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親子で楽しむ!不思議でおもしろい「きのこ」の世界

公開日:2025/11/26
最終更新日:2025/11/25

普段スーパーなどでよく見かける「きのこ」。「食べる」だけでなく、公園の片隅にひっそりと生えている姿や、テレビや図鑑などで見る、目にも鮮やかなきのこが印象に残っていることも多いのではないでしょうか。
私たちにとって意外と身近なきのこですが、実はとっても奥深い存在でもあるのだとか。
そこで、きのこの生態や特徴、魅力、親子で楽しめるきのこの観察ポイントやおいしい食べ方&栄養アップの方法などについて、「一般社団法人日本きのこマイスター協会」の西澤賢一さんにお話をうかがいました。きのこの世界がグーンと広がりますよ!


◆そもそも「きのこ」って何?
スーパーや八百屋さんでは、野菜類の近くに並べられていることも多い「きのこ」。「地面から生えているし、きのこって野菜の仲間?」なんて思いがちですが、答えは×。きのこは野菜などの植物ではなく、「菌類」の仲間なのです。

「きのこの種類はとても多く、日本に生息するものだけでも5000種以上あります。そのうち、名前がついているものはわずか3000種程度。さらに図鑑などに掲載されているのは1000種ほどなので、野外で見かけるきのこの多くは、図鑑にすら掲載されていないものが多いんですよ」。

では、きのこはどうやって生まれ、生きているのでしょう。西澤さんによると、きのこは生態的な性質によって3つに分類されるそう。

腐生菌 … 木や枯れ木、落ち葉、他のきのこなどを分解して栄養にするタイプ
寄生菌 … 昆虫などに寄生して生育するタイプ
共生菌 … 他の植物などと共生しながら栄養を得るタイプ

ちなみに、私たちが普段食べているえのきだけ、しいたけ、ぶなしめじ、まいたけ、なめこ、マッシュルームなどは、いずれも「腐生菌」の仲間なのだそうです。

◆きのこ(菌類)は、地球の“お掃除屋さん”
何かを分解したり、寄生したり、共存したりしながら生きているきのこ。自然界には多種多様なきのこが存在していますが、「もしきのこたちがいなければ、森はなくなってしまう」と西澤さんは話します。

「もしきのこなどの菌類が存在しなければ、植物や動物の死骸は分解されずにそのまま蓄積されていきます。炭酸ガスも失われ、結果的に森のすべての生物が死滅してしまうのです」

菌類であるきのこたちは、成長しながらさまざまなものを分解し、死骸などを土に戻してくれます。新たな木々などの成長を助ける働きもあり、自然にとっての『還元者』、つまり“地球のお掃除屋さん”なのです。

◆意外と最近?きのこ産業の歴史
今でこそスーパーには、しいたけ、えのきだけ、ぶなしめじ、まいたけ、エリンギなど様々なきのこが並んでいますが、その歴史は意外と浅いのだそう。

たとえばぶなしめじの本格的な生産が始まったのは昭和50年ごろからで、生産量が増えて一般家庭に普及したのは昭和60年代以降のこと。当時は長野県が100%の生産を担っていた時期もあり、県をあげての取り組みが、きのこの普及に大きく貢献したといいます。

一方、しいたけは、ぶなしめじなどのいわゆる「新しいきのこ」とは異なり、江戸時代から一般的に食べられていたきのこ。

しかし当時は菌を植える技術がなく、しいたけの栽培方法は、自然に出ているしいたけのそばに原木を並べ、「『菌が移りますように』と祈る」というものでした。願掛けのような形で栽培していたなんて、ちょっと驚きですよね。菌を人工的に植える技術が普及し、しいたけを効率よく栽培できるようになったのは、昭和20年代からだそうです。

◆大きい!光る!きれい!多種多様なきのこたち
日本に5000種以上あるといわれるきのこは、色や形、大きさもじつにさまざま。ここでは、ちょっと変わったきのこを紹介します。

ニュースなどで「巨大きのこが見つかった!」という映像を見たことはありませんか?話題になることが多いのが「ニオウシメジ」。人と並ぶと、その大きさに驚かされます。しかも食べられるきのこなのだとか!

次に紹介するのは、なんとも神秘的な「ヤコウタケ」。日本では発光するきのこは約10種あり、そのほとんどは八丈島や沖縄地域に生息していました。しかし近年、温暖化の影響で九州や紀伊半島南部でも確認されているのだとか。広く見られるようになるのはうれしい反面、心配でもありますね。

そして「タマゴタケ」は、森の中でもひときわ目を引く美しいきのこ。最初は白い卵のような形で生えますが、成長すると赤い傘と黄色い茎が現れ、まるで絵の具で彩ったような鮮やかさに!その美しさから「森の宝石」「森の女王」とも呼ばれます。見た目が派手なので毒があるように見えますが、実は食べられる安全なきのこなのだとか。

最後に紹介するのは、形がなんともユニークな「ヤマブシタケ」。乳白色の細い突起が無数に垂れ下がり、ふんわりとした房のような姿が特徴です。大きいものでは直径20cmほどにもなるのだとか。見た目は少し不思議ですが、実は食用。やわらかな食感で、汁物やあえ物などにするとおいしくいただけるといいます。

◆きのこを楽しく観察しよう!でも毒にはご用心・・・
自然の中では、公園などでもきのこを見かけますが、いろいろな種類を観察したいなら、広葉樹の多い森などがおすすめです。

ただし、国立公園などでは採集が禁止されている場所もありますし、慣れない山林には危険な場所も。また、近年では野山でクマと遭遇する事案も増えています。特に秋は、クマの活動も活発な季節。親子で訪れる際は、事前にしっかり下調べをして安全な場所を選び、十分に対策をすることが大切です。

また、観察の際に注意したいのが「毒きのこ」。日本にある5000種類以上のきのこのうち、食用として安全なのは200~300種類。一方、毒きのこは約300種あり、そのうち10%は猛毒を持つといわれています。中には触っただけで害のあるものもあるそうです。

中でも注意が必要と西澤さんが教えてくれたのがツキヨタケ・クサウラベニタケ・カキシメジ。これらは見た目が食用キノコによく似ており、間違えて食べてしまう人が多いのだとか。たとえば写真のツキヨタケはシイタケにそっくり。ムキタケやヒラタケなどと間違えることも。クサウラベニタケはウラベニホテイシメジに、カキシメジは食用のチャナメツムタケによく似ています。日本で特に中毒例が多いこの3種は、『毒きのこ御三家』とも呼ばれているそうです。

また、「ベニテングタケ」はタマゴタケと間違えやすい毒きのこで、摂取後30分~1時間ほどで異常興奮や痙攣などを引き起こします。さらに「カエンタケ」は触れるだけで皮膚が炎症を起こすほど強い毒性を持ちます。

「『縦に裂けるきのこは食べられる』『派手な色のきのこは毒がある』『虫が食べるきのこは安全』などと昔からいわれますが、どれも迷信で、例外だらけなんです」

西澤さんによると、毒きのこを避ける唯一の方法は「覚える」ことなのだとか。よほどのきのこ達人と一緒でないかぎり、自然の中で食用きのこを見つけるのは難しいかもしれませんね。食べるきのこはお店で入手して、自然のきのこはみだりに食べたり触ったりせず、観察や写真に収めて楽しむのがおすすめです。

また、全国には家族で安全に「きのこ狩り」を楽しめる観光スポットもあります。原木しいたけなどを採ってその場で焼いて食べられる施設もあり、安心してきのこを満喫できますよ。

◆食べて!育てて!楽しもう
もちろん「食べる」こともきのこの大きな楽しみのひとつ。和食との相性がよいきのこは、季節を問わずさまざまな料理に活用されています。

ただ、夏場は鍋料理の機会が減るため、冬に比べて消費量が落ちるのだとか。そんな季節にもおすすめなのが、西澤さんイチ押しの「きのこカレー」。ぶなしめじ、エリンギ、まいたけなどはカレーとの相性抜群だそうです。

おいしく食べるだけでなく、きのこの栄養価をグンとアップさせる方法もあります。それは、きのこを買ってきたら、「数時間お日様に当てる」こと。

「とくにおすすめなのが生しいたけ。ビタミンDの前段階となる成分が多く含まれていて、日光(紫外線)に当てることで、ビタミンDが生成されます。ぶなしめじなど他のきのこも同様です。冷蔵庫に入れる前に、ざるなどに並べて2~3時間お日様に当ててあげましょう。少し干すことで、うまみも増し、かさも少し減るため保存もしやすくなりますよ」

カルシウムの吸収に欠かせないビタミンDは、成長期の子どもにとっては重要な栄養素。大人や高齢者にとっても、骨を強くし骨粗しょう症の予防に役立ちます。

きのこ類は野菜と同様「賞味期限」や「消費期限」が設定されていませんが、冷蔵保存なら約1週間。より長く保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。小分けにして、ジッパー袋に入れて冷凍すれば、カレーや汁物などにすぐに使えて便利です。料理に使うときは、解凍せずに冷凍のまま使いましょう。

冷凍すると、細胞壁が壊れて身体によい成分が出るほか、うまみも増しますが、食感が変わるため、ソテーなどシャキシャキ感を楽しみたい料理では早めの使用がおすすめです。

そして、きのこの楽しみ方は「食べる」「探す」「鑑賞する」だけではありません。自分で「育てる」ことも、親子で楽しめる体験のひとつです。

きのこ栽培キットを使えば、自宅で気軽にきのこを育てることができます。ホームセンターやネットで手軽に購入することが可能。しいたけ・エリンギ・なめこなど、身近なきのこがどのように育つのかを観察できます。

日々の成長を見守り、収穫して味わう瞬間は格別!原木でしいたけを育てられるキットもあり、親子で楽しむ自然体験としてもおすすめです。

秋から冬にかけて旬を迎えるきのこは、味わうだけでなく、観察したり育てたりと、さまざまな楽しみ方があります。私たちにとって身近で、自然界にとっては欠かせない存在であるきのこ。その姿や生態を知ると、奥深い世界が見えてきます。親子で自然に目を向け、身近なきのこから地球の循環や命のつながりを感じてみるのも素敵です。食卓のひと皿から、子どもの興味の入り口を広げてみましょう!

親子で楽しむ!不思議でおもしろい「きのこ」の世界1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

プロフィール
西澤 賢一さん
一般社団法人日本きのこマイスター協会 専務理事。民間の食品企業に勤務したのち、長野県農村工業研究所にて、栽培きのこの開発等に携わる。さまざまなきのこの栽培に挑戦するうちに、山のきのこ、天然きのこの世界にも魅せられる。「野生きのこ」に関する専門知識を活かし、一般社団法人日本きのこマイスター協会が主催する「きのこ観察会」などの講師も務める。好きな食用きのこは、エノキタケ。

制作協力
一般社団法人 日本きのこマイスター協会
きのこの魅力を語れる人材(きのこマイスター)を育成し、きのこ産業の振興を支援。きのこを食生活に取り入れた健康ライフの提案なども行っている。