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逆境や試練から立ち直る力-「レジリエンス」を育てるためにできること

公開日:2025/04/11
最終更新日:2025/04/11

困難に柔軟に対応し、乗り越え、回復する力として、近年注目が高まっている「レジリエンス」。人生に失敗や困難はつきもの。だからこそ、いずれは社会に出ていく子どもたちに、ぜひ身につけてほしい力の一つですよね。
そこで今回は、一般社団法人日本レジリエンスエデュケーション協会代表理事の山本千香子さんに、レジリエンスとは何か、レジリエンス高めるためにはどのような取り組みや向き合い方が必要なのかを伺いました。家族で楽しみながらレジリエンスを高められるゲームなども紹介します!


「レジリエンス」ってどんなちから?
子どもたちがこれからの社会を生き抜くためには、変化に適応し、困難を乗り越える力が必要です。その力こそが「レジリエンス」。JREA(一般社団法人日本レジリエンスエデュケーション協会)では、レジリエンスを「自分にとっての逆境や試練から立ち直る心」と定義しています。

そして、この力は、生まれながらにして誰もがもつ心の力であり、親や周囲の大人の関わりによって育むことができるのだとか。日々の接し方や声かけを工夫することで、子どもは「失敗しても大丈夫」「挑戦するって楽しい!」と前向きに考えられるようになります。レジリエンスは、特別なトレーニングではなく、家庭の中で自然に育てていける力なのです。

山本さんによると、レジリエンスは【自尊心】【感情調節】【自己効力感】【楽観性】【人間関係】という5つの力によって支えられているのだそう。

「ただ、楽観性についてはこんな意味があるのをご存じでしょうか?楽観性には、物事の良い面ばかりを見て『何とかなる』と期待を込める『気質的楽観性』と、物事を冷静に捉えて自分にできることに集中するという『現実的楽観性』の2つがあり、レジリエンスを支えるうえでは、後者の『現実的楽観性』が重要になります」

レジリエンスを支えているという「5つの力」。そう聞くと、レジリエンスを高めるためにはこれらの「力」を全て高めていく必要があるように思えますが、「重要な要素がいくつか機能すればいいんですよ」と山本さんは言います。

「たとえば困ったときに誰かに相談できる子なら【人間関係】を使っていますし、小さな目標に向かって少しずつ頑張れるなら【自己効力感】が強いといえます。子どもが持っている『良いところ』や『得意な部分』を高めてあげることが、レジリエンスを高める上で大切です」

子どもが困りごとに直面したらすぐに手助けをしてあげたくなってしまうもの。ですが、「課題にぶつかる」ということは自然な成長過程の一部であり、子どもが自ら乗り越える経験を積むほうが、長い目で見ると効果的です。

とはいえ、親が全く何もしなくてよい、手を出さなくてよいというわけではありません。親の支えがあると子どもも立ち直りやすく、その経験は自信につながります。困難や課題を親が直接的に解決するのではなく、子ども自身が問題を乗り越えられるように上手にサポートする姿勢がレジリエンスを高める上では大切です。

子どもにとってレジリエンスは重要?何歳から高められる?
成長過程で小さなストレスや困難に日々直面している子どもたち。レジリエンスがあれば、「失敗しても次がある」「自分でできることを試そう」など前向きに捉えられますし、困難を「学び」に変えることもできます。

不確実性が増している現代社会において、計画通りにいかないことがあっても「自分にできること」に集中して適応できるのも、レジリエンスがあればこそ。チームで結果を出すことを求められたときにも、意見の違いを建設的に解決し信頼関係を築くこともできます。

子どもにとってレジリエンスはあらゆる面で非常に重要な能力ということになります。ではレジリエンスを高めるための取り組みはいつからできるようになるのでしょうか。

「生まれたときからレジリエンスを高めることは十分可能です。幼少期の家庭環境や教育は、レジリエンスの基盤を形成します。安全で安定した愛着関係を築き、挑戦と成功の経験を重ねることで、先に挙げた5つの力がバランスよく育まれるのです」

中でも幼少期に高めておきたい力として山本さんが挙げるのが、【自尊心】【自己効力感】【人間関係】。自尊心が育っていると安心できて、安心できると思考しやすくなり、思考ができると感情調節が上手になると山本さんは言います。

また発達段階ごとに適したアプローチを取り入れることで、日常生活の中でレジリエンスを自然に鍛えることができるのだとか。それでは年齢ごとにどのように取り組んでいけばよいか、ポイントをご紹介していきましょう。

<0~1歳>
親や周囲の大人との関わりを通じて「世界は安心できる場所だ」と感じる基本的信頼を育む時期。安心して新しいことに挑戦し、自分の気持ちを表現する土台が作られます。「泣いたときにはすぐに抱っこして声をかける」、「笑ったときには笑顔を返す」など、この時期に安心感を得ることが、将来の人間関係の力や感情調整の基盤を作ることになります。

<1~3歳>
「自分でやってみたい」という気持ちを持ち始める時期。たとえば自分で服を着ようとしたとき、うまくいかなくても「よくやってみたね!」と声をかけてあげましょう。また、感情が爆発したときには「怒っているんだね」と気持ちを受け止めてあげるなど、子どもの気持ちを尊重し、成功や失敗に関わらず挑戦したことを褒めることで、自己効力感や感情調節の基盤が育ちます。

<3~6歳>
自発的に行動し、さまざまなことに挑戦したくなる時期。この時期は、「○○に挑戦してみる!」という気持ちを尊重し、成功したら「できたね!」と喜びを共有しましょう。失敗しても「どうすればできるかな?」と一緒に考え、挑戦したこと自体を評価することが大切です。また、お手伝いを任せ「助かったよ、ありがとう!」と伝えることで、自分が役立てる経験が増えます。こうした関わりが、自己効力感や自尊心、人間関係の力を育む基盤となります。

レジリエンスを高めるために意識すること
普段の生活で、保護者が実践できることとはどのようなものでしょうか。レジリエンスを高めるための基本的な姿勢や接し方について、具体的にアドバイスをいただきました。

・挑戦を見守り、失敗を肯定する
結果だけを評価せず、挑戦そのものを認め、失敗を成長の一部と捉えることが大切。失敗したときにはまず「ここまでやれてすごかったね!」と声をかけ、次への意欲を支えるとともに、次はどうすればよいのかを考えさせましょう。

・気持ちを受け止める
子どもの感情を否定せず、そう感じるのは「自然なこと」だと受け止めることが重要。子どもの感情に共感し、失敗してもよいのだという安心感を与えましょう。話を聞くときは「気持ち」を言葉にしてあげることが大事。「つらい」「悲しい」などネガティブな感情のときには「つらかった」「悲しかった」と過去形にして声掛けをしてあげるのがポイントです!

・小さな成功体験を積ませることが大切!
子どもが「できた!」と感じる経験を増やすことで、自信や挑戦する力が育ちます。
例えば、小学校低学年なら、「明日はランドセルを自分で準備しよう」や「夕ごはんの前に5分だけ机を片付けてみよう」など、小さな目標を設定。達成したら「自分で準備できたね!」と具体的にほめましょう。小さな成功を積み重ねることで、「やればできる!」という気持ちが育ち、新しいことにも前向きに挑戦できる力につながります。

・挑戦を促す環境を整える
「うまくできなかったらどうしよう」という不安を感じさせないような雰囲気を作ることも大事。「失敗は悪いことではない」と伝え、挑戦や失敗に前向きな姿勢を見せること。また楽しむことを優先するのも大事です。親自身の失敗エピソードを話してあげることも効果的!

子どものレジリエンスを高めるためには、日々の関わりの中で子どもにポジティブな影響を与えることが大切。日常的なサポートで、子どもが困難を乗り越えてしなやかに成長していく土台を作りましょう。

 

遊びやゲームを取り入れて、レジリエンスを高めよう!
レジリエンスを高めるために、日常の中で簡単にできる遊びやゲームを紹介します。忙しい毎日でも、食事の時間やお風呂の時間などに気軽に取り入れられるものばかり!家族みんなで楽しみながら、子どもの心の力を育てていきましょう。

●3つのよいこと:一日の終わりを、「よいこと」でしめくくる
<取り入れやすいタイミング>夕飯の時間、お風呂の時間、寝る前のひととき
「今日あったよいことを3つ教えて!」と聞いてみましょう。お風呂でリラックスしながら話したり、寝る前に布団の中でおしゃべりするのもおすすめ。子どもの言葉を肯定的に受け止め、「それは素敵だね!」と共感すると、前向きな気持ちが育まれます。親も一緒にシェアすると、家族みんなでハッピーな雰囲気に!

●「それはよかった!」ゲーム:失敗も楽しい学びに変える
<取り入れやすいタイミング>夕飯の時間、送迎や移動中、片付けの時間
子どもが「今日、困ったこと」「失敗しちゃったこと」を話したら、「それはよかった!だって○○できるチャンスだったね!」とポジティブな視点を加えてみましょう。例えば「お友だちとケンカしちゃった…」には「それはよかった!どうすれば仲直りできるか考えるチャンスだね!」と返すと、失敗を前向きに捉える習慣がつきます。

●ありがとうゲーム:「感謝の気持ち」は心の回復力を高める鍵
<取り入れやすいタイミング>食卓で、寝る前のひとこと、お風呂でリラックスしながら
「今日、誰かに『ありがとう』を伝えたくなることはあった?」と聞いてみましょう。家族それぞれが「ありがとう」を伝えた後、「こちらこそ!」「嬉しいな!」とリアクションをすると、温かい雰囲気が生まれます。感謝を習慣にすることで、ポジティブな気持ちが育まれ、人とのつながりも深まります。

●新しい発見チャレンジ:ワクワクする体験で自己効力感アップ!
<取り入れやすいタイミング>休日の朝、食後の団らん、お出かけ前のワクワクタイム
「やってみたいこと」「試してみたいこと」を家族みんなで書き出して、箱に入れます。週末や時間があるときに、1枚引いてチャレンジ!例えば「公園で新しい遊びを考える」「いつもと違う道を歩く」「家族でおもしろい実験をする」など、小さな冒険が子どもの「やればできる!」という自己効力感を育みます。挑戦の記録をノートや写真に残すと、思い出としても楽しめます!

日常のちょっとした時間に取り入れるだけで、子どもの心がぐんぐん強くなるレジリエンスゲーム。ぜひ、家族みんなで楽しみながらやってみてくださいね!

子ども時代だからこそ、レジリエンスは大きく育てることができます。小さな挑戦や失敗を積み重ねる中で、「乗り越える力」や「自分なら大丈夫」という自信が育まれます。そして、この力を鍛えることは、子どもたち自身が未来を前向きに生き、困難に負けず、自分らしく幸せに歩んでいくための大切な土台になります。

親としては、子どもの失敗に不安を感じたり、つい手を貸したくなることもあるでしょう。それは自然なことですが、大切なのは「失敗=成長のチャンス」と捉え、子どもが挑戦できる環境をつくること。親が見守りながら応援することで、子どもは安心して自分の力を試し、未来への大きな力を育んでいきます。ぜひ、日々の生活の中で「挑戦する楽しさ」を大切にしていきましょう!

逆境や試練から立ち直る力-「レジリエンス」を育てるためにできること1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

プロフィール
山本 千香子さん
一般社団法人日本レジリエンスエデュケーション協会 代表理事。公認心理師、キャリアコンサルティング技能士2級、レジリエンストレーナー。
企業で 11年間、人材育成や教育プログラムの開発に携わり、1,000人以上の成長をサポート する中で、「困難に直面したときに乗り越える力=レジリエンス」の重要性を実感。より早い段階でこの力を育むことが、子どもの未来を切り拓く鍵 になると考え、教育現場へと活動の場を移す。
現在は、小中学校の 教職員や保護者向けに、子どもの成長を支える大人自身の「心の力」を育む研修や講演を年間200回以上実施。
「学級経営に役立つレジリエンス指導」「子どもの自己肯定感を高める家庭での関わり方」 など、学校や家庭で日常的にレジリエンスを育める環境づくりをサポートしている。
これまでに 全国の教員・保護者2万人以上にレジリエンスの実践法を伝え、教育現場の変化を支援 している。