子どもの爪切りってどうしてる?幼少期から身につけたい正しい爪ケアを学ぼう
最終更新日:2025/08/18
子どもの爪切りは、普段からおこなっている「日常のひとコマ」かもしれません。「まめに切っておけば大丈夫」なんて考えがちですが、実は、爪の切り方ひとつで、子どもの将来の姿勢や歩き方、さらには心の状態にも影響が及ぶこともあるそうです。
そこで今回は、爪に関する基礎知識や、正しい爪の切り方やケアの方法などについて、日本爪ケア普及協会理事長の松本めぐみさんにお話しをうかがいました。
◆爪ってどんな役割を持っているの?
手や足のレントゲン写真などを見ると、手足の指の先まで骨があるように見えるかもしれません。でも、実際には骨は指先の一番端までは届いていません。その足りない部分を補い、細かな作業に必要な安定性や感覚を与えてくれるのが「爪」の役割なんです。
普段の生活で爪を使うシーンを思い返してみると、シールやテープをはがしたり、ホッチキスの針を外すなど「はがす」「ひっかける」といった動作が思い浮かびますが、たとえば紙を1枚ずつめくったり、小さなものをつまんだり、指先を使った細かい作業ができるのは、実は爪があるおかげ。
「爪があることで指先の感覚が研ぎ澄まされて、ざらざら、つるつるなどの質感も感じ取ることができるんですよ」
爪がなかったら、私たちの“器用さ”は半減してしまうかもしれません。こうした爪の機能は手の爪だけにかぎったことではなく、足の爪もまた、身体全体を支えたり、歩く、走る、ジャンプするといった基本動作を安定させるために欠かせません。爪は私たちが「触る」「感じる」「動く」ために必要不可欠な“縁の下の力持ち”なんですね。子どもの身体は、日々少しずつ成長しています。では、「爪」についてはどうでしょう?実は子どもの爪には、成長途中ならではの“特徴”と“注意点”があるんです。
赤ちゃんや未就学児の爪は、大人の爪に比べてとてもやわらかく、薄いのが特徴。ちょっとした衝撃でも傷つきやすく、折れたり欠けたりしてしまうほどデリケートなんです。逆にいえば、それだけ繊細で、成長の余地をたくさん残しているパーツともいえます。
「赤ちゃんの爪が反っているように見えたり、形が不揃いだったりして『このままで大丈夫かな?』と心配される保護者の方もいます。でも、子どもの爪は成長とともに変化していくので、過度に心配しなくても大丈夫ですよ」
◆子どもの爪に起きやすいトラブルとは?
そんな成長途中にある子どもの爪には、どんなトラブルが起きやすいのでしょうか。松本さんによると、もっとも多いのは爪の周囲に痛みや違和感を感じるトラブルなのだとか。
「子どもの場合、爪を切ったあとの“角”が残ってしまい、それが爪の成長とともに皮膚に食い込んでしまう『陥入爪(かんにゅうそう)』になることがよくあります。そして実は、こうしたトラブルの多くは“深爪”がきっかけになっているんです」
大人が自分の爪を切ったときや、子どもの爪を切ってあげたときに「ちょっと深爪になってしまった」と感じることは誰しもありますよね。子どもの場合は回復も早いため、数回深爪になってしまった程度であれば特に問題ないと松本さんは言います。
「ただ、毎回のように深爪になるのはよくありません。大人の場合は自分で切りますから、“あ、これは深爪だな”と感覚でわかりますが、子どもは切ってもらうことが多く、どういう状態が深爪なのかを自分で認識できません。だからこそ子どもの爪を切るときには、深爪にならないように大人が気を配ってあげてほしいと思います」
陥入爪が悪化すると、腫れたり化膿してしまうこともあります。その場合は、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
深爪などの状態が長く続くと、痛みや違和感から無意識に足先をかばうようになり、次第に足の動かし方そのものに影響が出てくることもあります。成長期に足先をしっかり使わずに過ごすと、足の骨格にゆがみが生じる可能性もあるのだとか。さらに、大人になっても爪トラブルを多く繰り返していると、骨格のゆがみが定着してしまい、外反母趾やひざ・腰の痛み、姿勢の悪さといった不調につながってしまうケースもあります。
爪は身体の中でも、手足の末端にある小さなパーツであるため、つい見落とされがち。しかしその分、ケアを怠ることで思わぬトラブルの原因になることもあります。日々のケアを大切にして、健やかな成長をサポートしていきたいですね。
◆爪切りのポイントは、「深爪しない」&「角を取る」
髪の毛と同じように日々少しずつ伸びていく爪。でも、髪の毛と大きく違うのは、爪については「自分の手でケアする人が多い」という点です。特に、子どもの爪はやわらかく繊細で、そして大人のように「自分でちょうどよく整える」というわけにはいきません。だからこそ、保護者が爪の状態に気を配り、子どもの成長に合わせた切り方やお手入れ方法を知っておくことが大事です。
ここからは、深爪を防ぎながら、健康な爪を育てていくための“正しい爪切りとケアのポイント”を、松本さんに教えていただきましょう。
爪を切る頻度は?
手は1週間に一度、足は2週間に一度を目安に。いつ切ったか忘れてしまうことも多いので、曜日を決めて切るのもおすすめです。ただ、爪が生える速さは個人差があるので、「伸びてきたら切る」という感覚でOKです。
どのくらい切る?
手の爪は、爪の白い部分がうっすら残るように、爪切りで細かく刻むように切ってから、やすりで整えましょう。子どもの場合、砂や泥、粘土や絵の具などの汚れが入らないよう、白い部分をすべて切ってしまう人もいるかもしれませんが、白い部分が残らないのは深爪なので、注意しましょう。
一方、足の爪は、四角めに切ってから、角を少しだけ切り落とす形に仕上げる「スクエアオフ」というやり方で切ることが理想。足の爪も手と同様に、最後はやすりで整えてあげましょう。
やすりは使ったほうがいい?
爪切りだけで切ると、爪の角を切り残してしまうことが多く、また爪全体の切り口も鋭利な状態になってしまいます。爪切り後にやすりでケアすると爪の角が取れ、切り口がなめらかになります。
やすりは100円ショップなどで売られているものでもかまいませんが、子どもに使用する場合は、事前に大人が必ず使ってみて、使い心地や力加減を確認しましょう。肌感覚がよいものを選びましょう。
爪切りお悩みQ&A
Q:子どもが爪切りを嫌がる場合、どうしたらいいですか?
A:赤ちゃん時代は、ねんねしているときに切ることが多いと思いますが、幼児期以降は、起きているときに切るようになりますよね。子どもが爪切りを嫌がる理由としてよくあるのが「押さえつけられるのが嫌」というもの。
爪を切る際には身体を押さえつけたり、手をぎゅっと握ったりと親の方も必要以上に力が入ってしまいがち。ですが、上手に加減して、やさしく、ソフトに、を意識して爪切りをしましょう。また大きく切るのではなく、刻むようにやさしく切ることもポイントです。
Q:爪切りを怖がってしまいます・・・
A:すでに爪切りを怖がってしまう子には、爪切りではなくやすりで削ることもひとつの手段。ただし、やすりだけにすると時間がかかってしまうため、やすりでのケアをスキンシップのひとつと捉えて、指先から愛情を伝える時間だと考えると、親も子もリラックスできるようになるかもしれません。
また、爪のお手入れの最後に良い香りのする爪用のオイルなどでマッサージしてあげるのもおすすめ。爪のケアは、「怖いもの」ではなく、「心地のいいもの」だと思えるようになれば、自然と爪ケアを楽しめるようになるでしょう。
Q:何歳ぐらいから自分で爪を切れるようになりますか?
A:幼児期から、自分で切りたいと興味を示す子もいますが、小学校低学年ごろから自分でやりたがる子どもが増えてきます。ただ、興味を示しても安定して安全に爪切りをできるようになるまでは、保護者が必ずサポートし、仕上げを手伝うようにしましょう。同時に、爪を切ることの必要性、正しい爪切りの仕方、爪が伸びすぎたときのリスク(爪が割れる、はがれるなど)も伝えてあげましょう。
Q:爪を噛むクセがある子には、どのように対応すればよいでしょうか?
A:爪噛みは、自我が芽生える3~4歳ごろから始まることが多いようです。衛生面や印象面から考えても、爪を噛むことは「よいこと」とは言えません。興味本位で噛んでみるだけなら継続する影響は少ないのですが、これがクセになってしまうと、大人になってもやめられなくなる場合も。
「ストレスから逃れたい」という気持ちが爪噛みにつながっていることもあるので、ただ叱ってやめさせようとするのは逆効果です。爪や指をなめると苦みを感じる「爪噛み予防」商品を使ってみる…というのもひとつの手ではありますが、逆に良い香りのするオイルなどを使って「指先は特別なもの、きれいなもの、爪がきれいだと気持ちがいい」という感覚を育んであげるのもよいでしょう。
Q:爪や、爪の周囲をキレイに保つコツを教えて!
A:お風呂上りには、赤ちゃんの頃から全身に保湿剤を塗って保湿することが多いと思います。手や指先も身体の一部ですから、同じように保湿してあげるとうるおいが保たれ、爪や指もキレイになります。子どもの保湿には高価なクリームなどは必要ありません。じゃぶじゃぶ使えて、刺激の少ない化粧水などでも十分。ただし、無意識に手をしゃぶる赤ちゃん期には、化粧水などではケアしないほうがよいでしょう。
爪は、身体の小さなパーツですが、動作や感覚を支えてくれる大切な存在です。特に子どもにとっては、爪を正しくケアすることが健やかな成長や姿勢づくりにもつながります。爪を切ったりやすりをかけたりする時間は、親子にとって大事なスキンシップのひとときでもあります。指先にふれる時間を通じて、「大事にされている」という感覚が子どもの心にもじんわり伝わるはず。そんな優しい時間を重ねながら、子どもの身体だけでなく、心の成長もそっと支えていけるといいですね。

プロフィール
松本めぐみさん
特定非営利活動法人 日本爪ケア普及協会 理事長。株式会社Best Quality代表取締役。一般社団法人日本ケアネイル協会理事。ネイルを独学で学んだのち、ネイリストとして独立。ネイリスト時代に爪のトラブルや困りごとを抱える人が多いことを痛感し、ネイルアートの世界から、爪のトラブルに向き合い、解決に導く仕事にシフトチェンジする。トラブルや困りごとを抱える爪ケアを行うと同時に、爪ケア技能者の育成にも力を注ぐ。





