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「面倒くさい」「あとでやる」を克服!“今すぐやる”子になるためにできること

公開日:2025/10/09
最終更新日:2025/10/09

「宿題に手をつけずに遊んでしまう」「明日の準備をせずに寝てしまう」・・・そんな子どもの「後回しグセ」に、ついイライラしてしまうことはありませんか?子どもの「面倒くさい」「あとでやる」といった言葉に、「怠けているのでは?」と不安を感じる人もいるかもしれません。
子どもが「後回しグセ」を乗り越え、「今すぐやる」子になるためには、どんな取り組みや働きかけすればいいのでしょうか。
今回は、メンタルコーチとして子どもの成長支援にも力を注いでいる、「さちうえる」代表の手塚幸恵さんに、子どもが「面倒くさい」と感じる理由と、それを乗り越えるために親ができる具体的な関わり方について伺いました。


◆子どもの「後回し」には大人と違った事情も
「面倒くさいな」「あとでやろう」・・・こうした気持ちが湧いてしまうのは、なにも子どもだけに限りません。疲れていたり、気分が乗らなかったりすると、つい目の前のことを後回しにしたくなる気持ちは、大人でも同じですよね。

でも、子どもたちの「後回し」には、私たち大人とはちょっと違った理由もあるようです。

「子どもは前頭葉が未発達なため、物事を順序立てて考えたり、先を見通して計画を立てたりすることが苦手なんです。大人はそれまでの経験もあって『今やらなければ後で大変になる』と理解できますし、気持ちを切り替えることもできますが、子どもの場合はその切り替えも未熟なので、つい楽しい方に引っ張られてしまい、やるべきことが後回しになってしまうのは、ある意味自然なことでもあるんです」

こうした特性は、大人からの声かけやさまざまな経験を積むことによって少しずつ成長していくもの。ですから、やるべきことにすぐに取りかかれなかったとしても、叱ったり無理にやらせたりするのではなく、まずは子どもの気持ちに寄り添いながら、焦らず見守ることが大切です。

「後回しグセ」はどうしてついてしまうの?
子どもは成長とともに経験を積み、「後回し」が決して良い結果を生まないことを徐々に学んでいきます。けれど中には、いつまでもやるべきことに取りかかれない、「後回し」が習慣化してしまう子もいます。

そんな「後回しグセ」の背景には、叱られたり失敗したりといった経験ばかりが積み重なり、「うまくできた」という成功体験が少ない、ということがあるのではないか、と手塚さんは指摘しています。

「『早くしなさい』『ちゃんとやりなさい』と急かされて、慌てて取り組んだ結果ミスをして失敗する。切羽詰まってやったけど、うまくできずに叱られる。そうすると『自分は何をやってもダメなんだ・・・』と思い込んでしまうようになるんです」

親の側も、子どもが「やっと取り組んだ」と思ったときほど、「だから言ったでしょう!」「ここまでしかできなかったでしょう!」なんて、つい厳しい評価をしてしまいがち。けれど、こうした言葉もまた、子どもの自信を奪い「どうせダメだ」という思いを強めるきっかけになる可能性があります。

失敗体験が続くと、子どもはしだいに「どうせうまくいかない」という気持ちを強め、やる気そのものを失ってしまいがちです。その結果、また後回しにし、追い詰められ、失敗する・・・という「負のサイクル」に陥ってしまうのです。

このような状態では自己肯定感や自己効力感が育ちにくく、自信を失っていきます。あきらめの気持ちは新しいことに挑戦する意欲をも奪ってしまいます。また、常に後回しにすることがプレッシャーを生み、精神的にも大きな負担を抱えるようになってしまいます。

もしこの習慣が続いたまま大人になってしまうと、仕事や人間関係においても課題や責任を「先送り」にする癖が抜けず、社会生活に支障をきたす可能性も。

そんな厄介な「後回しグセ」をつけないためには、小さな成功体験を積み重ねることと、そのための効果的な声かけや環境づくりが重要になってきます。

後回しグセに効く!今日からできる親の声かけ&環境づくり
子どもの「後回しグセ」を直したいとき、大人ができることはたくさんあります。ポイントは、「やらせる」のではなく、「やりやすい」環境や声かけで、自然と行動を引き出していくこと。

ここでは、子どもの“今すぐやる”を促すための6つのヒントをご紹介します。

1.具体的で細かい指示を出す
子どもにとって大切なのは「今、この瞬間」。そのため、段取りを立てて次に何をすべきか判断する力が弱いです。「早く○○しなさい」などの抽象的な言葉ではなく、「まずは机に向かおう」、「プリントを1枚出そう」など、具体的な声かけを。小さなステップに分けて、何をしたらいいのかをわかりやすく伝えましょう。

2.「選ばせる」ことで気持ちを切り替える
指示されるばかりだと反発心が出てしまう子もいます。子どもに選ぶ機会を提供することも大切です。例えば机に向かうことができたら次は「算数と国語、どっちから勉強する?」などと尋ねて、本人に「やること」を選んでもらいます。自分で選んだことで気持ちが切り替えやすくなり、スムーズに進められるようになります。

3.期限とやることを「見える」化
明確な期限やタスクリストを作り、やるべきことを見える化していきましょう。どのくらい達成できたのかわかるように、シールやスタンプなどを使ったチェックリストを活用するのもいいですね。「面倒くさいと思っていたけれど、やり切ることができた!」と一目でわかるようにすると、やる気スイッチが入ってくれるかも!

4.小さな一歩を見逃さずに褒める
完璧にできたかではなく、取り組む姿勢を評価してあげてください。行動できたこと自体を褒める、5分でも頑張れたら褒める、机に向かえたことを褒めるなど、どんな小さなことでも見逃さずに褒めます。またできた時には、「今どんな気持ち?」「すっきりした?」など、そのときに何を感じているのかを振り返るような声かけを。自分でもやればできるんだ!という自己効力感につながります。

5.失敗も「次につながる」声かけを
うまくいかないことがあったとしても、それを責めたり叱ったりするのはやめましょう。「次はどうしたい?」「どうやったらもっとうまくいくと思う?」など、一緒に考えてみてください。失敗体験で終わらせるのではなく、成功するためにはどうしたらよいのか、次に生かせるように声をかけることを忘れずに。

6.親子で一緒に取り組む
子どもだけに何かをやらせるのではなく、大人も同じ時間に一緒に何かに取り組むようにしましょう。子どものとなりで親も作業をすることで、「自分もやってみようかな」という気持ちにつながります。「がんばる空気」を一緒に作ってあげましょう。

手塚さんは、子どもに行動を促すときは「命令口調ではなく、問いかけるような声かけを意識して」とアドバイスします。ダメな部分を指摘するのではなく、できたことを一緒に喜び、自信をつけることが、「行動する力」の土台になるのです。

「子どもたちは、自信のなさや不安、失敗への恐れや苦手意識を『面倒くさい』と表現していることもあるんですよ」と手塚さん。「面倒くさい」「あとでやる」・・・その言葉の裏側にある気持ちを理解し、丁寧にすくい取ることこそ、親にできる一番のサポートなのかもしれません。

子どもの「後回しグセ」は、脳の発達や過去の失敗体験が影響していることもあります。大切なのは、「叱る」「やらせる」「いうこときかせる」のではなく、やりやすい環境づくりや声かけで自然な行動を促すこと。
「やる気が出たらやる」のではなく、「行動しているうちにやる気がわいてくる」とも言われています。まずは5分だけでもやってみる・・・そんな小さな一歩から、「今すぐやる力」を、親子で一緒に少しずつ育てていきましょう!

「面倒くさい」「あとでやる」を克服!“今すぐやる”子になるためにできること 1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

プロフィール
手塚 幸恵さん
「さちうえる」 代表。MPP認定メンタルコーチ、シナプソロジーアドバンス教育トレーナー、健康運動指導士など複数の資格を有する。2002年から母校の専門学校にて人材の育成に取り組むほか、附属スポーツセンターで幅広い世代に水泳・水中運動指導を行い、地域住民の健康づくりに貢献。地域住民のために活動したいという思いから、2015年フリーインストラクターへ。自治体より委託を受け、公民館での介護予防教室・健康教室を年間130回担当。2021年に起業し、現在は介護予防事業の他に、子どもの心身の健康づくりのためにメンタルトレーニング教室も開催している。