英語コミュニケーションを高めるために!幼児期からできる英単語の覚え方
最終更新日:2024/12/20
英語でコミュニケーションをとる際に必要なものといえば、英語を聞き取るリスニング力や正しい発音を含めたスピーキング力、文法ももちろん大切ですが、なんと言っても「語彙力」は欠かせません。日常生活の中で、子どもたちは自然に日本語の語彙を増やしていきますが、それとあわせて「英単語」もたくさん覚えていって、英語でも豊かな表現力を身につけてくれたら嬉しいですよね。
そこで今回は、幼児期からできる「英単語力アップ」への取り組み方について、オンライン英語教室『シャーンティ英語スクエア』を運営されている向井佳代さんにお話を伺いました。
◆英語力を高めるうえで、「英単語」を覚えることはなぜ大事なのでしょう
英語で伝えたいこと、言いたいことがあるのに、それを表す英単語を知らないと「もう英語で言わなくてもいいや…」なんて諦めてしまいがち。逆に、ひとつでも多く英単語を知っていれば、その分伝えられる・理解できる内容が増えます。「伝わった時の喜びがあるからこそ、英語って楽しいなと思えるんです」と向井さんは言います。
また、まずは最初の段階として、たとえ文法を知らなくても、英単語を知っていれば、相手が言いたいことを「もしかしたらこれかな?」と想像したり、自分が伝えたいことを言葉にすることもできます。英単語学習は最低限の英語でのコミュニケーションや英語を習得する上で欠かせない「データベース」といえます。
「幼児期に英語力をのばすための取り組みとしても、英単語を覚えることはとても効果的だとおもいます。幼児にとっては、『他の子が知らないことを自分が知っている』ということは、すごく嬉しいことなんですよ」
確かにわが子が少しでも英単語を知っていると、親もとても嬉しいし、「〇〇ちゃん、すごいね!」と思わず褒めちゃいますよね。「知っていること、それを認められることって、子どもにとって大きな自信につながります」と向井さんは言います。
では、英単語を覚える環境づくりは、いつ頃から始めるとよいのでしょうか。
「そのご家庭で、やりたい、教えたい、と思ったときがスタートのタイミングです。0歳でも早すぎることはないし、5歳でも遅すぎることはありません。ほかの子と比較して、早すぎる、遅すぎる、と心配する必要はないですよ」
◆英単語力を高める方法は?
英単語力を伸ばしていくにはどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。今回は、0歳~未就学児を対象とした「英単語力アップ」の取り組みについて教えていただきました。
向井さんによると、子どもが言葉を習得していくプロセスは、
1. ママやパパ、身近な人が話す言葉が耳に入る
2. 聞こえてくる音をマネして、発語し始める
3. ママ=ママ、ボール=ボール というように、目で見える人や物と言葉を結びつける
4. 簡単な文から始まり、語彙が増えて、より複雑な文を話すようになる
という流れで、これは日本語に限らずすべての言語に共通しているのだそう。
「パパやママ、おじいちゃん、おばあちゃん、保育園や幼稚園の先生やお友だちなど周囲の人からの話しかけ、テレビや動画などで、目と耳から入る情報によって、幼児は日常の中で母国語の言葉を覚えていきます。英単語もそれにできるだけ近い形で覚えることが理想的です」
日本に住んでいれば、日本語はいつも身近にありますから、子どもも日常的に日本語に触れることができ、自然に語彙力もアップします。しかし、英語となるとなかなかそうはいきませんよね。そこで向井さんがおすすめするのが、音の聞こえる英語カルタや英語の動画、絵をタッチしたら英単語が聞こえる教材、英語も学べる子ども専用タブレットなどを活用して、遊びの中で自然と英単語を身につけていく方法です。
「英単語を身につけていく上で特に大事なのは『音』です。目で見るもの(イメージ)と、耳から入る音(英単語)によって、両者を関連づけながら英単語を覚えていけるような教材やおもちゃを取り入れると良いと思います」
イメージと音がセットになっているものでインプットをし、遊びの中でアウトプットしていくことによって、英単語は自然と身についていくと言います。
また、英単語を覚えていく上でもうひとつ大事なポイントは、子どもが好きなジャンル・興味のあるジャンルに関連づけて楽しみながら英単語を覚えていくこと。
「日本語ですら使わない、興味のない分野の英単語を覚えさせようとすることは、あまり意味がありません。英単語なら何でもいいから覚えさせよう、というのではなく、まずは子どもが好きなものから始めるといいと思います」
たとえば、植物に興味がない子に植物の名前を英語で覚えさせようとしても、楽しく覚えることはできません。好きな果物や野菜、乗り物、スポーツなど、その子が好きなものを英語にしてみるといった形で、親子で楽しみながら覚えていくとよいと向井さんは言います。
◆「楽しむ」ことと「継続する」ことが大事!
●親も一緒に楽しもう!
英語の動画を見ながら親子で一緒に歌ったり、手遊びをしたり踊ったり、英語の絵本の読み聞かせなどもおすすめの方法です。
「英語に苦手意識がある親御さんで、『自分の発音でいいの?』と心配される方もいらっしゃるのですが、親子で一緒に英語時間を過ごすときには、発音を気にする必要はありません。発音に自信がなくとも、正しい発音が学べる教材やおもちゃを取り入れていれば、その部分はしっかりカバーしてくれます。親子で一緒に英語を楽しむということが子どもにとっても親にとっても大切な時間であり、経験の積み重ねになりますよ」
●子どもの「好き」を観察しよう
遊び方の好みなども子どもによってさまざま。黙々と遊ぶタイプの子もいれば、身体を動かすことが大好きな子もいます。自分の子は何が好きなのかを観察して、それに合わせた教材を与えてあげるとよいそうです。
「子どもの好きなことや得意なことに合わせて教材やおもちゃを選ぶこともポイントです。ただ、子どもの『好き』は、どんどん変化します。大好きな教材だったのに、急に遊ばなくなってしまうなんてことも珍しくありません。子どもが飽きるのは当たり前のことなので、そこでがっかりしたり、英単語遊びをやめたりせず、別の動画やアプリ、絵本を見せてあげるなど、根気よく続けることも大切です。一度飽きた教材なども、時間がたった頃にもう一度与えると、また楽しく遊べたりするものですよ」
●子どもの発達段階に合わせた教育を
幼児の場合は、目の前にあるもの、触れるものをどんどんインプット&アウトプットしていきます。日本語も、まずひとつの単語を憶えて「まんま」「ブーブー」「ワンワン」などと話し始め、その後ふたつの単語を組み合わせて「まんま たべる」「ブーブー きた」「ワンワン いる」などと、二語文を話すようになります。
「英語の習得もこれと同じです。日本語でも一語しか話せない発達段階の時期に、ふたつの英単語をつなげて話すことを期待しても、それは子どもの発達段階に合っていません。教材を選ぶときも、記載されている対象年齢と自分の子どもの成長段階に合わせて選ぶとよいと思います」
●継続することが大事!過度な期待や無理強いはNG
英語学習において大切なのは「継続すること」と向井さん。その上で気をつけたいのは「過度に成果を期待してしまうこと」。0~2歳くらいまでは遊び感覚で楽しく英単語を覚えていたのに、幼稚園の年中・年長さん以降になると、親の期待が高まりすぎる傾向もあるのだとか。
「覚えがいいと、つい、次のステップへ!と親は期待しがちです。でも、無理して次のステップに進むのは、子どもにとっても親にとってもハッピーなことではありません。これができたから次もできるはず、などと過度な期待をしたり、逆にこれだけ英単語を教えているのに、ぜんぜん喋ってくれない、などと落ち込む必要はありません。毎日10分程度でもよいので、根気よく、楽しく続けていれば、子どもの中には英語が積みあがっていきます。本人が使いたいと思ったタイミングで必ず積み上げてきた英単語は役に立ちますよ」
また、家では英単語を話したりするのに、外では話さない、というお子さんもいるでしょう。
「せっかく外国の人と接する機会があったのに、大きな声で「Hello!」と言えないことで落ち込む親御さんもいらっしゃるのですが、日本語であったとしても、人見知りで知らない人と話すのは苦手な子どももたくさんいます。人見知りと、英語の力がついているのは、まったく別物。どうしてできないの?と悲観せず、子どもの成長を長い目で見守ってあげてほしいと思います」
小学校に上がると、学校で英語を習います。でも現状の公立小学校での英語教育の授業時間には限界があり、英語に親しませるという程度の関わりしかできないのが現実なので、幼児期から家庭で始めた「英語に楽しく触れる時間」は、小学校に上がっても継続させることがおすすめ、と向井さんはアドバイスします。
「子どもの成長段階に合わせて、家庭でできる英語教育もステップアップしていけば、子どもにとって英語は特別なもの、難しいものではなく、楽しいコミュニケーションツールとして、自分のなかにしっかりと根付いていきますよ!」
(プロフィール)
向井佳代さん
オンライン英語教室『シャーンティ英語スクエア』運営/おうち英語習慣化サポートコーチ/とっさの英語も怖くない子を育てるオンライン英語レッスン主宰(年長~小学生)/おうち英語10年プラン提唱。英国留学時代に「英語耳」の重要性を実感。その後、多国籍企業25年勤務の経験から「英語で人とつながり信頼されるにはコミュニケーションする態度の育成が必須」と考え、2018年に子ども英語講師に転身する。自らも2歳から娘の英語耳を育て英語を話せる子を育てた経験を活かし、ご家庭で子どもの「英語耳」を育てたい家族からの相談対応及びコーチングサービスと子どもへのオンラインレッスンを展開している。