポイントについてお話を伺いました。
◆なぜ今「キッズコスメ」が注目されているの?
近年、キッズコスメが注目されるようになった背景には、子どもを取り巻く環境の変化があります。
「動画サイトやSNSなどを通じて、幼い子どもたちがメイクに触れる機会が増えました。キッズモデルやインフルエンサーの影響で、メイクに憧れを持つ子が多くなっています」
また、保護者の意識の変化も大きな要因のひとつ。子どもの自主性や個性を尊重し、「やりたい」という気持ちを大切にしたいと考える親が増えてきました。そうした流れの中で、メイクも一つの「自己表現」として、以前より前向きに捉えられるようになっているといいます。
また教育の現場では、2008年に中学校でダンスの授業が必修になりました。ステージに立つ経験を通じ、身だしなみや表現の一部として、子どもたちがメイクに高い関心を示すのもうなずけます。
こうした複合的な要因によって、メイクは子どもにとっても「特別なもの」から「身近なもの」へと変化し、キッズコスメの市場も広がりをみせています。小学生低学年くらいからメイクをする子どもが増え、低価格のいわゆる「プチプラ」商品が増加。またキッズコスメと玩具の境界線があいまいになっている部分もあるといいます。
低価格の商品が増えたことで手に取りやすくなった反面、安全性や成分については、保護者がしっかり確認する必要があると相川さんは言います。
◆メイクをすることは、子どもの成長にどう影響する?
子どものうちからメイクを楽しむことは、どのように成長につながるのでしょうか。ここでは、キッズコスメを通して子どもたちに生まれやすい変化を、いくつかの視点から見ていきましょう。
・感受性と創造性の向上と、自己表現を学ぶきっかけに
色の選択や組み合わせを考えることで、色彩感覚が自然と育まれていきます。また、メイクを通して「自分をどう見せたいか」を考える経験を重ねることで、自分なりに工夫する力や、表現する楽しさを知ることができます。色やスタイルを自由に選ぶ中で、「自分らしさ」に気づくきっかけにもなるでしょう。
・コンプレックスの解消につながる場合も
メイクは、子どもが自分の容姿に対して感じている不安をやわらげる一つの手段になることがあります。気になる点をカバーできると知ることで、自分を過度に否定せず、前向きに受け止める感覚が育っていきます。
自分に自信を持つ体験につながる
メイクをすることで、「自分っていいかも!」「かわいい!」と感じられる瞬間が生まれます。周囲から声をかけられたり、認めてもらったりする経験が増えることで、笑顔が増え、少しずつ自信を持てるようになる子もいます。
・身だしなみを整えることの大切さを体験
メイクやスキンケアを通じて、清潔に保つことや、自分の見た目を丁寧に扱う意識が芽生えます。実は「美容」は学校では学ぶ機会の少ない分野。美容への関心をきっかけに、身だしなみの大切さに気づくこともあります。
・コミュニケーションのきっかけが増える
メイクが親子の共通の話題になったり、友だちとの会話のきっかけになったりすることで、人との関わりが広がります。こうしたやりとりを通じて、自然とコミュニケーションの機会が増えていきます。
◆肌トラブルは? SNSでの発信は本当? 保護者が気をつけたいこととは
キッズコスメに興味はあるけれど、「肌に合うのか心配」「トラブルが起きたらどうしよう」と、慎重になる保護者の方も多いのではないでしょうか。また、SNSで見かける情報やメイク動画について、「本当にその通りで大丈夫なの?」と不安を感じることもあるかもしれません。肌に直接使うものだからこそ、正しく知り、安心して判断できる材料を持っておくことが大切です。
「子どもの肌は敏感でバリア機能が弱いので、大人よりトラブルが起こりやすいのは事実です。大人用のコスメは刺激が強すぎるので使用は控えてください。子ども向けで低刺激の商品を探すことが大切です」
子どもの肌は角質が薄く、刺激を受けやすい状態にあります。そのため、大人用化粧品を安易に使わせることは避け、必ず子ども向けにつくられたコスメを選ぶようにしましょう。
また、初めて使用する際には、必ずパッチテストを行うことが基本です。腕の内側など、肌のやわらかい部分に少量を塗り、かゆみや赤み、痛みなどが出ないかを確認します。異変が見られた場合は、無理に使い続けず使用を控えましょう。
メイクをする前には肌の状態をチェックし、必要に応じて化粧水などで整えること、そしてメイク後にはきちんと落とすことも忘れてはいけません。短時間の使用から始め、様子を見ながら進めることが、トラブルを防ぐポイントになります。
もう一つ注意したいのが「SNSでの情報の受け取り方」。子ども向けのメイク動画や商品紹介は手軽に参考にできますが、すべてが正確で安全とは限りません。
「特に、『小顔になる』『すぐに効果が出る』など、効果を過度に強調した表現には注意が必要です。すぐに信じるのではなく、疑う視点を持つことが大切だと伝えています」
SNSやインフルエンサーの発信の中には、薬機法に抵触する可能性のある表現や、誤解を招く情報が含まれることもあります。だからこそ、親子で一緒にSNSを見て「これはどういう意味だろう?」「本当に安全なのかな?」と会話を交わしながら、情報を見極める視点を育てていくことが大切です。信頼できる専門家の情報や、正しい知識を発信しているアカウントを選ぶことも、安心してSNSを活用するためのポイントです。
◆親子で楽しむキッズコスメ。理想の関わり方は?
キッズコスメを楽しむうえで大切なのは、「上手にできるか」ではありません。主役はあくまで子ども自身。大人は完成度を求めるのではなく、子どもの感性や「やってみたい」という気持ちを尊重し、そっと寄り添う姿勢が求められます。
「それは違う」「もっとこうしたほうがいい」と口を出すよりも、「どうしてその色を選んだの?」「今日はどんな気分なの?」と声をかけ、子どもの考えや感じ方に耳を傾けることが、ポジティブな体験につながっていきます。
子どもにとってメイクの時間は、日常から少し離れた“特別な遊びの時間”。「ちゃんとやらせる」ものではなく、親子で一緒に楽しむものとして捉えるのがおすすめです。
多くのワークショップを行っている相川さんは、キッズコスメを「親子の新しいコミュニケーションの形」だと話します。コスメをきっかけに会話が生まれることから、これを「コスメニケーション」と呼んでいるそうです。
「ショッピングモールなどでワークショップを開催すると、お父さんと娘さんの組み合わせが多いことに気づきます。お父さんが娘さんのネイルを塗ってあげたり、シールを貼ってあげたりしながら、自然と会話を楽しんでいますよ」
ネイルやメイクを通して同じ時間を過ごし、会話を重ねることで、子どもは「自分のことを見てもらえている」と実感します。そうした積み重ねが、自己表現を後押しし、親子の信頼関係を育てていくといえるでしょう。
またワークショップに参加する子どものうち約2割は男の子なのだとか。女の子同様ネイルなどを楽しんでいるそうです。今は男性がメイクすることも珍しくありません。性別にとらわれず、「好き」「やってみたい」という気持ちを尊重することで、感性を磨き、自分らしさに気づく体験につながっていきます。
◆何から始める? はじめてのキッズコスメガイド
キッズコスメに興味を持ったとき、「何から始めればいいのだろう?」と迷う方も多いかもしれません。相川さんによると、最初の一歩として取り入れやすいのはネイルだといいます。
「ネイルは肌に直接つけるものではないため、比較的負担が少なく、安心して楽しみやすいです。除光液を使わず、お湯で落とせるタイプもありますよ」
色を選ぶ楽しさや、塗る体験そのものを気軽に味わえるネイルは、キッズコスメの入り口としてぴったりです。親にとってもハードルが低く、無理なく始めやすい選択といえるでしょう。
ネイルに慣れてきたら、次はスキンケアを通して「肌を大切に扱う」感覚を育てていくのがおすすめです。日焼け止めなど、日常的に使うアイテムをきっかけに、肌の仕組みやケアの大切さを親子で話してみましょう。この段階で基本的な知識を持っておくことが、将来的にメイクを楽しむ際の土台にもなります。
いよいよ化粧品を扱うようになったら、欠かせないのがパッチテストです。「低刺激とされている商品でも、すべての子どもに合うとは限りません」と相川さんは言います。少しでも違和感があれば無理をせず、使用は控えましょう。「合わなかったらやめていい」その選択肢があることを、保護者も子どもも知っておくことが大切です。
また、実際にメイクをする前には肌の状態を確認し、必要に応じて化粧水や下地で整えます。始まったら、あくまで子どもの気持ちを尊重し、親は見守る立場で関わりましょう。特別で楽しい時間を共有することが、この体験のいちばんの価値です。
そして、忘れてはいけないのがメイクオフ。楽しんだあとは、きちんと落とすことまでをセットで伝えてあげてください。
せっかくメイクに興味を持って挑戦するのですから、嫌な気持ちにならないように準備したいもの。キッズコスメと呼ばれる商品は種類も多く、選択肢が豊富です。子ども自身の好みを大切にしながらも、安全性については大人が確認し、家庭ごとに無理のない進め方を選びましょう。
キッズコスメは、かわいくなるためだけのものではなく、色を選んだり試したりしながら、自分の「好き」に気づくきっかけにもなります。そうした体験の中で、自分を受け止める気持ちや、ほんの少しの自信が育っていくこともあるでしょう。
今は、子どもがメイクに興味を持つことが、特別なことではなくなってきました。無理に始める必要はありませんが、子どもが「やってみたい」と感じたときは、まずは一緒に楽しんでみるのもいいかもしれませんね。「好き!」と「カワイイ!」をキーワードに、まずは試してみるところから。親子で楽しむひとときが、新しい思い出になっていきそうです。
プロフィール
相川真紀さん
美容師・美容管理士の資格を持ち、放送作家として美容や健康分野の番組制作にも携わる。現在は日本キッズコスメ協会理事長として、キッズ美容の普及と安全な文化づくりの推進に尽力している。
取材協力
日本キッズコスメ協会
子どもたちが安全に「美」や「ケア」に触れながら、健やかに成長していくことを目的に設立された団体。キッズコスメを通して、自己表現の楽しさや自分を大切にする気持ちを育む活動を行っています。検定やワークショップ、イベントの企画運営、情報発信などを通じて、子どもと保護者が安心して向き合える環境づくりに取り組んでいます。





