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「きれいな文字」は一生の宝!親子で楽しく始める“美文字”への第一歩

公開日:2025/07/10
最終更新日:2025/07/10

手書きの文字にはその人の性格や人柄、心のありようまで表れると言われます。だからこそ、「美しい文字を書けるようになりたい」と願う人は少なくありませんし、自分の子どもにも、できれば「きれいな文字」を身につけてほしいですよね。
今回お話を伺うのは、「たけうち もちかた文字教室」を主宰する竹内みや子さん。きれいな文字を書けるようになるために大切なポイントや、毎日の中で気軽にできる練習法について伺いました。子どもはもちろん、文字にコンプレックスを抱く大人にも役立つヒントが満載です!


きれいな文字を書くことに取り組むメリットとは?
パソコンやスマートフォンが普及したことで、「手書きの文字」を披露する機会は以前に比べて大幅に減っています。ビジネスシーンでもメモや資料作成はほとんどデジタル化され、手書きの文字に触れる場面は限られています。

しかしだからこそ、手書きの文字を目にする場面があると、その人の印象はより強く刻まれることになります。その時、「きれいな文字を書ける」ということは、周囲に与える信頼感や好感度を一層高めるなどのメリットがあります。

また、手書きの文字には「人柄がにじむ」と言われるように、デジタル文字にはない温かみや個性が表れるもの。きれいな文字は、相手に良い印象を与えたり、誠実さや丁寧さを伝えたりする大きな力を持っています。

こうした相手や周囲の人に与える印象以外にも、きれいな文字を書くことにはさまざまなメリットがあると竹内さんは言います。

「字を書くというのは手指の運動です。筆記用具の正しい持ち方を身につけて文字を練習しているうちに、手先が器用になってきます。教室に通う子どもたちのなかには、文字の練習をしているうちに箸の持ち方が上手になったという子もいるんですよ」

脳の研究によると、4歳くらいから8歳くらいまでに手指を細かく動かすことは、思考や判断、集中力をつかさどる「前頭前野」の発達にも大きく関与すると言われています。「きれいな文字を書こう」と挑戦したり努力したりすること自体が、子どもの脳の成長には良い影響をもたらします。

また、きれいな文字を書くためには、じっと座って集中して取り組む必要があります。文字に真剣に向き合い、楽しみながら続けるうちに、おのずと集中力も身につきます。

きれいな字を書くために意識したい筆記具の「持ちかた」
「きれいな文字」を書くために、まずどんなことに気をつければよいのでしょうか。「実は、正しい筆記具の持ち方を身につければ、誰でもきれいな字を書けるようになれるんですよ」と竹内さんは話します。

「私たちが書いている文字は、もともと長い歴史の中で『筆』によって形づくられてきたものです。現代では鉛筆やボールペンといった硬筆を使うことがほとんどですが、文字自体は筆の動きから生まれています。だから、小筆を使うときのような持ち方と動きができれば、誰でも字形は整うようになるんですよ」

では、実際にどのような持ち方をすればよいのでしょうか。ここで大切なのが「つける・あげる・ふっくら」の「ゆる持ち」。力を入れすぎず、指先をリラックスさせて持つことで、指の動きの自由度がぐんと高まります。具体的なポイントは次の通り。

つける・・・筆記具と人差し指の間に隙間を作らないように持ちます
あげる・・・親指は人差し指よりも上の位置につけます
ふっくら・・・手のひらの中に開閉ができる空間をつくります

この「ゆる持ち」を身につけると、文字を書くために必要な手指の運動である「パーグー(たて運動)」、「シュッシュッ(よこ運動)」、「クルクル(円運動)」が無理なくできるようになります。筆圧も安定し、なめらかで疲れにくい筆運びができるようになります。

「早くから筆記具に慣れさせよう」…そんな思いが文字の乱れにつながる?
「たけうち もちかた文字教室」の主宰として、子どもから大人まで幅広い年齢層を指導してきた竹内さん。近年、教室に通う子どもたちを見て気がついたのは「筆記具の持ち方の変化」なのだとか。

「最近の子どもたちは早いうちから筆記具を持ち始める傾向にあるのですが、それによって好ましくない筆記具の持ち方をする子どもが増えてしまったように感じます」

「筆記具に早く慣れさせよう」と、小さなころから大人が使うのと同じようなペンや鉛筆を持たせる保護者は少なくないと竹内さん。しかし、子どもの小さな手では筆記具をうまく持つことができず、筆記具を「握りこむ」ような形で持つことがクセになってしまい、正しい持ち方を定着させることが難しくなってしまうのだとか。

小さなうちは手も小さく筋力も弱いため、筆記具選びに気を配ることも大切です。無理なく手にできるような太めの筆記具を選び、まずは「書くことの楽しさ」から教えてあげると良いでしょう。

「持ちかた」以外にもこんなことに気をつけよう!
正しい筆記具の持ち方とともに意識したいのが書くときの「姿勢」。肩の力を抜き、体の中心ではなく筆記具を持った側の胸(右で持っているなら右胸、左なら左胸)の前で書くようにします。こうすると自然な姿勢で文字を書くことができ、手や肩も疲れにくくなります。

大人は文字を手書きする機会が減少していますが、特に学校に通っている子どもにとって、授業中にノートをとる=文字を書くことは、日常最も多く行う動作の一つ。文字をきれいに書くための筆記具の持ち方や姿勢を意識することは、身体の疲れの軽減にも繋がり、さらに学習効果を高めてくれるでしょう。

また、きれいな文字を書くためには落ち着いた状態で集中して書くことも大切。「文字というのは面白いもので、どんな呼吸をしてどんな気持ちで書いたのか、すべて線に表れるものなんですよ」と竹内さん。文字を書くときには、子どもの気が散らないような環境で取り組めると良いですね。

そしてもう一つポイントになるのが「書き順」。先述のとおり、私たちの書く文字は筆によって形づくられてきたものであり、「書き順」は筆の自然な動きにあわせて、より早く、より正しく書くために考えられてきました。書き順を守ることもまた、きれいな文字を書くためには欠かせません。

家庭でできる「きれいな字」を身につけるための第一歩
持ち方、リラックス、書き順…きれいな文字を書くためのポイントはわかりました。それでは、きれいな文字を書けるようになるために、幼少期から気をつけておきたいことや、家庭でできる取り組みはあるのでしょうか?

・お絵描きデビューをするときの筆記具選び
お絵描きと文字を書くことは別物なのでは?と思う人もいるかもしれませんが、実は大きな影響があります。子どもはまずクレヨンやマジック、色鉛筆などを使い、線や絵を描くことを覚えて、そこから文字を書く筆記具へと移っていきます。その初期段階で良くない持ち方の「クセ」がついてしまうと、その後直すのに時間がかかってしまうのです。お絵描きデビューの際には子どもの小さな手でもしっかりと持てるような太い筆記具を選んであげるようにしましょう。

・太めの鉛筆を使う
文字を書き始めたときにも、いきなり細い鉛筆ではなく太めの鉛筆を選ぶのがポイント。細いものは子どもの小さな手では安定しにくいため、ぎゅっと握りこんでしまうなどクセのある持ち方になってしまいます。できるだけ楽に正しい持ち方ができる太さのものでスタートすると良いですね。

・文字の書かれた積木など、文字の入ったおもちゃで遊ぶ
小さい頃は絵本などを通じて文字に触れる機会が多いと思いますが、絵本で使われている書体には「とめ・はね・はらい」が分かりにくいものが使われていることも多くあります。そこでおすすめなのが、筆文字が書かれた積み木など、「とめ・はね・はらい」がはっきりと分かる書体で文字が書かれたものを身の回りに置いておくこと。普段の生活や遊びの中で本来の正しい字形を自然とインプットしておくことが、のちに文字を書く際の助けになります。

・筆ペンを使ってみる
「筆先が痛むから…」と小さいうちは筆ペンを触らせない人もいるかもしれませんが、ぜひ気にせず遊ばせてあげてください。強く押さえつけると筆先がどうなるのか、どうしたらきれいに書けるのかなど、強弱で筆跡が変化することを遊びながら身につけることができます。強弱が分かるということは、手の力を緩められるということで、筆圧の変化にも対応できるようになります。黒以外にもいろいろな色の筆ペンがありますから、好きな色の筆ペンで自由に線や絵、文字を描かせてあげましょう!

家庭では細かく注意するのではなく、大人も一緒に楽しくいろいろな筆記具で遊んでみることを心がけましょう。「子どもたちはお父さんやお母さんに褒められたいんです。だから、小さなことでも褒めてあげてくださいね」と竹内さんは言います。
子どもにとって、文字は心を伝える手段。正しい持ち方と少しの工夫を習慣にすれば、誰でもきれいな文字が書けるようになります。親子で一緒に、今日から“美文字”に挑戦してみませんか?

「きれいな文字」は一生の宝!親子で楽しく始める“美文字”への第一歩1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

プロフィール
竹内 みや子さん
たけうち もちかた文字教室主宰。旧文部省認定 硬筆書写検定1級・毛筆書写検定1級(指導者)取得。 元KSB瀬戸内海放送アナウンサー。放送局退職後、きれいに書ける筆記具及び筆記具の持ち方を30年あまり研究。『ゆる持ちで美文字』『園児のえんぴつの持ち方』などの講演活動をしている。『ゆる持ちで子どもの字が1日で上達 ひらがな練習帳』(主婦の友社)、『子どもの字がどんどん速くきれいになる方法』(朝日新聞出版)など著書多数。また、自身が運営するYouTubeチャンネル『たけうち もちかた文字教室(https://www.youtube.com/@takeuchimiyako)』では、「ゆる持ち」と手指運動の仕方の解説をはじめとした多数の美文字レッスン動画を公開している。