お問い合わせ:045-543-3331(本部)
受付時間:10時〜19時(日・祝は除く)

アデック(Adecc)のコラム一覧

楽しく作って食べてお正月を楽しもう!親子でつくる「おせち」の時間

公開日:2025/12/22
最終更新日:2025/12/20

新しい年を迎えるお正月は、日本ならではの伝統と、家族のつながりを改めて感じられる行事でもあります。そんなお正月をもっと特別な時間にするために、今年は“おせち料理づくり”に親子で挑戦してみるのはいかがでしょうか。
今回は、子どもの「食」を通じた学びを支援する、一般社団法人キッズキッチン協会の副会長・坂本佳奈さんに、おせち料理やお雑煮に込められた意味や由来、そして子どもと一緒に楽しみながらつくれる簡単で美味しいレシピについてお話を伺いました。


おせち料理はとっても身近
おせち料理やお雑煮を前に、家族で食卓を囲む光景には、日本ならではの文化が息づいています。近年では、デパートや通販でおせち料理を購入するご家庭も増えていますが、実はおせち料理のなかには、手軽に手づくりできる一品もたくさん。

「もちろん購入するのもよいのですが、おせちのメニューのなかには意外と簡単につくることができるものもあります。好きなものを一品だけでも親子で作ることで、料理の楽しさを体感していただけたら、と思います」

「おせち料理」と聞くと、少しハードルが高い印象を持つ方も多いかもしれません。けれど、「料理」という日常の延長として考えれば、ぐっと身近なものに感じられるはず。

せっかくゆっくりと時間が取れる冬休みだからこそ、普段はなかなかできない「親子で一緒に台所に立つ時間」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

おせち料理のはじまりは、神様へのお供え
そもそもおせち料理にはどんな意味や願いが込められているのでしょうか。まずはその由来をひもといてみましょう。

日本には、古くから「季節の節目に神様へ料理をお供えする」という風習があります。たとえば、3月のひな祭り(桃の節句)にひなあられやちらし寿司、ハマグリのお吸い物をいただくのも、5月の端午の節句に柏餅を食べるのも、その名残り。

その中のひとつとして、お正月に神様へお供えする特別な料理が、のちに「おせち料理」と呼ばれるようになりました。もともとは「御節供(おせちく)」と呼ばれ、節目の「節」を祝う料理だったのです。

神様のためのご飯だからこそ、おせち料理は彩り豊かで豪華。お正月の三が日は「台所を休める」という意味を込めて、日持ちのする甘め・塩味の強い味つけに工夫されてきました。冷蔵庫のなかった時代の知恵が、今も私たちの食卓に受け継がれているんですね。

ただ、豪華なおせち料理は貴族や武家の行事として広まったもので、庶民の家庭ではその中の数品を作り、お雑煮を添えて新年を祝っていたといいます。庶民にとっての正月料理の主役は、むしろお雑煮だといっても過言ではないかもしれません。

「お雑煮は、地域や家庭によって食材や味つけがまったく違うんですよ。『お雑煮を聞けば出身地がわかる』と言われるほど、地方色が豊かなんです。味はお醤油かお味噌か、お餅は四角か丸か、具材も肉や魚などさまざま。その土地の食文化や暮らしが映し出されていて、とても興味深いですね」

料理は“素材の変化”を実感できる時間
正月料理の由来を学んだところで、今度は“料理そのもの”からどんな学びが得られるのかに目を向けてみましょう。

「まず、食べ物は、そのまま素材だけで食べるとは限らないことが学べるのが、料理のおもしろさだと思います」と坂本さん。

「野菜や卵、魚、肉といった身近な食材が、料理という過程を経て見た目も味も変わり、食卓に並ぶ一皿に生まれ変わる。その変化を知るだけでも楽しいですし、料理をつくってくれる人への感謝の気持ちが芽生えます」

素材の変化を知ることは、自分が食べているものを理解する第一歩。料理を通じて、「ごはんは自然に出てくるものではない」という気づきが生まれるということは、親子で料理に取り組むことの大きな意義です。
◆体験を重ねることで、“できる”喜びも
加えて、料理には「体と心を動かす経験」をするおもしろさも。自ら手を動かしながら挑戦することで、子どもたちは「できた!」という達成感を味わえます。

「ピーラーでひたすら薄切りをしたり、包丁が少しずつ上手に使えるようになるたびに、子どもたちは目を輝かせます」

普段は「危ないから触らないで!」と遠ざけられることが多い包丁や火を、親に見守られながら一緒に扱う。卵を割ってみる。うまくいかないこともありますが、その一つひとつの成功や失敗の積み重ねが、子どもにとっての自信へとつながっていきます。

「料理の魅力は、他の子と比べることではなく、“自分でできた”という喜びを感じられることなんです」と坂本さんは続けます。

完全な失敗は、たとえば真っ黒こげになって食べられないような状態になってしまうような場合だけ。たとえ少し味が違っても、焦げても、手直しをして「おいしく食べる工夫」ができるのも料理の醍醐味です。失敗も成功もすべて、子どもにとって貴重な「生きた経験」になるのです。

さあ、さっそく「おせち料理」をつくってみよう!
おせちの意味や料理の楽しさを学んだら、いよいよ実践!子どもと一緒におせちづくりを楽しむコツは、「がんばりすぎず、簡単で好きなものだけをつくること」だと坂本さんは話します。

「全部手づくりにしなきゃ」なんて思わなくてももちろん大丈夫。買ってきたおせち料理を子どもと一緒に重箱に詰めなおしたり、紅白かまぼこや煮物のにんじんをかわいく飾り切りする。それだけでも、立派な「親子おせち」になります。

「好きなものを自由に作ればいいんです。伊達巻が好きならたくさん作つくってもいいし、ローストビーフやサーモンを入れてもOK。今は冷蔵庫があるので、昔のように濃い味つけにしなくても大丈夫ですよ」

親子でつくる三品。紅白なます・伊達巻・きんとん

●紅白なます

<おすすめポイント>
火を使わず、包丁がなくてもピーラーでつくることができるので、小さな子でも安全にチャレンジできる一品です。味つけはシンプルで、覚えれば普段の副菜や常備菜にも活用できる万能おかずです。

<材料>(4人分)
大根 200g (たて塩)塩 小さじ1/2 水 大さじ2
金時にんじん 50g (たて塩)塩 小さじ1/4 水 大さじ1
うすあげ 1/2枚(30g) 白ごま 大さじ2
◎(合わせ調味料)酢 大さじ2 砂糖 大さじ2 だし汁 大さじ1

<つくり方>
1.大根は皮をむき、ピーラーでうす切りにし、食べやすい長さに切る。
2.にんじんも同様に皮をむき、うす切りにして同じ長さに切る。
3.うすあげは直火で軽くあぶり、冷めたら細く切る。
4.ポリ袋に水と塩を入れてたて塩を作り、大根とにんじんをしばらく漬ける。
5.しんなりしたら水気をしぼる。
6.すり鉢で白ごまをあたり、◎を加える。
7.大根・にんじん・うすあげを和えて完成。

<アドバイス>
*普通のにんじんでもOKですが、赤い金時人参があればより華やかに!
*大根とにんじんは、一緒にたて塩をしてもかまいませんが、その場合、大根ににんじんの色が少し移る点に注意が必要です。
*「たて塩」とは濃い塩水を作って、その塩水を材料にまぶすことです。塩がよく混ざります。
*「たて塩」はポリ袋に塩と水を入れて溶かしておき、そこに材料をいれて振ると楽です。ポリ袋は12号ぐらいの大きさがおすすめ。

●伊達巻

<おすすめポイント>
「知恵が増えるように」「たくさんのことが学べますように」という願いが込められた一品。
巻物のような形は「昔の本」を象徴しており、「昔は本も巻物だったんだよ」と話しながら作ると、日本文化への興味が広がるきっかけになるかも!
<材料>(2人分)
はんぺん 1枚 卵(M)3個
◎(合わせ調味料)砂糖 大さじ2 みりん 大さじ2 塩 小さじ1/4 だし汁 50mL
油(焼き用)小さじ1

<つくり方>
1.卵を割り、殻が入っていないか確認する。
2.ミキサーに、はんぺん・卵・◎を入れて約15秒混ぜる。
3.卵焼き器に油を塗り、弱火で温める。
4.生地を流し入れ、アルミホイルをかぶせ、中火で1分・ごく弱火で8分焼く(焦げに注意)。
5.表面が固まったら、クッキングシートをのせてまな板に返し、シートごと再び焼き器へ戻し、1分焼く。
6.まきすに返して巻き、両端を輪ゴムで止めて冷ます。
7.冷えたら切って完成!

<アドバイス>
*巻きす、アルミホイル、輪ゴム、軍手など、普段使わない器具が必要です。カッターやミキサーの刃に特に注意!親がしっかりフォローを。
*本来は白身魚をすり身にして使いますが、とても手間がかかるので、はんぺんを使います。白身魚を使うときは、皮や骨を取ってすり身にしたときに50gぐらいを使います。ホタテ貝柱、えびむき身でもできます。

●きんとん(いもきんとん)

<おすすめポイント>
見た目の黄金色が「金運アップ」や「豊かさ」を表し、まるでお金のように輝くおめでたい一品です。材料は栗ではなくさつまいもでOK。ポリ袋に入れてもんだりつぶしたり、子どもがにぎにぎしながらつくる感触も楽しめる料理です。

<材料>(4人分)
さつまいも(実のみ)150g
砂糖 50g 塩 少々
あれば 栗の甘露煮 4個

<つくり方>
1.さつまいもは2cm幅に切り、皮を厚めにむく。
2.鍋で20~30分ゆでて柔らかくする。
3.網じゃくしで取り出し、耐熱ポリ袋に入れてタオルで包み、もむようにつぶす。
4.砂糖と塩を加えてさらに混ぜる。
5.ポリ袋の端を切り、絞り出して完成。

<アドバイス>
*洋風にバター(分量外、5g程度)を入れてもおいしい!
*かつては栗で作られているのがふつうでしたが、現在は同じ黄色のさつまいもで作られるようになりました。
*栗は腐りやすいこともあり、栗で作るときはさらに砂糖を入れて甘くします。

子どもと一緒におせち料理をつくるときのポイント
親子でできる工夫と学びが詰まっているおせち料理。でも、年末年始は、家族がゆっくり顔を合わせられる貴重な時間でもあります。だからこそ、「料理の時間を教育の場にしよう」と構えすぎず、「一緒に作る」「一緒に過ごす」その時間そのものを大切にしたいですね。

「まずは“やってみる?”と、軽く声をかけるところから始めてみてください。興味を示したら一緒にやってみる。あまり乗り気でなければ、無理に誘わなくても大丈夫。やる・やらないの選択は、子どもに任せてあげましょう」と坂本さん。

「小さな子どもなら、混ぜるだけ、のせるだけ・・・そんな『ひと手間』だけでも十分です。途中で飽きてしまったら、『じゃあお母さんが仕上げるね』でOK。『やらせなきゃ』と気負ってしまうと、かえって子どもは『楽しい』という大切な気持ちを手放すことになってしまいます」

おせちづくりを通して育まれるのは、料理のスキルだけではありません。親子で笑い合いながら過ごすひとときが、子どもの心に“あたたかい記憶”として残っていく。それこそが、何よりのごちそうなんですね。

お正月料理には、古くから続く日本の知恵と、家族をつなぐぬくもりがあります。「完璧なおせち」ではなくてもかまいません。好きなものを少しずつ、親子でつくってみる。そのひとときが、家族の心に残る大切な思い出になるはずです。

新しい一年は、おいしい香りと笑顔があふれる台所から。ゆっくりと過ごせる冬休みだからこそ、子どもの「やってみたい!」を見守りながら、親子で穏やかな年末年始を楽しんでみませんか?
楽しく作って食べてお正月を楽しもう!親子でつくる「おせち」の時間1歳から12歳までの学童型知育教室アデック

プロフィール
坂本 佳奈さん
食育・料理研究家。キッズキッチン協会副会長。
1976年神戸生まれ。大阪市立大学大学院生活科学部前期博士課程 食・健康コース修了。専攻は食環境科学。数学・教員免許、学芸員資格も持つ。
著書:「親子でキッチン上・下」(かもがわ出版)、「国産米粉でクッキング」(農文協)、「もっと広がる国産米粉クッキング」(農文協)など。*いずれも坂本廣子と共著。

一般社団法人キッズキッチン協会
キッズキッチン活動を推進する任意団体として、2005年9月に設立。子どもによる体験型食育プログラム(キッズキッチン)の実施や、インストラクター、食のプロフェッショナルの育成も行うほか、子ども向けの食に関する通販サイト「Kids-Kitchen」の運営も行っている。