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子どもと一緒に天体観測! 冬の夜空を見上げてみよう!

公開日:2024/12/11
最終更新日:2024/12/11

空気が乾燥していて水蒸気が少ない冬は、澄んだ夜空に星がきれいに見える季節。そんな季節のお出かけに、天体観測はいかがでしょうか。雄大な星空に目を向けるのは、宇宙や自然、科学に興味を持つ絶好のチャンス!親子で天体観測をすれば、忘れられない思い出にもなるでしょう。
そこで今回は、宇宙に関する講演や出張プラネタリウムの開催など宇宙を身近に感じられるさまざまな事業を展開する「あいプラネット」の代表・野田祥代さんに、天文学や天体観測の魅力、天体観測をするときのポイントなどについてお話を伺いました。


天文学ってどんな学問?
果てしなく広がる宇宙。そこには数え切れないほどの星があり、謎があります。あまりにもスケールが大きくて、どこか遠い世界のようなイメージを持ってしまいがちな「宇宙」ですが、星空はいつでも私たちの上に広がっていて、誰もが見上げることができます。そう考えると、宇宙とは私たちにとって意外と身近な存在なのかもしれません。

流星群や彗星、日食・月食・・・ニュースなどではしばしばこうした「天体ショー」がとりあげられ、そのたびに多くの人が関心を持ち、空へ目を向けます。今年、2024年の10月にも「紫金山・アトラス彗星」が地球に最接近し、SNSには実際に彗星を見ることができた人の感動の声や、長く尾を引く彗星の姿を捉えた写真も数多く投稿されるなど、大きな話題になりました。

ロマンチックでありミステリアスでもあり、遠い世界のようでありながら、実はとっても身近な存在である宇宙。そんな宇宙を研究対象としている学問が「天文学」です。

「天文学は人類の歴史の中でも最古の学問の一つです。宇宙がどうやって生まれたか。どのように進化してきて、これからどうなっていくのか。どういう性質があるのか、さまざまな現象はどうして起こるのか。そうした宇宙に関わるすべてを研究する学問が天文学なんです」

天文学は宇宙に対する科学的な理解を深めるとともに、「大きな視野」を得られる学問でもあると野田さんは言います。

「宇宙は私たちの視点を上げてくれます。『グローバル』を越えた『ユニバーサル』な視点で物事を捉えられるようにしてくれる、そんな役割が天文学にはあります」

宇宙の大きさや歴史、宇宙空間で起きる現象、さまざまな天体のすがた・・・宇宙の大枠の知識をもち、深く思いを馳せることは、私たち一人ひとりがより広い視野を持つことに繋がります。宇宙について学ぶことは、私たち人間のルーツについて考えたり、地球環境の問題や、さらには人間のありかたに対する見方が変わるきっかけになるかもしれません。

◆天体観測の魅力とは
宇宙規模で物事をとらえる、大きな視点を持つことにも繋がる天文学。そんな天文学への入門編としておすすめなのが「天体観測」です。自らの目で宇宙を見つめる体験は、天文学への興味を深める第一歩。肉眼はもちろん、双眼鏡や天体望遠鏡を使って夜空の星や月・惑星などを楽しく観察すれば、宇宙の広がりや美しさを実感することができるでしょう。

「美しくて人間を超える大きなもの、崇高なものに触れることは、科学はもちろん芸術などにもつながる貴重な経験です。空は誰の頭の上にもあって、世界中の人が同じ空をみることができますし、本来はお金もかかりません。また、きらきら輝く星を探すだけでも十分に楽しいものですが、たとえば人工の明かりの中で暮らす人々にとっては、天体観測を通して、あらためて人工光の強さや、生命の本来のリズムについて考える、深い学びに繋げることもできます」

さまざまな魅力にあふれた天体観測。でも、「子どもと一緒に天体観測をしてみたい!」と思いながらも、「天体の知識がないから」とか、「天体観測って何をすればいいの?」と尻込みをしてしまう人も、中にはいるかもしれません。しかし、子どもと一緒に天体観測をするとき、大人に必要なのは「まずは共感なんです」と野田さんは言います。

「もちろん、前提になる知識があれば、より天体観測を楽しむことができます。でも、なにより大切なのは、子どもが『不思議だ』と思ったときに、『不思議だよね、どうしてだろうね』と共感しながら一緒に楽しむことなんです」

はじめての天体観測、何をするのがおすすめ?
では実際、これから子どもと天体観測をしたい!という人は、どんなことからはじめればいいでしょうか。

「最初は、特別な道具は必要ありません。『体験』をすることは『学習』以前に大事なこと。『星空を自分の目で見る』という実体験をすることからスタートしましょう」

天体観測の第一歩として野田さんがおすすめするのは、探しやすい「月」からはじめること。空にひときわ大きく浮かんで、日に日に形が変わり、昼間に見えることもある…「月」って、改めて考えてみるとかなり不思議な存在ですよね。

「たまたま見上げた空にきれいな月があった」なんてきっかけでもOK。空に月を見つけたその日から、折に触れて親子で一緒に月を探してみましょう。毎日月を見ていると、「昨日と同じ時間なのに違う場所にある」とか、「今日の月はいつもよりちょっと大きく見える」なんて発見があるかも。慣れてきたら、月の模様や形などを観察してみましょう!

そしてもう一つ野田さんがおすすめしてくれたのが、「一番星探し」。夕暮れに空を見上げて、一番最初に見えた星を指さしてみましょう。人によって一番星は違ってかまいません。一つ星が見えると、さらに二つ三つとたくさんの星が見えてくることもあります。

「もう少し見えるようになってくると、微妙な色の違いやまたたきかたの違いなどにも気付くかもしれません。夜空の暗さに目が慣れるまでは10分から30分程度はかかります。今の私たちは『待つ』のがあまり得意ではないことも多いですから、親子ともに夜空を見上げて星を見て、のんびりとした時間を過ごすことも大事な経験だと思います」

天体観測に興味を持ち、より本格的に天体観測をしたくなってくると、ほしくなるのが天体望遠鏡。最初の望遠鏡には、軽くて初心者向けのものを用意するのがおすすめだといいます。はじめから高価で重厚なものを選んでしまうと、扱う際に大人の手が必要になり、天体観測へのハードルが上がってしまうのだとか。ぜひ子どもが簡単に取り扱えるものを選んで、いつでも気軽に天体観測に取り組める環境を整えてあげてくださいね。

また野田さんによると、双眼鏡も天体観測におすすめのアイテムなのだそう。両目で覗くことができますし、肉眼では見えなかった星の集まりや星雲を楽しむことができます。天体望遠鏡にハードルの高さを感じたら、まずは手軽に覗ける双眼鏡から試してみるのもよいかもしれません。

子どもと一緒に天体観測! 冬の夜空を見上げてみよう!1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

星空のあれこれQ&A
Q 「星」って何?
A 天文学でいう「星」は太陽の仲間で、自ら光り輝いている「恒星」という天体です。小さい子には、「夜空にキラキラ光っているのがお星さまだよ、たくさんあるね」といった説明でも十分だと思いますが、月や太陽との違いなど、さらに詳しく知りたがったときには、大人も一緒に調べてみる過程をぜひ楽しんでください。

Q 星はいくつくらいあるの?
A 「星の数ほど」と例えられるとおり、星は無数にあります。実際に目にすることができる星がどのくらいあるか?ということで言うと、肉眼で見えるぎりぎりの6等星までで、地球から見える星は8600個くらいです。ただ、地平線より下は見えませんし、地平線に近い所も空気や地形にじゃまされて見えなくなることから、夜空を見上げた時に一度に見える星の最大の数はおおよそ3000個程度になります。

Q 星座はいつからあるの?どれぐらいの数あるの?
A 明るい星を結んで生き物や道具などに見立てたものが星座です。星座は、古いものはメソポタミア文明の時代からあるといわれています。また、15世紀にはじまる大航海時代以降にもたくさんの星座ができました。現代では、全世界で共通して使える物として「国際天文学連合」が整理した88の星座の名称と境界があります。私たちに馴染み深いのはこの88個の星座です。

Q 星座を見つけるコツはある?
A 冬は三ツ星が特徴的なオリオン座が見つけやすいので、それを目印にしてみるといいですね。華やかな明るい一等星を結ぶ、「冬の大三角」、「冬のダイヤモンド」などは肉眼でもさがしやすいでしょう。子どもに星の場所を伝えるときは、空に手を伸ばしてこぶし何個分右にある星、指何本分左にある星、などと伝えるのもおすすめです。星座早見盤を利用してもいいですし、最近では星座・天体アプリなどが充実しているので、それらを活用してみるのもいいでしょう。

「子どもと一緒に天体観測をするときは、ぜひ大人が率先して楽しんでほしい」と野田さん。まずは親子そろって空を見上げるところからはじめてみましょう!幼稚園や保育園の帰り道に一緒に空を見上げてみると、新しい発見があるかもしれませんね。
また、野田さんによると、今年の冬は金星や木星、火星といった惑星が観察しやすいのだそう。おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲル、おうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオンを結んでできる「冬のダイヤモンド」の近くに木星や火星があり、1等星の多い冬の星空がさらに豪華になっています。ぜひ探してみてくださいね!


プロフィール
野田祥代さん
愛知県生まれ。名古屋大学理学部卒、同大学院修了、博士(理学)。国立天文台天文データセンター勤務後、2018年より「あいプラネット」代表。理系文系の垣根をゆるやかにつなぐ「体験型リベラルアーツ“はてなアカデミー”」、親子グループ「やとっこ天文あそび」、身近な宇宙と地球を楽しむ「うちゅう・かがくあそび」などを手がける。「つたえよう 宇宙のふしぎ 星のふしぎ 地球のふしぎ 命のふしぎ」」を合言葉に、親子向け、大人向けの宇宙イベントを各地へ届けている。