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「ねんざはクセになる」はホント?「ねんざ」の応急処置と予防法を学ぼう!

公開日:2025/07/18
最終更新日:2025/07/18

活発に運動する子どもにつきものなのがケガ。中でも多いのが「ねんざ」です。よくあるケガなので、「自然に治るのを待つ」という人も少なくありませんが、実は成長途中にある子どもにとって、「ねんざ」は注意が必要なケガのひとつなのだとか。
水辺での遊びや夏祭りなど、外で活動する機会が増えるこの季節。砂浜で足元をとられたり、裸足で川遊び中に足首をひねったり、慣れない下駄や草履で歩いていて足をくじいたりと、子どものねんざのリスクも高まります。
ねんざとはそもそもどのようなケガなのでしょうか?ねんざをしてしまったときの対処法や予防のポイントは?柔道整復師であり、東京柔道整復専門学校で講師も務める紺野直能先生にお話を伺いました。


ねんざってどんな症状?
スポーツをしているときだけでなく、日常生活でちょっとした段差につまづいたり、歩き慣れない場所で足をとられて足首がぐねっと曲がってしまったり・・・様々なケガの中でも特に多くの人が経験するのが「ねんざ」。ちょっとだけ痛みが走るぐらいで済むこともあれば、腫れあがってしまって数日~数週間痛みが引かないこともあるなど、程度はさまざまです。

そもそも足首などを強くひねると、どうして痛んだり腫れたりするのでしょうか?まずは、ねんざとはどういったケガなのかということについて教えていただきました。

「ねんざとは簡単に言うと、足をひねったりすることによって骨と骨をつなぐ役割を担っている『じん帯』が損傷し、痛みや腫れ、内出血が起こってしまう症状です。ねんざ=足首というイメージが強いですが、関節がある部位ならどこでも生じうる症状ですので、手首やひじのねんざもあるんですよ」

スポーツを経験した人はもちろん、日常生活でもよくあるケガなだけに、「ねんざ=軽いケガ」と思ってしまいがちですが、ねんざは「決して軽視してはいけないケガ」だと話します。

「短時間で痛みが消える程度なら軽度のねんざですが、中度のねんざになると、じん帯の一部が断裂してひどい痛みや腫れ、内出血が起こります。さらにじん帯が完全に断裂してしまうと、重度のねんざと診断され、激痛やひどい腫れ、さらに日常生活に支障をきたすほど関節が不安定になってしまうこともあり、治るまでに時間がかかります」

「じん帯断裂」というと、スポーツ選手などに起こりがちの大けがというイメージがありますが、そんな重度の症状も「ねんざ」のひとつなんですね。

子どもはどんなときにねんざしやすい?
歩き始めの子どもはよく転ぶもの。ですが、まだ関節が柔らかく、転ぶときにも踏ん張ることなく「パタン」と倒れるように転んだり、尻もちをついたりするので、足首をねんざすることはあまり多くないのだとか。筋肉や関節が発達し、小走りをしたりジャンプをするといった様々な動作ができるようになるにつれ、ねんざのリスクが高まると言います。

それでは、子どもと大人では、ねんざの頻度や症状などに違いはあるのでしょうか?

「ねんざになる頻度は、子どもも大人もあまり変わりません。ただ、近年は子どもたちが外遊びをしたり運動をする機会が減っていることもあって、身体の使い方があまり上手ではない子どもが多くなっているように感じます。室内での暮らし方という面でも、今は上履きやスリッパを履いて生活する子どもも多いと思いますが、裸足で歩く機会が減ると、しっかりと足の指を使って踏ん張る力が弱くなり、ちょっとしたことでも足をひねりやすくなってしまう、といったことは考えられます」

ねんざは癖になるってホント?
良く言われる「ねんざはクセになる」ということば。実際、ねんざがクセになるということはあるのでしょうか?またそれはなぜでしょうか?

「軽度のねんざであれば、そのまま治ることが多いのですが、じん帯の一部が断裂するようなねんざの場合は注意が必要です」

じん帯が部分的に切れてしまうようなねんざが起こった場合、その回復の過程では新しい組織が生成され、傷ついた部分を埋めるようにして治っていきます。しかし実は、このときに新しく作られる組織は、元のじん帯のようなきれいな組織ではなく、劣るものに置き換わってしまうのだとか。ひび割れて隙間ができたアスファルトに、似た材料を詰めながら修復していくようなイメージです。

「そのため、重度のねんざでは、離れたじん帯の部分をできるだけ元の位置に近づけて修復し、元の機能を取り戻すことが大切になってきます。接骨院では、じん帯などの組織がもとに近い状態へ修復されるように、施術をして回復をサポートします」

中度~重度のねんざの場合、放置しておくと、完全に元の状態には戻らず、何かの拍子にねんざをしやすくなってしまうのだとか。「ねんざがクセになる」といわれるのには、こんな理由があったんですね。

家庭でできる応急処置は?
それでは、実際に足をひねってしまった時にはどのように対応すればよいのでしょうか。まず、子どもが転んでしまったあとしばらく痛そうにしていたら、痛みのある場所をチェックしましょう。

「たとえば足首の場合、片足だけ見ても判断しづらいので、両足の状態を比べてみましょう。部分的でも全体的でも腫れているようであればねんざと判断してよいと思います」

足が腫れていてねんざが疑われる場合は、安静にしてまず保冷剤などで患部を10分ほど冷やすこと。また、腫れてくることが多いので、患部をなるべく高い位置にするとよいそうです。

しばらくしても痛みが引かず腫れがひどい場合は、早めに接骨院や整形外科を受診したほうがよいと紺野先生。もし診療時間が過ぎてしまっている場合は、冷やして安静にし、様子を見ます。その場合注意してほしいのは入浴。

「身体やねんざをした部位を温めると腫れがひどくなってしまいます。できるだけ入浴は控え、シャワー程度にするとよいでしょう」

ひどいねんざでない場合、多少痛みがあってもそのまま放置して自然に治るのを待ってしまう、なんてことも多いかもしれません。しかし、「数日間、痛みや腫れが続くような場合は、念のため接骨院などで診てもらうといいでしょう」と紺野先生はいいます。

「接骨院では、どのような状況でひねったのかをヒアリングしたうえで、患部を見て、触って、状態を判断します。そして、必要であれば整形外科を紹介して、レントゲンを撮ってもらうこともあります。ねんざだと思っていたら、骨折していたというケースもあるので、やはり一度は専門の施設でみてもらってくださいね」

実はねんざは「がまんできるぐらいの痛さ」の時が要注意なのかも。痛みをがまんしてしまうお子さんも少なくありませんので、しばらくは患部の様子を注意してみるようにしてくださいね。

子どももできるねんざの予防法を教えて!
スポーツ大好き!外遊び大好き!という子どもにとってはつきものともいえるねんざ。予期しないタイミングで起こってしまうケガではありますが、リスクを下げるためにできる予防法はあるのでしょうか。

「先ほどもお話しましたが、運動不足や素足で歩く機会が減ったことで、身体の使い方がうまくできなくなる子どもが増えています。身体の使い方が上手にできないと、ちょっとしたことでバランスを崩したり、ふんばる力が不足して、足がぐねっとなってしまうことが多いので、やはり小さい頃から歩かせる、家のなかでは裸足で過ごす時間を増やしたほうがよいと思います」

裸足で歩くと、自然と指先が鍛えられ、指先を使って床を踏みしめる動作ができるようになるのだそう。冬でも室内では素足で過ごすことがおすすめですし、足の指でじゃんけんをしてみるのも、親子で楽しめる予防法になるといいます。

ねんざは関節がある部分ならどこでも起こる症状ですが、やはり一番多いのが足首。日頃から、子どもも大人もしっかり歩くこと、ねんざかな?と思ったら軽視せずに、一度は接骨院や整形外科などで診てもらうことが大切です。

「子どもの場合、大人に比べるとねんざも治りやすかったりしますが、軽く見るのは禁物です」と紺野先生。特に子どもは遊ぶのに夢中で、多少痛くても平気だったり、「痛くない!」と言い張ったりしがち。でも、実はねんざだけでなく、骨折が隠れていたというケースも少なくありません。子どもの歩き方や患部の様子を注意深く見て、「ちょっとおかしいな」と思ったら、早めに受診してくださいね。

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(プロフィール)
紺野 直能先生

学校法人杏文学園 東京柔道整復専門学校の柔道整復師専科教員として、柔道整復師を目指す生徒の指導をする傍ら、同校の関連施設「杏文接骨院」の院長として、日々施術も行う。子どもの頃から柔道を続け、現在は、柔道部コーチも務める。ケガや症状をしっかり治す技術と専門知識を持つプロフェッショナルとして活躍できる柔道整復師の育成に力を注ぐ。

制作協力 東京柔道整復専門学校
昭和28年(1953年)に、柔道整復師の業界団体である東京都柔道整復師会が、後進育成のために設立した全国で最も古い柔道整復師養成校。「人から人へ」と受け継がれてきた柔道整復術の精神と治療技術の継承に誇りを持ち、約70年間にわたり優れた柔道整復師を輩出している。